好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

428 / 530
 あなたの好きな作品は、たった4クリックで応援できる

 高評価・感想・捜索掲示板での紹介をスーパーノヴァ欲するグレン×グレンです








 後、死徒の徳成についてですが、物理法則という概念がそもそも特殊な設定になっている型月世界でないので、物理法則についてはガン無視はできないことにしています。そこまで適応させると型月世界になってしまうので。スパロボマジック的なあれと思ってください。


聖教震撼編 第二十四話 不穏の加速

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 ウルバヌス二世は、政治・外交における傑物である。

 

 腐敗や買収に支配されたバチカンの綱紀粛正に多大な貢献を果たし、教皇になってからも更に発展させた清浄化に尽力した彼は、その才能を現代においても発揮した。

 

 亜種聖杯戦争を複数利用したとはいえ、そこで参戦したサーヴァントから協力者になれる者を素早く見繕った選別眼。

 

 その過程で的確に協力者となる者を探し出し、協力を取り付ける交渉力。

 

 常に教会の動向に目を光らせ、教会でクーデターが爆発するそのタイミングで決起を間に合わせる組織運営の手練手管。

 

 優秀な手足となる者がいたことも大きいが、彼の手腕があってこその物が多大あっての神聖糾弾同盟(ネオ・ディバインクルセイダーズ)

 

 加えてメンバーの伝手で接触できる現役の聖職者から、更に手を貸してもらえるだろう人物を探し出し、それを悟られることなく根を深く張ることができた手腕も凄まじい。

 

 ……それはすなわち、そもそもクーデターを起こしたメンバーの中に神聖糾弾同盟のシンパが多数いたことを意味している。更に参加していない教会側にも、少なくない数の内通者がいることを意味している。

 

 それら全てをフルに活用したウルバヌス二世の計画は、その全容を知る者が極一部に限られる。

 

 D×Dや大王派はもちろん、内部で両者に協力していたストラーダ達も。裏で暗躍していた禍の団すら。そして恐るべきことに、神聖糾弾同盟すら、全容を知る者はほぼいない状況だ。

 

 それかある種の読者()の視点を持つ者なら尚更分かるだろう。聖書の神の死を半ば確信していたウルバヌス二世が、本気で「聖書の神に罰してもらう」ことを目的として動いているはずがない。誰が物理的に不可能だとほぼ確信できることを、当たり前に目標としてクーデターを起こすというのか。

 

 その暗躍は非常に幅広く手が広げられており、間違いなくこの事件の主導権は彼によって握られている。

 

 だからこそ、この作戦は決してバチカンだけで終わる戦いではないのだ。

 

 バチカンの中と外。その二つでの戦いこそが本質なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 バチカンから100km以上離れたところにある、教会の設備。

 

 非常時ということでローマ教皇達の保護設備として使用されている、現在における教会の仮設本部。

 

 そこでは今、デュナミス聖騎士団を中核とする部隊が、内通者の捕縛を行っていた。

 

「行ったぞ! 追え、追えっ!」

 

「くそ! 申し訳ありません、ウルバヌス聖下……っ」

 

 ダイイングゴートプログライズキーを使用して逃げる内通者だが、デュナミス聖騎士団を巻いて逃げることは不可能に近い。

 

 彼らは腐っても精鋭部隊。更に全員が星辰奏者(エスペラント)。レイダーをもってしても性能なら引けが取らない者達であり、また装着するレイダーと本人の能力が向上している星辰奏者、それも数の差がある状況では時間の問題というほかない。

 

 むしろ、デュナミス聖騎士団が性質上追撃戦に慣れてないからこそ、ここまで時間を稼ぐことができたようなものだ。でなければ、レイダーになっているとはいえ文官がどうにかできるわけがない。

 

 当然の帰結として、最終的に包囲される形で彼は追い詰められていた。

 

「……これ以上の無駄な抵抗はよして下さい。仮にも同じように信仰に生きていた者として、乱暴な真似は可能な限り避けたいんです」

 

 待機部隊のメンバーとして、こうして内通者を追いかけていたカズホ・ベルジュヤナはそう諭す。

 

 必要ならば武力をもって鎮圧する程度はできる。そのぐらいの覚悟を決めることができなければ、心技体揃った精鋭部隊たるデュナミス聖騎士団のメンバーになど選ばれない。

 

