好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
最も体調回復も視野に入れ、この話はあえてこのタイミングで投稿し、次の話は明後日ぐらいを予定しております。
祐斗Side
病院の待合室で、僕はテレビを確認していた。
……計五か所。各種神話の領域でトライヘキサが襲撃を敢行している。この事実に、各勢力は震えたった。
おそらくだけど、トライヘキサは首の数だけ分裂することができるのだろう。そしてだからこそ僕達は待機している。
確認されたトライヘキサの首は七つあった。そしてアジ・ダハーカとアポプスは襲撃している者達からは確認されていない。またそれぞれの戦力は、今までの襲撃に比べると少ないといえる。
これらのことから、トライヘキサの攻撃は本命があると判断。僕達D×Dは待機を命じられている。
あとアザゼル先生の様子から見て、どうも対策がいくつかあるようだ。
おそらく一つは、ロスヴァイセさんの研究成果。彼女の論文はトライヘキサにかけられていた封印そのものに行きついており、ゆえにそこからトライヘキサを封印することも可能と見られている。それを決めることができれば、無力化は可能だろう。
ただ、トライヘキサの力は間違いなく龍神クラスだ。あれを完全に封印し続けるのは困難だろう。
だからこそもう一手は必要だ。また、トライヘキサの制御に使われているだろうヴァレリーさんの聖杯も重要だ。
……となると、当然だけどD×Dも総力を挙げるべき事態だ。
バアル宗家の城に起きた襲撃事件。これに対応しているサイラオーグ・バアルやソーナ会長の力も借りたいところだ。
それを懸念していると、僕の隣にそっとカップが差し出された。
「……ちょっと相談があるんだけど、いいかしら」
そこにいたのは成田さんだ。
真剣な表情を浮かべている彼女に、僕はカップを取りながら頷いた。
そして成田さんは隣に座ると、テレビを確認する。
「おそらくだけど、ヴィール様はこっちと同じ理由で静観しているわ」
「トライヘキサの奪還には、聖杯ごと確保する必要があるだろうからね」
彼の性格や行動理念から見て、このままアポプスやアジ・ダハーカの好きにさせるとは思えない。必ず禍の団すら動かして、奪還作戦を行うだろう。
むしろ対応できるはずのミザリが動きを見せていない。それが気になるところでもある。
彼からすれば、このままにしても悲劇を堪能できるからだろうか。だが禍の団を抑え込むには理由が理由だし、そこはとても不安になる。
そして、抑え込めない者達はヴィールが動かすだろう。
……おそらく、聖杯の奪還作戦は三つ巴になる。
「……和っちにも聞いたけど、私だと短時間で
なるほどね。
成田さんの聞きたいことはそれか。そして、その理由も分かる。
ヴィール・アガレス達との決戦も近いだろう。それも、トライヘキサや邪龍アポプスにアジ・ダハーカとの戦いを含めながらだ。
その為に、相応の手段を確立したい。これはすなわちそういう事で―
「難しいだろうね」
―だからこそ、ここで寄り道をさせない方がいいだろう。
「残神はかなり高等技術で難易度が高い。はっきり言って、思い付きで習得できるほど簡単じゃないよ」
「……和っちにも言われたけど、やっぱり無理かぁ」
ため息をつきながら天を仰ぐ成田さんも、それは薄々分かっていたのだろう。
九成君も告げていたけれど、違う人の意見を聞きたかった。そういう事だ。
だからこそ、あえてはっきりと言うべきだ。
ただ、そうなると大変ではある。
「イッセー君みたいにはいかないし、慣れたとしてもいきなりというわけにはいかないしね」
「後遺症とか反動が出るって判明しちゃったものね」
僕達はそう言うと、少しため息をついた。
……もっと早く危険視するべきだった。だけど同時に、どう対処すればいいかも分からないことだった。
それほどまでに、力を持たなければ誰かが死んでいる戦いだった。まごうことなく強者達が襲い掛かり、異例の進化を遂げる者がいたからこそ生き残れた。
その一角が、ヴィール・アガレス達冥革連合。その彼らとの決着は、更なる脅威との三つ巴になるだろう。
……だけど、負けるわけにはいかない。
「困難な戦いだろうけど、だからこそ対処する方法は一つしかないだろうね」
冥界の、世界の未来を左右する戦い。
だからこそ、取る手段はシンプルだ。
「……総力を挙げる。僕達だけで戦わないことが、最も確実な対応策さ」
「そうね。ヴィール様の理念を超えて勝つのなら、それぐらいは必須かしらね」
成田さんがそう苦笑した時、足音が響いた。
「祐斗、そこにいたのね。春奈もいるのはちょうどいいわ」
そこにいたのはリアス部長。
表情が少し引き締まっているようだけど、いったい何が―
「……サイラオーグ達がフロンズと共闘して、バアル本城を襲撃した凶手を撃破。首謀者はビィディゼ・アバドンとシュウマ・バアルだったそうよ」
―ッ!?
