好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 さぁ、どんどん事態はハラハラしそうな展開に!!


聖教震撼編 第二十二話 大いなる不穏

和地Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 既に外でも戦闘が起きているようだな。

 

 俺は周囲を警戒しながら、俺達を囲む連中を警戒する。

 

 ……手に持っている得物はなんだ? デュランダルに似通っている物もあれば、ヘキサカリバーほどではないがエクスカリバーに近い物もある。

 

 しかも天草四郎を連れてウルバヌス二世が乗り込んできただと? 控えめに言ってどういう展開だよ。

 

 俺達が警戒しながら構えていると、ウルバヌス二世は微笑みすら浮かべながら、軽く両手を広げて見せる。

 

「安心したまえ。このまま帰るなり何もしないでくれるというのなら、我々から何かをするつもりはない」

 

「それを信用するとでも?」

 

 俺が代表してそうぶった切る。

 

 ここまでの事態を引き起こしておきながら、そんな信用ができるような連中とは思えない。というより、侵入して外側と挟撃して自分達を潰そうとしている連中を、捕縛もしないとは考えづらい。しかも非常時だし。

 

 だから俺達はもちろん、デュナミス聖騎士団のメンバーも警戒している。

 

 それに対し、ウルバヌス二世達は苦笑すらしている。

 

 嘲笑の雰囲気はない。しいて言うなら、「まぁ仕方ないか」とかそんな感じだ。

 

 ……不気味だ。何か凄まじい違和感と、気づかなければならない不穏な雰囲気を痛感している。

 

 寒気すら覚えそうになるなか、ウルバヌス二世は表情を少し変えた。

 

「ならこうしよう。これから念の為に質問をするから、その返答の対価とでも思ってくれればいい」

 

 だからそれをどう信じろと―

 

我らが主は、既に亡くなられているのかね?

 

 ―反論する余裕もない。

 

 その余裕がなくなるぐらい、俺達は戦慄を覚えていた。

 

 ウルバヌス二世の表情には真剣みがある。冗談で言っているつもりはないだろうし、そもそも仮にも教皇が冗談で言えることではない。そして、周囲もその質問に動揺をしていない。

 

 なるほど。どうやら本当に直属かつ信頼における者達を連れて来ているらしい。少なくとも、こんな教皇が言ったら暴動が起きかねない質問をすると、想定することができるほど腹を割っている連中だということか。

 

 俺達は答えない。こういう時真っ先に動揺するだろう、鶴羽ですら答えない。

 

 その沈黙が数秒続いた時、ウルバヌス二世は頷いた。

 

「なるほど。もう答える必要はないよ」

 

「……お戯れにもほどがありますよ、元教皇聖下!」

 

 二世のその返答で我に返ったのか、ルーシアは泡すらまき散らす勢いで大声を張り上げる。

 

「仮にも現世における主の代行、ローマ教皇の座に就いたほどのお方がそのようなことを! 冗談でも口にしていいことでは―」

 

「―確証はないが、十中八九死んでいると思ったから確認したのだよ」

 

 反論をスマートに切り捨てるように、ウルバヌス二世はルーシアを遮ってそう答える。

 

 そして、その言葉に俺は寒気を嫌というほど感じていた。

 

 何かがおかしい。何かが決定的にかみ合ってない。

 

 俺達は、何か決定的な読み違えをしているんじゃないのか。そういう予感が止まらない。

 

 その嫌な予感が俺の行動を抑制する中、ウルバヌス二世は指を一本立てる。

 

「一つ。駒王会談において天界から出席なされたのは、主ではなくミカエル様であったという情報」

 

 そう前置きしたウルバヌス二世は、苦笑すら浮かべている。

 

「堕天使側からは総督自ら。悪魔側も襲名した別人とはいえ、ルシファーとレヴィアタンの魔王二人が参加し、三大勢力の和平という驚天動地といえることを成す会談だ。結ぶにしても天使の長であるミカエル様では、本来つり合いがとれぬだろう? 主が直接出向かなかった理由を考えてまず行き着いたのがこの仮説」

 

 やばい。この爺さん、理論的に聖書の神が死んだことを確信している。

 

 俺がそれを悟った時には、ウルバヌス二世は指をもう一本立てていた。

 

