好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 高評価・感想・捜索掲示板での紹介を欲しながら、いろいろと書いているグレン×グレンです。

 現在、ある程度の見切り発車が自分に最適でありながら、そのせいでうっかり重要部分の中でも重要な部分がノータッチ寸前だったことに気が付いてちょっと焦っておりました。すぐ仕立て直すのでそこはご安心をですがね。


黙示覚醒編 第二十七話 揺らぐ大王派

和地Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……と、いう感じになっております。はいカズ君、質問あるかな~?」

 

「とりあえず、フェニックスの涙は混ぜ物厳禁じゃなかったっけ?」

 

 リヴァ先生の一通りの説明に、俺はそんな質問を返してしまった。

 

 ……兵藤一誠がいたりし、更なる領域。二体の龍神から作られた体を持つからこそできる、禁手(バランス・ブレイカー)覇龍(ジャガーノート・ドライブ)、果てはその先だった真女王(カーディナル・クリムゾン)すら超えた前人未踏のさらにその先。

 

 その名を、D×D(ディアボロス・ドラゴン)(ゴッド)。またの名を、龍神化。

 

 ……神器無効化能力が無効化できないほどに高まったその性能は、まさに前人未踏。リゼヴィムですらサウザイアー抜きでは負けていただろう。もはやイッセー、超越者になっているな。

 

 だが世の中そんなに甘くない。イッセーは毎度毎度意味不明な成長を遂げるが、それらはきちんと積み重ねてきた下地があってのものだ。また掴み取ってもそこから習熟が必須であり、なり立てでは勢い任せが限界なところもあった。

 

 今回の場合、イッセーは限界を超えた負荷で死にかけたわけだ。

 

 血反吐を吐いて倒れたイッセーは、その後一斉に多臓器不全。冥界を代表する治癒の力たるフェニックスの涙はおろか、我らがD×Dの生命線たるアーシアの回復すら効かなかった。この病院に俺と一緒に運ばれた際、集中治療室であらゆる生命維持装置をぶち込むことで何とか生きている状態だったそうだ。

 

 だがそこから半日後。アザゼル先生がある指示を出した。

 

 ……母乳をかき集め、そこにフェニックスの涙を混ぜた溶液にイッセーを浸けろ。

 

 病院のスタッフはさぞ困惑しただろう。しかも風呂桶一杯分レベル集める必要があり、この病院の産婦人科はおろか、別の病院からもかき集めたとか。堕天使元総督の指示があるからいいものの、この非常時にこんな行動を要請する方もされる方も頭痛ものだろう。先生の指示でなければ暴動が起きそうだ。

 

 混ぜ物厳禁*1のフェニックスの涙を、母乳に混ぜ込む。そしてそこに、多臓器不全で生死の境を彷徨っている、冥界の英雄を漬け込む。

 

 見ても聞いても自分の正気を疑うだろう事態だが、忌々しいことに凄く納得できてしまった。

 

 実績が無駄にありすぎる。目にしたD×Dメンバー、それもオカ研組は、確実に希望の光を見出しただろう。

 

 そして結果は大成功。今まで装置が無ければ動かしようがなかった臓器が、意識が回復してもおかしくないレベルにまで一気に回復したそうだ。

 

 俺は深呼吸してそれを理解し、かみ砕く。

 

「……あ、やっぱ質問」

 

「うんうん。ちゃんと疑問を見出して聞けるのはいいことだねー。で、どんな感じ?」

 

 リヴァ先生には悪いが、たぶん方向性は違う。

 

「そんなことの為に動いた人達に、保証をする予定はあるのか? 冗談抜きで心労を癒すボーナスいるだろ」

 

「……やべぇ。カズの言う通りじゃね?」

 

 ベルナがハっとなっている辺り、こりゃまだだな。

 

 あ、でも病院に勤務している人とかって、そういうチップを受け取れないんだっけ? でもこれはちょっとアレすぎるしなぁ。

 

「……女神の権限で何とかできないか? これはちょっと、精神的に地獄過ぎるだろ?」

 

「言われてみるとそうなんだけど……どうしたらいいのかしら?」

 

 俺とリヴァ先生が首を捻る事態だが、しかしそれだけってわけにもいかないのが実情だ。

 

「ま、それは後にした方がいいわね。今はもっとやばいことが多いし」

 