その情報量に、僕達は面食らっていた。
そして、リアス部長は苦い顔をしている。
「それと、これはあちら側の推測でしかないけれど―」
Other side
リアス・グレモリーが木場祐斗と成田春奈に情報を伝える数十分ほど前。
決着はついた。シュウマ・バアルは討ち取られ、ビィディゼ・アバドンは捕縛され、シュウゴ・バアルは逃亡した。
そんな決着に対し、崩れ落ちるように座り込むのはフロンズ・フィーニクスだ。
珍しい光景と、彼を知る者が見れば思うだろう。
仕方がないとも、彼を知る者は思うことだろう。
戦いの終幕は、追い詰められたシュウマ・バアルが禁術を使い道連れを図り、しかししのがれて死亡。その余波でビィディゼ・アバドンは瀕死の重傷を負い昏倒。その余波による混乱を縫い、シュウゴ・バアルは逃亡した。
結果として被害も甚大だが、バアル宗家の未来すら左右しかねない戦いは終幕となった。
そして、フロンズ・フィーニクスはため息をついたうえで立ち上がる。
「……もういいのか?」
声をかけるサイラオーグ・バアルに、フロンズは少し疲れた笑みを浮かべながらも首を横に振った。
「まだやるべきことが多いのでね。……消耗はそちらの方が大きかろう、使いたまえ」
そう答えながら、フロンズは持ち込んだフェニックスの涙を押し付ける。
それを受け取るサイラオーグに、フロンズはしかし奥歯を噛み締めた。
「……いや、流石に少し愚痴を言いたいな」
「愚痴なのか?」
その返答に、フロンズは頷いた。
「愚痴だよ。シュウマ殿なら、もっとやりようはあったはずだからな」
そう答え、フロンズは天を仰いだ。
その表情は、彼を知る者が目を見開くほどの苦いものを浮かべていた。
信じられない。そう言いたいのが誰が見ても分かるような表情だった。
「立場上、不正に関与せざるを得なかっただろう。だが、その後の対処はいくらでもやりようはあったはずだ。あの方がそんなことにも気づかなかったことが、今でも信じられん」
そう漏らす彼に、応える者はサイラオーグではなかった。
「……そういう事。やってくれるわね、シュウマ・バアル」
語る者は、桃色の髪をすすけさせてるロイガン・ベルフェゴール。
その言葉にいぶかし気になる二人の前で、彼女は肩をすくめていた。
まるで、関与しなくていい面倒ごとに巻き込まれたと言いたげな雰囲気だ。
それに首を傾げそうになる二人の前で、ロイガンはため息をつきそうな表情になっていた。
「推測でしかないけれど、おそらくわざとでしょうね。禁術を使ったのも、追い詰められて自棄になったどころかあなた達を倒す意図もなかった」
「……まさか」
その言葉に、何かを悟ったフロンズは愕然となる。
思わずよろけるその姿に、サイラオーグは面食らうほどだった。
開いた口が衝撃で塞がらない。そんな状態のフロンズの理解を進めるように、ロイガンは首を横に振った。
「シュウマ・バアルの目的は、
その言葉を聞きながら、フロンズ・フィーニクスは拳を握り締めて俯く。
……サイラオーグですら、それに対して納得できる部分が生まれていた。
シュウマ・バアルの行動には違和感が多かった。だが、ロイガンの推測が正しければ納得できる。
禁術を使ったのは、万が一にでも自分が生き残ることを避ける為。生き残って万が一にでも自分の心情が知られれば、八百長の邪推が生まれかねない。自分を逆族として討たせるからこそ、邪推を生みにくい土壌が生まれつつ、死人に口なしで証拠も闇に葬れる。
