好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 高評価・感想・捜索掲示板での紹介を心から欲しながらも、筆が進まないことに苦労しているグレン×グレンです。

 本日より、結構な間、和地たちが箸休めポジションになります。


黙示覚醒編 第三十話 動乱のバアル城

Other side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 冥界のバアル領。そこに存在する、宗家である大王の城。

 

 今そこでは、激しい戦闘が繰り広げられていた。

 

 大王派宗家の城ともなれば、警備は厳重で兵の練度も人数もすさまじい。かけられている結界も、質量ともに最高水準。冥界でも屈指の防衛拠点といえるだろう。

 

 チームD×Dの関係者が数多く住み、和平の地でもある駒王町。それすら超える堅牢な場所であり、またかつての内乱でも争いに巻き込まれることはなかった。

 

 だが、襲い掛かる凶手はそんな彼らを相手に引けを取らない戦闘を行っている。

 

 チームD×Dからバアル・アガレス・シトリーの眷属が駆け付けているが、それでもなお苦戦するほど。この時点で、凶手が凄まじい敵手であることを物語っている。

 

 そしてその戦闘を少し離れたところで見ながら、一人の男が小さく微笑んだ。

 

「……好都合と、言ったところか」

 

 そう呟いた男は、そして指を鳴らす。

 

 瞬間、数人の悪魔たちが現れて跪く。

 

 その配下の対応だけで、彼が相応の地位にいることを示している。

 

「手はずは整っているかね?」

 

 男が確認すると、配下の者達は次々に頷いた。

 

「は、呼応してくださったのは合計十名。王の駒保有者も三名駆けつけてくださいました」

 

「誰もが眷属だけでなく、配下も連れてきております。合計すれば五百を超えるかと」

 

「また、あそこの者達にも繋ぎを作ってくださいました。魔王派との手はずも整えているとのことです」

 

 その報告に満足げな頷きを見せる男だが、しかしそこに唯一の訃報が混じる。

 

「それと、呼応してくださった者達の一人なのですが―」

 

 その報告を聞き、男は小さくため息をついた。

 

 表情には苦いものが混じっており、唯一最大の問題だと思っていることが目に見えている。

 

 その反応に配下達は違和感を覚えるが、しかしそれを問い質す隙を男は見せなかった。

 

「では仕掛けよう。可能な限りじわじわと削り殺す方法でいくように。分かったね?」

 

『『『『『『『『『『ははぁっ!!』』』』』』』』』』

 

 そして散る配下を見送ってから、男はバアルの城に振り返る。

 

「……さて、では一世一代の大芝居をするとしよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和地Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……バアルの城が襲撃とか、タイミングがいいのか悪いのか」

 

 病室で体調確認をしてもらっていた俺は、その緊急事態に頭痛を覚えてきた。

 

 勘弁してくれよこの状況下で。間違いなく王の駒とかレーティングゲームの不正関係だろ。

 

 トライヘキサはトライヘキサで、体を分裂させて同時多発攻撃を仕掛けてきている。はっきり言ってそんな状況では、バアルの城までカバーしきれない。

 

 そこまで狙っての行動だろう。やってくれる。

 

 幸いというかなんというか、サイラオーグ・バアルとソーナ先輩が眷属を率いて向かっているらしい。少し不安がないではないが、ここは彼らに任せるべきだろう。

 

「……バアル、か」

 

 俺はぽつりとつぶやくと、天界で出会ったマグダラン・バアルを思い出す。

 

 彼も中々難儀な立場だ。おそらく、今回の事件で更に苦労することになるだろう。

 

 生きて会う事が出来たら、何かしらでねぎらってやりたいものだ。もっとも俺は貴族的なことには疎いから、その辺りが大変だが。……道間藤姫にでも相談するかねぇ?

 

 いや、問題はそこではないか。

 

「敵の規模とか詳細は分かってないのか? 増援に向かうべきかどうかも判断がつかないぞ?」

 

「難しいね。そもそもバアルの城だって、人はかなり出払っているみたいだし」

 

 インガ姉ちゃんがそう教えてくれるけど、さてどうしたものか。

 

 ……今ここで出張るわけにはいかないだろう。俺は自分で言うのもなんだが、さっきまで昏睡状態だったわけだしな。

 

 そういうやつを速攻で動かすのもあれだ。必要性が高まるまでは、ゆとりのあるやつを優先的に向けるべきではある。俺が出張って解決したとしても、似たようなことをして死ぬ奴が出るかもしれないし、こういう手順をむやみに無視すると将来的な作戦活動に支障が出かねない。

 

 そういう点を考えると、だ。

 

「イッセーが暴走特急にならないよう、見張った方がいいんだろうか」

 

