好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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旧済銀神編 第三話 銀の決意

和地Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夢を見ている。

 

 そしてこの光景を、俺は知っている。

 

 これは過去を見る夢だ。カズヒねぇがどうして悪祓銀弾となったのか。モデルバレットから救い出す為に通った道で、その過去を追体験している。

 

 なんでこんなことを夢に見ているのか。答えは簡単だろう。

 

 トライヘキサが復活している時に見た夢だ。おそらく、それが気になったんだ。

 

 勝利とは、なんなのか。

 

 それをつぶやいたカズヒねぇは、俺が見つけた答えを教えてほしいと、共有したいと言っていた。

 

 何故か、それをあの時夢に見た。それはきっと、俺が向き合わねばならないことだろう。

 

 瞼の裏の笑顔に誓い、約束された勝利を刻め。

 

 俺とカズヒねぇの根幹。前世(かつて)の俺達が勝手に、だけどお互いに誓ったその決意。九成和地とカズヒ・シチャースチエの原点。

 

 だが、勝利とは何なのか。その具体的な指標を、俺達は果たして持っているのか。持たずにそんなことが言えるのか。

 

 きっと、俺はその言葉に本能的に悩んでいたんだろう。

 

 おそらくだが、そろそろミザリとの決着をつけることになるだろう。

 

 その戦いは、心技体全てのぶつかり合いになる。更に策もいくつも重ね合うだろうし、技術だって必要だ。

 

 だからこそ、心において不備をなくすべきだろう。それが、俺達にとっては勝利なんだ。

 

 おそらくだが、ミザリは勝利について明確な指標を持っている。

 

 俺はそれを、直感的に悟っている。だからこそ、無意識がそれを指摘している。その結果がこの夢だ。

 

 ……だからこそ、俺はこの夢を覚まさない。

 

 向き合うべきだ。その上で、俺は俺の答え(勝利)を導き出さなくてはならない。

 

 向き合おう。答えを掴もう。俺が、カズヒねぇに向き合う為に。

 

 だからこそ、俺は夢へと向き直った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祐斗Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミザリ一派の強襲により、大欲情教団は本拠地と教主を失う大打撃を齎された。

 

 作戦行動をとっていた者達は、教主の遺言もあって素早く撤退。ただし奪取した兵器群は持ち逃げした為、かなり危険な事態となっていた。

 

 ただ、実際の状態はそんなレベルでは断じてない。

 

 大欲情教団が日本の山間部に作り上げた地下性都は、神滅具である現世聖域の墓標(カテドラル・グレイブ)により、優れた霊地となっている。はっきり言って、京都に匹敵する霊的拠点だ。

 

 更に出現した敵勢力は、明らかに異常な量といえる。

 

 他の禍の団から派遣されただろう戦力も多いけど、それをはるかに上回る量を彼らは自前で用意していた。

 

 特に警戒するべきは、超獣鬼(ジャバウォック)業獣鬼(バンダースナッチ)

 

 各勢力の合同部隊やサンタマリア級の艦隊派遣でどうにかなった脅威。それが超獣鬼だけでも六体で、業獣鬼は六十六体。

 

 これだけの軍勢が更に結界の基点となっているらしく、遠隔地からの大火力砲撃を神々が行ったけど弾き返されたらしい。サンタマリア級の砲撃戦艦ユニットによる一斉攻撃も同じようだ。

 

 どうやら今回、防御に特化した魔獣として調整しているらしい。

 

 更に量産型と思われるステラフレームが三桁。

 

 何故か殆どは多種多様な攻撃をせず、オーラを纏っての打撃か砲撃に限定していたらしい。ただそれだけでも最上級悪魔クラスの出力であり、機械ゆえに判断の速さもあって、威力偵察を行った部隊に甚大な被害が出ているそうだ。

 

 ……それゆえに、作戦会議にリアス部長の護衛として参加した僕は、あまりに重い沈黙を味わっている。

 

「まったく。ヴィシュヌやブラフマー、それにサーゼクス・ルシファー達の意を汲んだ途端にこれとはね。流石の僕も胃が痛くなりそうだよ」

 

 そう語る少年は、だが圧倒的な力を持つこの場に手最強の存在。

 

