好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 はいどうもー! 感想・高評価・創作掲示板での紹介をめっちゃほっするグレン×グレンでっす!

 本日、嵐の前の静けさ回といえるでしょう!


英雄乱戦編 第十三話 ベルナの夢

和地Side

 

 

 

 

 

 

 夜に入り、俺達はアウロス学園の学生寮として建設された建築物で一休みをしていた。

 

 この体験入学は泊りがけの予定であり、俺達も最初から学生寮で泊まる予定だ。また体験入学に来ている側も、自費や理解のある貴族の資金援助で近隣の宿泊施設に泊まっている場合もある。

 

 そんな中、俺は風呂を浴びる前に外の空気を味わいに来ていた。

 

 なんとなく、といったところだろう。具体的な理由なんて何もない。

 

 ……しいて言うなら、俺はアウロス学園を気に入っているのだろう。その空気を味わいたかったのかもしれない。

 

 この学園はきっと、冥界の子供達にとって未来を切り開く為の場所になるだろう。

 

 人間界でもまだまだ数多くあるだろうが、教育という物は必要最低限すら足りない場所は数多い。冥界なら尚更だ。

 

 異形とは総じて人間より性能が高く、そこに先天的な要素がとても多く関わる。だからこそ、生まれ持っての才覚とその自然な成長が優先されやすい。だから尚更教育に力を入れづらいところがある。

 

 だが、学ぶことができるだけで人生の選択肢に幅が生まれてくる。そういうことが数多いのだ。

 

 ザイアの英才教育もそうだが、教育環境に恵まれるかどうかはその者の成長に繋がるものだ。そしてザイアとは違い、この学園は子供の未来に選択肢を与えてくれる、その為の場所だ。

 

 だからこそ、この学園は出発点であってほしい。

 

 今後も同じような学園が増えてほしい。そして子供達が未来を選択できる余地があってほしい。

 

 そう思いながら、俺は学園を歩いてみる。

 

 体験入学が行われていた時と違い、今のアウロス学園に人はいない。だからこそ、アウロス学園という校舎そのものが見えてくる。

 

 こうして見ると校舎そのものは日本のそれを参考にしているが、その上で冥界の文化や悪魔の能力に合わせて調整をしているようだ。

 

 ソーナ会長が心を砕き、フロンズ・フィーニクスがよく考えていることがよく分かる。

 

 こんな学園が増えてくれればいいと心から思いながら、俺はこんな時間帯だからこそ見れるアウロス学園を見渡し―

 

 

 

 

 

 

 

「……あれ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 アウロスは放牧や農業が基本で閑静な街だが、しかし何人もの人々が暮らす街である以上、ある程度の歓楽といった施設は必ずある。

 

 そんな小さな酒場で、カズヒは盛大にため息をついた。

 

「……子供と一緒に飲みに行く。父親とかがよく思う夢とは聞いたけれど……まさか誘われるとはね」

 

 そうぼやきながら半目を向ければ、安い麦酒を一気飲みした幸香はにやりと笑う。

 

「母上とは一度酒の席でも設けたかったのでな? なぁに、フロンズに話を通して居るとも」

 

「だからってこのタイミングでする?」

 

 そう返すが、幸香は肩をすくめて苦笑する。

 

「特別授業は終わったのでな? アーネとユーピはフロンズの護衛としてアグレアスに向かうが、妾は明日にはさっさと帰るように釘を刺されておるのだよ」

 

 どうやら、フロンズも幸香の微妙な立場をきちんと考えて連れて来ていたらしい。

 

 まぁつい先日までテロリストだった女を毎日毎日外に連れ出すというのは、世間体としても問題だろう。

 

 その辺りについて考えていることにほっとしつつ、カズヒはオレンジジュースをちびちびと呑む。

 

「母上は酒を飲まぬのか? ここなら飲めるとフロンズから聞いておるぞ?」

 

 ……妙なところで気を回している。幸香もだがフロンズもだ。

 

 そんな感想を抱きながら、カズヒは唐揚げを一口食べてからため息をついた。

 

「まだお酒は飲んだことがないもの。私はあなたと違って明日もアウロス学園(ここ)だから、その辺りは気を使ってるのよ」

 

 呑み慣れてない以上、下手をすると二日酔いになる可能性だってある。

 

 必要なら気合と根性で強引に突破できるだろうが、そもそもその必要が無いようにする努力は必要だろう。

 

 それには納得だったのか、幸香は残念そうにしているが反論はしなかった。

 

「……まぁ、星辰奏者(エスペラント)でも限度はあるし悪酔いする奴はおるしな。仕方ないか」

 

