好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 ……本当は土日は人が来ないので控えめにするつもりだったけど、思った以上に書き溜めが増えるのでガス抜きのかねて投稿です。


聖教震撼編 第十八話 思慮する者たち(後編)

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……う~ん。なんか乗せられてる感?」

 

 首を傾げながら器用にサリュートⅡを蹴り砕いたリヴァは、再び首を傾げて考え込む。

 

 それと同時に地脈を利用する大地の砲台を作っての、対空砲撃が邪龍達を次々と撃ち落としていく。

 

 集中が明らかに散漫だというのにこの戦果。彼女が主神の娘に見合った性能を持ち、それに恥じない技量を鍛え上げていることの証明である。

 

 が、見ている方が気が気が出なくなるのも事実だ。

 

「お前もうちょっと戦闘に集中しろよな!? こっちの気が散るっての!!」

 

 思わず絶叫するベルナだが、こちらはこちらで敵を薙ぎ払っている。

 

 継続的に強度を獲得できる、氷塊による遠距離戦闘。瞬発的にそれ以上の攻撃力を出せる、水流による近距離戦闘。更に水蒸気による高速移動が、間合いの主導権を握っている。

 

 遊撃として十分すぎる制圧力を発揮するベルナもまた、D×Dメンバーを名乗るに相応しいだけの力を発揮していた。

 

 更に遠隔地の邪龍を撃破していた春奈とインガも戻ってきて、これまた不安げな表情を見せる。

 

「酷い乱戦になってきたわね。ヴィール様達が出てくるような事態じゃなくてちょっとだけ安心だわ」

 

「和地君達のチーム、連絡も取れなくなってるみたい。いつものことだけどまた大変なことになってるよね」

 

 双方ともに健在ゆえの、若干余裕が見える口調。彼女達がもれなく実力と経験を持っていることの証明といえる。

 

 そのうえで、リヴァは怪訝な表情を浮かべながらヴァチカンの方に視線を向ける。

 

 ……きっちり迎撃は果たしながらなのは安心だが、だからこそ不安を覚える対応だ。

 

「あの、リヴァ? 何がそんなに気になるの?」

 

 襲い掛かる量産型邪龍を素早く突き穿ちながら、インガが代表する形で質問する。

 

 普段から余裕を忘れないリヴァが、あまりに意識をヴァチカンの方に割かれすぎている。不安を覚えるには十分すぎる態度だ。

 

 インガがその辺りを深く聞こうとするのも当然だろう。逆に自分達の集中力も割かれてしまう。実際、ベルナや春奈も若干気にしている。

 

 それをリヴァも悟り、少し息を吐いた。

 

「……なんていうかね? 戦略的に相手の思惑に乗せられてる感じがするというか、今のところ手の平の上から出てないって感じ?」

 

「ここまでいろんな勢力が入り乱れてんのに?」

 

 リヴァの言葉に春奈が首を傾げるのも無理はない。

 

 神聖糾弾同盟(ネオ・ディバインクルセイダーズ)を巡る争いは、もはや多重事故の様相を見せている。あらゆる勢力が入り乱れすぎて、乱戦という言葉すら控えめな表現。しいて言うならば混沌そのものだ。

 

 思惑通りに動ける勢力がいるわけがない。そう思えるほどの、混迷としている状況ともいえる。

 

 しかし、リヴァは長年を生きていた直感と経験則から、懸念を拭い去ることをしていなかった。

 

「……というより、思惑を揺るがすような事態になってない的な? 余裕って感じがかなりあるのよねぇ」

 

 その言葉に、それを聞いている者達が不安と寒気を覚えている。

 

 もはやこれだけの情勢下では、神聖糾弾同盟は近日中に壊滅する。それは決定事項と言っても過言ではない。加えて聖書の神が関与する余地もない壊滅である以上、それが既に不可能であることを差し引いても、戦略的な勝利は不可能である。

 

 にも関わらず、部隊を動かしている統括者といった視点から焦りを感じない。

 

 ……そう、これはしいて言うならば―

 

「絶対何かを読み違えてるわね。それも、冗談抜きで致命的レベルの」

 

 ―決定的な戦略ミス。もしくは相手にとっての好都合が成立している。

 

 その根拠を感じない確信に、リヴァは睨むような視線をバチカンに向けてしまう。

 