そう考えての方が納得できる。少なくとも、そういった策を考えつけるだけの頭脳が彼にはある。出なければ、末席に近い分家筋で重鎮レベルの地位になど、大王派でつけるわけがない。
だが、そうだとしても信じられない。
「そこまで、そこまでする覚悟が―」
「―あったのだろうさ、父上には」
そう告げる声は、後ろから届いた。
振り返れば、そこには俯き機味な様子のハッシュ・バアルが、一枚の書状を握り締めていた。
「それは?」
「後方部隊が持っていた、父上の遺言状だ。自分が死んだ時に、私かノア、フロンズに
そう語るハッシュは、その書状をフロンズに渡す。
それを一瞥した彼は、書状がくしゃくしゃになるのも関わらず握り締めた。
「……中身を聞いてもいいか?」
「ただの名簿だ。それ以上は言えんが、嘘はない」
そっけなくサイラオーグに返すハッシュは、瞑目すると天を仰ぐ。
「……なるほど。今後の為に注目するべき人材、そのリストといったところかしら?」
「……さて、どうでしょう? 少なくとも、本当にただただ名前が書かれているだけでしてね」
ロイガンのカマかけを流しながら、フロンズは乱暴に書状を懐に入れ、小さく俯いた。
その言葉に嘘はないのだろう。本当に書かれているのは名前だけで、どうしろという指示どころか、何の説明もないのだろう。
フロンズ達ならそれで十分伝わり、そして周囲に余計な疑念を与える物証も与えない。そういう意図で書かれた文書という事だろう。
数秒後、彼は普段の様子を取り戻してサイラオーグに振り向いた。
「……済まんが、お互い短い時間で調子を整えるべきだな。船の設備を貸すので、細かいすり合わせも行うべきだろう。今回の件の詫びや、今後の対応などやるべきことが多すぎる」
「……そうだな。まずするべきはトライヘキサ。それが最優先だ」
お互いに深入りはしない。
今するべきことは別にある。託されたものも、守るべきものもある。
……後顧の憂いは多くが断たれた。ゆえに、今は未来を守るのみ。
そして、残る二体のトライヘキサが発見されたという報告が届く。
欧州及び日本近海。そこが確認された地点。
邪龍アポプスとアジ・ダハーカは、その悪意を人間界にも向けてきていた。
バアル城動乱編もこれにて終結。
書く直前までは九大罪王用仮面ライダー変身デバイスの試作型をシュウマが持ちだし、ビィディゼ超強化を予定していました。そこでサイラオーグの更なるパワーアップを見せる相手にする予定でした。
ただこのルシファー編でヴィールとの決着をつける方向にしたので、見せつけるのはヴィールにするべきと思いダイジェストにしちゃいました。もうちょっと待っててね?
そしてシュウマ・バアル、フロンズにすべてを託す。
今回のシュウマの行動は、「フロンズがどう動くか読み切って=文字通りフロンズが何も知らないと調べればわかる状態」でこの行動をとることで、フロンズ達に自発的に討伐させること。ひいてはこれにより、「自分がさせられた汚職によるバッドイメージ」を除去させつつ、可能な限り恩恵を残してフロンズ達に託すという計略です。
これはもちろん、サーゼクス達が理不尽な濡れ衣を着せないことや、状況からゼクラムがフロンズを切れなくなるだろうことまで見越した策。