「あぁ~そうだった! かなりまずいんだった!」

 

 春っちの言葉に鶴羽が頭を抱えるが、どうやら想像以上にやばそうだな。

 

「王の駒関連で冥界政府で暴動多数。内乱一歩手前ってことか?」

 

「近いかな。……各地で暴動が多数起きているんだ」

 

 インガ姉ちゃんが頷くと、新聞を一つ渡してくれる。

 

 確認してみるが……酷いな。

 

 皇帝(エンペラー)の告発で民衆が各地で暴動を起こしている。そこにトライヘキサの復活や行動に伴う更なる恐怖もあって、各地が機能不全状態。とどめにこの告発で立場に致命傷を負った者達は、暴動に対する反撃を超え、自棄を起こして暴走している連中が多発しているとのことだ。

 

 特に文面の一つを見て、俺は舌打ちをしたくなった。

 

 ―冥界の若き俊英、フロンズ・フィーニクスも後手に回っているのが現状。各地の反乱に即応部隊を送ることはできているものの、戦力が足りておらず苦戦しており負傷者多数。義によって独自に救援に駆けつけた貴族達がいなければ、全滅の危機もある事態だらけで各地は疲弊。若手四王と並び立つ彼をもってしても、今回の事態は手に余る事態ということが証明されている。

 

 あのフロンズですら、相当苦労しているようだな。

 

「……ま、その辺は演出もあるんでしょうけどね」

 

「どゆこと?」

 

 リヴァ先生の呟きに、鶴羽が首を傾げていた。

 

 正直なところ、俺達も分かってないな。

 

 ただ、リヴァ先生は肩をすくめていた。

 

「……どうもフロンズは、独自に王の駒の真相を悟ってアザゼル元総督という「絶対にノータッチな権力者」に助力を求めたみたい。先生はこっちの救援部隊の手配と引き換えにその辺りの保証をしたみたいで、フロンズ・フィーニクスがそういう方向での懸念や批判を受けてないのはその賜物よ」

 

「ってことは、フロンズ達は備える余裕が少しはあったわけか」

 

 となると確かに不思議だな。

 

 短い時間とはいえ、王の駒やレーティングゲームの不正が告発されると分かっていた。ならフロンズは先を見据えて備えるだろうし、当然この流れも予想できたはずだ。

 

 想定外の規模になったとしても、自分達で対処できる範囲内を見極めて動く準備はしているはず。だが文面を見る限り、場当たり的な対応を繰り広げている節がある。

 

 ってことは、わざと戦力を小出しにしているという事か? だがそれにしたって非効率的だし無駄に犠牲も出そうだな。

 

「つっても、演出ってどういうこった?」

 

「推測だけど、フロンズ達を独自に助けているって貴族達に、事前に根回しとかをしていたんじゃないかしら? 彼らなら必ず、やけっぱちで暴れる不正貴族が出ると読むでしょうし、派遣された部隊は最初から「貴族の救援が合流すれば」十分な勝算が出る規模に調整しているわね。それも損害のマージン計算もした感じで」

 

 指を口元に当てながら、リヴァ先生はベルナの質問にそう説明する。

 

 なるほど。そういう調整をしそうなやつではあるな。

 

「確かに。救援が来るまでは苦戦しているみたいだけど、救援が来ても負けたって話はないね」

 

 インガ姉ちゃんもそう言うけど、確かにそこまでは納得だ。

 

 救援が来れば確実に勝てる。そういうレベルの戦力にわざととどめているわけか。

 

「って、なんでそんな演出がいるのよ? さっぱり分からないんだけど?」

 

「だよなぁ? 奴さんは兵士を私財って見れるだろうが、こんな形で無駄遣いはしねぇだろ」

 

 鶴羽とベルナがそう言うし、俺もちょっと追いつかないな。

 

 短い付き合いだが、あいつは冷血ではあっても愚鈍じゃない。

 

 演出で配下に死傷者が出ることを損失とは考えられる。そしてわざわざそんな演出をする必要がないし、損失するのは兵士だけじゃなく、手駒の強さに対する民衆の信頼もだ。

 

 損が大きすぎないかとは思ったが、リヴァ先生の判断は違うようだ。

 

「自分達だけじゃなくて、大王派全体の利益を重視してるのね。もしくは自分達の大王派ってところかしら?」

 

