好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
イッセーSide
ったく! 何とか間に合った!
間に合ったけど此処からどうする?
敵のタルウィルとかいうアントレイダーが、星辰奏者だってことはもう分かった。
このやけにへばりついて消えにくい炎。これが奴の星辰光か。
本当に千差万別なんだな、星辰光ってのは。九成やミカエルさんが使ってるのとは全く似てないし。
『同感だな。神器にも色々あるが、こいつらは能力の方向性だけでなく、それぞれで得手不得手まで異なると来た。こんな異能が人間世界でも使われ、まして異形にも通用するとは世も末だな』
まったくだ。しかもそれで、タンニーンのおっさんが大事にしているドラゴンアップルを燃やそうってのが最悪だ。
こいつがその肝だっていうなら、此処で俺がぶっ飛ばす。
「一度でも火をつけりゃぁ、こっちの勝ちだって分かってるかぁ、この偽物野郎が!」
っていうかさっきから撒き散らすな! 周りが火の海じゃねえか!
ったく。こんなところでやられるわけにはいかないし、あまり燃やして被害が増えていいわけでもないってのに。
俺は咄嗟に燃え残ってた木を盾にして、炎を防ぐ。
そのついでに、死角に入っているからちょっとだけ確認。……よし、これならいけるか。
ドライグ。ちょっと無茶するが大丈夫か?
俺はちょっとぐらい文句を言われるかもと思ったけど、ドライグは平然としている。
『安心しろ。コカビエルやヴァーリ・ルシファーを潜り抜けた時こそシャルロット達の助力があってこそだが、タンニーンとの特訓は相棒の力になっている。この程度の奴なら、今なら十分渡り合えるさ』
激励サンキュー! 腹もくくったぜ!
じゃあ、反撃行くか!!
和地Side
俺は即座に星辰光でインガ姉ちゃんの周りにカバーを作ると、敵さんに対して攻撃を敢行する。
接近して殴り飛ばしたいところだが、乱戦になるのは避けたい。
袋叩きになると不覚を取りそうだし、数の問題があるからレジスティングアーミーを撃ち漏らしてインガ姉ちゃんが襲われる可能性もある。
堕天使側の客人である俺よりも、他種族由来の転生悪魔のインガ姉ちゃんの方がむかつくだろうからな。そこは気にするべきだろう。
と、いうわけで。
通路に入り込んで銃撃戦を仕掛ける敵に対し、俺も星辰光の防壁で攻撃を防ぎながらやるべきことをやる。
「ふははははははは! 本物というからには強いのかと思ったが、紛い物一人倒すのに苦労しているようじゃあなあ! もういっそのこと、役に立たないお前ら無能を間引いた方が本物の悪魔の為になるんじゃないか!? 俺ってきっと貢献したってことで褒賞されるぜ、絶対」
「てめぇええええええええ!? 殺す! 絶対殺す! 殺したうえでミンチにしてやるよぉおおおおお!」
徹底的に挑発し、俺のことを他種族由来の転生悪魔と誤解されるようにすることも忘れない。
これで奴の意識をインガ姉ちゃんから逸らしておけば、俺に攻撃が集中するから大丈夫だろう。
どうやら奴さんの星辰光は、拡散性・操縦性・付属性の合わせ技による戦闘フィールドの環境変化。それもおそらくは極低温状態にする類だ。
センサーが判別するところでは、北極とか南極とかレベル。この環境を建物内部で満たしつつ、味方に対する悪影響を最小限に押させることで有利に進めているってことだろう。
念には念の為に厚着もしていたから、とにかく向こうが有利に立ち回れている。とはいえ見えないところに操縦性を生かしている当たり、何かしらの位置察知手段を用意しているとかそんな感じだろう。
……最悪なのは、此処が室内だということだ。
室内ということは、外気温の影響を受けるのに時間がかかるということ。今の季節なら、星辰光が解除されればすぐにでもぬるくなるだろう状況が、室内かつ入口を可能な限り壊さず入ったことで阻害されるわけだ。
インガ姉ちゃんには可能な限り遮熱型の結界を用意したけど、そんなもの北極で鎌倉作ってヒバークしてるようなもんだ。この薄着だと限度がある。
あまり時間はかけられない。時間がかかると低体温症でインガ姉ちゃんがまずいし、同様の事態になる人達も多いだろう。そもそも他の連中が他の他種族の人を殺すはずだ。
つまり、長期戦闘に持ち込むことは本来悪手。
敵もそれが分かってるんだろう。だからこそ、激高してはいるけど余裕もある。
ああ、このままだとこっちがジリ貧で戦術的に敗北するんだが―
イッセーSide
おっしゃ行くぜ!
