好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 さぁて、大反撃タイムの次はウルバヌスのターン!

 リュシオン地獄めぐり、後半です!!


聖教震撼編 第四十一話 ウルバヌスの糾弾

 

和地Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 明らかに、リュシオン・オクトーバーは追い詰められている。

 

 俺は奴との付き合いをそんなにない。だがそれでも分かるレベルで追い詰められている。デュナミス聖騎士団の反応がそれを物語っている。

 

 誰もが目を見開いているし、信じられないようなものを見ている。それほどまでに、リュシオンは精彩を欠いていた。

 

「……そん、な……っ」

 

 顔色を悪くさせ、冷や汗すら流している。そして呼吸も戦闘動作とは別の意味で荒れている。

 

 そんなリュシオンを前にして、ウルバヌス二世は攻撃を仕掛けない。

 

 相手が仕掛けてこないのなら、自発的にしかける理由が無い。そう言いたげな表情だった。

 

 その対応が不穏を生み、俺達はうかつに仕掛けられない。

 

 いったい何を考えている、ウルバヌス二世……っ

 

 俺達が手を出しあぐねる中、ウルバヌス二世は小さな笑みを浮かべながらも、鋭い視線でリュシオンに視線を突き刺している。

 

「自分の優秀さを鼻にかけたり妄信する人間は、往々にして迷惑な存在になりやすい。だが自分が優秀だとまったく自覚しない傑物もまた、迷惑な存在になりえるのだよ」

 

 そう言い切るウルバヌス二世は、リュシオンに哀れみすら向けている。

 

「ただ市井に生きるのなら、自覚しなくてもよかっただろう。だが君が生きるこの世界は、自覚しないわけにはいかない世界だよ」

 

 確かに、それは言う通りかもしれない。

 

 普通に一般市民として生きる分には、リュシオンの性質は致命傷になりにくい。

 

 リュシオンのモットーは「前を向いて少しずつ進んでいくこと」だ。そもそも一般市民として生きていく分なら、神器(セイクリッド・ギア)は無くてもいいし、禁手(バランス・ブレイカー)なら尚更だ。リュシオン自身、一般人としての生活でそれを必要に感じることはないだろう。

 

 イッセーは人間のままだと暴走させられると思われたからこそ、殺されることになった。だがリュシオンなら、必要に思わないのならそもそも神滅具(ロンギヌス)クラスの神器を持っていると気づかれない可能性すらある。

 

 だが非日常に巻き込まれて、異形達と戦う悪魔祓いとなったことが運のつきだ。

 

 非日常において、リュシオンは自分の異常性を当たり前に発揮し続けてきた。必要な時に禁手に至り、必要なら禁手を消して有効な禁手に至る。そして当たり前のように少しずつ、だが止まることなく成長をし続けていく。

 

 普通なら、挫折することも腐ることもあるだろう。だがリュシオンはそうせず、必要な時に必要な成長を必要なだけ取り続ける。

 

 それが魅了に繋がり、自分にできる範囲で成長させ続ける結果になればいい。

 

 だが実際は違う。リュシオンとの差に心を砕かれることもある。リュシオンの考え方を受け付けられず、暴走することもある。カズヒねぇが語った通り、破滅に繋がった者すらいる。

 

 リュシオンにすべての責任があるとは言わない。だが、リュシオンの影響がないわけでもない。

 

 そして、その負荷を今まで一番背負ってきたのは誰だろうか。

 

 決まっている。

 

「……違う。違う違う違う違う! 兄さんが、兄さんが異常者なわけがない!!」

 

 ……鎖に押し潰されそうなほど押さえつけられた、ルーシアだろう。

 

 ウルバヌス二世の言葉をすべて信じるならば、鎖の重さは「信仰に生きることの負担」だろう。そして「信仰をどう受け止めているか」が鎖の状態に繋がっている。

 

 信仰をはき違えた悪意が炎として具現化するのなら、ルーシアははき違えてはいない。だが同時に、信仰を呪いのように受け止め、とても負担がある生き方をしていたということになる。

 

 だから動けない。だからどす黒く濁っているような鎖になっている。

 