「あ~……なるほど、ディオドラとは器が違うね」

 

「目先の自分達だけじゃなくて、今後数十年以上の大勢ってことね」

 

 一瞬よく分からなかったが、インガ姉ちゃんと春っちは納得したらしい。

 

 仮にも上級悪魔に仕える眷属悪魔だったしな。二人にはまた別のものが見えているのか。

 

 ただ、二人とも戦慄というかげんなりといった表情な辺り、フロンズは禄でもないことを考えているな、これ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ディアドコイ・プライベーティアの基地にて、フロンズ達は会議室に集まっていた。

 

「……とりあえず、こっちが対応した暴動は殆ど終わったな。一部部隊を残った暴動の対応に回しているが、あとはゆっくり少しずつでいいだろ」

 

「ありがとう、ノア。これで必要最小限の対応はできただろう」

 

 ノアの報告を聞き、フロンズは少し表情を和らげる。

 

 一つ安堵の息を吐いたうえで、フロンズはモニターの映像を切り替えた。

 

 冥界で起きた暴動の様子が映し出されていたモニターは、今度は神話の領域を襲撃するトライヘキサの姿を映し出す。

 

「今後はこちらも、戦力の比重を奴に傾けるべきだろう。……対龍神クラスをコンセプトとしたGF(ギガンティック・フォートレス)を要する我らが、龍神クラスであるトライヘキサに動かないわけがないのだしな」

 

「だな。一応アースガルズにはサンタマリア級を主体とする艦隊も派遣しているが、冥界の対応もあって本腰は入れられなかったしな」

 

 フロンズと共に映像からデータを解析しつつ、ノアは同時並行でタブレットを操作する。

 

 そこには自分達の救援として動いた上級悪魔達や、その眷属のデータが映っていた。 

 

「とりあえず、奴ら一人につき一件の尽力で最低限の手柄は完了。あとの暴走不正貴族は、上級悪魔複数人にこっちからカバーと宥め役でチームを作って、「いのちだいじに」で対応させる、と」

 

「所詮は何の連携も戦略もない、只の暴走だからな。急いで成果を上げる必要があった今まではともかく、ここからは死者を出さないことが理想ゆえにな」

 

 そう。この暴動は、それだけなら決して致命的な窮地ではない。

 

 ディハウザーによる不正の告発は、半ば不意打ちによるものだ。ある程度察することはできたようだが対応が間に合わなかったからこその大騒ぎ。だからこそ、フロンズ達はその揺らぎによって不正を掴むことができたのだ。

 

 大王派の重鎮達ですら対応が間に合ってない。となれば、末端の不正貴族にとっては青天の霹靂だろう。皇帝ベリアルのネームバリューや信頼、そしてクリフォトのリゼヴィムが誇るこの手の辣腕が見事にはまった形になる。

 

 だからこそ、この暴動は示し合わせたものではない。なんの根回しも行われておらず、先行きすらも考慮していないだろう。焦りすぎたり自棄を起こした不正貴族が暴発し、それが連鎖反応を起こしているだけだ。

 

 ゆえに、フロンズ達だけで解決することも不可能ではない。それぞれが連携しても戦略的対応が無いのだから当然。被害を収める遅滞戦術を全体的に取りつつ、倒しやすいところから順番に戦力を注力すれば被害は最小限に抑えられる。

 

 それで暴動はどうとでもなる。よしんば王の駒使用者が出張ってきたとしても、後継私掠船団と魔王派を連携して叩きつければ十分勝てる。堕天使元総督であるアザゼルの保証もある為、自分達のダメージコントロールは十分だ。

 

 何より今後を考えるのなら、自陣営の名誉を守るだけでは全く足りない。トライヘキサという驚異が邪龍達の気まぐれで暴れ回っている以上、そちらに対する注力が必須だろう。サンタマリア級を中核とする艦隊を派遣しただけでは足りないと言ってもいいのだ。

 

 ……だが、それらはあくまでフロンズ達だけの場合だ。

 

 王の駒やゲームの不正は大王派が主体だが、大王派の悪魔全てがもれなく完全に黒いというわけではないのだ。

 

