好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 切りどころの問題もあり、最近はめっきり一話当たりの文字数が多くなってきました。……今回も長めですがご容赦を


聖教震撼編 第八話 ウルバヌス二世

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 地下道を出て、俺達が入ったのはちょっとした地下室だった。

 

 広さは精々十畳ぐらいだな。内装も綺麗ではあるけど、豪華ってわけじゃない。

 

 なんていうか……中流家庭の地下室って感じか? ちょっと宗教色はあるけど、そりゃバチカン関連なんだからそうなるだろう。

 

 そして、そんな部屋には一人の老人………がいた。

 

 ちょっと戸惑ったのは、そのお爺さんの体つきがよすぎたからだ。

 

 なんていうか、服越しとはいえ重量級のレスラーとかのそれだ。腕ですら俺の胴ぐらいはありそうだしな。

 

 ……そして何より凄いのは、彼の気配とかオーラとかそういったものだ。

 

 皺だらけの顔じゃなければ老人だなんて思えない。例えるならゼクラム・バアルのような、それでいて真逆の雰囲気すら漂わせる。ゼクラム・バアルがギラついているなら、この老人はキラめいている。そんな感じだ。

 

 そんな老人に俺達が思わず息を吞んでいると、その人は微笑みながら両手を広げて俺達を出迎える。

 

「D×Dの若人達よ。私達の求めに応えてくれて感謝する」

 

 その言葉にはっとなると、リアスが咳払いをしてからその老人を真っ直ぐ見つめる。

 

「貴方がヴァスコ・ストラーダ猊下かしら?」

 

「その通り。そしてここは、教皇聖下が非常時に避難する為に使うセーフルーム兼用の脱出口、そこで私が把握しているものを使わせてもらった」

 

 おいおいまじかよ。

 

 ゼノヴィアの話じゃ87の爺さんだろ? これが?

 

 顔が皺くちゃだから老人なのは分かるけどさ? いくら何でもガタイがよすぎだろ!?

 

 俺達はちょっと呆気に取られているけど、猊下はそんな俺達に微笑みながらソファーを示した。

 

 簡素な作りだけど、なんていうか質が良さそうだな。他の調度品もそんな感じだ。

 

「……流石はローマ教皇が使用する前提の部屋。座るのが気後れするわね」

 

「確かにそうね。うっかり汚したらと思うと、ちょっとね」

 

 大手PMCのCEOなサイリンと、超名家のお嬢様な部長が戦慄するほどのソファーなのか。

 

 これはあれだ。無駄な部分に金はあまりかけてないけど、基本的な部分が最高すぎて金がかかってる系だ。

 

 俺達はちょっと気後れするけど、地下道を何kmも歩いていたるから休んだ方がいい。

 

 なので、曹操とアーチャー以外は恐る恐る座る。アーチャーはサイリンの護衛優先なのか、座らずに適度な距離感で立ったままだけど。

 

 あ、座り心地がめちゃくちゃ良い。これ本当に、リアスの実家でも中々ないような逸品だ。良いか悪いか凄く良いかぐらいは分かる様になってる自分にびっくり。

 

 ちょっとその座り心地に気を取られていると、ストラーダ猊下はサンドイッチが乗った皿と、水を持って来てくれた。

 

「質素なものだが、少し腹に入れておくといい。ここからが忙しく大変なことになるのでな」

 

「……そうね。では少しいただこうかしら」

 

 リアスがそれを受け取って、俺達もとりあえず食べ始める。

 

 元々クーデターを起こした人だけど、どうやら信用に値する人っぽいな。

 

 ただ、難しい顔をしている奴が一人。ゼノヴィアだ。

 

「……猊下。一つ伺いたいのですが、何故クーデターなど起こしたのですか?」

 

 ゼノヴィアは水を一口飲んでから、そう尋ねる。

 

「私も戦士であった身として、戦士達が戸惑い困惑していたことは理解しています。ですが、この状況下でクーデターを引き起こすなど―」

 

「―戦士ゼノヴィアよ、それは逆だ」

 

 小さく、ストラーダ猊下はそう答える。

 