「そういうこと。以前カズホ(親しい星辰奏者)が同僚の星辰奏者の悪酔いに巻き込まれて苦労したみたいだから、その辺りの認識ができるまでは気を付けないとね」

 

 そう返しながらカズヒは肩をすくめるが、その上で少し真剣に向き直る。

 

「……幸香。一つ、聞きたいことがあるの」

 

「なんじゃ、母上?」

 

 聞きたいことはいくつもある。だが同時に、それは少しずつにするべきだ。

 

 生みの親ではあるが、二十年近く顔を見たこともないのだ。そこで何の遠慮もない距離感は、何かが間違っているだろう。

 

 だからこそ、カズヒは一つだけ聞く。

 

「……貴女は、私のことを恨んでないの?」

 

 答えは何となく予想ができている。

 

 だがそれでも、あえて言葉にして聞くべきことだと思ったから聞いてみる。

 

 世の中には、あえて行動や言葉で示すことに意義がある物事など数多い。そうだと思っているだけより、そうだと示す方が自分たちはもちろん他者の認識もはっきりする。そういう儀式的な物があるのだ。

 

 そしてその質問に対して、幸香の答えは予想通りだった。

 

「いや全く。すくなくとも殺意や憎悪を抱くような気にはなれんな」

 

 即答で、気負いすらなくそう答える幸香。

 

 その上で麦酒を呑み、ため息すらついた。

 

「まぁその生き方に言いたいことはあるがな? かつて会った時に言ったはずじゃが、母上は妾と同類じゃろう? その生き方は合わないのではないか?」

 

 それに対し、カズヒはオレンジジュースを一口飲んでから、ため息をついた。

 

 ああ、彼女はやはりそういう、自分とは相容れない生き方を良しとしているのだ。

 

「私はこう生きてそう死ぬと決めてるわ。逆に聞くけれど、貴女はその決意を他人の言葉で翻すの?」

 

「なるほど、一本取られたわ! 流石は母上と言っておくべきかのぉ?」

 

 その返答が答えだ。

 

 ……最も自分と似ないでほしいところを、彼女は色濃く受け継いでいる。

 

 だからこそ、この状況はある意味で幸運なのだろう。

 

 できることとすべきこととしたいことは、全て別の概念だ。だからこそ、フロンズ・フィーニクスという対立派閥に擁される形で、幸香が味方となったことは都合がいい。

 

「フロンズとリアス部長が、正真正銘の殺し合いをしないことを祈っているわ」

 

「妾はそれも一興じゃがのぉ? まぁ、意味もなく内輪もめを勧めるほど阿呆ではないから安心せよ」

 

 親子といえるような距離感なのか、それは間違いなく自分なんかには分からない。

 

 元々物心つく前から両親を失い、下劣な男のもとで育ち、そして真っ当に子どもを育てることもできなかった。

 

 だが、娘とこうして席を同じくできている。

 

 ……それは、悪くない。

 

「とはいえ明日になればとんぼ返りじゃがな。いっそのことご当地銘酒とかあれば買っておきたかったのじゃが」

 

「まぁ帰れるなら帰った方がいいわね。明日はヴァーリを引っ張り込む予定だから」

 

 そんなとりとめのない会話をしながら、夜はどんどんと更けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和地Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あ、やっぱりだ。

 

「……ベルナ、どうしたんだ?」

 

「お、カズか」

 

 なんか黄昏ているベルナを見つけてしまい、俺はふと声をかけた。

 

 なんとなくそのまま隣に座ると、ベルナは空を見上げている。

 

 その雰囲気を味わいながら俺が何となく待っていると、ベルナがこてんと俺の方に頭を預ける。

 

 うん。

 

 よぉっし。

 

 いよっしゃぁ!

 

 内心でちょっとガッツポーズをしていると、ベルナの雰囲気もなんとなく和らいでいる。

 

 あ、なんかいい雰囲気! やっほぅ!

