好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 そんな感じで、ちょっと早いけど次の話です!



魔性変革編 第三十話 再開の旧交

和地Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで自己紹介も終わった午後、俺達オカルト研究会は趣向を変えて歓迎会を開くことになった。

 

 ようこそ、聖ミカエル監察団の皆さん!

 

 そんな横断幕を天井近くに張って、俺達は小さな歓迎会を開いている。

 

「お待たせしました。一通りのパーティ向けの食事は用意できたかと」

 

「お疲れ様、クックス。さぁ、遠慮しないで食べて、クックスの腕を褒めてあげて頂戴ねぇ」

 

 クックスを労いながらのリーネスの声を合図に、俺達は軽食類を食べ始める。

 

 ドーナツ、ラスク、クッキーにカナッペ。そんな感じで簡単につまめるものを盛りつけられた皿がテーブル中に広がってる。

 

 ……取られる前にある程度食っておかないとな、もぐもぐ。

 

 クックスの腕は知っているから、皆最初は食べることに集中してたけど、やがてすぐにでも話は始まって盛り上がり始まる。

 

「うわぁああああん! やっぱり主が死んでたなんてショックよぉおおおおお! 一週間ほど寝込んだけど、思い出したらまた寝込みたくなってきたわぁああああ!」

 

「分かるぞ、イリナ。さあ食べろ、食べて忘れるんだ」

 

「後で皆さんでお祈りをしましょう。きっと心が安らぐはずです」

 

 既にイリナと一悶着あったはずのアーシアとゼノヴィアは、場酔いで泣きじゃくるイリナと一緒に話を弾ませている。あとちょっと見ないうちにお祈りまで始めている。

 

 なんというか意気投合してるな。年齢も近いから完璧にトリオになっているというか、一悶着あったとは思えないぐらい仲が良くなってないか? イリナに至っては再会したのついさっきだぞ?

 

 まあ、こういうきっかけさえあればすぐに打ち解けられるってのも立派な才能か。

 

 暴走特急なところもあるみたいだけど、何時の間にかその時のことも謝っていたみたいだしな。特にアーシアが気にしてないこともあって、すぐに打ち解けてる。

 

 そして他の場所でも仲良く話が進んでる。

 

「これからは一緒ですの! 今日の夜は一緒にパジャマパーティでもしましょう? 一緒に朝まではしゃぎますのよー!」

 

「いや、つい最近やらかしたばかりだからちょっと待って。あと寝不足になったら授業が身に入らないから落ち着こっか、ね?」

 

 ギャルっぽいけど基本的に常識人ポジションらしい。一見するとお嬢様っぽいけど、基本暴走特急のヒマリと噛み合わせるといいコンビになりそうだな。

 

 ……後どっちも俺と夜戦してるから、いわゆるあれだ、〇姉妹なんだけど………自分からは絶対に言わないぞ、おう!

 

 あとヒマリが抱き着いていることで二人のおっぱいがたゆんとなってて、イッセーが鼻血を流して沈黙している。

 

 かと思ったら正気に戻って「シャルロットに恥じないシャルロットに恥じない……」とかぶつぶつ言い始めている。

 

 とりあえず落ち着こうか。気持ちは分かるからそこまで気にすることないし、第一その対応は別の意味で顔向けできないだろ?

 

 ほら、シャルロットと部長が心配して寄ってきてるし。そのおっぱいに反応して逆に精神的に不安定になってるし。

 

 と、そこでいい匂いがしてきた。

 

「なあ小猫、鹿に熊に兎の薫製がここにあるんだが、タメの女からの視点で意見が欲しいんだけど、どうよ?」

 

「……ジビエはにおいがきついものだけど、十分に燻しているから気にならない。いい感じだと思う」

 

「ほぉ、これはいい薫製です。専門家でない者の出来とは思えないいい物ですね」

 

 ……なんか、アニルが持ってきた自家製薫製の品評会が始まってるんだけど。

 

 あと食いしん坊の小猫や、料理人ヒューマギアのクックスが認めるレベルか。アニルの奴は悪魔祓いじゃなくて薫製職人なんじゃないか?