 そしてそれが真実だと理解できているからこそ、リュシオンは動揺している。

 

 本来のリュシオンなら、精神面は復調していただろう。

 

 どんな困難が待ち受けようとも、一歩ずつ成長すればいい。そしてそれが凄まじく優れているからこそ、持ち直せているだろう。

 

 だからこそ、ウルバヌスは逆を行った。

 

 乗り越えられない困難ではなく、乗り越えたくない困難。乗り越えるというリュシオンの行動そのものを、ウルバヌスはできないように仕掛けたんだ。

 

 自分と他人の精神があまりに違いすぎるのだと、いやになるぐらい突きつける。何より傍にいて、たぶん最も身近に感じていたルーシアのそれを、いやになるぐらい見せつける。その結果として、リュシオンは「これを乗り越えたらルーシア達がどうなるか」と思ってしまう。

 

 結果として、リュシオンの歩みは今初めて止まった。

 

 リュシオンを止めるのではなく、リュシオンに止めさせる。それにより、これまで決して止まらなかったリュシオンの歩みは、止まったのだ。

 

 そのうえで、ウルバヌス二世はリュシオンを真っ向から見据える。

 

 その目には、悪意をも敵意も戦意もない。

 

 一人の聖職者として、教え正す気概すら感じさせる。その気迫に、リュシオンはおろか俺達すら呑まれていた。

 

「君は今まで、当たり前のことを当たり前にしてきただけなのだろう。急激に加速するようなことは一切せず、少しずつ成長してきたのだろう」

 

 そのうえで、ウルバヌス二世ははっきりと告げる。

 

「だが君の小さな歩みは、常人にとっては音速の飛行だ」

 

 お前は周囲()とは違うのだと、ウルバヌスは分かりやすく告げる。

 

 お前にとって急ぐ気概のない移動は、大多数にとっては全力疾走すら生ぬるい。

 

 そう告げるウルバヌスに、虚言の類は一切ない。

 

「君の一歩は常人にとって、数十の飛翔を繰り返すに等しい苦難だ。言っておくが体の話ではない、心の話だよ」

 

 真っ直ぐに。真摯に。誠実に。

 

 ウルバヌス二世は、リュシオン・オクトーバーの思い違いを是正する。

 

「何故なら、人間とは多くが諦めたがり怠けたがるから。人は困難を前に乗り越えるのではなくまず諦める為の言い訳を探す。程度の多寡を考えなければ、人類の大多数はそういう()()()()()存在だ」

 

 そう言いながら彼が見回すのは、既に燃え尽きて灰になりかけている、デュナミス聖騎士団の一部。

 

「デュナミス聖騎士団ですら、そういう手合いがいるのだ。それでも心技体全てが強靭ゆえ、そんな彼らに囲まれた君が気づかないのも理解はできる」

 

 そして、その視線がルーシアに向けられる。

 

 我武者羅に、死に物狂いに、起き上がって戦おうとしているルーシア。

 

 だが鎖の重さと拘束に動けないでいる中、ウルバヌスは宣言する。

 

「彼女の健気な姿を焼き付けたまえ。君はたった一人の妹すら、苦しめ追い込んでいるのだぞ!!」

 

 その糾弾に等しい鋭い声に、リュシオンは反論ができないでいた。

 

 ただ交互に、ウルバヌス二世とルーシアを見て、何も言えないでいる。

 

 今までにない表情だ。デュナミス聖騎士団ですら愕然とするその表情は、リュシオン・オクトーバーに人生最大の試練が訪れていることを示している。

 

 ……いや、違うな。

 

 さっきも思ったがむしろ逆だ。リュシオンは、そもそも今まで試練を乗り越えたことなんてないんだ。

 

 リュシオンにとって今までの苦難は、ただその時の必要な方向に進めばいいだけだ。いつも通りの範疇とさほど変わらず、根本的に苦しくも難しくもない。知識として奴は知っているのだろうが、それを実感したことなんてなかったんだろう。

 

 そして、乗り越えることを選べないでいる。

 

 何故なら、自分にとっての当たり前が他者にとってどれだけ難行か知ったから。

 