 かつてのローマ教皇、ウルバヌス二世。十字軍遠征という、教会史でも類を見ない軍事活動を引き起こし、財力や王権による腐敗や外部干渉を乗り越えた、有数の傑物。

 

 英雄派とは別の意味で人間から生まれた才覚。それに対して油断をしたつもりはない。

 

 だが同時に、それでもなお足りない危険性を察し、リヴァは内部に突入した仲間達を心配し始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リヴァが直感的に悟っていた懸念を、同じように悟っている者は少なからずいる。

 

 神聖糾弾同盟の戦術から懸念を覚えたノアのように、形は違えど違和感を覚える者は少なくないのだ。

 

 そして後継私掠船団(ディアドコイ・プライベーティア)にも、同様に懸念を覚える者はいた。

 

「……どうした?」

 

「ん~? なんかバーニングしてねぇっつーか、妙にファイヤーじゃねえ奴らが集まってるんだよなぁ?」

 

 ただし気づいたのは、奥羽・煙霞・ヘラストラトスだったが。

 

 超越神焼(オーバーヘラストロテス)を二つ名とする彼は、全身から放つ炎を利用したホバー走行で、敵の目前に迫りながら攻撃を回避し続ける。……動作が一々ロボットダンスであり、移動においても急加速急制動でそれっぽくしている神経を逆なでする回避だが。

 

 意図的に凄まじい挑発を駆けながらのこの攪乱行動は、当然だがヘイトコントロールという点で凄まじい成果を上げている。

 

 戦場でロボットダンスというのが時点で意味不明で、それを目の前に急に表れてやるのがまず苛立つ。無駄に上手なのが更にストレスを底上げし、攻防のタイミングで邪魔するように見せてくるから更に倍増。とどめに隙あらば似非ラップが飛んでくる為、単純に殺意がわく。

 

 そんなわけで敵は半分一時休戦で奥羽を狙うが、器用に回避してくる所為で更に頭に血が上る悪循環。結果としてブレイ・マサムネ・サーベラが器用に何本も得物を切り替えながら切り捨てるという、試し切り相手になってしまっている。気が付くと全身が燃え出して倒れる者まで出てきており、この困惑が更に激昂を助長させる始末だった。

 

 そのうえで、真っ先に違和感に気づいたのが奥羽であることそのものが、彼がまごうことなく傑物であることを示している。

 

 既に一通りの敵を片付け、一息入れることが可能な状況下。交代要員として手柄を挙げに出陣する者達を見送ってからのその言葉に、ブレイは首を傾げていた。

 

「……要約してくれ。俺は本質的に刀匠なんで、細かい機微は分からん」

 

「簡単に言うとだ。士気にムラがあるし、何故か部隊の装備も違うって感じだな」

 

 ブレイの注文に、奥羽は分かりやすく普通に答えてくれる。

 

 そしてそれによって、ブレイも何かがあるということをすぐに悟った。

 

 もとより能力の都合上、魔剣を鍛える際に役に立つ為、ブレイは比較的奥羽と付き合いがある。

 

 加えて、後継私掠船団筆頭戦力でもあることから、その性質は共鳴の部類に近い。ある種の阿吽の呼吸がそこにある。

 

 必然として、十分警戒するべき違和感であることをすぐにブレイは理解した。

 

「……練度や任務ではなく、士気だけなのか?」

 

「八割ってところだな。……士気が微妙な連中達は、実力に関わらずプログライズキーを使ってねえ。あと引き籠ってる感じがするぜ?」

 

 奥羽にそう言い直されて、ブレイも少し思い返す。

 

 ……そして、その一点を理解した。

 

「言われてみれば、プログライズキーを使用している連中は攻性だが、そうでない連中は籠城戦に近いな」

 

 例えるなら、戦術の違いだ。

 

 独自開発のプログライズキーを使用している者達は、練度や統率の差に関係なく堂々と姿を現して戦闘を行っている。

 

 死を恐れてないというのは宗教系の大ごとでよくあるが、プログライズキーそのものが戦闘動作の支援を行っている所為か、割と敵として厄介ではある。

 

 反面プログライズキーを使用していない者は、集団で籠っている傾向がある。

 

