好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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聖教震撼編 第十一話 英雄談義(幸香編)

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 後継私掠船団が母艦、サンタマリア級0番艦「ネオ・マケドニア」のブリッジに、フロンズ・フィーニクスは待機していた。

 

 後継私掠船団は懲罰部隊であり、その性質もあって監視役の名目で乗り込んだようなものだ。実態としては同盟相手に等しい為、自由度を上げる為の行動に過ぎないが。

 

 そして事実上の大王派側の本部と化しているこの船は、内部に潜入しているD×Dメンバーと連携を行えるようにする為、地下道経由で通信を繋いでいる。

 

 なので通信を繋いでいたら、興味深い話が始まろうとしていた。

 

 既に作戦開始の為に必要なことは終えている。また現場での戦術的指揮はあくまでノアが行う為、フロンズはすることがないし幸香達もウォーミングアップ程度でしかない。要するにヒマになっている。

 

 そんなこともあったので、フロンズも幸香もかなり興味津々で映像の方に視線を向けている。

 

「……じゃ、俺はノアと通信ですり合わせやっとくわ」

 

 気を利かせたラカムに片手を上げて礼をしながら、二人は映像越しのストラーダ達に会釈を返した。

 

「通信越しに失礼するよ。一通りの準備は終わっている。あとはそちらの動き次第だ」

 

「手柄の上げ放題ともなれば是非もなし。勝利を奪い取るが為、(わらわ)達も大暴れするとしよう」

 

 グレモリー眷属側、厳密にはアーシア・アルジェントを除いた四人から呆れた視線が向けられるが、意に介する気は欠片もない。

 

 相容れないところが数多いのはもはや自明の理。作戦の足を引っ張らない範囲内の批判的対応はお互い様だ。それさえ弁えているならどうぞご自由に。

 

 その感性で、二人は七割観客気分で曹操の問いかけを待ち構えている。

 

 それに対し、曹操は軽く肩をすくめるとストラーダに向き直る。

 

 ストラーダも向き直ると、興味深そうな表情を浮かべていた。

 

『さて。貴殿は須弥山にて帝釈天の先兵となっていると聞く。異教の神がこの老骨に何を問いたいのかな?』

 

 ストラーダのその確認に、曹操は静かに首を横に振る。

 

『いや。これは俺の個人的な質問だ。そして、聖書の神に仕える枢機卿にではなく、現代の英雄に対する質問でもある』

 

 その返答に、ストラーダは一瞬だがきょとんとする。

 

 その間に曹操は少し言葉を選ぶように考えながら、放たれた言葉は簡潔だった。

 

『貴殿にとって英雄とは、いったい何だろうか?』

 

 ―フロンズ達は知るよしもないだろう。だがその質問は、曹操にとって命題といえるものだ。

 

 だからこそ、誰もがその問いが真剣であることだけは理解する。結論として、沈黙が響いていた。

 

 ある者は質問の意味を理解することができずに首を傾げる。またある者は質問の意図を理解して興味を沸かせる。

 

 そしてストラーダはあごに手をやりながら、微笑みを浮かべている。

 

『ふむ。中々に珍妙な問いをする若者だ』

 

 曹操は少し俯き、一瞬だが兵藤一誠の方に視線を向けてから、話を続ける。

 

『ちっぽけな人間として生まれながら、最強の神滅具というこの聖槍を宿し、また曹操という英雄の血を引くのが俺だ。いつしか俺は「英雄」という、大いなる化け物どもすら倒す人間の極みでいたいと思い生きてきた』

 

 そこまで語り、曹操はもう一度兵藤一誠を見て、また映像越しの九条・幸香・ディアドコイを見る。

 

『だが俺は彼に負け、俺の信じてきたものすべてを全否定された。……明確に否定したのは幸香だが、そのつもりがないだろう兵藤一誠に負けたこともまた、俺にとっては同じぐらい人生を見つめ直すきっかけだった』

 

 そういう意味では、今曹操は人生に迷っているともいえる。

 

 曹操にとって英雄派の活動は、ある種の自分探しの一環なのだろう。

 

