好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
高評価・感想・捜索掲示板での紹介を欲してやまないグレン×グレンです。
本日は前話の後編的ポジションです。
イッセーSide
いや、本当に難しい話で俺は殆どついていけてない。
英雄だのなんだのと、ぶっちゃけ難しすぎだろ。バカな俺にはよく分かんない話だよ。
……というか分かってる余裕がないかも。ハーレム王になる為に上級悪魔を目指しながら、駒王学園での学園生活もこなしつつ、更に強敵に備えて日々精進だからなぁ。
余裕がねえよ、あるわけねえよ!? むしろ過密スケジュールすぎて、松田や元浜と遊んでる余裕もなかったよ!?
今回もバチカン市国にクーデター起こした奴とかを何とかする羽目になってんだぜ!? やること多すぎてそこまで考えてる余裕とか、マジでない。そもそもただの高校生から悪魔になって、一年も経ってないんですよ、俺は。
だからほんと、これはちょっと苛立ってきたから出てきた愚痴みたいなもんだ。みんなきょとんとしてるし。
う~ん。俺そんなに難しいことを言ったか?
「いやいや、絶対曹操はちっぽけでも何でもないって。っていうかどこがちっぽけなんだよ、めちゃくちゃ強いだろうが」
そこが本当に分からないんだけど。
ただ幸香は明らかに「お前馬鹿か?」って表情だし、何故かリアスもちょっと首を傾げ気味だし。曹操もぽかんとしているし。
「あのね、イッセー? たぶんだけれど、曹操はイッセーが思っているようなことを言っているわけじゃないのよ?」
「まったくだ。そもそも異形に比べれば、人間なんて吹けば飛ぶような存在だろう?」
リアスと曹操がそんなことを言うけど、なんかしっくりこないな。
いや、だって―
「……そんだけ強けりゃ、守れる奴なんていっぱいいるじゃねえか」
―そうだろ?
曹操もリアスもきょとんとするけど、別におかしなことを言っているつもりはない。
なんだろうか。どういえば分かってもらえるのか、馬鹿なりに考えながら言わねえとな。
「そもそも人間はちっぽけじゃねえよ。当たり前のことを言うけどさ、人間も、悪魔も天使も堕天使も、神様や妖怪だってちっぽけじゃない。みんな一生懸命生きてるだろ?」
だからその辺からして分からない。
それに曹操そのものに対してだって分からねえ。
「第一、お前ってめちゃくちゃ強いじゃねえか。そんなに強けりゃ守れる奴だっていっぱいいる。一生懸命守れるように頑張ってきたからよく分かる」
なんでそんなに自分を小さいなんて言うんだろう。お前が凄い奴なのは、認めたくないけど認めるしかない。それだけの奴だって分かってるしな。
「力がないと誰かどころか自分のことだって守れない。だからちっぽけじゃないお前は、たくさんの人を守れるさ」
そこだけは断言できる。なんたって何度も戦ってるからな。
「ヴァーリにしろサイラオーグさんにしろ、そしてもちろんお前にしたって、たくさんの人を守れる力を持ってるんだ。そんな奴をちっぽけなんて言われても、俺にはさっぱり分からねえよ」
その言葉に、なんかよく分からないけど、部屋中の人が面食らっている感じだった。
え、あれ? そんなにおかしなこと言ったか?
首を傾げていると、リアスが何故か噴出した。
「フフッ……いえ、本当にそういうところよ、イッセー?」
あれ、俺何かしましたか!?
思わず戸惑っていると、ストラーダ猊下もなぜかニコニコを微笑んでいる。
「はっはっは。悪魔になった者にも、素晴らしき若者は多いようだ。貴殿はそのまま我武者羅に生きるがよい」
え、ええ!?
名門貴族のお嬢様や、枢機卿なんて人にそこまで言われるようなこと言った?
な、なんかよく分からんが有り難い。有り難いけど恐れ多い気がする。
……よし! 否定的な意見を聞いて気を引き締めよう!
「フロンズさん! あんたはどう思いますか!?」
『ふむ。……論点がずれている気はするが、ある種の悟りに近い考えだと思うがね』
あれぇ!? この人まで評価してるぅ!?
っていうか論点がずれてるのか? え、どういうこと?
