好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 本日、一話丸ごとカズヒ編!!


聖教震撼編 第三十四話 地獄の終焉

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 道間乙女の視点から巡る、カズヒ(道間日美子)の地獄を巡る旅路は、終幕を遂げようとしていた。

 

 それは、彼女が見ることがなかった惨劇。

 

 道間誠明が十字架を掲げれば、その瞬間に炎が巻き起こり爆発が起きる。

 

 更に同調させた聖杯が、六郎達の精神を縛り逃げ出すことは不可能となった。

 

「……誠明?」

 

―なにこれ? なんで? なんで誠明が?

 

 声も心も困惑している乙女は、何故こうなっているのかが本当に理解できていない。

 

 本来、考えるまでもない。道間誠明が彼らを殺しにかかることは、当然のこと。実際の動機は大きく異なるとはいえ、殺しにかかることそのものを疑問に思う理由はないのだ。

 

 何故なら、六郎達を恨むのは、誠明の立場なら当然のこと。考えるまでもない。

 

 妹を小さな時から十年以上も犯し続け、堕胎の経験をいくつも重ねさせた。

 

 更に乙女すら犯しつくし、子供まで孕ませて出産させた。

 

 こんなことをされれば殺意も憎悪も沸いてくる。仮に裁判にかけられたとして、そもそも殺す理由があったのかなどとなじる者はいないだろう。同情を買えることは必定で、死刑を回避できる可能性{日本において、三人以上の殺人はほぼ確実に死刑が求刑される}すら見えてくる。

 

 だが、乙女はそれを理解できない。

 

「なん……で?」

 

 あまりの光景に、乙女はなじることもできない。

 

―小父さん達が死んじゃう。セックスできない……気持ちよくなれない……犯してくれなくなっちゃう……っ

 

 壊れ果てたその精神は、だからこそ決定的にずれている。

 

 道間誠明が根幹的にずれた動機で動いているのと同じぐらい、道間乙女は根幹的にずれた困惑に陥っていた。

 

「やめて……小父さん達に、酷いことをしないで……」

 

「……あぁ」

 

 その、困惑しているが故の乙女の態度に、誠明は表情を変える。

 

 それはまるで、一目惚れの初恋による告白が成立したかのような、幸せがありありと見える微笑みだった。

 

 慈しむように、尊ぶように。誠明は乙女の姿を目に焼き詰めるように見つめ―

 

「本当に、悲しい(きれい)だよ、乙女」

 

 ―その爆発に、乙女は何もできずに吹き飛ばされた。

 

「………誠にぃ……乙女ねぇ……っ」

 

 奥歯を食いしばりながら、カズヒは小さくそう呟く。

 

 まだだまだだと気合と根性で押し切ることはできるだろう。

 

 だが、そうしない。できる限りそうせずに受け止めるべきだと、そう思ったからこその行動だ。

 

 これは自分が今後生きていくに辺り、目を背けてはいけないことだろう。

 

 それをただ気合と根性で強引に乗り越えていいわけがない。きちんと受け止め、背負っていく。たとえ乙女がそれを望んでないとしても、だからを意にも介さず投げ捨てることがいいとは思えない。そんな生き方はしたくない。

 

 だからこそ、胸の痛みも苦しみも、吐き気が生まれそうな思いも、引き離さずに受け止める。

 

「ねぇ、カズヒ」

 

 そしてベアトリーチェは、つらそうな表情を浮かべながらそう切り出す。

 

「この結末は、きっと誰も予想ができなかった。そう思うよ?」

 

 だから気にしすぎるな。そういう意図が込められているのだろう。

 

 だがカズヒは首を横に振る。

 

「世の中には想定するにも限度があるというのは、分かる」

 

 世の中には不条理や不可抗力などいくらでもある。

 

 例えばリゼヴィムの決起がそうだろう。

 

 旧王族というよほどのことがなければ排除できない悪魔にとっての宝であり、また積極的に世界に干渉する気概がない男。ゆえに邪悪であることを警戒されながらも、シャルバに比べれば有害性で劣る彼を、シャルバ達すら殺せなかった状況で殺せるわけがない。

 

 それがよりにもよって、別の意味で驚天動地の異世界の発覚で動き出した。それも異世界侵略に龍神殺しという異常事態のレベルを前提として活動。とどめに積極性に目覚めた途端に絶大なアジテーションスキルで、被害が無視できない。

 

 想定できるわけがない事で、想定できないやつが動き出し、想定できない被害を叩き出している。読めるわけがない。

 

「だけど、それで背負わなくていいとは言えないでしょう」

 

 そのうえで、カズヒははっきりと断言する。

 

 読めるわけがないからと言って、責任が全くないわけではないのだ。

 

 まして乙女の件は、道間日美子が悪意をもって引き起こした事態だ。想定外の形で更に被害が出ているのなら尚更だ。

 

「……自分のことを愛してくれる人達を、裏切り、汚し、壊しつくした。その罪は、私が私である限り背負わなくちゃいけないのよ」

 

 そして、誠明が一通りの殺戮を終えた時にドアが蹴り破られる。

 

 そこからの光景は、カズヒ自身がよく知っている。

 

 だからこそ、ここからも重要なことは変わらない。

 

―日美……子? ……田知?

