好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 さて、本格的な状況変化前のちょっとした小休止です。


魔性変革編 第十六話 豪華なパーティの一幕

 和地Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 とりあえず、俺達は何とかパーティ会場に到着すると、正直ちょっと気圧されている。

 

 流石は貴族のパーティ会場。人が多いだけじゃなく、殆ど貴賓があふれている。

 

 一言言っていいだろうか。明らかに俺達場違いだぞ。

 

「ふぉおおおおおおお! 煌びやかですの、スッゲーですのぉ!」

 

「よし、俺はこいつ連れて隅に行ってる。誰か後で食べ物を持ってきてくれ」

 

「ぼ、僕も一緒に連れて行ってください……人が多すぎてくらくらしますぅ」

 

 即座に俺はヒマリを引っ張ってパーティ会場の隅に移動する。ついでに対人恐怖症にはつら過ぎそうなのでギャスパーも連れて行った。

 

 いや、これ明らかに俺達場違いだろ。この手の礼儀作法とか習得してないし、ぶっちゃけヒマリには無理だ。

 

 リーネスはメリードを連れて周辺の人達に挨拶をして言ってるけど、俺達は隅で大人しくしてるべきだろう。

 

 キュウタとクックスが自粛して参加してないのが恨めしい。最もキュウタはキャラが遭ってないし、クックスはこれを機にグレモリーの味を習得して今後の共同生活の食を円滑にこなそうって判断らしいから止めれなかったけど。

 

 しっかしこれはキッツいなぁ。

 

 他のメンツがいつ食い物を届けてくれるかが気にいなるというか不安だ。ブッチャケ暇だし、喉も乾いたし腹も減った。

 

 テンションが上がりすぎて大声をあげそうなヒマリの背中をなでて落ち着かせつつ、他のメンバーはまだかなぁと思っていると―

 

「へーいそこの三名様ぁ? よければ飲み物と軽いつまみはいかがかなぁ?」

 

 ―そんな言葉と共に、ジュースの入ったグラスとサンドイッチが載った皿がセットになったお盆が出された。

 

 見れば、そこにはタキシードを着こみながらも、なんというかチャラい印象を与える青年が一人。

 

 ちょっと戸惑っていると、その青年は軽く笑いながら、折り畳み式のミニテーブルを器用に片手でくみ上げる。

 

「なぁに、俺もこの手のパーティはなれなくてな。気疲れしてるけど食い物も取りに行きずらいってところだろ? 知人未満だが知らねえ仲じゃねえし、サービスしてやるよ」

 

「え、あ……どうも?」

 

 意外と気さくでいい人っぽいけど、どこで見たっけ?

 

「んじゃ、知人未満と長話ってわけにもいかねえだろうから、俺は主のところ戻ってるんでヨロシクー」

 

 そしてホスト風な笑顔を浮かべながら、軽く手を振り―

 

「グレモリーの変異(ミューテーション)クン?」

 

 ―思わぬ相手と知り合いだと告白していきやがった。

 

 思わず俺とヒマリは唖然となり、ちょっとしてからギャスパーに振り向いた。

 

「……え、どういうこと?」

 

「知り合いですの?」

 

「えっと……あ、思い出しましたぁ!」

 

 と俺達の視線に戸惑っていたギャスパーが、ポンと手を打った。

 

 ふむ、本当に知人未満っぽいな。

 

 で、答えは?

 

「グラシャラボラス家次期当主代理の方の眷属ですぅ。主をなだめていた人だったと思います」

 

 ………なるほど、ねぇ。

 

「ヒマリ、気づいてたか?」

 

「ええまあ。おかげでテンション下がりましたの」

 

「え、え?」

 

 どうやら気付いてないっぽいギャスパーに、俺とヒマリは静かに何かを飲み込むしかなかった。

 

「あの人、戦意は感じないのにいつでも戦える動きをしてましたのよ」

 

「どうやら、ゼファードル・グラシャラボラスの有する腕利きってのは奴さんのようだな」

 

 ……正直、今になって思うが俺達が勝つなら仮面ライダーになる必要があるな。

 

 木場やゼノヴィアがガチで挑んでも勝ち目が薄いだろう奴だ。そりゃあんなのが一人いれば、会長も格下扱いされるだろう。

 

 こりゃ、部長達も中々大変なことになりそうだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぶ、部長と一緒に挨拶回りするのも大変だなぁ。

 

 貴族のしきたりとか礼儀作法とか、部長のお母さんのヴェネラナさまに教えてもらってなかったらヤバかった。本当に覚えてよかったよ。

 

 でも、なんで部長も態々俺なんだろう?