 小さいながらもしっかりとしたその言葉に、ゼノヴィアは押し黙る。

 

 その言葉に嘘偽りなどなく、確信があるからこそのものだと分かったからだ。

 

 枢機卿っていうのは、日本のイメージだとでかい神社の神主とかそういうレベルのそのまた上だと考えるべきだ。それだけの立場にいるだけの、貫禄を言葉だけで見せつけた。

 

 そしてストラーダ猊下は、真っ直ぐにゼノヴィアに向き直る。

 

「……貴殿は苛烈ではあるがリベラルだからこそ、そこ止まりで済んでいるのだろう。だが、戦士達の多くは貴殿ほど融通を利かせられないのだよ」

 

 苛烈だけどリベラルか。

 

 確かに。ゼノヴィアは最初に会った時はマジでムカついたけど、意外と融通を利かせられるところはあったな。一応模擬戦なら加減とかもしてくれたし。

 

 だけど、当然人が多いならそうじゃない奴だって多い。リアスやサイラオーグさん達と違い、ディオドラみたいに俺達が下級悪魔だというだけで見下してくる奴がいる悪魔みたいなもんか。堕天使もアザゼル先生やバラキエルさんがいれば、コカビエルやレイナーレみたいな奴もいるしな。

 

 ストラーダ猊下は俺達を見回してから、少しだけ目を閉じる。

 

「……テオドロ・ログレンツィ猊下は、奇跡の子でな。更にその中でも有数の力を持つことから、貴殿らより遥かに幼い身で司教枢機卿に任ぜられた」

 

 奇跡の子。俺でも知識としては知っている。

 

 天使と人間の間に生まれた子供を指すらしい。そして天使が子作りをするのはとても大変で、つい最近イリナと俺用に作られたドアノブみたいな物がない時期なら尚更だ。互いに性欲を抱かず交わらなければとか言ってたと思うけど、俺には絶対できない自信がある。

 

 ドアノブがあるから今後は増えるだろうけど、つい最近できたばかりのそれがない時期ならそりゃもう奇跡そのものだろう。極僅かしかいないのも納得だ。

 

 そんな中でとても優れた力があるのなら、そりゃ枢機卿にもなるだろう。聖書の教えとしてはとても価値があり名誉で素晴らしいことだろうし、異形社会は実力があれば年齢不問なところも数多いし。表向きの人間世界に秘匿こそしても、異形や異能の社会なら融通は利くはずだ。

 

 ただ、ストラーダ猊下はそこに悲し気な表情を浮かべていた。

 

「……だが猊下の両親は、悪魔によって殺されている」

 

 その言葉に、俺とリアスは肩を少し震わせた。

 

 俺がレイナーレに殺されたように。司教枢機卿のテオドロ猊下は両親を悪魔に殺された……?

 

「和平もいいだろう。私も人を導く者として、無用な人死にを出さず健やかな生を育めるに越したことはないと思っている。だが戦いの中、もしくは戦いのきっかけとして悪魔や堕天使に絆を奪われた者にとって、それはすぐに頷けるようなものではない」

 

 その言葉は、長い人生経験に裏付けされたものなんだろう。

 

 きっと、何度も見てきたんだ。自分も失って、誰かが失うのも見てきた。そんな何十年もの時が積み重なっているからこそ、それが分かる。

 

「だからこそ、私はテオドロ猊下に力を貸すことを決め、猊下に動かされる者が多かった。若き貴殿らにそれを押し付けるのもまた間違いだろうが、その業に満ちた歴史が足元にあり、それを踏みしめていることを忘れないでもらいたい」

 

 その言葉に、俺達は何かを言うべきかと思った。

 

 ただそれより先に猊下は小さく詫びるような表情になった。

 

「最も、それを見事に絡め捕られた我々が言うことでもないのだろうがな」

 

 ………確かに。

 

 神聖糾弾同盟、もう主導権がストラーダ猊下からは奪われている形なんだよなぁ。

 

 事前に聞いた話とかなら、最終的にきっかけのグレモリー眷属(オカ研)とぶつかって、それでガス抜きを終わらせる予定だったみたいだし。

 

