好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

58 / 528
 といった感じで、パーティ会場での戦闘を主眼として戦闘を描写します。


魔性変革編 第二十二話 パーティ会場の激戦

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 カズヒとヒマリは一言で言えば苦戦していた。

 

 それも、体勢を立て直した悪魔達と共闘していながらである。

 

「どうしたどうした? まさかこの程度ってこたぁねえよなぁ!!」

 

「ええそうね。あとで必ずぎゃふんと言わせてやるわ……っ」

 

 放たれる砲撃を回避しながら、カズヒはサツにそう憎まれ口を叩くのが精いっぱいだった。

 

 神々に喧嘩を売るという所業をするだけのことはある。人造惑星(プラネテス)という星辰奏者(エスペラント)の完全上位互換なだけのことはある。そもそも戦闘特化型の躯体を持つだけのことはあり、仮面ライダーであるというだけのこともあるだろう。

 

 つまり、兵器としてのサツは間違いなく難敵というべき存在だった。

 

 一言で言って強敵としか言いようがない。油断も躊躇もできない敵であり、こちらは死者を出さないようにするだけで精一杯だ。

 

 厄介さの一つは、サツの星辰光が異常なまでに凶悪だという点にある。

 

 いくつかの戦闘で敵のステータスはおおよそ把握できたが、手が付けられない難敵というほかないだろう。

 

サツ

基準値:A

発動値:AAA

収束性:AAA

拡散性:A

操縦性:D

付属性:E

維持性:A

干渉性:E

 

 星辰光として極めて高い出力に、圧倒的な密度の高さ。そこに維持性と拡散性の高さが加わった結果、油断すると曲射砲撃が襲い掛かり、あろうことかそれを長時間継続することができる。

 

 操縦性干渉性付属性は間違いなく低い部類であり、だからこそ何とかしのげているが、それでも単純に凶悪な能力であることの違いはない。

 

 おそらく星の力は荷電粒子投射。荷電粒子砲を放つという、科学的な砲撃としては非常に絶大な力だろう。

 

 圧倒的な出力と収束性により、その火力は神や魔王にすら傷をつけれるだろう。加えて弾種の変更により、人海戦術を単独で薙ぎ払うこともたやすく可能。任意展開での炸裂拡散弾頭化なども使われれば、対空戦闘まで行えるはずだ。

 

 加えて厄介なのは仮面ライダーとしての性能だろう。

 

 推測される性能はおそらく走力特化。俊敏性と最高速度がともに高く、この圧倒的な高速移動によって、こちらが対応しきれないのが実情だ。

 

 おそらくは最初から組み合わせて運用することを踏まえた物。圧倒的な砲撃能力を持つサツに圧倒的な機動力を与えることで、まともに相対することが不可能な砲撃存在にするという思想なのだろう。

 

 しかし両手にはクローが確認されていることから、フェイルセーフティとしての近接戦闘能力も相応に高いだろう。加えてあの走力から逆算すれば、蹴りや跳躍も優秀と考えるほかない。

 

 つまり、目の前のコイツは間違いなく難敵だ。

 

 おかげでこちらは防戦一方。必然として、手を出しあぐねているのが今のカズヒ達の現状だった。

 

「……まずいわね。この流れはいずれ断ち切らないと」

 

 目の前の戦闘においてもそうだが、戦略的な流れにおいても一石を投じる必要があるだろう。

 

 リーネスと独自に進めていたある計画があるが、どうやら本格的に発動させる必要がありそうだ。

 

 しかしそれを成すには、当然だがこの戦いを生き残らねばならず―

 

「……そろそろ反撃ですのよぉおおおおおお!」

 

 ―歯噛みしたその瞬間、ヒマリが盛大に砲撃を叩き切った。

 

 鎧の龍にまたがりながら聖剣を持っての突撃で、砲撃の一発を盛大に打ち破る光景に、戦闘中の者達の八割以上がぽかんとした。

 

 ……ぽかんとしながらも移動しながら警戒だけは残して行けた当たり、自分だけでなくサツも相応にできる手合いだとよく理解した。

 

 それはともかく。

 

「お、思った以上にこの子できるわね」

 