 その本気を悟ったのだろう。文官は実装を解除すると、力なくへたり込んだ。

 

 素早く最低限の拘束を行いながら、デュナミス聖騎士団は周辺を警戒しつつ周囲を警戒する。

 

 他の文官含めて逃げる方向が似通っていることもあり、回収をしてくれる部隊がいると考えるべきだった。

 

「一つ伺いますが、貴方方を回収する方々がいるということでいいんですね?」

 

「……聖下からの使いはそう教えてくれた。いくつかのセーフハウスを用意して、脱出させる為の手段が遺されていると」

 

 力なく答える文官の言い分を聞いてから、カズホは胸騒ぎを覚えつつバチカンの方向に視線を向ける。

 

 そこでは敬愛するカズヒが潜入し、暗部部隊の説部での戦闘を行っているはずだ。

 

 別方面とはいえ、ストラス団長やリュシオン・オクトーバーも参加している。自分よりも遥かに優れている者達がいる以上、心配するのはある意味で烏滸がましいのだろう。

 

 だが、どうも胸騒ぎが止まらない。

 

 ……なまじストリートチルドレンだったからか、カズホもそういった勘はある。

 

 大人の浮浪者や、不良や犯罪者にターゲットとして狙われた時。内乱時に圧政者たる兵士達無差別攻撃一歩手前の戦闘を行った時。自分達をカバーしてくれたカズヒ達に対する逆恨みで、彼女を狙ってきた時。

 

 なんども潜り抜けてきたこともあるが、そういった窮地を経験したりデュナミス聖騎士団で激戦を潜り抜けてきたこともあり、そういった胸騒ぎを無視するのはどうも抵抗がある。

 

 だが、今回自分は別動隊だ。

 

 不安極まりないが、できることがない以上自分の仕事に意識を向けるべきだ。

 

 一呼吸を入れて、意識を強引に切り替える。

 

 やるべきことは内通者の確保。すなわち逃亡した者達を捕まえるべく、セーフハウスの確保も行うべきだろう。

 

 既に同僚が連絡をしているが、かといって自分達が動かない道理はない。

 

 捕まえた文官を後続の部隊に引き渡し、カズホ達もセーフハウスの確保に移る。

 

 そして視線をその方向に向けた時―

 

 

 

 

 

 

 

 ―その方向で、大きな爆炎が発生した。

 

「……っ!?」

 

 咄嗟に防御態勢をとりつつ、カズホは時間差で来た爆音を聞く。

 

 かなりの爆薬が使われているようだ。既に建物は綺麗に崩れ落ちており、周辺の建築物が破壊されずに崩壊している。

 

 爆破解体の要領で破壊された建物を見て、カズホは戦慄しながらも意識を強引に起動させる。

 

「……司令部! 内通者のセーフハウスらしき地点で爆発を確認! 追撃部隊の安否は!?」

 

『―――こちら司令部! 突入部隊は直前だったので死者及び重傷者は確認されず! しかし内部に逃げ込んだ内通者の生存は絶望的と思われる!』

 

 焦りながらも返される連絡に、ほっとしている余裕はない。

 

 嫌な予感があまりにも強くなっていく。

 

 なにかを完璧に取り違えている。そしてそれは、決定的な何かに繋がっているという確信だけはある。

 

 寒気すら覚える不穏な感覚を前に、カズホは胸騒ぎを鎮めることができないでいた。

 

「お姉さま……っ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和地Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺達は寒気を感じていた。

 

 ウルバヌス二世の言っていることは理解できる。だが同時に、何故そんなことを言っているのかが理解できない。

 

 聖書の神が死んでいることを半ば確信しながら、聖書の神による神罰を下すことを目的とした組織を率いている。矛盾しているとしか思えない。

 

 だが同時に、ウルバヌス二世から狂気は感じない。むしろ強い理性を感じている。

 

 そうだ、理性だ。

 

 理知的に状況を理解したうえで、理論的に目的を達成する為の理屈を導き出す。

 

 ウルバヌス二世はそう言う手合いだ。感情に振り回されることなく、理性で手綱を握って選択できる。理をきちんと理解したうえで、どうすればいいかを考えて行動できる人間だ。

 

 だからこそ、理解ができない。

 

 この男が大前提が崩壊している行動をとるわけがない。いくら物的証拠がなかろうと、状況証拠からほぼ確実だと判断していたんだ。そんな作戦目的にのっとった行動をとるわけがない。