作戦も立てたし、あんまり時間もかけられねえ。
だから一気に行くぜ!
俺は回避を辞めて一旦燃え盛る気を死角にして準備を整えると、そのまま走り出す。
フェイントも何もない突進だけど、その分一気に距離は詰めれる。
同時に倍加のカウントも溜めに溜めたからな。これで一気にぶん殴る!
「馬鹿がぁ!」
もちろん相手も真っ向から焼夷炎弾をぶっ放してくるけど、その対策はできてるんだよ!!
「なめんな!」
俺は事前に脱いでおいた、ジャージの上着を投げつけて受け止める。
燃え移る前に投げ捨てて、そのまま全力疾走。
もっかい来る前にシャツを脱いで、二発目も防いだ。
あと五メートル! 向こうも後ろに下がってるけど、バク走じゃあ限界もあるだろ。
「なろうガァ!」
二メートルで放たれた炎を、俺はアスカロンを外して投げつけることで防ぐ。
アスカロンなら燃え尽きないはず。練習の為に一旦返してもらっててよかった!
さあ、これで―
「―――かかったな?」
―そう思った瞬間、相手の全身が炎に包まれてこっちに突進してきた。
え、なんで!? この星辰光ってそんなことできるのかよ!?
「勉強が足りねえなぁ! 付属性ってのは本来こう使うんだよぉ!!」
マジか! 自分の攻撃で傷つかなくなるのかよ!?
っていうかコレ、完璧にカウンターだから―
「水!」
全力で譲渡して、持ってきていた水を叩き込む!
タンニーンとのおっさんとの修行で、おっさんの炎を何度も消してきた俺の特訓の成果だ。流石におっさんの炎より強いってことはないだろうしな。
今までずっと隠してた、最後の切り札だ!
そしてここからが本番だ。
「ぶっ飛びやがれぇえええええええ!」
勢いよく、相手を盛大に殴りつける。
……こっそり持ってきていた十字架と聖水のセットで。ついでに一撃の威力じゃなくて、顎を掠めて脳震盪させる方法で。聖なるオーラって体が動けなくなるから、脳震盪込みなら一撃で倒せるだろ。
ライザー相手に戦う為に、生贄に差し出してドラゴンにしたことで手にした切り札。俺の左腕は悪魔じゃなくてドラゴンだから、こういうことが……出来るんだよぉ!!
和地Side
この星辰光で長期戦に持ち込まれればきつい。ジリ貧だ。これは事実だ。
だから―
「―――お待たせ。ここから反撃開始よ」
―出来る奴がいればそれでいい。
今この瞬間、息に気温が跳ね上がった。
マイナス20度を下回る気温が、一気に30度ぐらいにまで跳ね上がる。
その瞬間、遠慮なく俺は本腰を入れる。
「な、なんだと……暑ぅ!?」
相手も狼狽しているこの瞬間、遠慮なく俺は仕掛けに行く。
『SAVE』
「隙ありだ!」
『サルヴェイティングブラストフィーバー』
遠慮ない集中砲火で、一気に敵を吹っ飛ばす。
よし、何とかなったか。
「インガ姉ちゃん、無事か!?」
慌てて振り返るのと、暑くなっていた気温が少し収まるのはほぼ同時。
そして振り返った先には、赤毛を揺らして春っちがインガ姉ちゃんを介抱していた。
「……大丈夫のようね、このまま一分ほど禁手を維持すれば、体温も高まるでしょうね」
まさか春っちが禁手に到達していて、しかもこの状況をどうにかできる禁手を持っているのはうれしい誤算だ。最も変則的な運用だから時間をかける必要はあったけどな。
そして、インガ姉ちゃんもこれで大丈夫ということだ。
「ふぅ。とりあえずインガ姉ちゃんはこれで大丈夫か」
それが確認できれば、あとはこっちは集中するべきか。
「とりあえず、敵の
「OK。避難を終えたらすぐに参加するから、それまで頼んだわよ」
……この戦い、そこに切り札が一つあった。
春っちが神器持ちで、しかも禁手到達者。
その中にこの極低温地獄を打開できるという禁手があり、しかしチャージ時間が結構掛かるということでそこまで凌ぐことに徹していた。
そして見事成功。しかも星辰奏者を撃破したから、これで極寒地獄が続くこともない。
……さて、あとは一気に残敵掃討するだけだな!