 

 後いい匂いだから後で貰おう。

 

「お、つまみによさそうな薫製じゃねえか。ちょっと酒を一杯飲むとするか―」

 

「あらあら先生? ここは学び舎ですから、お酒はご法度ですわよ?」

 

「その通りです先生。教師として一定の品格というものが必要ですし、校内での飲酒など論外です」

 

 そしてダメな大人がドSと会長に挟まれた。

 

 骨は拾いますからそのまま倒されてください。流石に問題行動です。

 

 俺は総督を見捨てることをさっさと決めて、そっとカナッペを取りに行った。

 

 うん、美味しい。上手い飯は人を笑顔にするし悲しみの涙も止めれるよな、うん。

 

 と、あっちではギャスパーがルーシアと一緒に話し合ってる。

 

「ルーシアちゃんは凄いね。僕はまだ外に出るのもちょっと怖いし」

 

「いきなり無理をしなくても大丈夫。少しずつ慣らしていけば、いつかは人並みに外に出られるようにもなるからね」

 

 うん、やっぱりルーシアはできた女の子だ。

 

 リュシオンの妹だけあるな。これが普通なら、出来が良すぎるリュシオンに対するコンプレックスで歪んだりとかしそうだしな。

 

「じゃ、じゃあ紙袋を被って外に慣れることからかな?」

 

「ギャスパー君。それは通報されそうだから、他の方法を考えよう?」

 

 うん、紙袋と段ボール箱から離れた方がいいと思う。

 

 ルーシアもちょっと引いてるぞ。

 

「……ギャスパー様。もう少し周辺の環境と溶け込むことを覚えください。顔を隠しても悪目立ちしてはいけません」

 

「全くだ! 対人恐怖症ってのはゆっくり慣らしていかねえといけねえが、慣らし方を間違えたら逆効果だぜ?」

 

 ほれ、メリードとキュウタまでフォローに回ってるし。

 

 ……というか、俺がなんかボッチになってないかコレ?

 

 か、カズヒ姉さんは―

 

「う~。ヒマリに続いてヒツギまで……。私はどうしたらいいのかしらぁ……」

 

「場酔いで泣き上戸にならないでよ。説明する気がないなら自力で立ち上がって頂戴。……一時間だけ胸を貸してあげるから、そしたら立ちなさいよね?」

 

「分かったわぁ。うぅ~……」

 

 あ、ダメだ。

 

 リーネスと他が入ってこれないような空気を見せてやがる。これは無理だ。

 

 あとカズヒ姉さん、一時間で立ち直れって言ってるけど一時間は胸を貸す辺り、やっぱり厳しいけど優しいな。惚れ直すぜ。

 

 とはいえ、ちょっとリーネスが羨ましい。あとなんかボッチになってて空しい。

 

 ……外の空気、吸ってこようかな~ッと思った、その時だった。

 

「会長ぉ~。そろそろ一旦戻ってきてくれないでしょうか~。ちょっと資料が溜まってきてます」

 

 と、匙がひょっこりを顔を出した。

 

 更にその下から、これまたひょっこりを顔を出してきた少女が一人。

 

 茶色の髪をポニーテールにした、ちょっと鋭い目つきの女の子。

 

 ………って。

 

「あ、鶴羽」

 

「あ、和地。久しぶりね」

 

 ……そういえば、そういう話もあったよなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 AIMSと一言に行っても、結構な数が存在する。

 

 ザイアコーポレーションは歩兵師団規模で用意する予定だったらしい。強力な神器を保有している者や魔術回路持ちなどを中心とした、ショットライザーやスラッシュライザーを使う質と点の仮面ライダーと、集団戦闘の訓練を積んだ分隊以上で戦う量と面のレイダー部隊だ。

 

 絆や協力が力に繋がることもあると理解していたのか、ザイアは比較的俺達が交流することにも寛容だった。談話室ぐらいはあったしな。

 

 とはいえ、俺はあんまり他のメンツと話したりはしていない。むしろヒマリとできるだけ一緒にいるようにしていたりもしている。

 

 理由は単純。当時の俺がザイアの思想誘導から庇えるのは一人ぐらいが限度だからだ。

 

 気づかれたら脳改造とかされそうだったしな。涙の意味を変える者としては不本意だが、できることとできないことはしっかり弁えないとできることすらできなくなる。

 

 なので他のAIMSとは表面的な付き合いにとどめていたんだけど、例外がいないわけではない。

 