 

「……何を、考えている」

 

 俺はそう、思わず口にしていた。

 

 聞けば答えてくれるとは思っていない。だが聞かずにはいられない。

 

 賭けてもいい。俺達は、何かを決定的に読み違えている。致命的な部分で思い違いをしている。

 

 ウルバヌス二世は、俺達が思ってもいないような観点からこの事態を引き起こしている。そうとしか考えられない。

 

 そしてウルバヌス二世は、俺の言葉に小さく微笑んだ。

 

「万一答えてくれれば僥倖程度の考えだろうが、今教えるわけにはいかないな」

 

 そう告げながら、奴は小さく肩をすくめながら後ろを振り返った。

 

 神聖糾弾同盟と各勢力が激突し、当然のように各勢力同士でも争う激戦。その音と被害の煙が、そこかしこから上がっている。既に相当の規模になっていることがここからでも分かる。

 

 そんな光景を一度見てから、ウルバヌス二世は俺達の方に視線を戻すと苦笑していた。

 

「一つ言えることがあるのなら、デュナミス聖騎士団()心中されては困る……とだけ言っておこう」

 

 その言葉に、俺は違和感を覚えていた。

 

 神聖糾弾同盟は、聖書の神に裁かれることを望んで軍事蜂起した部隊だ。その士気は高く、また武装の質もあって戦力的脅威度はかなり高い。まともに殲滅するなら、相応の被害が出ることは否めない。

 

 そしてデュナミス聖騎士団は、まごうことなく精鋭部隊だ。星辰奏者(エスペラント)という人間兵器と化した、教会の戦士達。更にその中から、心技体を兼ね揃えた者達を選別し、集められた凄腕達。教会の表を代表する精鋭集団だ。

 

 まともに激突すれば被害は甚大。聖書の神に滅ぼされることを望む神聖糾弾同盟にとって、激突したくない相手ではあるだろう。相応の被害を出せる自信があるからこそ、心中という形容も正しい。

 

 だが、これはそんなものではない。

 

 いったいなんだ、この違和感は。

 

「……いい加減にしてくれないか」

 

 その時、リュシオンがそう言い捨てると真っ直ぐにウルバヌス二世を見据える。

 

 睨み付けるとは違う。どちらかというと、怒りより悲しみの色が濃い視線だ。

 

 そんな視線でウルバヌス二世を見据えながら、リュシオンは拳を握り締める。

 

「何故そんな風に難しく考えさせる! もっと簡単に考えれば、こんなことをしなくてもやりようなんていくらでもあるだろう!」

 

 強い憤りは、この事態を本当に悲しんでいるからだろう。

 

 こんな形で暴発させる必要はなかった。もっと平和的に、被害を少なくする形で終わらせられるはずだった。そもそもリュシオンからすれば、難しく考えなければ爆発させる必要もない事だった。

 

 それを、ある意味最悪の形で事件にしたのがウルバヌス二世だ。思うところがあって当然だろう。

 

 ただウルバヌス二世は、そんなリュシオンに対し悲しそうな笑みを浮かべている。

 

「それは違う。むしろ逆だ」

 

 そう告げるウルバヌス二世は、苦笑のまま両手を広げる。

 

「そう、私は逆のことをしたのだよ。私がしたことはむしろ逆、難しいことができない者達に、簡単にできることを示したのだ」

 

 ウルバヌス二世は、そうはっきり断言する。

 

「彼らにとって和平を受け入れ、異端と手を取ることは難しい。理解することも納得することも、当然実行することもできないぐらい難しい。そうでなければ、主の代行たる現教皇や天使長ミカエル様の連名で告げられた和平に反対したり、教会を離反したりなどするものか」

 

 幼子に物を教えるように、ウルバヌス二世は苦笑と共にリュシオンに向き直る。

 

()()簡単にできること。それは()()簡単にできることでは()()

 

 真っ直ぐに、ウルバヌス二世はリュシオンにそれを宣言する。

 

「もちろんこれは君だけが悪いわけではない。そもそも人間とは、自分が簡単にできることが難しいなんて考えないものさ。「なんでこんな簡単なこともできない」だなんて、老若男女問わず誰もがよく言ってしまうだろう?」

 

 苦笑を浮かべながら、ウルバヌス二世はそう諭す。

 