 家柄と権威が絶対される大王派では、初代バアルが直々に動いた不正の命令を拒否するのは不可能に近い。そして当然だが、何も知らない者達も数多いのだ。実際、フロンズ達は短時間で相当数のそういった者達を確認している。

 

 自分達だけが無事でも、大王派は壊滅的打撃を受ける。そうなれば今後の政治においてはどうしようもない。規模とはそれだけで重要なのだ。

 

 ゆえにこそ、フロンズ達は演出まで踏まえた対応を行った。

 

 何よりも無関係な民が巻き込まれないように対応。こちらだけではそれを達成できるが、肝心の不正貴族打倒は苦戦必須の戦力を、示し合わせた貴族達が合流することで打倒できる塩梅にする。そしてその調整によって浮いた戦力を、トライヘキサに対する対応は後詰として回す。

 

 ……結果として、フロンズ達が繋ぎを作れた「シロ」の貴族達は、暴走した不正悪魔達を苦戦するフロンズ一派を助ける形で鎮圧。そのうえで、合流して残っている不正貴族達の鎮圧を続けていく。

 

 今後は彼らが安全に配慮しながら鎮圧をすればいい。それをスムーズに行う為の戦力だけを残し、フロンズ達はトライヘキサや禍の団を警戒した対応をする。この流れは確定したと言ってもいい。

 

「トライヘキサが不調を起こしたとみられるのも都合がいい。タイミングがかみ合ったので、よりスマートに戦力再編ができるだろう」

 

 一息すらつける状況に、フロンズは本気で安堵している。

 

 王の駒及びゲームの不正を悟った時は、流石のフロンズも心臓が止まりそうになった。

 

 それを何とか乗り切ることができそうだと安心し、しかし同時にそこ止まりだ。

 

 その内心まで読んでいるノアは、同情の表情をフロンズに向ける。

 

「ま、同時にそこ止まりなんだがな。大王派が後遺症を負うことに変わりはねえ」

 

 ノアはそこまで行ってから、大きなため息をつく。

 

 そう、フロンズ達は致命的な事態を避け、多くの白い大王派も、首の皮一枚は繋がった。

 

 だがそれはそこまでだ。大王派の重鎮達がここまで大規模な不正を行っていた以上、大王派全体を見れば大きな深手を負うことに変わりはない。

 

 大王派全体がもろとも被害を喰らう。そんな中、フロンズ達の行動は「大王派のマシな者達が個人的に被害を受けない」為のものだ。大王派全体が被害を受ける以上、フロンズ一派は多大な悪影響を巻き添えで食らってしまう。

 

 実質的に魔王派であるサイラオーグであろうと、かなり悪評が立つだろう。となれば大王派である自分達なら、当然被害は甚大だ。

 

「……計画は思いっきり遅れそうだな。世紀単位で考えるべきか?」

 

 ノアもため息をつくと、フロンズもそれに引っ張られたのか眉間にしわを寄せて更なるため息をついた。

 

「悪魔と言え、若手の感覚では苦渋の時代を歩みそうだ。……幸香達にどう釈明したものか」

 

 俯きながらそう零すほどには、フロンズ達はダメージを受けていた。

 

 それでも必要な作業をしっかりと行っている点は凄まじいが、それでもできないことはできないのだ。

 

 上層部が働いた愚行のツケを支払わされる現状に、二人が強い頭痛を覚えていた、その時だった。

 

「……フロンズ、ノア」

 

 その言葉と共に、ハッシュ・バアルが入室する。

 

 そしてそれだけで、二人は嫌な予感を覚えた。

 

 ハッシュがこの流れでノックもしない。この時点で、彼が冷静さを削られるほどの事態が起きたことを意味している。

 

 そして視界に映るハッシュは、顔面蒼白を体現する顔色だった。

 

「おい、どうした?」

 

 思わず立ち上がりながらのノアの言葉に、ハッシュは力なく首を横に振る。

 

「……父上が……」

 

 その小さな言葉に、二人は戦慄すら覚え―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「最悪だ……っ」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―続く説明に、絶望すら覚えかけた。

 

*1
途端に力が失われる




 母乳治療でイッセーが窮地を脱している間に、シリアスに窮地なフロンズ達。

 上があほなことをしているせいで知らないところで致命傷を喰らいかけており大ピンチなフロンズ達です。

 そしてこっから、フロンズ達の命運を左右する事態がさらに起こります。
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