「……確かに、先生その辺マジで思っちゃうかも」

 

 リヴァ先生も頷いちゃってるけど、実際その辺は懸念だ。

 

 あいつはあれで社会性はあるし、基本として善性だ。

 

 ただ覗きの常習犯だったこともあって、社会規範とかを順守するレベルは高くはない。サーヴァントだと、たぶんだけど中立・善といったところだ。

 

 自分にとって、大切な誰かにとって必要ならば、世界から悪とみなされてもかまわない。個人としてはある種の美徳だが、社会性を考えると厄介なところがある。滅多なことでは起こさないが、滅多なことだとやりかねない。

 

 実際、冥界の在り方に不満はあってもクーデターを起こそうとはしてないからその辺はまだましだ。だが身内が窮地であり、その対処において反逆者になると言われたらどうなるかは言い切れる。間違いなく、身内になるべく被害を出さない段取りを踏むが、それで終わりだ。

 

 自己犠牲精神が悪い方向に働きかねない。イッセーなら、サイラオーグ・バアルや匙達の窮地なら、処罰前提で突貫しかねない。あいつはそういうことをやりかねない。

 

 ……おそらくだが、トライヘキサ迎撃戦とかになれば奴は必ず入ってくる。周りが止めても聞かないだろうし、勝手に突っ込んでいきかねない。

 

 問題はそれに呼応して、余計な被害を生み出しかねないところだ。言いたくないが、イッセーは現場タイプだ。現場の視点で動くと政治的な配慮も多少はできるが、個人としては現場で動くタイプだ。

 

 イッセーがそういう行動を段取りとか根回しなしで動けば、まず間違いない余計な影響が出る。そのあたりの理解が足りないし、理解しても抑えられないだろう。

 

 だからこそ―

 

「―リヴァ先生、インガ姉ちゃん」

 

 ―その辺りのフォローはしておかないとな。

 

「イッセーにはうかつに知られないようにしよう。手伝ってくれるか?」

 

 ちゃんとその辺は頼んでおこう。間違いなくややこしいことになるだろうしな。

 

 俺のその頼みに、リヴァ先生もインガ姉ちゃんも苦笑しながら頷いてくれた。

 

「ま、イッセー君はそんな感じよね。オッケーまかせてカズ君! 先生頑張っちゃう!」

 

「ま、それとなく見張っておけばいいよね。それぐらいは大丈夫」

 

 ただそのうえで、二人してぐいっと顔を寄せる。

 

 ……頬が少し赤くなっているが、お互い様だろうな、うん。

 

「カズ君もちゃんと休むようにね? 今から出撃は絶対禁止」

 

「そうだよ和地君。今は休むことが君の仕事なんだからね?」

 

「わ、分かってる分かってる! しっかり休めない奴に仕事をする資格なし!」

 

 効率って概念は知ってるから、その辺は安心してくれ!!

 

 と、言うわけで。休む時間ぐらいは稼いでくれよな? その分俺も後で稼ぐから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、バアル城の窮地は大きな転機を迎えていた。

 

 凶手達の首謀者はビィディゼ・アバドン。レーティングゲーム第三位にして、王の駒使用者の一人。

 

 自分の今後を勇退で済ます為、初代バアルという首謀者を処刑することを目論んで彼は動いた。

 

 既に魔王派の過激派とも繋ぎを作った彼は、まず己の保身を確保するべく襲撃を敢行。衛兵及びシトリー・バアルの眷属と激闘を繰り広げていた。

 

 ……その彼が、今まさに窮地に陥っている。

 

 ビィディゼ・アバドンは間違いなく歴戦の強者だ。性能こそ王の駒あってのものだが、王の駒を与えられるだけの価値を見出されているからこそ使用できた。そして駒を使った者達が数多くいる中、彼が三位になったのはそれだけの力量を持っているから。経験からくる読みと根源的な性能さえあれば動かせる才覚は、彼を魔王級の悪魔に導いた。

 

 その事実は決して揺らがない。彼は間違いなく魔王級の実力者。たかだが王の駒程度でそこに至れたことが、彼が凄まじいことを物語っている。

 

「終わりだ、ビィディゼ・アバドン」

 

 そんな存在を、サイラオーグ・バアルは追い詰めていた。

 

 繰り返すが、ビィディゼ・アバドンは魔王クラスだ。その彼を打倒しうるものもまた、そんな存在が絶大な存在であることを証明している。

 

 半端な力量の持ち主が、ビィディゼ・アバドンを倒すことなどできない。魔王クラスとはそれだけの傑物であり、神の領域に届く悪魔であることの証明だ。だからこその魔王という名称なのだ。