 まさかこの神にすら届く攻撃を、禁手でもないのに迎撃するとは思ってもみなかった。

 

 仮面ライダーラクシュミーの戦闘能力が高いのは知っていたし、懐かしくなる絶大な魔力量特化もまた優秀だ。更に神器を二重保有しているということも、目を見張る者のアドバンテージだろ。

 

 だがしかし、常時覇龍というアドバンテージがこのような形で成されるとは思っていなかった。

 

「やるな嬢ちゃん。無意味に手を抜いてるわけじゃねえんだが、これはちょっと砲撃を収束させるべき―」

 

「―いやいやー。もっと分散させないとヤバいんじゃないかなー?」

 

 更に不意打ち気味に、大量の砲撃がサツに向かって叩き込まれる。

 

 その砲撃の放たれたところを見れば、そこには星辰奏者としてアダマンタイトの剣を持ちながら、同時に右手で八門の龍を模した砲身が束ねられた大砲を構える、ヒツギ・セプテンバーの姿があった。

 

「大丈夫、ヒマリにカズヒ! デュナミス聖騎士団(ウチ)の増援が来たからこっちに来たよっと!」

 

 そうニカっと笑いながら参戦するヒツギに対し、カズヒは若干引いていた。

 

 驚いた理由は大きく分けて二つ。持っている剣と持っている大砲だ。

 

 今気づいたが、持っている剣はアダマンタイト製だが聖剣のようだ。そしてアダマンタイト製の聖剣などという物は、まだ教会では開発されてないはず。

 

 そして持っている大砲もだ。外観に関しては似たような神器を知っているが、あのような形は見たことがない。というよりまずその出力の高さから逆算すれば―

 

「……二重神器保有者として被ってる挙句、更に覇龍を常態発動までしてるの……!?」

 

 初対面の時から友誼を結んでいることもだが、能力的にも似通いすぎている。

 

 おそらく持っているのは聖剣創造(ブレード・ブラックスミス)ともう一つ、日本に存在する高位の龍、八面王を封印した龍の咆哮(ドラグレイ・カノン)だろうが、どう考えてもあの出力は覇龍のそれだ。

 

 一周回ってドン引きである。具体的には、ただでさえ自分の周囲に特例が多いのに、更にそれを超えるような特例が連発で出てきたことだった。

 

「だけどまあ、これは戦力として誇らしいかしら……ね!」

 

 意識を一瞬で切り替え、カズヒは戦闘に集中する。

 

 これだけの難敵を相手にするという時に、これだけの頼れる増援が来てくれたことには感謝するほかない。まして、二重神器保有者であり星辰奏者。……幸運の極みだろう。

 

「援護するわ! さっさと星辰光を発動させなさい!!」

 

 それまで時間を稼げれば、更に状況はこちらに傾く。

 

 そう思ったのだが、何故かちょっとヒツギがきょどった。

 

 ふと、カズヒはヒマリの方をちらりと見てしまい、そして連想ゲームじみた推論を立ててしまう。

 

「………あの、一つだけ聞きたいんだけど………まさか星を振えないとか?」

 

「………うん。何故か振るえないんだよね」

 

 ………視線を逸らしながらのヒツギの答えに、カズヒは戦闘態勢は消さなかったがヒマリをちらりと見た。

 

 ………初対面でいきなり仲良くなったのが、いやというほどよく分かる。

 

「ふっふっふ。これはもはや運命ですの! 運命の二人が揃ったのなら、この窮地も乗り越えますのよ!!」

 

 胸を張るな。というかなんで張れる。

 

 そんな感想を思ったカズヒは、自分が悪いかと一瞬思ったりした。

 

「………いや、その運命じゃ乗り越えるの大変じゃねぇか?」

 

 敵の方が常識人な気がしてきたのは、気の所為だということにしたいと強く思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、シャルバ・ベルゼブブははらわたを煮えくり返しながら戦闘を繰り広げていた。

 

 忌々しい。忌々しい。忌々しいにもほどがある。

 

 あと一歩のところで怨敵の一人であるサーゼクスを滅ぼすことができるというところで、盛大に邪魔が入って苦戦することになった。この時点で苛立たしい。

 