 それが大量の増援とそれによる鎮圧部隊の撃退もあって、完全に取り込まれた形だしなぁ。そもそもそいつらを教皇が率いているわけだし。一番偉い枢機卿が取り込まれたら……無理か。

 

「その、説得とかはできないんですか?」

 

 俺はちょっとその辺が気になった。

 

 そりゃ教皇(元)と司教枢機卿(しかも奇跡の子)の二人がトップの方針として徹底抗戦を挙げているのなら、いくら枢機卿でも格下が二人じゃ無理なところもあるだろう。

 

 だけど、ヴァスコ・ストラーダ猊下とエヴァルド・クリスタリディ猊下は戦士上がりで枢機卿になった人物。更に戦士育成機関の設立などにも貢献し、それぞれデュランダルとエクスカリバーの卓越した使い手だ。戦士限定の影響力なら負けてはいないはずだ。

 

 それにしてはもっとこう、協力者がいてもいいと思うんだけど。

 

 クーデターを起こしておきながら悪魔に協力を要請するのもあれだけど、だからこそ心配になって傍に仕えるぐらいする人が多くてもいいと思うんだ。

 

 ただストラーダ猊下は小さく首を横に振った。

 

「残念だが、協力を結べたのは極僅かだ。背信に気づかれるリスクの回避もそうだが、ウルバヌス聖下はその点において非常に卓越した人物だったのだよ」

 

 ……そうなのか。

 

 俺はその辺がよく分からないけど、リアスに曹操、あとサイリンはその辺りにピンと来たらしい。

 

「なるほど。生ける人物としてお二人は戦士の崇拝を集めるでしょうが、ウルバヌス二世は教皇であり英霊だものね」

 

 サイリンはそう言うと、小さく肩をすくめる。

 

「十字軍遠征という、聖書の教えによる大規模軍事遠征。歴史的な観点の負の側面こそあれ、戦士からすればそれと同一視できる彼の傘下となることは、多大な名誉ということかしら」

 

「その通り。更に彼はこのクーデターの方向性すら大きく変えている」

 

 サイリンに頷いたストラーダ猊下は、渋い顔をしながら一つのタブレットPCを取り出した。

 

 それを素早く操作すると、映像プレイヤーが映し出される。

 

 ……最新電子機器に順応してるなこの人。老人なのもそうだけど、宗教関係者って最新技術に抵抗がある印象とかがあったぞ。

 

 俺がちょっと感心していると、そこに映像が映し出された。

 

 かなりデカい聖堂に人がたくさんいる様子が映し出される。

 

 それを見ていると、同じように見ているリアスはかなり引き締まった表情になっていた。

 

「皆、特にゼノヴィアとアーシアは気をしっかり持って見るべきよ」

 

「そうだね。俺の聖槍を見るぐらいの気合を入れていた方がいいだろう」

 

 曹操も苦笑交じりにそう言いながら、興味深そうに視線を画面に向けている。

 

「ウルバヌス二世は現代にも通じる優れた政治的手腕の持ち主。同時に希代の扇動家ということがよく分かる映像になりそうだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

和地Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 プルガトリオ機関詰め所の地下で、俺達は映像を確認する。

 

 それは神聖糾弾同盟の盟主である、ウルバヌス二世によるクーデター部隊への演説の様子だった。

 

『……諸君』

 

 静かに、しかしよくとおる声でその男性は告げる。

 

 外観は50代前半といったところだが、サーヴァントとは全盛期で再現されるのが常。

 

 十字軍遠征を主導した時より、宗教改革や綱紀粛正に邁進していた頃の方が全盛期だという判断がされたのだろう。元々神聖糾弾同盟は和平に耐え切れずに教会を出た者が起こしたものであり、かつ聖杯戦争をもってして呼ばれたからな。教会の綱紀粛正側に引き寄せられるのは当然か。

 

 時は夕暮れ時。更に雰囲気作りの為か、音楽が流れている。

 

 そして彼は小さく沈黙した後、両手を広げる。

 

