好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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魔性変革編 第九話 特訓、波乱です!

和地Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺の場合、トレーニング内容に関しては場所を気にせずやることができる。

 

 最低限練習するだけなら、それこそアパートの一室でやることもできるのだ。

 

 なのでまあ、ある意味で俺は一番暇ができると言ってもいい。

 

 そんなわけで、いろんな場所でトレーニングをしているんだが―

 

「ふっ……ふっ……ふっ……ふっ……!」

 

 ―トレーニングルームで、俺は小猫のトレーニングを見て眉をしかめる。

 

 いや、トレーニングを一生懸命しているのはいい。それは必要なことだと思う。

 

 ただ、明らかにやりすぎとしか思えない。

 

 過剰なトレーニングははっきり言えば逆効果だ。世の中には限界とか限度というものがあり、それは超えないようにしないと逆効果にしかならないのが基本原則。そしてトレーニングというのはその負担や消耗を休息や睡眠、飲食で回復させるインターバルが必要不可欠。そしてこれには個人差というものがどうしてもある。

 

 努力は一度に積み重ねられる量に限界がある。どこまで行っても特訓というのは、自然じゃない状態に置くことで自然な状態以上の成長を強制することだ。それを踏まえれば、休むべき時にきちんと休むことも努力の内だ。

 

 これはちょっと、逆効果にしかならないだろう。

 

 ただ―

 

「おーい。本気で強くなりたいなら、休息をきちんと取らないとだ―」

 

 ―ギロりと睨まれたよ。

 

 なんていうか鬼気迫ってるっていうか、追いつめられている人間の表情だな、これ。

 

「……黙っていてください。私は、強くならないといけないんです」

 

 そう言い捨てて、そのままこっちを無視して黙々とトレーニングを続けている。

 

 ったく。気合と根性で無理すれば問題がどうにかできるなら、世の中もうちょっと簡単で分かりやすくできてるだろうに。

 

 肉体的に個人差があるように、精神にだって個人差がある。そして精神っていうのがいわゆるソフトの類である以上、ハードという限界を凌駕することは普通出来ない。そういうことができるのは、一人握りの例外とかそういう類だろう。基本気合や根性なんてのは、性能の低下を防ぐことが限界であり、性能限界を突破するようなものじゃない。

 

 自分がそうだという明確な確信があって実証できるならともかく、そうでないのならちゃんとした理屈に則るべきだ。法則っていうのは、きちんと理解して利用できる奴にこそ恩恵を与える者だ。

 

 ただ意地を張ってそこで止まっているままだと意味がない。先生が何を求めているのかは分かってないが、それが嫌だっていうなら「ならどうすれば」を考えないといけないんだけどなぁ。

 

 ま、そう簡単にいかないのが人って奴か。付き合いの浅い俺が言っても無理だろうし、ちょっと部長に頼んで説得を―

 

「……っ」

 

 ―と思ったら倒れたぁああああ!?

 

 ああもう、言わんこっちゃないんだからなぁ、もう!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そんなわけなんだけどさぁ、カズヒ姉さんにはなんか対案にできる物……ない?」

 

『そこで私を即座に相談相手に選ぶ当たり、慕われてると喜ぶべきなのかしらね』

 

 ため息交じりの返答に、俺がため息をつきたくなった。

 

 いや、グレモリー眷属は基本的に小猫側だから相談するまでもない。あるならそっちに誘導してるだろう。あるのに誘導してないのなら、これを機に受け入れてほしいってことなんだろうな。

 

 そしてヒマリはこういう時無理だ。一緒に心配してくれるのはそれはそれでありがたいけど、具体的な解決には向いてない。解決策を見つけてから協力を要請するのなら、あいつは全力で協力してくれるだろうからそっちにするべきだ。

 

 そもそも事情を知らない以上、その辺りから取っかかるのは不可能だろう。部長達が言わない以上、相応な事情があるから深入りするのも気が引ける。

 

 なので相談相手は自然と限られる。

 

 幸いリーネスがカズヒ姉さんの補佐もしてくれているので、相談できる相手が二人同時にいるのならまとめて相談するべきだ。

 

 そんなわけで、カズヒ姉さん向けの装備のテストを行っている二人の実験ルームに通信を繋げている。

 

『困ったものねぇ。総督は基本、本来ある物を削ってまで上乗せするより、本来ある物を伸ばして強くなることを良しとする人だもの』

 

 そう頬に手を当ててため息をつくリーネスの隣で、カズヒ姉さんが水分を補給してた。

 

『……プハッ。まあそういうスタンスから見て「他を用意する暇があるなら」ってレベルなんでしょうね。朱乃も小猫も、つまりイッセー達みたいなスペシャルな持ち味を持っていて、それをあえて封じているってところかしら?』

 