「二つ目。聖と魔の融合という本来ありえないだろう奇跡を成し遂げた聖魔剣の存在」

 

 そう告げたウルバヌス二世は、一本の剣を取り出して俺達に見せる。

 

 あ、量産型の聖魔剣だ。教会にもあったのか。

 

神滅具(ロンギヌス)クラスの禁手(バランス・ブレイカー)ならともかく、中堅どころで可能になるうえ、こうしてそれに頼らない量産ラインすら確立した。……これはもう、聖と魔のバランスが大きく崩れて混沌と化してなければ困難だろう。魔の頂点たる初代魔王だけでなく、聖の頂点たる主もまた滅びる形でなければ、きっかけとはなりえんさ」

 

 そういえば、バルパーの奴も聖魔剣を見て聖書の神が死んでいる可能性に思い至ったしな。そういう意味では至れる奴がいても不思議ではない。

 

「そして三つ目。……各勢力の和平が進み、オーディン、ゼウス、インドラといった主神達が続々姿を見せている現状

 

 ……それに関してはちょっと分からないんだが。

 

 俺がちょっと首を傾げたくなると、ウルバヌス二世は小さく苦笑した。

 

「これだけ数多くの神話体系で主神が姿を見せているんだ。聖書側も唯一神を表に出さなければいけないだろう。心理的に不満も生まれるし、空気が読めなさすぎだろう?

 

 そう、納得できるだけの言い分を告げたうえで、ウルバヌス二世は少し悲し気な表情を浮かべていた。

 

 それこそが彼が敬虔な信徒である証明であり、同時に彼が()()を確信している証拠だった。

 

「にも関わらず、今に至るまで主は姿を見せようともしない。ならば、そもそもできない理由があると考えるべきではないかね?」

 

 正論すぎる。反論もできない。

 

 例えるなら、日本でいくつもイベントがある時、アメリカやロシアのトップが日本の会場に姿を現しているといった形だ。そこに総理大臣がいなければそりゃ不可思議だ。

 

 だが既に死んでいるのなら、出てこれないから仕方がないともとれる。

 

 ……駄目だ。完全にバレてる。

 

 いや、それにしたっておかしいだろそれ。

 

「……どういうことですかな?」

 

 ストラス聖騎士団長もまた、それに気づいているらしい。

 

 いぶかしげにしながら、真っ直ぐにウルバヌス二世を見据えていた。

 

「予想が既に出来ているのなら、そもそもなんで主が直接裁きを下すことを()()のですか?

 

 そう、そこが明らかにおかしい。

 

 神聖糾弾同盟は、急に和平に方針転換しそれを急激に進めていることに耐えられなかった者たちが、「せめて神罰を受けて地獄に落ちたい」という目的の元集まっている組織だ。

 

 今の今まで正しいと言われてきたやり方を一気に変えろと言われて納得できず、地獄に落ちてでも主の意志を体感したい。それに関しては、そこまで追い詰められているのだとすれば理解はできる。

 

 だがそれは、聖書の神が生きているという大前提のもと行う行動だ。少なくとも、指導者達が聖書の神が死んでいることを知っているうえで行うわけがない。できないと分かっていることを要求する必要性がない。

 

 最初から交渉するつもりがない、交渉の余地があると思わせる為だけならいい。だが神聖糾弾同盟は、要求そのものが目的だ。聖書の神が生きている前提で要求を行い、それを受ける為に武力蜂起している。

 

 ましてやその方向でまとめ上げた、トップ中のトップがウルバヌス二世。この男は、聖書の神が死んでいる前提で動いているはずがないのだ。

 

 ……その大前提が、ここに来て一気に覆った。

 

 リュシオンですら手を出しあぐねている。俺ももちろん、手を出したくても出せない状態になっていると思っている。

 

 何かが決定的に食い違っている。

 

 俺達はウルバヌス二世を読み違えている。決定的な何かがずれた認識で立ち回っていた。そして、その何かを読み切れていない。

 

 俺達はその寒気ゆえに、いやでも膠着状態に陥ってしまっていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……乙女ねぇ?」

 

 目の前にいる女性を、カズヒはよく知っている。何より隣で犯されているのだから尚更だ。

 