『勘違いをしてはならない。我らは今、大罪を犯しているのだ』

 

 それは、クーデターを真っ向から批判するかのような言葉。

 

 それにどよめきが起こるが、ウルバヌス二世は数分間待ってそれが収まるのを待つ。

 

 困惑し、不安すら覚えるクーデター部隊。自分達の権利を守るべく、和平を間違いだと思っていた彼らの不安の視線を受け止め、ウルバヌス二世は再び口を開く。

 

『我らが教えにおいて主の命じることは絶対。どう解釈するかは議論の余地があり、本当に主が命じたことなのかを考えることは必要だ』

 

 その前置きは、だけどそこからの話に繋げるものでしかないのだろう。

 

 事実、それで持ち直しかけた信徒達の感情を下げるように手を前に出す。そのうえで静まった信徒達に、ウルバヌス二世は語りかけた。

 

 『……だが、主の意思を見定め代弁する現教皇聖下及び、各勢力との会合に主の代行として動くミカエル様が連名で告げたのが和平である。……より良き和平の為ではなく、和平そのものに否定的でいることは、すなわち悪であり罪なのだ』

 

 他ならぬ教皇であったウルバヌス二世自ら、このクーデターが間違いであると断言した。

 

 自分達のクーデターこそが悪であり罪だと言い切った。しかも、理路整然と信徒なら納得してしまう理屈をもってしてだ。これはクーデターを起こした信徒達も反論が封じられる。

 

 その断言はクーデターに参加した者達に衝撃を与え、誰もがウルバヌス二世に注目してしまう。

 

 それを確認してからなのか、小さな沈黙の後にウルバヌス二世は小さく苦笑した。

 

『そう、我々は裁かれるべき罪人だ。我らが主は慈愛と許しを説き、断罪と裁きを司る。一見矛盾するこの在り方は、主が人々を裁定する正義の体現者であるからこその絶対者ゆえ。少なくとも、私は思っている』

 

 その言葉は、きっとすんなりと彼らの耳に入っていくのだろう。

 

『故に我らの行動は悪だ。主の代行者が告げた在り方に異を唱え、武力をもって抵抗するなど信徒としてもってのほか。我らは裁かれるべき罪人であり、審判の日が来るまで地獄の炎で焼かれるだろう。この争いを未だ続けるとは、そういうことだ』

 

 映像で見ているだけの俺ですら、思わず気圧される在り方がそこにあった。

 

 動作や声色、そして雰囲気。全てが強いカリスマ性を感じさせ、その言葉に説得力を感じさせる。

 

 まして彼はローマ教皇だった人物だ。加えて十字軍遠征という、信仰に生きる戦士達にとってある種の英雄譚の立役者。とどめに教会の綱紀粛正を成し遂げた異常、教会の在り方に異を唱える戦士達からすれば、現教皇や天使長ミカエル様に匹敵するだろうカリスマ性があるはずだ。

 

 だからこそ、その言葉は麻薬に等しい。

 

『故に裁かれることを望まぬ者はここより立ち去れ。我らが主より賜る栄光はただ一つ―――主の断罪のみである』

 

 そこに、主から送られるものという言葉が更なる毒となる。

 

『主の意向に異を唱え、主が指示した和平に抵抗する。だからこそ、我らが求めるは許しでも許諾でもない。主の定めた未来に刃を向けるという罪をもって、主が自ら行う裁きという罰を求めるのだ』

 

 そしてそれは、決してただただ信徒にとって絶望ではない。そう思わせているのがよく分かる。

 

 何故ならそれは―

 

『それこそが、我らにとって最大の福音。絶対たる主の意思がそこにあるという、確固たる褒賞をもって我らは地獄に落ちるのだ』

 

 ―聖書の神の意志が直々に示されるという、信徒にとってある意味で最高の奇跡に他ならない。

 

『勝利を求めるな、裁きを求めよ。主による断罪を受けることによって、我らは主の意思を実感する。ただそれだけを求めた代価として、我らは来るべき審判の時まで自らを悔い改め続ける……それだけが我らのいくべき道である!!』

 

 その言葉に、それを聞いている者達のスイッチが入ったのが俺でも分かる。

 

 彼らはもはや、ただ我慢できずに暴発したものじゃない。主の意思を本当の意味で実感する為に、命を捧げる殉教者。主の実在とその意志を裁かれることで証明し、真なる信徒達にその道の絶対性を保証する存在になる。

 

『故に、我らは傲岸不遜に悪を成そう! 主の意思に背き主の裁きを求めよっ! 全ては……絶対たる主の意向を実感する為にっ!!』

 

 その言葉と共に流れる音楽は激しく鳴り響いてから終わり、それが引き金となった!

