好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 さあ、地獄が始まるぜぇっ!!


聖教震撼編 第三十五話 神聖なる糾弾

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 聖都守護連隊の戦闘は、更なる混乱状態に陥っていた。

 

 具体的に言うまでもなく、禍の団の介入による乱戦化が原因だ。

 

 加え、D×D側はもっともその悪影響を受けていると言ってもいい。

 

 これは単純に状況が悪い。

 

 D×D側は囲まれた状態で仕掛けられている。これが明確な拠点防衛線ならこちらが有利だが、そもそも神聖糾弾同盟が占拠した地帯にある小さな部分だ。戦力差は三倍を超えており、防衛拠点としての性能も低くアウェイなのだ。

 

 対して神聖糾弾同盟側は、包囲している状況。また拠点内部の一部を囲んでいる為、攻撃側だが拠点そのものなので防衛線にも近い。

 

 そして禍の団側だが、こちらはある意味で厄介だ。

 

 アルケードが引き連れているサリュートⅢはすべからくが、偵察・隠密仕様のスパイユニット。単純性能では劣るが、攪乱などには長けている。

 

 結果として禍の団側は、直接戦闘を避けつつ奇襲の連発を行うことで、戦力の疲弊を避けることに繋がっている。

 

 そして更に、双方の認識もかみ合ってしまっている。

 

 三つ巴の戦いにおいて一番避けるべきことは、敵対する二つの勢力に挟み撃ちにされないことだ。裏を返せば、双方が優先目標を共有すれば、その時点で共有された目標は窮地に陥る。

 

 既に包囲され苦戦になっているD×Dは、禍の団も「まず潰す」対象として認識してしまっていた。

 

 結果として、負担が大幅に増大化したD×D側は窮地に陥っていると言ってもいい。

 

 それでも持ち堪えている最大の理由は―

 

「……ちぃっ!」

 

「面倒だな」

 

 ―その上で、双方の最強戦力が互いにけん制しあう状態になっているからに他ならない。

 

 この膠着状態は本来なら避けるべきだろう。まずはD×Dを潰してからの方が、メリット獲得の面でもリスク回避の面でも優先すべきことだろう。

 

 だが、アルケードとゴドフロワの性質が、双方のその選択肢を取らせないでいた。

 

「アサシンのサーヴァントめ。常に意識しなければ、必ず同胞の致命に繋がる……っ」

 

「気配察知すら可能とは。これでは警戒を緩められん……っ」

 

 ……そう。ゴドフロワが気配察知スキルを持っていたことが、事態をややこしくしてしまっている。

 

 厳密には宝具である降臨の(アドヴォカトゥス)聖墓守護者(・サンクティ・セプルクリ)の恩恵である。

 

 この宝具は王冠を捧げることで周辺地域を聖墓とする宝具。その守護者であるゴドフロワは、大幅に性能が向上し、様々なスキルを獲得する。

 

 そしてバチカンというある意味で最も補正を得る土地で使用したことにより、ゴドフロワは気配察知スキルを獲得していた。

 

 それにより、気配遮断を行おうとしたアルケードを察知。ゴドフロワがピンポイントで警戒を高めた為、アルケードの常に意識をするほかなくなった。

 

 結果として、双方共に最重要ターゲットをD×Dに設置しながらも、最強戦力であるゴドフロワとアルケードが睨み合う状態となっていた。

 

 そのちぐはぐなかみ合わせが、D×D側にとって綱渡りに近い防衛戦を成立させていた。

 

『畜生……っ』

 

 その事実に、匙元士郎は歯を食いしばる。

 

 今自分達が生き残っているのが、敵同士の都合によるものでしかないからだ。

 

 鍛え続けてきた。いろんな方法を試してみた。そのうえで、自分の道を見つめ直したからこそ手に入った力がある。

 

 それをもってして、なおこの程度しかできない事実に腹が立つ。

 

 分かってはいるのだ。分ってはいるのだ。

 

 自分は兵藤一誠にはなれない。前人未踏の進化すぎて、焦がれてしまうのは分かるが真似できるものではない。

 

 自分は木場祐斗にはなれない。あの優れた才覚に基づく戦いは、センスが必要ゆえに自分のできる範囲を超えている。

 