Other Side
『あ、まさかと思ったけどお前もそっち行ってたのかイッセー』
『ああ。なんかどこも大変だな。テロリスト多すぎだろ? 九成は大丈夫だったか?』
『ああ、そっちは何とかなったんだけど―』
『……何その沈黙?』
『……ザイアに拾われる前の知り合いの女性二人、ハードな人生を送った上で転生悪魔になってて。ヘビーでヘビーでそれとなく聞いてすっごくいたたまれなかった』
『なんだよその運命の出会いは! あれか、カズヒが男にハーレム作れること要求していたってのはマジか! フラグだったのか!?』
『おいやめろ。本当にヘビーだから、笑い話にできないから! あとディオドラとヴィールの眷属悪魔だそうだから、もしかしたら顔見てるぞ?』
『マジか!? っていうか問題はそこじゃねえな、大丈夫なのか?』
『一人は武闘派だったのか余裕なんだけど、もう一人が低体温症でこれから搬送される感じだ。そっちは?』
『こっちは大丈夫。ドラゴンアップルに火は移ってないし、今水や氷の属性を司るドラゴンが総出で沈下してる。星辰奏者も殴り倒したから大丈夫』
『なるほどな。じゃ、お互い戦後処理とかありそうだし、今日のところはこの辺でっと』
枉法インガは、ふと気づくと簡易ベッドに横たえられていた。
てっきり殺されるかと思ったが、どうやら無事らしい。
意識が朦朧としている時に、まるで勇者のように現れた、青い装甲を纏った戦士を見た気もするが、意識が飛びかけていた所為で曖昧な状態だった。
「……あ、起きた?」
そんな声がかけられて視線を向けると、そこには赤い髪をポニーテールにした少女が一人。
確か成田春菜という、自分とな異なる形で和地と付き合いのあった少女だったはずだ。
戦闘に巻き込まれてはぐれたのだけは覚えているが、どうやら無事だったらしい。水を飲みながら簡易チェアに座ってこちらを見ていた。
「あ、私……」
「あまり無理しない方がいいわよ。私は一応起きるまで見てただけだから、もう行くしね」
そう言いながら、春菜は軽く肩をすくめた。
「私は休憩のついでに頼みごとをされただけだもの。それももう終わるから、帰らせてもらうわ」
そう言って、彼女は一枚の紙を取り出すと、それをインガの枕元に置いた。
「和地からの贈り物。連絡先だそうよ」
そう言われて、ちらりと視線を向ける。
ふと思うのは、それを自分が貰う資格があるのかということ。
その迷いを知ってか知らずか、既に立ち上がって去ろうとしていた春菜は、こちらに一瞥を向ける。
「……お節介かもしれないけど、貴方の人生に柱はある? もしないなら、それは取っておきなさい」
見透かすようなその目は、近い人生経験をしたことからくる同情心か。それとも彼女の言う「柱」を、彼女自身が失った経験があるからこその直感か。
「前に進みたいのに進めないなら、せめて引っ張り上げてくれる手を掴み損ねないことね」
あまりにも、自分に対して痛烈に刺さる言葉だというほかなかった。
特撮とか映像作品だと映えるような場面切り替えになりましたが、文字にするとちょっと微妙かもしれませんね。
媒体に合わせた視点の切り替えって重要だということでしょうか。こういう時、視覚的にインパクトがある媒体で創作できる人がうらやましいです。