 

 内心でテンションを上げていると、ベルナは笑みを浮かべながら体重を俺に預けてくれる。

 

「本当に、いいところだよ。こういうところがあの時ありゃぁとか、本気で思っちまうところがあるな」

 

 ベルナが思い返しているのは、きっとスラム時代の頃だろう。

 

 そこそこ金を持っていた企業の娘に生まれながら、内乱などが重なってストリートチルドレンになってしまった頃の事だろう。

 

 確かに、ストリートチルドレンなんて言うのは孤児(みなしご)といった立場の子供に対する支援事業の有無で誕生すると言ってもいい。

 

 そしてそんな出身の者達は学ぶことすら不可能に近いから、未来を切り開く余地すらない。

 

 其処を考えてみれば、この学園の価値を俺よりベルナが痛感しても当然だろう。

 

 ……根っこの思想が致命傷なだけで、ザイアの環境は良かった方だろうしな。環境に恵まれるってのがどれだけ心強いかがよく分かる。

 

 そう思っていると、ベルナは静かに拳を握っていた。

 

「増えるといいよな、この学園みたいな場所がよ」

 

「ベルナ……」

 

 俺は、そっとベルナの手を握る。

 

 軽く、だけどしっかり握るとベルナの肩がびくりと震えた。

 

「なぁっ!? な、ななななんだよいきなり!」

 

「いや、グっと来てな」

 

 顔を真っ赤にするベルナに、俺は本心からの笑顔を見せる。

 

 ああ。ベルナはこの学園と自分の過去を振り返って、この学園が増えることを願えるんだ。それができる人なんだ。

 

 なんか感極まって、俺はベルナの肩を引き寄せると抱き寄せた。

 

「おぉおおおおお前!? お前カズいきなり何してんだぁ!?」

 

「すまん感極まった。こうさせてくれ」

 

 今なら本心から確信をもって断言できる。

 

「俺はベルナのことが好きだ。今なら尚更そういえる」

 

 ああ、彼女のことを好きになれると考えた、俺の気持ちは間違ってなかった。

 

「ベルナは凄い奴だよ。今アウロス学園のような場所が増えることを、自然体で言えるんだ」

 

 本当に優しい女性だ。

 

 複雑な気持ちを見せもしない。本当に持ってないのかもしれない。

 

 そんな女の子を、引っ張り上げることが俺にはできた。

 

「ベルナ・ガルアルエルをこちら側に引っ張り込めれたのは、俺にとって誇れることだ。そんなお前のことを愛せなくて、何が涙換救済(タイタス・クロウ)だってんだ」

 

「お、おぅ……」

 

 顔が真っ赤になっているベルナを、俺はぎゅっと抱きしめる。

 

 そして真っ赤になってるベルナはちょっとそっぽを向きながら、それでも無理やり引きはがそうとはしない。

 

 そしてふっと緊張を解いて、体の力を抜いて抱きしめられてくれる。

 

「……なぁ、カズ」

 

「どうした?」

 

 俺はすっごくテンションが上がってるんだが。

 

「……アタシさ、この学園みたいなことがしたいって思うんだよ」

 

 そう、ベルナは苦笑しながらつぶやいた。

 

「学のねぇ女が何言ってんだって思うがな? この学園を見てたら、そこに通えるガキ達が増えたらいいなって思っちまって……アタシも何かを伝えられたらって、そう思ったんだよ」

 

 そうか。

 

 なら大丈夫だろ。

 

「大丈夫だよ、ベルナ。今からだって、教えられることはきっとあるさ」

 

 俺は気休めでもなんでもなく、確信すら持って言い切れる。

 

「少なくとも日本には家庭科という授業体系があるしな。お前家事万能だし、今からでも頑張れば家庭科教師はイケるだろ」

 

「……そっか。それもいいかもな」

 

 そう頷いて納得したベルナは、そっと俺に体重を預け直す。

 

「……もうちょっと、こうしてもいいか?」

 

「ああもちろん。むしろあれだな。ベルナが一歩成長した記念に、ちょっと盛大に甘やかしてやるよ」

 

「お、本当かよ? なら十分ぐらいこうさせてくれや」

 

 それぐらいならお安い御用さ。

 

 ああ、こういうのもいい感じだよなっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other side

 

 

 

 

 

 

 

 

アウロス学園の女子寮で、リアスの前でリヴァが突如としてあらぬ方向を振り向いた。

 

「……なんかカズ君が好感度アップに成功した予感!」

 

「リヴァ? 何を妙なことを言っているのかしら?」

 

「あらあら? リアスさんは女の勘を信用しないの? それも女神の勘よ?」

 

「……無駄に信用度が高いのが複雑ね。でもあなたとしては歓迎じゃないかしら?」

 

「それはもう。自慢の旦那が可愛い女の子をひっかけてくれるなんて、いろんな意味でテンション上がるもの♪」

 




 ベルナ編は「ベルナ自身で道を決める」といった感じのことをコンセプトとした結果、アウロス学園が一番合致するとしてヴァルキリー編を主体とすることにいたしました。

 そしてそろそろアウロス学園にしょっぱなから危機が迫るまで秒読み段階!
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