 英雄の末裔という血筋を持ち、また聖槍というその領域に至る余地を与えられた。ある意味でお膳立てが整えられたようなものであり、それは物語の主人公が持つ来歴と力によくあるものだろう。

 

 だがその全てを打ち砕かれ、更に徹底的に酷評された。それが今、曹操にとって道標を奪われたに等しい状況に陥っている。

 

 そしてヴァスコ・ストラーダは、異形の世界において英雄といって過言ではない存在だ。

 

 だからこそ、曹操はこの機会に問いかけたい。

 

 どのような形であれ「英雄」を指標にしてきた男の目の前に、英雄と定義できる者がいる。敬意を向けれる先達がいるのなら、その教えを授かりたいと思うのは十二分に考えられることだった。

 

 そしてストラーダは、その悩みを聞いたうえで微笑んだ。

 

『フフフ……失敬。だがあまりに若い、赤ん坊のような有様なのでね』

 

 彼を見る誰もが怪訝な表情を浮かべる中、ストラーダは曹操をぐずる駄々っ子を見るような表情で見つめていた。

 

『英雄を目指すなどと、それこそが考え違いも甚だしい。英雄を決めるのは己ではない。力を持たず力に焦がれる民達が、英雄を求め選定するのだ』

 

 そう告げ、そしてストラーダは曹操だけでなく幸香にも向け、真っ向から問い質す言葉を選択する。

 

『そこにいる後継覇王(アレキサンダー)を名乗る者にも含めて聞こう。貴殿らは民に(かつ)がれて英雄を演じようと決めたのかね?』

 

 その真っ向からの言葉に、しかし通信越しの返答は即座だった。

 

「笑止。夢とは己の意思で選び掴み取り()()()()()。他者のお膳立てで演じる許可をもらうなど、愚かな道化にすぎん」

 

 一切の躊躇いも気負いも幸香にはない。呆れ顔でこそあれ、正しく自然体の発言だった。

 

 彼女にとってそれは当たり前のことであり、殊更深く考えるようなことですらない。ゆえにその発言には悪意も敵意もない。挑発でもなければ罵倒でもない、本能の域に達する返答だった。

 

 感情が荒立つことすらない。むしろある意味で予想していた答えだったのか、失望や苛立ちといった感情すら見えない反応だった。

 

 ストラーダもまた、感情を荒立てることはない。

 

 首を横に振りながら、諭すように幸香を含めて曹操に告げるだけだ。

 

『求められもせず自ら名乗る英雄などただの遊戯、ごっこ遊びでしかない。だからこそ、そこの赤龍帝ボーイのようにがむしゃらに己の道を行く者に負けたのだろう。……後継覇王よ、貴殿もそうではないのかね?』

 

「あいにく、ボケ防止のレクリエーションをするほど老いる気はない。華々しく豪遊して早逝する為に知見を広め熟考する主義でな。妾は道化を見事に演じるより、財宝(手柄)と共に凱旋して衆愚を沸かせる主義じゃ」

 

 さらりと返答する幸香は、頬杖を突きながらストラーダに視線を向ける。

 

 その視線は負の感情は見当たらない。呆れの類はあるが、反発するような怒りを感じていないのが明らかだ。

 

「まぁ、この状況下で意味もなく論戦をして敵を増やすほど愚かではないよ。懲罰部隊に属する以上、その程度の配慮はする……が」

 

 そこまで前置きしてから、幸香は鋭い視線をしっかりと向け―

 

「……やめておこう。これ以上は連携が崩れかねん」

 

契約者(クライアント)に対する配慮ができて助かるよ」

 

 ―茶化すような視線を向けた幸香は、フロンズからため息を引き出していた。

 

 フロンズは心底からため息をついていたが、しかしすぐに持ち直した。

 

「まぁ、正義であることを示すべき教会が称える英雄が、後継私掠船団(彼女ら)と合致するわけがないのでな。大義名分(正義)を用意することまで契約のうちなので、分かり切った不倶戴天を顕わにしないでくれたまえ」

 

「はっはっは。悪い悪い。……ならば、最後に一つ質問を」

 

 ……その幸香の返しに、リアス・グレモリー達は多少なりとも付き合いのあるフロンズから初めての表情を見ることになる。

 