 自分は九成和地にはなれない。残神はあまりに異常な高等技能すぎて。

 

 自分は匙元士郎にしかなれない。その事実を見つめ直したうえで、なりたい自分になることで掴めたものがある。

 

 だがそれをもってしても、自分はあの三人ならまだ何とかできただろうことができていない。

 

 そんな自分が悔しいからこそ、匙元士郎は呼吸を整えながら考える。

 

 自分にできることを見つめ直せ。そのうえでなければどうにかできる手段も探せないし、勝てるものも勝てない。窮地を乗り越えるにはそれが必要だ。

 

 自分はソーナの夢を叶え、教師になる。

 

 だからこそ、こんなところで終われない。

 

 ゆえに彼は考えて考える。

 

 目の前の熾烈な戦闘を何とかしのぎながら、勝利の一手を探り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

和地 Side

 

 

 

 

 

「私は宝具を二つ持っている」

 

 ウルバヌス二世がそう語る中、俺達は攻撃を仕掛けていた。

 

 奴の宝具がこの異常事態を引き起こしていることは間違いない。必然として、ウルバヌスをどうにかすることが最も優先するべきことだ。

 

 だが同時に、相手だってそれをしてくれるわけがない。

 

 天草四郎と共に、多数の戦士達が動けるメンバーを妨害する。

 

 ……全員もれなく動きがいい。身体能力もかなり高い。

 

 よくもまぁ、クーデターを起こした連中から、腹心レベルとなるメンタルと実力を併せ持った連中を用意したものだ。

 

 いや、ちょっと体格的におかしな奴がいないか?

 

 俺がその辺りを疑問に思った時、ウルバヌス二世は一本指を立てた。

 

「まず一つ。十字軍遠征に由来する、乳と蜜がための十字遠征(クレルモン・バッテジモ)

 

 そう告げるウルバヌス二世は、微笑みながら自分を守る戦士達を見る。

 

 その視線を光栄に思うように、戦士達は士気を挙げていく。

 

「能力としては、強い信仰心を持つ者を宝具とするエンチャント系だ。おかげで質に関わらず、思想を同じくする者を親衛隊として徴用することができる」

 

 なるほどな。

 

 要は教皇特権とその宝具の合わせ技で、傍に置くメンバーは当人の戦闘能力はそこまで重要でなくせるわけか。

 

 ってことはだ。半ば確信していたが、「聖書の神の罰を直接受けることで、納得と共に地獄に落ちる」はでまかせか。もしくは、誘蛾灯。

 

 本来の目的は別にある。少なくともそこは間違いない。

 

 出なければ、聖書の神の死を半ば確信した状態で、そんなことを言い出すわけがない。

 

 いったい何を考えている?

 

 その懸念を持ちながらも突破できない中、ウルバヌス二世は指をもう一本立てる。

 

「そしてもう一つが、先と身を守護する信徒選別(グレゴリオ・プロチェッソ)。ただし、亜種聖杯を用いてかなり改造している」

 

「その時点で嫌な予感満載だけど!?」

 

 鶴羽が思わず絶叫するけど、俺もすっごい同感。

 

 宝具をわざわざ改造するとか、その時点で嫌な予感しかしない。どう考えても今回の事件に合わせた調整だ。あと目の前の鎖関連と密接に関係している。

 

 俺達が猛烈に嫌な予感を覚えている中、俺達を追い越してウルバヌスに攻撃を仕掛ける者がいた。

 

「……それが、ルーシア達と一体何の関係がある!!」

 

 吠えるリュシオンは、明らかにいつもと違う。

 

 ゆえにウルバヌスはその攻撃を部下に任せない。

 

 あえて一歩前に出て、自ら迎撃。そしてリュシオンの不調が理由となる、完全な対応を確立した。

 

 何より恐ろしいのは、その微笑だ。

 

 安堵の笑みでも嘲笑でもない。どちらかというと、リュシオンのその現状に喜んでいる。それも、リュシオンを祝うかのような慈愛に満ちた微笑だ。

 

「調子を取り戻さないようにしているのは、今後にとって僥倖だ」

 

 そう告げながら、ウルバヌスは攻撃を捌き続ける。

 

 援護したいが周囲の親衛隊が厄介だ。これでは助けに行けやしない。

 