 

 対人恐怖症のギャスパーはともかく、木場だってその辺りはマスターしてるっていうし。悔しいけどあいつの方が貴族のおつきっぽい雰囲気だと思うんだけどなぁ。

 

「おや、リアス・グレモリーに赤龍帝ではありませんか」

 

 と、そこで聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

 振り返るとそこには、何人かの護衛を連れたミカエルさんが。

 

「あら、ミカエル様。今夜のパーティに参加されていたのですね?」

 

「お久しぶりですミカエルさん。アーシアとゼノヴィアの時はありがとうございました!」

 

 部長と一緒に挨拶すると、ミカエルさんもにっこり微笑みながら頷いてくれる。

 

「ええ、こういった催し物に参加するのも和平の象徴でしょう? あと二人はあれから祈れてますか?」

 

「はい! ほぼ毎日、何かあったらすぐに祈ってます!」

 

 ほんと、あの時のはありがたかった。

 

 正直どうしてもとは思ったけど無理もあったかと思ったから、オッケー貰えたのは嬉しかったよ。

 

 本当によかったなぁと思っていると、ミカエルさんの近くにいた人がミカエルさんに少し近づいた。

 

「ミカエル様。親交を深めるのは構いませんが、魔王様方に対する挨拶回りなどの用事をまず済ませてしまいましょう」

 

「その通りです。魔王様方はフランクのようなのでまだ大丈夫でしょうが、これまでいがみ合ってきた勢力でかつ血統主義者が多いのです。余計なことを思われる前に、まず面倒ごとを終わらせるべきかと」

 

「……耳が痛いですが、確かにそちらの二人の言う通りかと」

 

 そう苦笑するミカエルさんは、ただ少しだけ待ってほしいといってから、俺達に向き直った。

 

「今後も縁があるかもしれないので、お二人に紹介しておきましょう。和平の円滑化の為、悪魔の実態を信徒達に見せるモデルケースも兼ねた、今回の私の護衛です」

 

 へぇ。そういうこともしてるんだ。

 

 俺はそこまでする必要あるのかとも思うけど、カズヒの言い分的に抵抗ある人や嫌悪感ある人はたくさん要るっぽいからな。こういうことも必要なのかも。

 

 右にいる人は、二十代後半ぐらいの男性だ。間違いなくヨーロッパ当たりの人っぽいけど、どこか日本人っぽい雰囲気だ。

 

 左の人は俺と同じぐらいの女性だった。ただなんか雰囲気がサーゼクス様やアザゼル先生を思わせるけど、でも二人とは全く異なるタイプな気もする。

 

「彼は教皇や枢機卿、そしてバチカン市国の警護を担当する部門の精鋭、聖都守護連隊に属するシント・ディアンジェロ。こちらの彼女はプルガトリオ機関のアルファ部隊所属のマルガレーテ・B・ゼプルです。今後は教会も大規模な変化が起きそうなので、表と裏の双方から護衛を選別しました」

 

 ミカエルさんがそう言うと、二人とも頭を下げてきた。

 

 俺も頭を下げながら、もう一度二人を見る。

 

 二人とも、あまりこっちに敵意は向けてないみたいで安心した。ま、こんなところに連れていくなら和平に好意的な人が基本だよな。

 

 と、シントさんが俺に手を差し出してくる。

 

「シント・ディアンジェロだ、赤龍帝。君は元々日本人だそうだけど、実は私も日本の血が少し流れててね」

 

「あ、そうなんですか。道理で……」

 

 俺は握手に応じながら納得。

 

 ああ、だから日本人っぽい雰囲気だったんだ。

 

 ……ん? 日本人の血が流れていて、シント?

 

「……すいません、日本でシントって発音だと、ちょっとシントさんの立場もあると変な想像が―」

 

「大体あっている。ディアンジェロは天使を意味する名字なのだが、一族代々敬虔な信徒なので、意識してそういう名前になってしまってな」

 

 苦笑で返されるけど、俺も苦笑いするしかないよ。

 

 それもうキラキラネームとかの領域じゃね? ちょっと同情するっていうか、もうちょっと考えようよ。

 

 あ、でも日本でもそういうのあるよなぁ。発音が日本人的にかっこいいのを付けたら、その意味が実はアレなものだったりすることとか。

 

 ………どこの国でもあるってことか。

 

「……名づける機会があるなら、名前にはもうちょっと付けられる側の気持ちを考慮してほしい」

 

「……子供ができたらその辺も気を付けます」

 

 頑張ってください!