 

 途切れかけている意識は、記憶すらも曖昧だ。

 

 視覚も聴覚も触覚も嗅覚も味覚も、薄くもやがかかっているように曖昧だ。

 

 それでも、乙女は感じ取れるものを感じていた。

 

 嗅覚は、焦げ臭いにおいを感じ取っている。

 

 味覚は、血の味を感じ取っている。

 

 触角は、炎の熱さを感じ取っている。

 

 そして視覚は怯える日美子の姿を、聴覚は田知の泣き声を感じ取っている。

 

 だからこそ、乙女は動いていた。

 

―助けないと

 

 本能的に、彼女は動こうとしていた。

 

―逃がさないと

 

 動けない体を、無理にでも動かそうとしていた。

 

―危ないから

 

 それでも、やはり体の自由は聞かなくて。

 

―……でも、でも……っ

 

 それでもと、それでもと乙女は手を伸ばす。

 

―……田知……それに……

 

 消えかけるその手を達に伸ばし、そして声は―

 

「……大丈夫……日美子……助……から―」

 

―日美子を、助けないと―

 

 ―その、原初の思いが彼女の最後の意識だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……本当に、私は邪悪の権化だった」

 

 そう、映像が消える中でカズヒは呟く。

 

 天を仰ぎ、拳を握り、歯を食いしばる。

 

 心の軋みを覚醒させることなく受け止め、その罪業を受け止める。

 

 どれだけ汚れて壊れて変質しようと、道間乙女は道間乙女だった。

 

 決定的に壊れてもなお、彼女は誰かを思える優しい女性だった。だからこそ、道間誠明も想いを寄せていたのだろう。

 

 そんな彼女を、醜い感情のまま、道間日美子は踏みにじった。

 

 ……それだけは、道間日美子である以上は背負い続けなければならない咎だろう。

 

「まったく。こればかりはハインリヒ・クラマーに感謝するべきかしらね」

 

 そう、自虐の表情と共に漏らしてしまう。

 

 自らの心を切り刻み引きちぎる所業でありながら、だからこそそれはカズヒにとって価値がある。

 

 何故なら、彼女が巡り合った運命は、道間田知だった九成和地なのだから。

 

 自分を愛してくれた女性を踏みにじり、その女の子供と添い遂げる。はたから見れば正気が疑われるような光景でもあるだろう。

 

 その業から、目を逸らしてはいけない。だが同時に、カズヒの視点だけでは見えないものもあったのだ。

 

「……ええ、業は死ぬまで背負って見せる。その大前提もなしに、和地を愛する決意なんて……」

 

 持てるものか。

 

 その決意を遮ったのは、そっと自分を抱き寄せる淑女の抱擁だった。

 

 

 

 

 

 

 

ベアトリーチェ? Side

 

 

 

 

 

 

 

「それは違うよ、日美子」

 

 そう、ダンテに告げる声は、いったい()()()()()から発せられたのか。

 

 既に宝具は()()()()発動している。それがだいぶ進行している今、私は私であって私でない。 

 

 でも、伝えられることはきっとある。

 

「貴女が罪を犯したことと、田知を愛することは別の問題だよ」

 

 これだけは、言っておかないといけないだろう。

 

 自分でも言葉にしきれないけれど、それでも伝えないといけないことがある。

 

「確かに負い目にはなるでしょうし、避けては通れないことでしょう」

 

 それはきっと、誰が告げても消せないものだ。消していいものでもないかもしれない。

 

 そのうえで、いうべきことは……そうなのだ。

 

「でも、そんな貴女の笑顔を胸に、田知は真っ直ぐ進み続けた。その誓いに足る生き方をし続けて貴女は、田知と愛し合う権利があります……いえ、認めます」

 

 そう。道間田知は、九成和地になっても立派に前を進んでいた。

 

 道間乙女のように、振り回されるがままにならなかった。そして彼の父親のように、外道を進んだりもしなかった。

 

 できる範囲ですべきことをした。したいことをできるように頑張った。すべきこととしたいことを合致させ、できる範囲で成し遂げ続けてきた。

 

 誰が見ても立派な青年だろう。この生まれの呪わしさから、ここまで立派な少年ができたことは奇跡だ。

 

 そして、その奇跡は―

 

「―貴女の罪は消えなくても、貴女の功績も消えないんです。それは、それだけは……胸を張ってもいいはずです」

 

 彼女を抱きしめる腕に、少し力が籠る。

 

 きっとそれは、どうかこの思いが伝わってほしいと彼女()が思っているからだ。

 

 そんな私の手に、そっとカズヒの手が添えられた。

 

「……ありがとう、ベアトリーチェ」

 

 顔を上げると、振り返っている彼女は小さく微笑んでいた。

 

「大丈夫。私は瞼の裏の笑顔に誓って、そこは決して違えない」

 

 そう微笑むカズヒは、小さくしっかりと頷いていた。

 

「業は背負うし、誓いは果たす。そのうえで、私は和地と添い遂げたいわ。……それを容認してもらうためにも、尚更頑張ると決めているもの」

 

 ……ああ、彼女は、本当に九成和地(田知)によって救われたのだ。

 

 淑女としても()()としても、それが本当に嬉しくて誇らしい。

 

 ……だが、私は同時にダンテの宝具()()()()事実に縛られる。

 

 極めて特殊なイレギュラーが重なった結果、私はダンテの宝具として機能し、それを阻害することができない。少なくとも現状はどうしようもない。

 

 だからこそ―

 

「……では、今度は煉獄です。いずれ天国へと至る、その前段階に向かいましょう」

 

 ―その決定的な一撃を、彼女が乗り越えることを祈るしかないのだ。




 乙女の視点から見る地獄の果てに、道間日美子(カズヒ)は煉獄へと到達する。

 地獄ののちに来る煉獄。天国と地獄の狭間で、彼女が見るものは―
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