 ずっと一緒に育ち、自分を見習ってきたルーシア。自分の同胞であり、共に進んできたデュナミス聖騎士団。そんな彼らですら、リュシオンの足元にも及んでなんていなかった。

 

 もし、このまま当たり前に自分が乗り越えたとして、それでどうなるのかと考えている。

 

 この断絶を見せつけられ、それでもあっさりと進んでしまえばどうなるか。

 

 ……今この時、リュシオンは自分という傑物と周囲の凡人を痛感した。だからこそ、「毎日少しずつ当たり前に成長する」ことを良しとする奴は、それができなくなるほどの衝撃を与えたいと思わない。

 

 それが、リュシオンの歩みを完膚なきまでに停滞させた。

 

 やってくれるよ、ウルバヌス二世。

 

 リュシオンを止めると同時に、奴の歪みを突き付ける。それにより、物理ではなく心理でリュシオンの歩みを止めて見せた。

 

 そしてリュシオンを完璧に止めたことで、俺達も止まっているからこそ、神聖糾弾同盟は動かない。

 

 奴らは本当に、リュシオン達を足止めすることが目的なんだ。むしろ足止めができるのなら、殺しはしない方がいい。そういう戦術をとっている。

 

 その違和感はぬぐえないが、しかしだからこそ言えることがある。

 

 ああ、言っていいだろう―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リュシオン・オクトーバーは、生まれて初めて苦難を実感した。

 

 今まで、リュシオンは苦難を乗り越えてきたと思い込んでいた。少なくとも、並大抵の者にとっての苦難は乗り越えていたし、大抵の者では乗り越えられない苦難も乗り越えたと言われていた。だからリュシオンもまた、自分が苦難を乗り越えてきたと勘違いをしていた。

 

 だが、リュシオンは外ではなく内の苦難に、今完全に足を止めてしまっていた。

 

 何よりリュシオンの足を止めているのは、乗り越えようと思えば乗り越えられるという確信だ。

 

 心を切り替え、そのうえで一歩を踏み出す。対処法としては簡単に思いつき、そして今までに比べれば大変だろうができる。その確信がリュシオンにはある。

 

 だが、その選択を選べない。

 

 何故ならば。デュナミス聖騎士団の同胞達、何よりルーシアの今を見ているから。

 

 程度はともかく自分のような煌びやかな度合いを持たない鎖を纏い、動きを阻害される騎士団の者たち。何より、重く大きい鈍色の鎖に縛られ、その重さで身動きが取れないでいるルーシア。

 

 誇りに思う仲間達だ。自慢の妹だ。自分を凄いと思ったり特別だと思うところが疑問だったが、それでもコツを掴めないなりに真っ直ぐ進み、並び立っていると思っていた者達だった。

 

 だが、そんな彼らですら自分とは全く異なる次元にいる。足元にも及んでいないと、誤認できない形で突き付けられた。

 

 そんな彼らの目の前で、彼らがどうしようもできない状態を乗り越える。そんなことになれば、その断絶は本当にどうしようもなくなってしまうだろう。

 

 リュシオンは、己の尊ぶ思いを考える。

 

―人間の価値は、強すぎる勝利や敗北により変わることじゃない。

 

 お笑い草だ。これだけの強さを人に見せ続ければ、変わり続けてしまうだろう。

 

―無理なく少しずつ成長していくことこそ、人の本質を保つことができる。

 

 どの口がほざいていたのだろうか。自分のような急成長を見せ続けられれば、無理だと諦めるか無理して頑張るかの二択だろう。

 

―少しずつ成長することが許され、少しずつ間違いを修正していけばいい。そんな簡単なことの為に、必要な急激な変化を受け持ちたい。

 

 何より急激に変化し続ける男が言うことではない。こんな男を見せ続けられれば、三大勢力の和平以上の負担を強いられて当然だ。

 

―少しずつでいいから前にちゃんと進み続ける。そんな簡単なことこそが正義なのだ。

 

 まったくもって見当違いだ。自分の早すぎる速度を基準にして、それが正義などとよく言えた。

 

 分かっている。今は非常時だ。進まなければいけないときだろう。

 

 だがここで進めば、今度こそルーシア達は置いて行かれる。

 

 そんなものを見せつけられて、ルーシア達は真っ当でいられるのか?