 

 と、俺達がそんな風に苦笑いを浮かべているなか、部長も少しだけマルガレーテさんと談笑していた。

 

「悪魔というのに少し偏見がありましたが、貴方のような方もいると知って少しホッとしました。主の代行が認めた勢力だと分かってはいたのですが、悪魔には個人的にもいい思い出がなかったので」

 

「ふふふ。まあそういう誤解もこれから直していきましょう? 私もカズヒ達の件があるから、ちょっとプルガトリオ機関には……癖の強い人達ばかりいるのかとも思っていたもの」

 

 あ~……。確かに。

 

 他人はもちろん自分にも厳しいカズヒに、分かり易く舎弟なラトス、とどめに眼鏡キランなディックと来てるからな。ちょっと色物集団という偏見はありそう。

 

 それに比べるとマルガレーテはなんていうか、普通に信徒っぽい穏やかな人な印象があるから安心だよ。

 

 いや、みんな悪い奴じゃないんだけどね? ただ暗部って変人祭りかって思ったし。……ゼノヴィアもイリナも変わってる気がするけど。

 

 なんでちょっと安心だと思ったとき、マルガレーテは視線を逸らしていた。

 

 ………え?

 

 見ればミカエルさんもシントさんも、ちょっと苦笑いしてる。

 

 嫌な予感しかないんだけど!?

 

「………不本意ですが、たぶん後ほど度肝を抜かれるかと」

 

「今後の禍の団対策に非常に有効な特性がありまして。当人が自ら名乗り出てくれたので、お力をお借りしようと思っています」

 

 え、度肝を抜かれる? 何があるの!?

 

 俺が戸惑ってると、シントさんがぽんと肩に手を置いた。

 

 なんか凄い遠い目をしてるんですけど。

 

「……私は聞いてから卒倒した。まあ君達悪魔なら卒倒はしないが絶叫はするだろう。まとめて言った方が騒ぎにならないから今は言わないでおこう」

 

 マジで何が飛び出るんだ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

和地Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あ、此処にいたのね」

 

 俺達が少しずつ飲み食いしていると、カズヒ姉さんがこっちに来ていた。

 

 パーティ会場に来てから、何時の間にやらどこかに言っていたけどどこに行ってたんだろうか。

 

 ……見れば両手にお盆を器用に持って、しかも飲み物や食べ物がたくさん盛られている。

 

 本当にどこに行ってたんだ?

 

「どこ行ってましたの?」

 

「ええ、今回のパーティにはミカエル様がご出席成されるらしく、和平を推し進める意味でも教会から何人か枢機卿猊下も参加されているのよ。更に今後の内部改革も見越して、プルガトリオ機関からも結構な人数が派遣されているの」

 

 ふんふん。

 

 俺達が頷いていると、カズヒ姉さんはお盆を示しながら軽く苦笑までしていた。

 

「だからちょっと、見知った顔に挨拶してきたわ。どうせあなた達は貴族のパーティ慣れしてないから隅にいるかと思って、ちょっと同僚に頼んで食べ物とかを盛らせてもらったのよ」

 

 おお、気の良い人達が意外と多いなプルガトリオ機関。

 

 暗部組織だからもっと過激派が多いかと思ったけど、この辺は意外だ。

 

 まあカズヒ姉さんも厳しいけど問答無用の狂信者では断じてないしな。その辺り、一線さえ引ければ鷹揚なんだろう。

 

「ありがとうございますぅ。でも緊張であまりおなかがすいてないです」

 

「そういうと思って軽いのにしてるわ。どうせリアス部長達は長居することになりそうだし、ちょっとは取っとかないと持たないわよ?」

 

「おぉ~! これも美味しそうですの! いただきますのー!」

 

 そんな感じでヒマリとギャスパーは食べ物の方に行くけど、そこでカズヒ姉さんはお盆を置いた折り畳みテーブルに視線を向ける。

 

 そして、ヒマリやギャスパーに気づかれないようにちらりとこっちを見た。

 

「……誰か来たの?」

 

「ゼファードル・グラシャラボラスの眷属だとさ。俺達をリアス・グレモリーの配下とみなしての偵察かどうかは、流石に読めなかった」

 