「落ち着くのだリュシオン! それでは敵の思うつぼだぞ!!」

 

 ストラス騎士団長が援護を試みるが、鎖の影響もあって思うようにいけてない。

 

 そもそも鎖の影響を受けてない、俺達ですらできてないんだ。これは騎士団長を攻められない。

 

 だが、このままではリュシオンもまずい。

 

 ただ、ウルバヌス二世は微笑みと共に首を横に振る。

 

「逆だよ、戦士デュラン。彼にとってこれこそが、真に神の子に続く為の第一歩だ」

 

「どういう……意味だっ!?」

 

 ウルバヌス二世のその言葉に、リュシオンが吠える。

 

 明らかにいつもと様子が違う。誰が見ても分かるぐらい、動揺している。馬鹿でも分かるぐらい、ちょうしがおかしくなっている。

 

 その猛攻も普段に比べると、驚くぐらい粗が目立つ。あれなら中級悪魔クラスでも、相応のテクニックがあればしのげるだろう。ウルバヌス二世が一人でしのいでいるのがその証拠だ。

 

 そして同時に、ウルバヌス二世はその反応を喜んでいる。

 

 まるで優秀だが欠点がそれを台無しにしている類の人間が、欠点を克服しようとしている。そんな様子を見ているかのような、強い安堵を覚えている。印象を例えるならそんな感じだ。

 

 それに懸念しか覚えられない中、ウルバヌス二世は微笑みを浮かべてリュシオンを見つめる。

 

「……できるがしようと()()()()。その思いに足を引っ張られているといったところだろう?」

 

「―――ッ!?」

 

 動揺するリュシオンに、ウルバヌスは蹴りを叩きつけて距離を開ける。

 

 あんな蹴りがもろに入る。それだけでもリュシオンが追い詰められている証拠だ。

 

 だが同時に、天草四郎達との戦闘で、俺達もカバーしきれない。

 

 そしてウルバヌス二世は、微笑みながらリュシオンと向き合っている。

 

 ……まさか、奴は……?

 

 俺がある予感を覚えている中、ウルバヌス二世はリュシオンに対して警戒を見せながらも、同時に視線をもって周囲を見渡している。

 

「今の宝具の性質だけを言おう。……簡単に言えば、信徒の精神性を鎖の形で認識する魔眼であり、真名を解放することでそれを具現化する宝具と化している」

 

 それが、この現状の正体なのか。

 

 なら信徒でない俺達に影響がないのも納得だ。おそらく対信徒に特化した宝具なんだろう。

 

「信仰心を悪意の大義名分としていればしているほど、自覚に有無に関わらず鎖は炎を纏い当人を焼く」

 

 燃え尽きかけている、燃えた者達を見てウルバヌスは冷めた目を向ける。

 

「逆に信仰心を持ちながらも、自覚的に戒めていれば戒めるほど、自覚の有無に関わらず鎖は重くなる」

 

 倒れ伏す者達を見て、ウルバヌスは苦笑交じりの表情を浮かべる。

 

「そして信仰心という理想が、己自身という実態からどれだけかけ離れているかで、鎖は曇り錆びるようにできている」

 

 そう告げ、ウルバヌス二世はストラス騎士団長を見ている。

 

「そういう意味では貴殿は立派な信徒だよ。己をちゃんと戒めることができ、そして信仰に己を無理なく合わせることができる。戦士でなければ大司教ぐらいは狙える器だろう」

 

 そう語ったうえで、今度はリュシオンの方を見ると苦笑いを浮かべていた。

 

「そしてリュシオン・オクトーバー。例えは少々違うが、貴殿はまさしく神の子に続く者といえるだろう」

 

 その鎖は重さなどないぐらい軽く動いており、動きを阻害してもいないし、まして宝石のように光り輝いている。

 

 それが彼にとっての信仰が具現化しているというのなら。ウルバヌス二世の宝具の能力そのものがそうであるのなら。その具現化した鎖こそ、彼にとっての信仰そのものだ。

 

 それを理解して、殆どの者達が強い畏怖を覚えているだろう。

 

 信徒にとっての信仰を具現化する。それも本来は重くなるし自分そのものがそれに合致しているかとは限らない。

 