『そのようねぇ。まあ、朱乃さんは堕天使としてスペシャルだから伸ばしたくはなるわねぇ。なら小猫もスペシャルな何かを持っているわけねぇ。……余ってるならぁ、頂戴?』

 

『ええどうぞ。……で、そうなると確かに伸ばしたくはなるでしょうね。コーチが担当分野で優れた才能を見つけたのなら、伸ばしたくなるのは当然。当人もその分野で成長することを望んでいるなら、そう指摘したくなるのはおかしなことでもないわね』

 

 ……さらりと間接キスを平然としないでくれ。

 

 おぅふ。我ながらクッソ小物じみた羨ましさを感じているじゃないか。

 

「……おバカな嫉妬心を燃やしている暇があるのなら、とりあえず水分を補充してください。休憩中に水分はきっちり補給した方が効果的だと分かっておられるでしょう?」

 

 メリードに後ろから指摘されたので、俺はスポーツドリンクを飲んで嫉妬心を流し込む。

 

 そんな俺の嫉妬心を知ってか知らずか、リーネスはそのまま少し考えこんだ。

 

『とはいえ、深入りされたくない事情でしょうし、私達からやるのなら色々考えるべきでしょうねぇ。とりあえず、まずはリアス部長辺りに相談するべきだわぁ』

 

『そうね。付き合いが浅い私達だと、どこまで踏み込んでいいか判断できないでしょう。星辰奏者の適性があれば施術を受けるという手もあるけれど、総督のスタンスからすれば「その前に克服」か「どっちにしても克服」になるでしょうしね』

 

 リーネスに続いてそう言ってから、カズヒ姉さんは画面越しに俺を真っ直ぐ見つめた。

 

 ……照れる場合じゃないな。これは真剣な問いかけが込められている気がする。

 

『和地、相談には二種類あるわ。既に自分の中で答えが出ているから背中を押す以外の意見を欲してない相談と、答えのあるなしに関わらずよりよい方法を求める為の相談が』

 

 そう前置きして、カズヒ姉さんは真っ直ぐに、体ごと向き直って俺に告げる。

 

『私に惚れたというのなら、貴方は後者ができるようになりなさい。相談の返答がどんなものであれ、それを受け止めて自分なりにより良い答えを出そうとする努力を、忘れちゃダメ。そして―』

 

 

 

 

 

 

 

 

「―抱え込むことで毒に変わる前に、相談できる相手を作りなさい……か」

 

 その意味がよく分からないまま、丸一日経ってしまった。

 

 まあとにかく、報連相は大事な物だとわきまえておくべきだろう。

 

 そういうことができるように生きろってことだとも思う。同時にそれ以外にも何かしらの意味や強い感情が込められていた気もする。

 

 リーネスがカズヒ姉さんを見ている視線も、なんというか痛ましい的な感じだったしな。どうも大変なことになってるのだろう。

 

 まあそうなると、色々と相談をするべき相手を探すべきだろうと俺は結論。

 

 ちょうどトレーニングメニューも後半に到達したので、俺はその長距離行軍の練習を行うついでに、イッセーのところに行ってみることにした。

 

 グレモリー眷属歴が浅いイッセーなら、比較的俺に近い目線で語れるだろう。その上で深入りするかどうかを決めて、リアス部長に相談って流れだろうな。

 

 流れなんだろう、け、ど。

 

「……さっきからドッカンバッコンでっかい音ばかりしてるな、オイ」

 

 というか、明らかに爆発が起きている。

 

 ……イッセー、死ぬんじゃないか? むしろなんで生きてるんだ?

 

 俺がそんな感じで現場の近くに降り立つと―

 

「おっぱいがおっぱいがおっぱいがいっぱいだぁああああああ!」

 

 ―なんか、ラリってるんじゃねえかと言わん表情で、攻撃を的確に回避してるイッセーがいた。

 

 後水を利用して火球も相殺している時がある。

 

 え、なにこれ怖い。

 

 なんであんな精神状態であんな機敏かつ正確に動けるんだよ。完璧にドラッグ決めてるだろって表情だぞ?

 

 あ、ランナーズハイとかそういった常態か。そもそもそうならないように自分を鍛えて維持した方が、安定性があっていいと思うけどなぁ。

 

「……お、あんたは確か九成だったな」

 

 と、そこで汗を拭いていたラトスが、にこやかに話しかけてくる。

 

 というか気安く肩を回し来る当たり、人懐っこいタイプなんだろう。

 

「姐御に一目惚れして告白するたぁやるじゃねえか。俺やディックじゃ考えられねえことするねぇ。ま、姐御に胸を預けてもらえるよう頑張るこった!」

 

「それは当然精進するさ。惚れた女が少しぐらい弱み見せれるようにならないで、誰かの涙の意味なんて変えれないしな」

 

 俺がそう答えると、ラトスはちょっと面食らった表情を浮かべていた。

 

 なんだよ。失礼な奴だな。

 

 まさかここで躊躇するとでも思ってるのか? それはちょっと舐めてくれてるなぁ。

 

「嘆きで生まれた涙の意味を、流れる時には喜びに変える。もとから目指していた道を、原点(あの笑顔)を思い出させるカズヒ(彼女)の前で曲げられるか。惚れた理由が理由なんだから、原点を曲げるわけにはいかないだろうに」

 

「……ハハッ! いいじゃねえか!」

 

 なんというか気持ちいい笑顔を浮かべがら、ラトスの奴はバンバンと俺の背中を叩いた。

 

 な、なんか気に入られたか?