「……将来のライバルが持つ人脈の確認かしら? 話を聞く限り、そういうのを気にするような主には思えなかったのだけれど……ね」

 

 カズヒ姉さんも目を細めて、何か不安なものを感じているらしい。

 

 俺達はゼファードル・グラシャラボラスに会ったことも、調べたこともない。イッセー達が会合であった出来事から判断するしかない。だから分からないことだっていくつもある。

 

 だが、前評判とイッセー達の話を聞いてできたイメージとは合致しない。もっとこう分かり易い奴で、こんな得体のしれない駆け引きを好む印象はなかったと思う。

 

 それら全てがデコイで、その裏で何かを目論んでいるのか。それとも完全な独断であり、奴自信に何か別の思惑があるのか。

 

 どっちかなんて分からないが、一応部長達に報告しておくべきだよな、コレ。

 

 俺と姉さんがどうした物かと懸念を覚えていたその時、こっちに近づく足音が聞こえた。

 

 今度はなんだよと、俺と姉さんがちょっと本気で警戒するそのタイミングで、声が飛ぶ。

 

「やっほーヒマリ! それにオカ研の人達も会談ぶりじゃん!」

 

「あ、ヒツギぃ~!」

 

 緑色の髪を伸ばしたその子は、ヒツギ・セプテンバー。

 

 デュナミス聖騎士団のメンバーであり、何故か一目会った瞬間にヒマリと友情を交わした謎の運命を持つ星辰奏者だ。

 

 まさかこのタイミングで会うとは思ってなかったぜ。でも、冥界に来たばかりの時にいるとか来るとかヒマリがメールで聞いてたな。

 

 ヒマリに抱き着かれて嬉しそうに微笑んでるヒツギは、こっちにも笑顔を向けてくる。

 

「ミカエル様の護衛も兼ねた、ちょっとした交流って奴で来たんだよね~。そっちはリアス・グレモリーの付き添いって感じかな?」

 

「ええ。そういえばカズホは参加してないの? デュナミス聖騎士団の用事で、ゼノヴィアとの特訓が終わったらすぐに騎士団に戻ったって聞くけれど」

 

 カズヒ姉さんがそう聞くと、ヒツギはちょっと困ったような笑みに切り替わった。

 

「あの子は別口。今後三大勢力で合同部隊が作られるかもしれないってことで、事前にその辺りのすり合わせができるように色々あるみたいでさ? 騎士団長達と一緒に悪魔側の大規模部隊と手合わせとかするってさ」

 

 なるほど。どこの勢力も一応考えてはいるってことか。

 

 特にデュナミス聖騎士団は、並みの戦士じゃ臆するような任務の一番槍が基本だからな。三大勢力合同作戦何て禍の団か他の神話との戦争規模になるだろうし、前もって連携が取れるようにその辺のすり合わせもしておいた方がいいってわけか。

 

 俺が感心していると、何故かカズヒ姉さんはうっへぇって感じになっていた。

 

「ってことはリュシオンはこっちにいそうね。私、どうもあいつが苦手なのよ」

 

 あ~。そういえば、カズヒ姉さんってリュシオンになんか思うところがありそうだったな。

 

 まだ踏み込むには早いと思ったんで聞いてないけど、何かあったのか?

 

 俺が首を傾げてると、ヒツギはヒマリと頬をすり合わせながら、ちょっと同情している感じになっている。

 

「あっはは~。ま、その気持ちはわからなくもないかなぁ」

 

 何故か、リュシオンの同僚がそれを肯定した。

 

 え、え、どういうことだ?

 

 俺が戸惑っていると、ヒツギは心底から同情の視線を向けている。

 

 不思議そうに抱き着きながら見上げているヒマリの頭をなでながら、ヒツギは心からの同情をカズヒ姉さんに向けていた。

 

「あいつは本当に立派だよ。だからこそ騎士団の人達も立派になろうと思ってるし、そこは団長も認めてる」

 

 そうはっきりと、どこか憐憫を浮かべなら告げ―

 

「―だからこそ危うくて、そこに呑まれてないから私は団長の側近じみたことをやってるんだよねぇ」

 

 ―そんなことをはっきりと言い放つ。

 

 ………ど、どういうことだ?

 

 俺はちょっと面食らってるし、カズヒはきょとんとしているし、ギャスパーも何が何だか分からずおろおろとしている。

 

 いや、確かに完璧人間な気もするけど、それが危ういってどういうことだ?