 だがリュシオンに限って言えば、それは祝福のように煌めいているレベルだ。

 

「君はまごうことなく余人を超える傑物だ。これがその証拠だと自覚したまえ」

 

「……っ」

 

 ウルバヌス二世のその言葉に、リュシオンは否定をしきれない。

 

 今まで、リュシオン・オクトーバーは自分の傑物ぶりを一切理解していなかった。

 

 自分はただコツを掴むのが上手いだけで、コツさえ掴めれば誰でもできることしかしていない。そういった当たり前のことをちゃんとし続け、少しずつ確実に前に進んでいく。そんな簡単なことをし続ければいいんだと、心の底から思っている。

 

 なまじコツの問題だと思っているうえ、所属がデュナミス聖騎士団という傑物主体の組織だったことも痛いんだろう。この男は傑物極まりないが、優秀な者が追い付こうとすることで、その感性はどんどんマヒしていった。

 

 だが、そのデュナミス聖騎士団ですらリュシオンの足元にも及んでいない。それも、能力ではなく精神の話である。

 

 それを、この上なくウルバヌス二世は証明している。

 

「謙虚であることは美徳だが、自分の優秀さに目を向けないことは時として悪徳だ。きっと君は、自分にとって当たり前すぎることを大前提にして何人もの心をへし折ってきたのだろう」

 

 そう、ウルバヌス二世は糾弾するように告げる。

 

 真正面から、目を見たうえで、かつて教皇の地位に就いた男は主の後に続くと称される男に宣言する。

 

「これが現実だ。君は神の子に続く者(ディア・ドロローサ)という異名に相応しい傑物。多くの凡人はおろか、並大抵の才人すら引き離す、神童のまま成長した男なのだよ」

 

 誰一人として否定させることができない、リュシオン・オクトーバーの傑物性を鮮明に示す現実が、今ここにさし示された。

 

 

 

 

 

 

 

 

Other side

 

 

 

 

 

 

 

「ふ……ざ、けるな!!」

 

 リュシオン・オクトーバーは、生まれて初めての絶叫を挙げる。

 

 この鎖を示されてから、自分の調子がおかしいことは自覚できている。

 

 普段ならすぐに乗り越えられることが、全くできていない。

 

 進められる足が進まない。決められる決断が決められない。すぐに成し遂げられるはずのことが、まるで雁字搦めにされているかのように行えない。

 

 鎖の影響は殆どない。あまりに軽くて全身につけられていることを忘れそうになるほどなのに、まるで体は全身がタールまみれになっているかのように動きづらい。

 

 心臓がありえないほどにバクバクと鳴り響いている。息も乱れているのがすぐに分かる。

 

 ありえない。あり得るわけがない。

 

 自分と同じように前を向き、コツを掴みにくいだけでちゃんと成長している信徒達。デュナミス聖騎士団の者達が、自分の後塵を拝すことすら困難なんて信じられない。

 

 それに何より―

 

「……ならなんで、ルーシアがあんなことになっている!!」

 

 ―怒りの表情すら浮かべられるぐらい、ルーシアが地面に倒れ伏していることが信じられない。

 

 昔から自慢の妹だった。

 

 後ろをついてくることもあれば、別の方向を進むこともある。

 

 コツをつかむことそのものは下手だろう。だが真面目で、勤勉で、良識を持ち、まっとうな判断をちゃんととれる子だ。

 

「ルーシアが! あの子が……こんな鎖を作るわけが―」

 

 ありえないと確信できる。

 

 いつも自慢の妹だった。

 

 星辰奏者(エスペラント)の素質はないし、神器(セイクリッド・ギア)も持ちえない。だがそれに腐ることなく前を向いて、できることをちゃんとやってきた。戦士育成機関でも主席にこそ届かなかったが、候補にはなれたほど優秀な成績と称賛される態度をとっていると聞いている。

 

 にも関わらず、彼女の鎖があんなに鈍く錆びついて重いわけがない。

 

 だからこそ、まやかしだと思っており―

 

「ああ。ルーシア(彼女)はとても()()な少女だ。君のあまりに高すぎる精神性に、一生懸命追いつけるように無理をし続けて、何年もそれを続けられるのだから」

 

「……え?」

 