 インドが誇る破壊神、シヴァ。単純な戦闘においてなら、オーディン様やゼウス様、超越者たるサーゼクス様でも一対一では敵わないだろう猛者だ。

 

 今回作戦会議に参加してくださり、なんと作戦そのものにも参加してくださるらしい。

 

 正直とても心強いが、それでも心細くなるほどに状況が危険だろう。

 

 ……それに、参加できる戦力もさほど多くない。

 

 なにせ、隔離結界領域に各神話や勢力の精鋭が派遣されているからだ。一万年かけてトライヘキサを滅ぼすという作戦であり、またトライヘキサを封印している都合上、トライヘキサを滅ぼさずに解除するわけにはいかない。

 

 つまり、残存勢力でミザリをどうにかするしかない。

 

「流石にこれは懸念事項が多すぎる。いくらこれだけの戦力があるとして、トライヘキサを放棄するというのはね」

 

 そう懸念するシヴァ様は、だけど首を横に振る。

 

「だが、だからこそ可能な限り手早く挑み屠らねばならない。……動かせる戦力は総動員だ。幸い、アースガルズもオリュンポスも、須弥山も示し合わせてくれるらしいからね」

 

 そう、この事態は幸か不幸か、全勢力による合同作戦に持ち込めるようになっている。

 

 既に各地で、異形達による迎撃部隊が組織されている。

 

 なまじトライヘキサの後にこれだけの大ごとを起こしたのが大きい。どの勢力も重要人物を失っていることが、逆に反動による抵抗意識に繋がっている。

 

 ……ただ同時に、僕は一抹の不安を覚えている。

 

 それは、リアス部長も同じ様子だった。

 

「あのミザリが、こうなることを予期しないとは思えない……っ」

 

 それは既に、首脳陣も悟っているだろうから指摘はしない。

 

 それでも、リアス部長は呟いてしまっていた。

 

 そう、ミザリ・ルシファーがこれだけのことを起こした。その事実が、奴をよく知る僕達の不安を煽っている。

 

 寒気すら覚える。

 

 ミザリ・ルシファーは破綻者だ。悲しみに美しさを見出し、それを追求する為だけに生きている。そして悲しむ対象に、自分すら入れているのが特に破綻している。

 

 だが同時に、相応に準備を整える男だ。結果的に失敗しても悲しめるとはいえ、出来ることなら最大利益を欲している。それが、僅かな遊びやギャンブルを入れる為、行動予測や対処を難しくする要因となっている。

 

 そんな彼が、「ただ戦力が激減している」だけで動くのか?

 

 間違いなく、もう一手がある。それも、トライヘキサを失うという代償を補えるだけの価値がある物が。

 

 もしかすると、トライヘキサを失うことそのものが過程に必須だったのかもしれない。そんな予感すら覚えてしまう。

 

 ……だからこそ、遠慮なく全力で叩き潰す。

 

 持ちうる全力を持たねば、奴は決して倒せない……っ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カズヒSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私はシャワーを浴びながら、呼吸を整えていた。

 

 強引に移植された聖墓は、決して私に完全適合したわけではない。

 

 負荷は大きい。時間を掛ければ収まるだろうが、決して適合レベルは高くない。

 

 それを気合と根性でごり押ししながら、私は鏡に視線を向ける。

 

 ……この女が、ここまでの事態を巻き起こすきっかけとなった。

 

 カズヒ・シチャースチエが。道間日美子が。この女が、悪鬼明星(ルシフェル)という悪夢を世界に解き放った。

 

 だからこそ、私に力があることを感謝しよう。

 

 少なくとも、けじめをつける為に行動できる。己の業を背負う為の、挑戦ができる。自分の不始末を自分でどうにかする機会に望める。

 

 ここで私が戦力外通告なんてされたら、私は一生立ち直れない。立ち直りたくもない。他の誰が認めても、私自身が認めることができない。

 

 だからこそ、私は鏡越しの自分に向き合う。

 

「……行くわよ、馬鹿」

 

 その言葉を、自分自身に告げる。

 

「愛する誠にぃが、世界に悲劇を齎すことを止める。愛する和地達といることを、世界に容認してもらう」

 

 その二つは、これぐらいのことをしないと決して認められないだろう。

 

 世の中には最低限のケジメというものがある。その筋は通す。

 