 サーゼクスもそれによって持ち直し、ハヤテが操るサリュートⅠを相手に渡り合っている。これもまた苛立たしい。

 

 だが何より、最も苛立たしいのは目の前の女である。

 

 聖なる力を秘めた剣でこちらに切りかかり、距離を取れば聖儀礼が幾重にも施されているとしか思えない弾丸による射撃が襲い掛かる。

 

 この時点で厄介だが、何より恐るべきは周囲に展開される魔力の蠅。

 

 散弾でこちらの注意やこちらが展開する蠅の妨害を行うこの猛攻は、即ちベルゼブブの魔力運用を扱っていることの証明だった。

 

 そう、それはすなわち―

 

「ベルゼブブの面汚しがぁ!! 人間と混じった挙句偽りの魔王共と肩を並べるかぁ!」

 

 激高して魔力を放つと同時、相手もまた顔を怒りに歪めてこちらに真っ向から激突する。

 

「誰の所為だと……っ」

 

 その拮抗は互角だが、然しその瞬間、寒気をシャルバは感じた。

 

「思ってるのよ!!」

 

 その瞬間、後ろに下がることでシャルバはその攻撃を回避する。

 

 放たれたのは氷雪の二撃。直撃すればかすり傷では済まないだろう攻撃に、シャルバは内心で肝を冷やす。

 

 思った以上に乱入した敵が強いことに、シャルバは奥歯を噛み締めて苛立ちを覚える。

 

 殺意が燃え滾り、シャルバは大量の魔力の蠅で一斉に吹き飛ばさんと猛攻を仕掛ける。

 

「混じり物とはいえ、流石は俺と同じベルゼブブということか、忌まわしい……っ」

 

 そう、自身の矜持を慰撫する為に意識せず言葉を漏らしたその瞬間だった。

 

 例えるならば、空気がひりついたとでもいうべきそれだ。

 

 そしてそれを見せるのは目の前のマルガレーテとか言った女。

 

 不快感と怒りを込めに込めた目が、シャルバ・ベルゼブブを睨み付ける。

 

「……忌まわしい魔王の血の力なんかで、私を語るな」

 

 その言葉に、シャルバは殺意が沸騰寸前に高まった。

 

 偉大なるベルゼブブの血。悪魔を統べる魔王の中で最も高潔たるベルゼブブの血。この世で最も尊ばれるべきベルゼブブの血。悪魔の至宝たるベルゼブブの血筋。

 

 それを今、忌まわしいと言ったのか?

 

「ほざいたな? 悪魔として混じり物でしかない小娘が」

 

「勘違いしないで。私は悪魔なんてものが混ざっただけの、人間よ」

 

 その怒りに、真っ向から怒りの視線が迎え撃つ。

 

「お前らみたいな無責任な馬鹿の所為で、私はベルゼブブとして表舞台に出なくちゃいけなくなった。……その報いは受けてもらうんだからっ!!」

 

「よく吠えた! 純粋たるベルゼブブの血を引くこの俺を、ましてベルゼブブそのものを愚弄した罪、命で贖えぇ!!」

 

 その瞬間、戦いは更なる形で爆発的に加熱した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その光景をちらりと眺めながら、九条・幸香・ディアドコイは、近くにあったカナッペをとると、それをワインで流し込んだ。

 

 ちなみにその過程で攻撃が放たれることもあったが、全てを保有する神器である不滅齎す黄金花(ゴルディモータル・ストレチア)で完全に防ぎ切っている。

 

 あえていくつかを余裕を持たせて待機させている当たり、完全に観客ムードだが抜け目がない。

 

 彼女が今回来た理由は、いわば一種の敵情視察であり、余裕をもって可能ならばスカウトを行うといった程度である。

 

 彼女は英雄派のメンバーではあるが、曹操達主流派とはまた異なった価値観を持って行動している。それゆえに、必要とあらば異形を私兵として迎え入れることもやぶさかではない。

 

 その野望を持って動くがゆえに、可能な限り見識を広められる機会を逃さず、その上で常に楽しんでいこうという気概で挑んでいる。

 