 

 超越者という別格の区分を除けば、悪魔という区分において最強格。例えドラゴンですら、決して油断できない危険な存在。悪魔という種族における、ある種の登竜門。王の駒というドーピングがあるとはいえ、そこに至れるのがあまりに狭き門だというのは、駒を使用した者や魔王血族ですら殆どが届いていないことが証明している。

 

 それほどまでの化け物を、打倒できるものは何なのか。

 

 精査するまでもなく化け物である。神や魔王を滅ぼしうる者達でなければ、ビィディゼ・アバドンを窮地の追い込むことなど不可能。それは決して揺らがない、世界の真実だ。

 

 ゆえに、この現象はひとえにサイラオーグ・バアルにとっての偉業である。

 

 レーティングゲームナンバー3。魔王級とすら称される存在。そんなビィディゼ・アバドンを追い込む。それは彼がドーピングで強化されたこととは全く関係ない。

 

 ドーピングであろうと魔王クラスは魔王クラス。それを打倒することを可能にしている彼を、弱者と称する者は愚者でしかない。

 

「馬鹿……なぁ……っ。私は……魔王、クラスと……称され……っ」

 

 間違いないく追い込まれ、崩れ落ちる寸前のビィディゼ・アバドン。

 

 そんな男を前に、拳を握り締めたサイラオーグ・バアルは告げる。

 

 ……彼がここまでの窮地を打倒できたのは、いくつもの要素がある。

 

 一つ。龍王ヴリトラを宿す、匙元士郎の存在。

 

 主ごと「トップ5にはなれないし、大きなタイトルも望めない」と酷評された彼だが、龍王は決して伊達ではない。最上級悪魔タンニーンと肩を並べる、ヴリトラの宿主は間違いなく強い。それを磨き続ける執念があれば、尚更だ。

 

 その呪いの邪炎は、魔王クラスにも通用する。事実、龍王の一角たるファーブニルは、超越者であるリゼヴィム・リヴァン・ルシファーに一撃を叩きつけた。その後も執念で呪い続けて弱らせ、味方の協力で乗り越えたかと思えば、孫の復讐に協力する形で更なる一撃を与えた。龍王は神にすら通用する存在であり、それを生かすことができる彼は強者の素質があるということだ。

 

 ビィディゼは厳しい評価を下していたが、しかしそこに足元をすくわれたといえるだろう。

 

 一つ。心構えの差。

 

 ビィディゼ・アバドンは基本的に、レーティングゲームのプレイヤーだ。経験をきちんと肥やしにしている男ではあるが、命がけの実践ではなく安全に配慮されたゲームであることを大前提に試合をしてきた男だ。

 

 逆にサイラオーグ・バアルと匙元士郎は、ゲームであろうと命を懸ける。当然だが死力を尽くした殺し合いを潜り抜けており、その精神性は選手ではなく戦士だ。

 

 一概にどちらが優れているかといえる問題ではない。強さというものにも色々なものがあり、そもそも安全に配慮する競技試合の強さと、命を奪いあう実戦での強さは毛色が違う。キログラムとリットルのどちらが単位として優れているか程見当違いではないが、キロメートルとミリメートルのどちらが単位として優れているかぐらいの見当違いではある。

 

 だがしかし、今の戦いは命を懸けた戦いであり、実戦だ。

 

 実戦においてゲームの意識を引っ張ったビィディゼより、実戦の心構えで挑んだ二人。どちらの精神性がこの場に合っているかは、言うまでもない。

 

 そして最後に、サイラオーグの更なる切り札。

 

 サイラオーグ・バアルは、神滅具(ロンギヌス)を従える者。ネメアの獅子が込められた獅子王の戦斧(レグルス・ネメア)を眷属として従える者。そしてそれを禁手に至らせ、執念で変質させた者だ。

 

 そして獅子王の戦斧は封印系神器。封印系神器には覇という裏技がある。

 

 そして今サイラオーグは、覇を解放させた。

 

 魔力を欠片も持たないサイラオーグにとって、それは命を削るほかない最終手段。だが同時に、ありえないほど鍛え上げられた生命力は寿命までを削らせない。

 

 その圧倒的な拳は、ビィディゼの経験を上回った。

 

 匙元士郎との共闘は、王の駒による力を上回った。

 

 結論として、ビィディゼ・アバドンはまさに倒れる寸前。そしてこの場において、二人が容赦する理由はまったくない。

 

 ゆえに双方ともに、決定的な一撃を叩き込もうとし―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―その、呆気にとられるマグダランの声に、誰もが目を見開いた。

 




 動乱のサイラオーグ大ピンチ回! さぁ、どうなる!?
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