 その心からの「勘弁してくれ」といわんばかりの表情は、彼女達から幸香に対する否定的な発言を出す機会すら奪っていた。それほどまでにフロンズが感情的な表情を浮かべていたのだ。

 

 幸香もそれに気づくと、流石に少し気づかわしげな表情をしながら手を横に振る。

 

「違う違う。本当に理解できなさすぎることがあるので聞くだけじゃ。悪意も敵意も、何より批判的な感情も籠っておらぬから勘弁してくれ」

 

「………内容次第ではそれなりの罰則を用意するぞ?」

 

 確認するようなフロンズの視線に、幸香は笑顔で頷いた。

 

 そしてそれほどまでの自信を持つ、正真正銘のただの疑問。

 

 それは―

 

「……曹操を肯定する論調で曹操を否定する言いぐさなのは、なんでじゃ?」

 

 ―あまりに意味不明すぎる言いぐさに、ストラーダすら首を傾げた。

 

『……意図を伺ってよいだろうか?』

 

「意味不明な挑発はよしてくれないか?」

 

 ストラーダとフロンズの双方から問い質されるが、幸香はきょとんと首傾げる。

 

 その態度が、本心からの疑問であることを如実に物語る。だからこそ、発言の意図が理解できず誰もが首を傾げる。

 

 そして質問の意図が理解されてないことに、幸香が理解できず更に困惑する。

 

 とはいえ、無駄に時間を浪費する必要ないと判断した幸香が説明を試みるのに時間はかからなかった。

 

「意図も何も、英雄が誰かに担がれることが大前提だと言ったのは貴殿ではないか。ならば曹操は禍の団(カオス・ブリゲート)の頃から英雄そのものであろう」

 

 その言葉にフロンズすら理解が追い付いていない中、幸香は当たり前のことを当たり前に言ってるかのように続けていく。

 

 まったくもって嘘偽りなどない、心の底から当然だというべき流れで、彼女は己の心からの言葉を紡いでいく。

 

「英雄であることを多くの者から求められることが英雄を英雄たらしめる。貴殿の言い分を妾なりに解釈すれば、当然の帰結として曹操は英雄であろう? でなければ、曹操は英雄派など作れておらぬわ」

 

 その言葉に、小さく微笑みながら頷く者が一人いた。

 

 サイリン・アマゴ・ドゥルヨーダナ。英雄派サブリーダーの一人だった彼女は、得心したように頷いた。

 

『そういう見方は確かにあるわね。何故なら、私もジークもゲオルグもヘラクレスもジャンヌも、コンラ達英雄派に自ら属する者達、全員にとって曹操こそ英雄としての先を行く者だわ』

 

 そう語るサイリンに、何故か鹿之助は満足そうに頷いた。

 

『確かに正論ですな。拙者が生きた戦国の世からすれば、曹操達のような志を持ち英雄となった者などいくらでもいる者でござる』

 

 その二人の反応に、幸香は茶化すように曹操を見る。

 

「妾は貴様を英雄として見てはおらぬが、どうやら英雄であることを保証する者は数多そうじゃな。そんなヴァスコ・ストラーダ(大衆の従僕)などより、サイリンや鹿之助(夢を追う者達)の言葉こそを尊んだ方が良いのではないか?」

 

「幸香。無自覚だろうがストラーダ殿に毒を吐くのはやめてくれ」

 

 フロンズがそう嗜める中、画像の中の曹操は、少しと言わずどこまでも戸惑っていた。

 

『俺が、既に英雄……? まだまだちっぽけな人間だと、自分でも自覚しているんだが……』

 

 戸惑う曹操に対し幸香は軽くため息をついた。

 

「個人的な意見じゃが、かつては上司とした縁から再度告げておこう」

 

 そう前置きし、幸香は曹操相手に威風堂々とした態度をとる。

 

英雄とは種族でも一族でも品種でもない

 

 かつて告げた言葉を、後継覇王(アレキサンダー)は再び告げる。

 

 かつて曹操を見限り、切り捨てるようにしたその言葉に幸香は続きをつける。

 

「少なくとも、ヴァスコ・ストラーダ(その男)はそれに続きをいえる者じゃ。そしてその言葉に続きを言える……もしくは反論を堂々と返せる者にとって、英雄とは生涯変わらず()()なのだ