 建築物を異能で要塞化し、そこに籠っての籠城戦。例え優勢であっても外に出ることは基本的になく、接近戦闘型も内部に入った相手の迎撃に徹している。いうなれば、そこを守ることが第一で、味方の支援が二番目で、能動的な攻撃は最後に回されている。

 

 そこまで理解して、ブレイは当然首を傾げる。

 

 何かがちぐはぐとしか言いようがない。言われて初めて気が付いたが、敵全体の統率の取れた動きと戦術的行動に比べて、妙なちぐはぐが生まれている。

 

「……どうやらこの戦い、何かしら二転三転しそうだな」

 

「確かにな! バーニングにとんでもないことが起こりそうだぜ!」

 

 何かが潜んでいるというのなら、是非もなし。

 

 引き際を見誤らない範囲で首元に牙を打ち立て、そして食いちぎるのみ。

 

 素早く上に情報を伝達するという基本をしっかりこなしつつ、二人は意識を切り替えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 激戦が続く中、当然だが違和感に感づく者は増えていく。

 

 その中に禍の団の者が出てくるのも、ある意味で自明ではあった。

 

「……おいおい。なんかおかしな動きじゃねえか?」

 

 前線での指揮を担当する、オイケス・ハンもその一人だ。

 

 既に敵を薙ぎ払っているが、その違和感に気づいたがゆえに舌打ちを漏らす。

 

 内通者を経由して内部で攪乱を行うはずの、モデルバレット達と通信が途絶していることも、その違和感が警戒に代わる理由の一つだ。

 

 普通に考えれば、気づかれて戦闘中なのだろう。だが通信が完璧に途絶されているのなら、神聖糾弾同盟は待ち構えている形で動いているのだろう。にしては、外周部の戦闘においてちぐはぐな印象を感じるのが違和感しかない。

 

 練度において限度はあるだろうが、クーデター部隊援護における対応力から言って、どうもブレが大きい。意図的に連携に縛りを入れている印象がある。出なければ、いくら様々な勢力が入り乱れているとはいえ、外周からの敵を防衛するだけの対応にここまで乱れるとは思えない。

 

 侵入した部隊に見事な対応をしておきながら、外周の迎撃に違和感が酷い。この時点で、オイケスは内部への進軍を避ける方向にかじを切っていた。

 

「よっしお前らぁ! 略奪対象は神聖糾弾同盟じゃねえ、それ以外の連中に的を絞りなぁ! 思う存分奪いまくるぜぇっ!!」

 

『『『『『『『『『『うっす!』』』』』』』』』』』

 

 威勢の良い返事に満足げに頷きながら、オイケスは乗艦を指揮する船長にも指示を出す。

 

「内部に入ることはしなくていい。あとアルバートからは「壊れてもまぁいい程度の量だから」って言われてる、マクロサリュートを対艦戦闘に投入しろ。派手に引っ掻き回して略奪しやすくしようぜ?」

 

「了解でさぁ、団長! 野郎ども、マクロサリュートに指示を出しな!」

 

『『『『『『『『『『へぃ!』』』』』』』』』』

 

 混沌回帰連隊(ケイオス・フォース)の本質は、「必要なものを敵から略奪できる古き良き世界の奪還」である。

 

 性質上、現在の国際社会はあり方からして相容れない。その性質上、バチカンが破壊されて混沌に包まれるのはありがたい。

 

 だが同時に、彼らは略奪と蹂躙を楽しむ者達だ。貧乏くじを他者に押し付け、自分達の都合のいい展開の為に楽しむことを望む生粋の悪党達である。

 

 ゆえに、明らかに得体が知れない状況に手を出すような無謀は侵さない。遠目で見ればただの愚行であっても、当人なりに考えているつもりの連中である。そして、オイケス達はある程度は考えられるからこその派閥化が起きた組織なのだ。

 

 ゆえに、彼らもまた独自に暗躍する。

 




 といった感じで、頭の回る連中は違和感にどんどん気づいています。



 ……え? ヘラストロテスやオイケスが頭回るのが意外? あいつら、意外と頭遣って行動してるんですよこれが。オイケスは仮にも派閥の長なので、むしろ頭遣わないとやってられないし。

 ヘラストロテスに関しては、アザゼル杯編当たりでそこについて明かします。ですが考えてみてください。

 即興ラップなんて、頭悪い奴ができると思いますか?
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