「少なくとも彼らにとって、自分達が滅びる可能性を踏まえ異端と手を取り許しあうことは難しいのだ。それに苦しみ我慢できない者に、もっと簡単で気持ちがいいことを示す。そうすれば多くの人間はそっちになだれ込むものさ」

 

 苦笑はいつしか皮肉気な笑みに代わり、ウルバヌス二世は肩をすくめた。

 

「でなければ、十字軍遠征があそこまで大規模になるものか。人間は、正義の戦が自分達の為に行われることを望みたがる悪癖があるのだよ」

 

 そう語るウルバヌス二世は、どこか自虐めいた笑みを浮かべている。

 

 いや、自虐であり皮肉だ。奴はそれを隠すことなくしているのだ。

 

「人間とはそういう持病に罹りやすいのさ。自分達は正しいものが守ってくれる側であり、受ける被害は自業自得ではなく理不尽なものである。自分の理屈は社会的な一般論で、自分が嫌うは社会的に排斥される側。根拠もなく善良かつ多数派寄りだという前提で動きたがる、そういう欠陥があるものだ」

 

 ……うわぁ、辛辣。

 

 何が酷いって、確かにそういうやつって結構いるだろうってことだな。

 

 ある意味正論だから始末に負えない。俺も涙の意味を変える救済者として、その辺りは時々思い返して戒めるぐらいでないといけないだろう。

 

 デュナミス聖騎士団側からすら、痛いところを突かれた表情で視線を逸らす者もいる始末だ。そういうやつって程度を考えなければ相当するいるだろうし、俺もそういうことになりそうな時はあるからな。

 

 そしてウルバヌス二世は、胸すら張って俺達を見回した。

 

「集団を統率するコツとは、それをきちんと理解することさ。大衆の愚かさを考慮できるかどうかは、世界の在り方を左右する素質の多寡に直結するものさ」

 

 そう告げるウルバヌス二世は、自虐的な苦笑を浮かべていた。

 

「善や正義は尊ぶべきものだが、人々が尊んでいるものが本当にそうかは別問題。私が歴史に名を残しているのは、そうわきまえて行動したからなのでね」

 

 ああ、この男をなめてかかっていたことを俺は痛感してしまっている。

 

 この男は間違いなく、ローマ教皇足りえる人物だろう。そういう素質を感じさせる。

 

 だが同時に、それゆえに彼は冷血さを持ち合わせている。

 

 善と正義を尊びながらも、大衆がそうであることを前提にしない。いわゆるマキャベリズムに近い、どこか冷めたものの見方をしている。

 

 教会の綱紀粛正を試みた結果だろう。金や権力に溺れる聖職者や、その一環として行われていた腐敗に立ち向かったが故だ。人間の底に転びやすい負の側面に対し、ある種の諦観をもっている。だからこそ彼は成し遂げれた。

 

 人間とはそういう側面を持ち合わせている。それをわきまえたうえで立ち回ったからこそ、目の前の男は教会の清浄化を果たして見せた。十字軍を発足してのけた。

 

 そう、この男にとって十字軍遠征とは―

 

「だからこそ、神聖糾弾同盟(ネオ・ディバインクルセイダーズ)十字軍(ディバインクルセイダー)なのさ」

 

 ―冷笑と共に告げられる言葉がすべてだ。

 

「教会の掲げる正義にのっとり、人々の不満や欲望を満たす争いを行う。その結果ガス抜きと口減らしとベクトル制御をすべて行う、政治的な一手を打てる妙手だと自覚しているとも。十字軍とは教会の綱紀を粛正し機能不全を是正する為の一手だったのだから」

 

 きわめて冷徹な視点から、教義・民意・利潤をすべて成立させる大規模活動を成し遂げた。

 

 この男は、まごうことなく傑物だ……っ

 




 どんどん不穏が悪化していく。そんな状況になっております。

 そしてどんどん明かされているウルバヌス二世の人間性。一言でいうなら、現実主義で冷血な側面があります。

 信仰心は確実にありますが、衆愚の愚かさや腐敗しやすい人間の(さが)を認識し、組織運営においてきちんと反映するマキャベッリ風味。そのあたりからもしかすると、ウルバヌス二世たちの真の目的が見えるかもしれないです。……読めたとしても感想ではネタバレになるので控えてくださいな。メッセージでお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。