 

 それこそが、九条・幸香・ディアドコイが示す心からの言葉。

 

 英雄。その憧憬を覚える単語に対する、一つの明確な形そのもの。

 

「曹操。妾やヴァスコ・ストラーダ、そして兵藤一誠に向き合うのならまずはそれを持つがよい。さすれば聖書の神の意志は、誰が相手であろうと覇輝の無駄うちだけはせんだろうよ」

 

 その幸香の言葉に、ストラーダは苦笑を浮かべている。

 

『……流石にそれには賛同できないが、そこまで定めているのなら、説教に意味はない。貴殿はただ我武者羅に生きる赤龍帝ボーイに負けたとして、その在り方を変えぬだろうしな、後継覇王(アレキサンダー)よ』

 

「至極当然。勝利を掴むその為に、考え抜いて鍛え上げかき集めて、それでも敗北するというなら。是非もなくただ死ぬのみよ! 敗北に立ち向かわぬ愚図など、負け犬にすら届かぬからなぁ?」

 

 胸を張って笑みすら浮かべるその言葉に、ストラーダはただ苦笑する。

 

 そしてそのうえで、二人の視線は曹操へと向けられる。

 

『英雄とはただがむしゃらに生きた者に、後から付けられる褒賞のようなものだ。だからこそ、ただがむしゃらに己の道を生きた赤龍帝ボーイは貴殿を下したのだよ』

 

「妾はむしろ逆だがなぁ? 英雄()を本気で目指すというなら、どうすれば叶うかをまず思慮せよ。そこを考えないからただがむしゃらに生きるような手合いに後れを取るのじゃ」

 

 正反対の価値観に基づく言葉に、フロンズは曹操が戸惑っていることを理解する。そしてその流れで、フロンズはストラーダの曹操評を思い出した。

 

 赤ん坊のようだと、そのようなことを言っていたはずだ。そして今の曹操の姿は、そう形容するに相応しい。

 

 そういう意味では二人や自分は真逆だろう。人生のいくつもの経験や価値観から、ある意味で完成されたそれを持っている。少なくとも二人はそうだからこそ、お互いに感情を荒立てることなく正反対の価値観を言い合えるのだ。

 

 それに対して、曹操は全く持って未完成なのだ。だからこそ英雄というものについて深く考えることなく、幸香やストラーダにとって思い違いというほかない思考に留まり、言い返すことも受け流すこともできていない。

 

 こうして思えば、禍の団の盟主とは総じてそうなのかもしれない。

 

 純真無垢な子供同然だった、象徴のオーフィス。実力差を考えない子供じみた癇癪をぶつけてたといえる、旧魔王派のシャルバ。当人がいい年で中二病をこじらせているというほど幼稚といえる悪意で動く、クリフォトのリゼヴィム。

 

 ならば、英雄派の曹操もまたそうなのだろう。むしろ本当に外見相当の年齢である以上、その幼さはウロボロスのリリスに次ぐのかもしれない。

 

 そんな考察をしていると、曹操は非常に困り顔というべき苦笑いを浮かべている。

 

『まったく……ちっぽけな人間には難しい話だね』

 

 その返答に、しかし首を傾げる者がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『いや、お前全然ちっぽけでもなんでもねえだろ?』

 

 




 個人的に曹操は、ヴァーリより好みのキャラクターです。なのでヴァーリを無意味にSAGEる気はないですが、何かしらで超えさせたいところ。

 具体的にはエタったD×D×Rでは、第一部の最終決戦はリゼヴィムが至った極晃星にイッセーと曹操がそれぞれ極晃星に至って決着をつける……というプロットでした。

 まぁ今回はそこまでする気は今のところないですが、その観点から原作以上の成長を遂げさせるのなら、精神的な刺激は必須と考えてこうやってみました。

 幸香の観点は割と最近になってふと思ったものでして、幸香のポジションでもないといえないと判断しました。脳内プロットですがサンシャワーは別の意味でややこしいことになる予定なので、原作でのイッセーの語りも先にぶっこもうとおもい、そのタイミングで切りました。

 ……というわけで、次はイッセー視点です。
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