 

『『『『『『『『『『ぉおおおおおおおおっ!!』』』』』』』』』』

 

『『『『『『『『『『我ら、主に討たれる悪徳なりっ!!』』』』』』』』』』

 

『『『『『『『『『『我らっ! 主の意思を示す為の罪人なりっ!!』』』』』』』』』』

 

『『『『『『『『『『我らぁっ! 真なる信徒が為の殉教者なりぃっ!!』』』』』』』』』』

 

 所々でそんな合唱が鳴り響き、演説所となっていた聖堂は声で震撼する。

 

 ……その映像を確認した俺達は、戦慄していた。

 

「……うぅむ。よく分からんが、これはサクラとやらが関わってないか?」

 

「そうですね。それに演説時に夕暮れ時を選んだり音楽で雰囲気を出すのは、かのアドルフ・ヒトラーも行っていた手腕だと聞いています」

 

 渋い表情で唸るストラス・デュラン騎士団長とロスヴァイセさん。

 

 ああ、どこかザイアを思わせるそれは、そういうことか。

 

 確かにそうだな。背景とかBGMとか、そういう雰囲気って大事だし。少なくともギャグとかコメディ感溢れる雰囲気でシリアスな話をしても、ギャグに感じる時はあるし。

 

 あいつらその辺も考えてたんだなぁ。本当に能力だけは優秀だよ。

 

 ……問題は、そんな手法を西暦数百年代生まれのウルバヌス二世が取り入れていることだけど。

 

 現代に適合しすぎじゃないかあの男。歴史的なローマ教皇はそれに見合ったポテンシャルの持ち主だと、そういうことか。

 

「なんて人だ。なんでそんなに難しく考えようとするんだ……っ」

 

「兄さん……」

 

 映像を見ながらリュシオン・オクトーバーは珍しく苛立ちを見せ、そんなリュシオンをルーシアは気づかわし気に見ている。

 

「なんていうか、ザイアを思い出すわね。能力ある連中は自分の考えを伝えるだけでいろんなことをしたがるものなのかしらね」

 

 鶴羽も苛立ちは見せているけど、これはザイア時代を思い出しているからだろう。

 

 ただ、リュシオンのそれは違う。

 

「なんでそんな風に……自分から物事を難しくするんだ。そうやって思考を凝り固まらせるから、尚更コツが掴めないんじゃないか……っ」

 

 ………はぁ。

 

 これは、俺もちょっと何か言った方がいいんだろうな。

 

 ただそれは、今ではないだろう。

 

 今ここでやると、絶対にしなくてもいいトラブルに繋がるからな。

 

 今は様子を見て、必要なら適宜フォローだ。その辺は弁えとけ俺。

 

 ゆえに俺は呼吸を整えながら、今後について思考を回す。

 

 ……神聖糾弾同盟首魁。ウルバヌス二世。

 

 この男は、まごうことなく傑物だ。かつてのカトリックを、教会全体をまとめる人物足りえる能力を持ち合わせた、歴史に名を遺すに値する人物だ。

 

 そんな男により掌握された神聖糾弾同盟。

 

 これは、絶対にややこしいことになるぞ。

 




 ウルバヌス二世はその立場もあって、当然ですが戦闘よりも戦略とかそういった方面タイプ。より厳密にいうならば、人を統率することに特化した人物ですね。

 そのため演説はお手の物。この演説によって、神聖糾弾同盟は「聖書の神自らの手によって、自分たちを地獄に落とすという大罪を要求する」組織へとなりました。
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