 

「何せ俺やディックはどうも神聖視しちまうところがあるからな。姐御の男になるっつーなら、むしろそれぐらい真っ直ぐに立ってるやつの方が向いてるわな」

 

「……そ、そうか。とりあえず恋敵でないのは安心だな」

 

「安心しろ安心しろ。神々しすぎてそう見にくいし、そういうわけだから他の女を侍らかしながら付き合うなんて無理だしな!」

 

 あ~。カズヒ姉さんはそういうことはっきりと周りにも言ってるのかぁ。

 

 面倒だなぁ、オイ。

 

 俺が呆れ半分でため息をついていると、ラトスも同意見なのかちょっと遠い目をした。

 

「……カズホ当たりを狙ってみたらどうよ? あいつは姐御に言い寄る奴に小姑かする時があるけど、だからこそまとめて娶るって根性みせりゃぁ評価高くなるんじゃね?」

 

「勘弁してくれ。そこに関しちゃ俺も困ってるっていうか、カズヒ姉さんと付き合う為に付き合ってくれとか姉さんにも相手にも失礼だろ」

 

 マジでそこが困ってる。

 

 既にカズヒ姉さんに惚れちゃってる中で、他の女に惚れるってのは中々大変だろう。

 

 そういうことができる奴がいるのは分かるし、ハーレムOKの冥界で全否定するつもりもない。

 

 ただし自分ができるかどうかは別だ。というか、俺は一応人間だからその辺大丈夫なのか?

 

「……転生悪魔になると面倒なしがらみが多そうなんだよなぁ。堕天使側(ウチ)、転生システムを流用する予定はないみたいだからそっちも難しいしなぁ」

 

「ま、その辺はおいおい考えようや。で、そっちは何しに来たんだ?」

 

「ああ、ちょっと練習もかねて相談に……なんだけど、あれ何?」

 

 俺が視線でイッセーを示すと、ラトスはなんかちょっと視線を逸らした。

 

「……ここ来てから妄想だけが癒しだとか言ってたんだがよぉ。最近は並列作業でどんな時でもできるようになっちまったみてえなんだ」

 

 病気だろ。

 

 流石、嫉妬心や覗きを抑えるだけでひきつけを起こす男。両親を殺すと挑発された時より、敵の技がおっぱいを半減できると思ったことの方が怒りに燃えた男。

 

 ちょっと本気で病気じゃね?

 

「後最近、滝に打たれながら妄想してるんだけどあれなんだ?」

 

「分かりたくもねえよ」

 

 俺は速攻で言って切り捨てた。

 

「……お? こんなところに来てたのかよ和地」

 

 しかも先生まで来ちゃったよ。

 




 まあ今回はジャブというか導入までの閑話に近いですね。

 さて、和地あたりの女関連事情に関しては、一週間近くかけて悩みましたがD×Dだしやってもいいかな~と思い中。運命力高いメインヒロインに運命力足りないサブヒロインというのはシルヴァリオでもやっているし、結局どう転んでも女に囲まれて逃げ場なくなるのがシルヴァリオの主人公のようですから(境界線はいろんな意味で例外)。

 まあその辺の二つめなども行いつつ、話を進めていっている段階ですね。

 次の話は小猫や朱乃の事情を和地がある程度知る回になり、更にその次で揺らぎが発生する予定です。

 そんでもって今書いている部分で、ちょっとひと悶着発生します。この作品、閑話的な感じで転生者共の負の遺産で爆発できるようになったテロ組織とか出していきたいので、異形編行きます。

 まあヘルキャット編はそこまで激動にはなりませんが、ホーリー編が盛大に激変となることでしょう。旧魔王派三人の強化プランは完成してますし、ディオドラについても少しずつ進んでおります。

 オリジナルだけでなく既存のレイダーやプログライズキーも出していいんじゃないかと思い直したことで、ある程度ストーリーが進ませやすくなっている感じですね。さらにホーリー編では衝撃がかなり出てきていますから。

 それとこの章に組み込むか次の章にするか悩んでいたラグナロク編でしたが、別の章として組み込もうかと考えております。
 なんというか、パンデモニウム編の妖怪がらみと同列にして話を勧めた方がまとまりがいいような感じになりましたので。

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