ええい! こうなれば絶対否定的なことを言うやつに聞いてみよう。意外と話はしてくれるから、教えてくれるかも!!
「幸香はどうなんだ!? っていうかどこがずれてるんだ!?」
『そもそも妾からすれば、着眼点が二重でズレておるのだ。曹操のいう「ちっぽけな人間」がどういう意味かすら理解しておらんぞ』
そうなのか!
『曹操がちっぽけな人間というのは、いわば種族的な性能差のことを言うのだ』
しゅ、種族的な性能?
『まぁ現実問題、人体という生物として柔軟性に特化した構造は、強靭さにおいて野生動物に殆どの面で劣っておる。付け加えれば、そういった人体構造を持つ生物において、異形は人間の完全上位互換と言っても過言ではない。……悪魔と人間の各種性能差を考えるがよい』
あきれ顔で言われるけど、そういうことなのか?
う~ん。なんかピンとこない。
だって曹操、めちゃくちゃ強いじゃん。純血悪魔のリアス相手に、あっさり無力化できたるするじゃん。
そんな奴が人間だからちっぽけって言われても、さっぱり分からねえ。
『あとまぁ、私的なもう一つのズレを言わせてもらうがのぉ? ……説明に必要なので、世界地図を探してくるか』
あ、そこまで話すのか?
まぁ聞くだけ聞いてみるかと思っていると、ストラーダ猊下が何時の間にか大きめの地球儀を持ってきていた。
「これはどうかね? 平面にしたものが必要だというのなら無理だろうが……」
『いや、構わぬ。むしろそちらにある方が説明がたやすいな。感謝しよう』
あ、地球儀でもいいのか。
で、地球儀が俺達の方にあると説明が楽なのか。あと地球儀で説明できる俺の勘違いとか、わけがわからん。
首を傾げていると、幸香は俺の方に視線を向けてから、地球儀に視線をずらす。
『質問に質問を返すようじゃが、必要なので聞くぞ? ……おぬしは例えばマジックペンなどで、その地球儀に己の姿を縮尺に合わせて描けるか?』
……何言ってんの?
「無理に決まってんだろ」
『そう無理だ。貴様はもちろん妾だろうと曹操だろうと、それこそリアス・グレモリーやヴァスコ・ストラーダ、当然だがフロンズを書き込むこともできん』
なんか当たり前のことを訳が分からない形で言いながら、幸香はうんうんと頷いている。
『無論じゃが、グレートレッドも書けんだろうな。妾達が乗っているネオ・マケドニアすら、米に熟語を書けるような手合いでも難しかろう。……それがもう一つのズレじゃ』
……さっぱり分からん。
分からないからこそ、幸香の言い分をとりあえず聞こう。
真っ直ぐに幸香を見ていると、幸香もうんうんと頷いた。
『地球という星、そしてそれを含めた異形の生息域から比してみれば、あらゆるものが小さいものだ。ましてこの世界を内包する広大な宇宙はおろか、乳神によって異世界という幅が判明した以上なおさらであろう。……妾達はすべからく、ちっぽけな存在でしかないのだよ』
そう語る幸香は、うずうずしている笑みを浮かべて俺達を見据える。
『故に、妾は曹操とは違う意味で、自らが小さい人間であることを認めよう。……だからこそ、挑むのだ』
幸香は胸を張って、そう言った。
『この無限と形容できる広がりを持つ世界で、ちっぽけな砂粒にすぎぬだろうこの星の、砂粒一つとも形容できぬが我が身。そんな己が世界に版図を広げ、大いなる覇を描く』
誇り高く、誰が何と言おうとそれがいい。
きっとそこに、幸香の本質があるんだ。
そしてその本質を、
『まだ見ぬ
『……その辺にしてくれたまえ』
そこで、フロンズが幸香を止める。
『思想が相容れなかろうと、かみ合う部分で合わせることも肝要だ。我らは
そう言ったうえで、ただフロンズも小さく微笑みを浮かべていた。
『……まぁ、龍神を勢力で超える余地は目標にするべきが勢力だと思うがね? 出なければ対龍神をコンセプトに据えた
……本当に、あいつらとは相容れそうにないな。
俺もリアスもその辺を思っている。そしてシャルロットも似たような感想らしい。
「なるほど。ナポレオン辺りと気が合いそうですね……いえ、私は会ったことなどありませんが」
『まぁ、間違いなく覇道の権化だろうな。覇を克服し王道を行く相棒とは相容れまい』
ドライグまでそんなことを言う中、ストラーダ猊下は目を細めながらフロンズに視線を向けていた。
「そういえば、冥界政府は四大魔王という役職を指導者から外し、七つの大罪……いや、その前における八つの大罪と絡めた制度を設ける方針だとか。提唱者は大王派だったな」
そういえば、四大魔王制度ってそんな感じになっているんだっけか。
大王派がその辺りを主導していたとは聞いているけど、もしかしてフロンズ達が……?