 

 何より尊びたいものを踏みにじって、正義を成せるというのか?

 

 その考えが、リュシオンを縛る鎖となる。

 

 何より自らのに突きつけられるのは、己が纏っている鎖だ。

 

 プラチナのように光り輝く、細く軽く美しい鎖。高速具どころか装飾品にしかなってないそれは、リュシオンの信仰心の表れだ。

 

 無理などない。負荷などない。まるで多神教の神々を彩る、神々しさの具現化というべきその鎖。

 

 それこそが、リュシオン・オクトーバーが抜きんでた傑物である証。神滅具などという物理的なおまけではない、精神的傑物である証明。無自覚の大前提だった「自分は神滅具を持ちコツを掴むのが得意な以外は、只の人間と変わりない」などという妄信を打ち砕く一撃だった。

 

 これまで何度も多くの者達から指摘されてきた。しかしその全てを見当違いだと断じてきた。そんな、自分と他人の決定的な違い。

 

 神器神滅具候補という絶対的な力と、コツを掴んだからできたという確信。その二つを根拠として違うと断言できた、その批判。

 

 その批判こそが正しく、自分こそが普通からかけ離れた異常者だと、この上なく証明されている。

 

 そんな男がこんなところで、今まさにその違いで動けなくなっているルーシア達の前で、違いを更に明確に示す。そんなことをすればどうなるかなど、考えるまでもない。

 

 デュナミス聖騎士団の者達は、そしてルーシア・オクトーバーは……変わる。

 

 ただでさえ、リュシオンの強すぎる影響を受け続け、それを前向きに背中を押すようにしてきた者たち。その目の前で、決定的なレベルでどうしようもない断絶を痛感する。その衝撃は、リュシオンが良しとしてこなかった人間性すらかえる急激な影響となるだろう。

 

 それを良しとできないがゆえに、リュシオンは動くことができないでいた。

 

 自分自身が一切理解できず歯牙にもかけていなかった指摘を自覚し、それに伴い自分自身が良しとしていなかったものを促してきたと痛感し、どう動いても自分が良しとしない状況になってしまうと悟ってしまった。

 

 だからこそ、リュシオンは動けない。

 

「……君は本当に素晴らしい存在だ。だが同時に、凡俗がなろうと思ってなれる者では断じてない」

 

 ウルバヌスはそんなリュシオンを見据え、小さく首を横に振る。

 

 残念そうに、心から同情しているかのように。

 

 そしてそれは本心であり、リュシオンを心から評価しているからだ。それほどまでに、リュシオンは傑物なのだろう。

 

 多くの人間を見てきたウルバヌス二世からして、リュシオン・オクトーバーは希少な傑物だと、そういうことだ。

 

「君のような者が当たり前にいれば、亡くなられた主も喜ぶことだろう。だが残念なことに、神の子が再来と思えるほどの傑物は、決して一般大衆の平均ではないのだよ」

 

 そう、ウルバヌスは突きつける。

 

神の子に続く者(ディア・ドロローサ)よ。君は自分と世界の断絶を痛感して、どうするかね?」

 

 その最後通牒を突き付けられ、リュシオンは動けない。

 

 動くべきなのは分かっている。だが動けば、決定的な何かが終わる。リュシオンが尊び良しとしてきた物が、リュシオンが誇り自慢に思ってきた大切な者達から失われる。

 

 その事実に、リュシオンは動くことができず―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「……そこまでだ」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その()()の一歩が鳴り響いた。

 




 リュシオンというキャラクターを作った段階で、彼のゆがみを自覚させるのはライオンハート編かデュランダル編のどっちかにすることはほぼ確定。そのまま本命側のデュランダル編にて、ついに指摘された形です。

 とはいえ、リュシオンはネームドではあってもメインキャラクターではない。この章でしっかり一区切りをつけますので、そこはご安心を。
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