 そして、もっと最初の部分で私はいくしかない。

 

「尊ばれるべき正義を汚す、悪鬼明星(ルシフェル)は必ず止める」

 

 悪祓銀弾(シルバーレット)の大前提は、決して変わっていないのだ。

 

 かつての私に負けないような、悪逆非道の集団。それがかつての私を超える規模で、多くの嘆きを生むのなら。

 

 私はそれを撃ち貫く。例えそれが星のように強大であろうと、決して見逃すことはない。

 

 そう、そして何よりも―

 

「……瞼の裏の笑顔に誓った、勝利の誓いを果たしましょう」

 

 ―その誓いは、絶対に裏切らない。

 

 シャワーを止め、タオルで水を拭き、身だしなみを整える。

 

 シャワールームを出れば、そこにはリーネス達がいた。

 

「貴女の方は準備ができたわ。私達は、奥の手の準備を終えてから行くわねぇ?」

 

 そう告げ、リーネスは私にある物を渡してくれる。

 

 それをそっと握りしめ、私は小さく微笑んだ。

 

「ありがとう。まぁ、使うまでもなく倒すぐらいで行くけどね」

 

「……カズヒ」

 

 そんな私に、オトメねぇは近づくとそっと抱きしめる。

 

 その体が小さく震えていたのは、緊張でも恐怖でもない。

 

「ゴメンね。私がもっと強かったら、もっと賢く動けてたら、こんなことにはならなかったのに」

 

 その謝罪に、私は抱きしめ返しながら首を横に振る。

 

「そもそも悪意を振りかけた私が謝る方よ。それに、今となってはそうでない可能性が示されても選べないわ」

 

 悲しみと罪悪感。その二つに震えるオトメねぇを、私は抱きしめながらあやすように背を撫でた。

 

 そう、私は過去に戻ってやり直せたとしても、それを選びきれない。

 

「……こんな自分だからこそ得られたものもある。紡げた絆もある。それはそうでなかった時の幸せより上とは断言できないけれど、今の私を構成する一つの要素だもの」

 

 そう、今更私はそれを捨てれないだろう。

 

 それもまた、私にとっての宝物。背負っていくべき業と共に、私にある一つの要素なのだから。

 

 そして何より―

 

「……和地がいない世界を、私は自分から作れない。あの笑顔の誓いは、今の私を作る大切な芯だから」

 

 ―道間田知(どうま たち)を、涙換救済(タイタス・クロウ)を、九成和地(きゅうせい かずち)と出会った事実を、私は消し去りたくないと思っている。

 

 誓いを反故にするなら倒す。道がぶつかるなら激突する。それは私が私である限り変わらないし、和地だってそうだろう。

 

 だけど、瞼の裏の笑顔だけは変わらない。それを消し去ることだけは、私には絶対できないから。

 

 かつて誠にぃを諦められなかった時ぐらい、それは私にとって譲れない一線だ。

 

 だから、私は小さく微笑んだ。

 

「誠にぃを止めた後で、一緒に寝てくれる? 少しぐらいは泣いておかないと、大事なものを失くしそうなの」

 

「うん……うん……っ!」

 

 涙を零しながら頷くオトメねぇの後ろで、鶴羽が項垂れそうになっていた。

 

「和地が起きているなら、タイミングを合わせることもできたんでしょうけどね」

 

「これに関してはタイミングが悪いわね。まぁ、事態が終わってからならプラスも多いでしょうけど」

 

 タイミングが絶妙に悪いわ。ヴィールもこの展開は予想出来てなかったでしょうけど、最近和地って昏睡状態になりすぎてないかしら?

 

 そういえばイッセーもまた昏倒していたわね。私は私で一度昏倒しているし、軽く悪夢というべきかしら。

 

 ただ、そろそろ時間ね。

 

 名残惜しいけど、動くべき時が来た。

 

 それをみんなが悟り、頷いた。

 

「和地は頼むわ。私は、私の背負うべき責任を果たしてくる」

 

 覚悟して、誠にぃ。私が生み出した、悲劇を振りまく明星よ。

 

 今日、この戦いで……終わらせる。

 




 銀の女神は決意を定め、涙換救済と共にあらんと、悪鬼明星に相対する。

 これより始まるは、極晃との闘い。

 絶望に、立ち向かえ。
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