ただ、フロンズは微笑みながらゆったりと頷いていた。
『色々とは考えていますね。とはいえ、人員は魔王派を多く選出する予定なのでご安心を』
そう言いながら、フロンズは魔法陣を展開すると十数人ぐらいいる顔写真を映し出す。
サーゼクス様達四大魔王の方々はいることから考えると、新制度における候補ってところか?
……いや、なんかタンニーンのおっさんやかのリュディガー・ローゼンクロイツさんまでいるんだけど。
「完全な他種族からの転生悪魔まで候補なのかしら? 一割ぐらいいるけれど」
リアスがそう言うけど、そんなにいるのかよ!?
『最低でも一名は入れる予定さ。旧八大罪には虚飾の大罪というものがある故、完全なる他種族からの者を据えるにはぴったりだろう?』
……皮肉が効いてるなぁ、おい。
『まぁ、先祖代々からの純血悪魔かつ大王派を一人は組み込みたいのでね。先にある程度妥協をして、ねじ込む余地を入れたいだけさ』
正直に言ってくれるよ。
間違いなく相容れない。だけど頼れる味方でもある。
本当に油断できない味方だよ。
油断してると、思いっきりむしり取られるのが分かり切ってやがる……っ
俺達がフロンズ達に対する警戒を強めた、その時だった。
『悪いが政治的な小競り合いはそこまでだ』
―ノア・ベリアルの声が聞こえてきた。
Other Side
その数分前、ノア・ベリアルはオペレーターの声を聴いていた。
「ノア様!?」
「どうした。事実だけを簡潔に述べろ」
そう指示をしながらも、内心である程度は悟っていた。
今回のクーデターがクリフォトによる干渉を受けて起きた部分がある以上、共倒れを狙える好機を逃すとも考えにくい。
リゼヴィム・リヴァン・ルシファーの子供じみた悪意も、ミザリ・ルシファーの異常な悲劇願望も、それを行う理由付けとしては納得できるからだ。
だが、事態はその程度では全く済まない。
「敵軍勢と思われる集団多数! ……過去のデータだけを考えても、禍の団とサウザンドフォースは確定です!」
その言葉で、既に更なる最悪を予期したノアはため息をつきたくなる。
マルチタスクで意識の数割を戦術プランの候補選定に回しながら、ノアは言うべきことを告げる。
「確定以外の敵勢力はどれだけある?」
「……最低でも、小規模勢力を含めて四勢力。仮説として大欲情教団らしい艦隊が確認されました」
それを聞いて、叫ばなかったノアは胆力がある方だろう。
発情と性欲を尊び、世界規模で被害を生んでいる大欲情教団。
たまたま神滅具保有者がいたことから、連鎖反応と独学で人工神器兵器を開発し実用化。一部に至っては兵藤一誠の乳技じみたことすら行える。出来の悪い悪夢が現実を犯しているようなものである。
ゆえに、ノアは瞬時に決断する。
「よし。全部隊に通達しろ―」
その指示がなされている間も、敵勢力はバチカンを目指し進軍する。
今ここに、バチカンの歴史は更なる空前の激戦を経験することになる。
このあたり、どちらかというまでもなく「視点が全く違う」ことに由来する価値観な気もしますね。
幸香のコンセプトは前にも書きましたが「悪いイスカンダル」というのもありますので、ちょっとイスカンダル寄りな価値観ですね。
スタンス的に「制覇する=格上を超える」といった感じです。
そしてここから、どんどん本番寄りになっていく予定です。