 何よりこの会場は上級悪魔、それも相応の家格のある貴族達のパーティの会場だ。酒も食事も高級品であることを差し引いても美味な物が出てくると踏んでいた。

 

 なのでしっかり食べている。本当に美味しいので、タッパーに詰めて部下に持ち帰るべきか真剣に考え始めていた。

 

「うむ、美味い! 聞こえている者がおるのなら、調理人達に美味かったと伝えておくがよいぞ!」

 

 と、あえて声を張り上げたが返答は期待していない。

 

 やるのなら豪快かつ大胆にやりたい身としては、こそこそと卑屈になる気がないだけだ。やるからには可能な限り堂々とやるが、相手がそれに乗っかってくれるかは別問題だろう。

 

「――なるほど。あとでシェフ達に伝えておくとしよう。最も、素直に喜べないとは思うがね」

 

 なので、返答が来たのは正直意外だった。

 

 酒を飲みながら振り返れば、メロンの生ハム乗せが突き出される。

 

 ……日本で勘違いされがちに出されて微妙といわれるものではなく、キュウリのように甘みがないメロンと塩抜きもあまりされてない徹底的に塩辛い生ハムの組み合わせのようだ。

 

 そのまま視線をあげれば、そこにはアイスティーが入ったグラスを持つ、金の髪と橙色の目を持つ青年が一人。

 

「お初にお目にかかる。私は大王派に属するフェニックス分家、フィーニクス家のフロンズ・フィーニクスだ」

 

 にこやかに名乗るフロンズからは、敵意のようなものは感じない。

 

 同時に自分を前にしてここまでの態度を見せることに、幸香は愉快な予感を覚えて生ハムメロンを一つ取ってまず食べた。

 

 その時間で少しだけ思考を整理してから、そして本題に入る。

 

「……ほぉ? よもやと思うが、(わらわ)の配下となるとでもいうのかのぉ?」

 

 スカウトできる慣らしたいとは思っていたが、よもやこんな流れで本当に行けるとはちょっと意外だった。

 

 が、フロンズは静かに首を横に振った。

 

「すまないが、私も一つの領地を持つ貴族の主となる男でな。テロリストの一因になるという愚行はできぬよ。やるなら自分でクーデターでも起こすとするさ」

 

「それは残念。だが、その意気はよいのぉ」

 

 中々豪胆さを併せ持つこの男に、幸香は好感を覚えていた。

 

 とはいえ傘下になるどころか禍の団に付く気もないのなら―

 

「だが敵にしかならぬのなら、この場で殺されることもあり得るのではないかのぉ?」

 

 ―軽く殺気を出して指摘すると、フロンズは苦笑しながら肩をすくめた。

 

「かもしれないな。だが、同時に商談ができる可能性を探っておきたいのだよ」

 

 その言葉に、幸香はこの男は面白いと心から察する。

 

 おそらく根幹で自分達は合わないのだろうが、しかし同時に同じ方向を進むことができる可能性。

 

 そんなものを感じて、幸香はその話を聞いてみる気になった。

 

「言ってみよ。内容次第では何か返礼をすることがあるかもしれぬぞ?」

 

「では、語るとしよう。我が理想とは―」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……クハハハハハハッ! 面白いではないか、禍の団についたことを後悔しかけたぞ!」

 

「そうか。なら本当に後悔したのなら私の下に一報を入れるといい。保護観察者となったうえ、ある程度は賠償金を用意するとしようか」

 

「言ってくれるではないか! よいぞ、此処で殺すのはよしておこう。そして……もしそうなるのなら、この符丁を送って連絡を取るとするわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 今此処に、いつか使われるのかも分からない悪魔の契約が交わされた。

 




 グレン×グレンは自作品において「オリジナルの魔王血族」を登場させることがよくありますが、今回はちょっとひねってこんな感じになりました。

和地の派生フォーム、どんなのがいいでしょうか?

  • バルカンと同じ戦闘スタイルの変化
  • ゼロワンのような環境対応型
  • 属性の追加といったパターン
  • 武装の追加といったパターン
  • 魔術属性の追加といったFate風味
  • 星辰光がらみのシルヴァリオ系列

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。