 

「え? あの……何が何ですか?」

 

「ん~。ちょっとそれは言いづらいかな? 相手も自覚してるのかしてないのか危ういし、何て言うか、私も団長も明確にこれっていえないんだよねぇ。本当に、直感的なものだからさ」

 

 ギャスパーにそう答えるヒツギは、ちょっと困り顔だった。

 

 そして、ヒツギはちらりとカズヒに目を向ける。

 

「カズヒだっけ? あなたは分かるかな?」

 

「……苦手意識ってのに、明確な理由はないわよ。……しいて言うなら」

 

 其の前置きして、カズヒ姉さんは表情を変える。

 

 それは、まるで泣き笑いのような、そんな困り顔だった。

 

「――ああ、彼は本当に正しい時に正しいことを、正しくやれることが自然体なんだ。そう思って以来、私は彼が苦手なのよ」

 

「……そっか。団長にも伝えとくよ」

 

 その、何て言うか何かが通じ合った言葉に、俺は何も言うことができない。

 

 涙の意味を変えたいと思っても、なんで泣いているのかが分からなければできはしない。これはまさにそういうことだ。

 

 これもまた、俺がまだまだ未熟だからだろうか。

 

 そんなことを思っていると、何故かポンポンとヒツギに頭をなでられた。

 

「元気を出しなって若者よ! 人間なんて、いつだって未来の自分より未熟なんだからさ」

 

 ……あんたは俺のお袋か。

 

 そうツッコミを入れたくなるけど、何故かヒマリを思わせる優しい目つきに何も言えない。

 

 俺とはさほど面識がないだろうに、っていうかキャラからずれてそうなのに、何故かこの上なくそれが自然な気がしてくる。

 

 そんな戸惑っている俺を笑顔で見てから、ヒツギはカズヒ姉さんにもニシシとでも擬音をつけるべき奈笑顔を向けてきた。

 

「ま、リュシオンは本当にできた奴だからね。むしろ私的には本音が見えて嬉しいかなぁ?」

 

「それはどうも。……っていうか、私達ってそんなに付き合いある関係だったかしら?」

 

 ちょっとと惑い気味なカズヒ姉さんだけど、なんだかんだで悪い気はしてないみたいだ。

 

 なんで悪い気がしてないのかにこそ戸惑ってるのかもしれないな。

 

 と、今まで事実上の蚊帳の外だったヒマリが頬を膨らませている。

 

「む~。ヒツギもカズヒもずるいですのー! 私をほっぽら泣いてほしいですのー!」

 

 涙目にまでなってるし。

 

 お前はもうほんとなんというか、母性が高いくせに子供っぽいっていうか。

 

 俺が呆れてると、カズヒ姉さんもヒツギも苦笑しながらぽんぽんとヒマリをあやし始める。

 

「ごめんごめん。ほれ~ヒマリを構い倒しちゃうぞ~!」

 

「あんまり騒ぐと悪目立ちするわよ? ……ま、ちょっとその膨らんだ頬をつつきたいけれど」

 

「きゃーですのー」

 

 ………。

 

 俺はふと、ギャスパーにちらりと視線を向けた。

 

 ギャスパーがそれに気づいて首を傾げると、俺は素直に本音を漏らす。

 

「誰に嫉妬を向けたらいいのか分からない自分がいるんだが、どうすればいい?」

 

「えっと、注目を浴びないなら僕はいいかな~って」

 

 引きこもり(コイツ)に聞いた俺がバカだった。

 

 俺がそんな感じでもやもやに困っていると、視界にちらりと見覚えのある姿が映る。

 

 ……このままってのもなんか手持無沙汰だし、ちょっと挨拶をしていくとするか。

 

「悪いギャスパー、三人と一緒に待っててくれないか? 知り合いを見つけたから挨拶をしてくる」

 

「あ、分かりました。……早めに戻ってくれると安心ですぅ」

 

 ま、視線が集まってるからなおさらだよなぁ。

 

 手早く挨拶して早めに戻るか……いっそのことみんなを紹介するということも考えるか。

 

 俺はそう考えて、小走りに行くことにした。

 




 できればフロンズ達側にいるキャラクターも出したかったのですが、ちょっと尺調整に失敗しました。

 ひと騒動が終わってからにするべきかなぁとか思ってたりしております。
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