 だが、カズヒはそれが信じられなかった。

 

 今まさに男達に犯される乙女とうり二つの少女。

 

 外見だけでなく声質まで同じのその存在を見て、カズヒは一瞬だが確実に凍り付いた。

 

 だからこそその意志力はすぐに理性を動かし、目の前の女を本能的に解析させる。

 

 結論として、五秒ほどの時間でカズヒはあることを理解した。

 

「……いえ、乙女ねぇじゃないわね?」

 

 外観も声質も同じだが、それ以外が決定的に異なっている。

 

 乙女に乗り移っている誰か、ではない。正しく言うなら、道間乙女の外観を模した別人というべきだろう。

 

 そしてそこに思うところはあるが、それをあえて出す気もカズヒにはなかった。

 

 相手からは敵意の類を感じない。おそらくだが、意図的なものでもないのだろう。そういった、そうあるべくして存在している不思議な雰囲気を感じている。

 

 少なくとも、邪悪な存在ではないと考えるべきか。

 

「それで、貴女は何者かしら?」

 

 話を進めるべく尋ねれば、乙女の外観をとった存在は恭しい一礼をとる。

 

「私はベアトリーチェ。貴方の旅路を導き、そして淑女まで連れていく存在です」

 

 その言葉に、カズヒはすんなり理解した。

 

 神曲。ダンテ・アルギリエーリの代表作。旅人ダンテが放浪の果てに死後世界に迷い込み、かつて出会ったベアトリーチェという女性や彼女に頼まれた賢者ヴェルギリウスに導かれて死後世界を巡る。そういった物語だったと記憶している。

 

 そしてこの空間は、サーヴァントであるダンテの宝具でもある固有結界。神曲を核として対象の心象を具現化する対心宝具。

 

 となれば、神曲になぞらえて導き手が出てくることは当然といえば当然だろう。

 

 そのあたりの知識まではインプットされなかったのが気にはなる。だが敵が仕掛けた手札である以上、すべてを開示するわけではないなら。これは失敗すると地獄に落ちる類のトラップもあると踏まえるべきだろう。

 

 そこまで理解したカズヒは、軽くため息を吐きながらベアトリーチェに手を差し出す。

 

 それに対してベアトリーチェはきょとんとするが、カズヒは一応苦笑した。

 

「ヴェルギリウスを飛ばしてベアトリーチェっていうのは気になるけれど、貴女が私の案内人なんでしょう?」

 

 宝具と言っても信仰によって昇華された伝承だ。多少の脚色はあるだろう。

 

 ベアトリーチェがいきなり出てきたのは、つまるところそういうことだと判断しよう。そしていくら何でも、天国で旅人を待つ淑女が悪性をもって動くとも思えない。

 

 だからこそ、カズヒは和地や仲間達ならするだろう行動をもって、歩み寄りを見せる。

 

「短い付き合いなうえストレスの溜まる光景を見せるけれど、それでいいならよろしく頼むわ。何かあるなら、できる範囲で配慮するから言って頂戴?」

 

 その対応に、ベアトリーチェはまじまじとカズヒを見つめると、小さく微笑んだ。

 

「貴女がいい出会いを経たようで何よりです。おそらく、この()()()()()()()()の付き合いになるでしょうが……」

 

 その少し気になる言い回しをしながら、ベアトリーチェはその手を取る。

 

「よろしくお願いします。願わくば、この旅路があなたにとって幸いとなることを祈ります」

 

 今ここに、短い契約が交わされる。

 

 神曲になぞらえた、地獄と煉獄を巡り、その果てに天国へと至る宝具。

 

 そこの小さな契約が交わされ、そしてカズヒは旅路を巡り始めた。




 ここにきて大前提がひっくり返るお話でした。

 もうここでぶっちゃけますが、ウルバヌス二世たち神聖糾弾同盟の中核は、お題目とは全く別の理由で動いております。この出撃もそれをよりよい形で叶えるためのものとお考え下さい。





 そして同時に、ベアトリーチェ登場。

 カズヒにとってある種の運命を被った彼女は何なのか。これもまた、この章における大きな要点となるでしょう。





 ……さて、でもまだまだ話は続きますぜぇ?
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