 ―それがそもそも勘違いだと、ウルバヌス二世は言い切った。

 

「私の宝具は言った通りのものだよ。必要性があったのでそうしたからね。……その一つは、君を正し導く為でもある」

 

 そう告げるウルバヌス二世は、真っ直ぐにリュシオンに向き合っていた。

 

 魂すら見透かすようなその視線に、リュシオンは生まれて初めてたじろぎ気圧されている。

 

 否―

 

「薄々気づいていることを自覚したまえ。そうでなければ、この程度の苦境など受け止めて前に進められているはずだろう」

 

 ―認めたくないだけだ。

 

 宝具の効果に嘘はないことを。仲間達が自分にまったく追いつけないような精神性だということを。ルーシアですら、自分と同じ域からかけ離れていることを。

 

 だからこそ、当たり前のことができなくなっている。無自覚にブレーキをかけてしまい、本領が発揮できなくなっている。

 

 何故なら―

 

「………ありえない」

 

 ―その声が、痛感させている。

 

「ありえないありえないありえないありえないありえない!! 追いかけられてるついて行けてる同じ道を進んでる!! でたらめを言うなでまかせを言うな適当なことを言うなぁあああああっ!!」

 

 今までに聞いたことのない絶叫をあげ、ルーシア・オクトーバーはもがく。

 

 動けなければおかしい。立ち上がれなければおかしい。戦えなければおかしい。

 

 体が壊れることも恐れずに。そもそも壊れるなんてことがありえないといわんばかりに。ルーシア・オクトーバーは自分が今ここで戦えるという、それを大前提に動こうとしていた。

 

 そう、何故なら―

 

「私の兄はリュシオン・オクトーバー! 私はリュシオンの妹!! 追いかけれないはずがないのよぉおおおおおおっ!!!」

 

 ―その一念こそが、ルーシア・オクトーバーをここまで歩ませて()()()()理由。たった一つの真実なのだから。

 

「……ぁ……」

 

 そして、その絶叫にリュシオンは動けなくなる。

 

 鎖が重くなったからではない。いまだ鎖は軽く輝かしいままで、リュシオンはだからこそ動けない。

 

 それは自分の心が、ここまでの事態なっても信仰心を当たり前のように実行できるから。

 

 正しいことを正しい時に正しく成しえることができる。そんな、コツさえ素直に受け止めれば、誰でもできると思っていたこと。それをずっと見てきた、自慢だと思っていた実の妹。

 

 彼女が、たったそれだけのことにここまで背負い苦しまなければならない。その事実が、否応なくリュシオン・オクトーバーの大前提を粉砕する。

 

「リュシオン・オクトーバー。君はまごうことなく素晴らしい人物だ。我らが主は、人間を君のように作りたかったのだとすら思えている」

 

 そう告げるウルバヌスは、その上で残酷な現実を叩き付ける。

 

「だからこそ、貴殿はその妄信(悪癖)を直したまえ」

 

 悪意はなく、敵意もなく、嘲りすらもない真摯な声で。

 

 ウルバヌス二世はかつて教皇であった者として、その地位すら狙えるだろう後進を諭していた。

 

「実の妹すらろくに見れてない今のままでは、救える者すら救えないのだからね」

 

 残酷極まりないまでに、その言葉はまごうことなく正論だった。

 




 アルケードがアサシンなのは、消去法でわかる人も多かったのではないかと思っております。このアサシンの特性こそが、最終章でD×Dの領域にすら苦戦を強いる一因となってます。






 そしてそれは置いといて、リュシオンの地獄。

 ウルバヌス二世にリュシオンのゆがみを徹底的に突きつけさせるのは、かなり初期から決定していました。ルーシアは半分ぐらいそのためのキャラといってもいいでしょう(もう半分はオカ研テコ入れ)。

 ただ方法としては、かなりぎりぎりまでルーシアの限界がここにきて爆発する形にする予定でした。ただウルバヌス二世について深堀して調べていったことで「信徒審問系宝具を改造して、リュシオンに自分の特異性を自覚させる」という方向に調整した感じですね。

 この調整宝具は亜種聖杯によるもので、ウルバヌス二世は「腹心にできる信徒の選別及び、信徒による侵入部隊の選別」を主目的としております。








 そして次回、煉獄編です
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