 そのうちの一人が、今来た女の子。南空鶴羽だ。

 

 メンバーとしてはレイダー部隊の側の女の子で、折れやヒマリと同い年。魔術回路はあったけどそこまで高い質ではなく、また神器を持っていなかったこともあって、仮面ライダーには選ばれなかった女の子だ。

 

 俺がその縁ができたのは、まだザイアに拾われてそんなに立ってない頃だ。

 

「……うっへぇ~」

 

 まだまだ未熟だった俺は、ちょっとげんなりした顔で施設内をうろついていた。

 

 ちなみに散歩って感じにしてたけど、実態としては内部の把握だ。とりあえず問題なく行けるところはさっさと覚えておかないと、万が一にでも脱走できるチャンスがあった時に動けないと思ったしな。

 

 そんな時、たまたま……本当にたまたま、俺は鶴羽にあった。

 

「あれ? もしかして日本人?」

 

 そんな風に声をかけてきた鶴羽に俺は表情を取り繕いながら、にっこり微笑んだ。

 

「うん。ザイアのおかげで立派になれるんだってさ。凄いよね?」

 

 そんな風に怪しまれないように周りと同じ雰囲気を見せていると、鶴羽はちょっと不思議そうな顔をしてから両手を広げた。

 

「アメリカの子に教わったんだけど、抱きしめ合うのも挨拶らしいよ? してみない?」

 

「え……あ、分かった」

 

 女の子に抱き着くというのにちょっと照れたけど、俺は変に警戒されないようにそれに従って抱き着いた。

 

 で、ぎゅーってしているとき、ふと首に手が触れて―

 

「ザイアの言うことって、本当に立派だし素晴らしいよね?」

 

「……そうだね!」

 

 どぎまぎしているときに不意打ちだったけど、俺はすぐにそう返答できたと思う。

 

 だけど、真っ直ぐに俺の目を見ていた鶴羽は笑顔を消してこう言った。

 

「……うん。そんな風に取り繕っていた方がいいわね。今度、ゆっくり話せるといいけど……また会いましょう」

 

 その大人びた声を、俺はめちゃくちゃしっかりと憶えている。

 

 なんたって、それは俺以外に聞こえないように小声だった。それも、抱き着いた手を使って口元を隠している、読唇術対策までした徹底ぶり。その上俺が嘘をついたことまで把握してると来た。

 

 ゾクリと寒気すら覚えていると、鶴羽は俺から離れてにっこりと笑った。

 

「また会おうね。うん、仲良くは無理でも何度も会いたいかな?」

 

 ……はっきり言おう。ザイアにいた時に俺が最も信頼していたのは鶴羽だ。

 

 性交を推し進める時期になると、相方以外ともそういうことをする奴は少なからずいたが、鶴羽は俺にそういう関係を求める風に見せかけていろんな話をすることになった。

 

「……ショットライザーのAIチップにどんな機能があるか分からないわ。脱走するにしても本当に好機を窺わないとまずいわね」

 

「あ~やっぱり? というか、レイダー部隊の方はどんな感じなんだよ?」

 

「貴方の相方と違ってかなり駄目ね。私の相方は完全にザイアの心酔しているし、そんなグループには行っちゃったから、下手に警戒しているグループを探すのも無理かも」

 

 そんなことを話し合っていたら何時の間にか、サウザンドディストラクションが起きて俺達は神の子を見張る者に保護されたわけだ。

 

 で、俺とヒマリがリーネスの庇護下に入ったのはいいんだが、鶴羽はレイダー部隊でザイアの洗脳が残ってるグループに残っていたみたいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのことを思い出して、俺は何というかちょっと苦笑した。

 

 そういえば、第二部隊をサブとして駒王町に派遣するって話は聞いてた。

 

 そうか、もう来てたのか。

 

「……よっ。そっちはどんな感じなんだ?」

 

「第二部隊は全員、シトリー眷属や教会のサブスタッフと連携する感じ。それで分かるわよね?」

 

 なるほどな。不敵な笑みで返す辺り、もう大丈夫だと思っていい感じか。

 

 なんていうか年齢より大人びている雰囲気があるけど、同時に今では年齢通りな印象もある。

 

 でもまあ、数少ない同士に近い関係だったからな。こうして再会できるのはちょっと嬉しい。

 

 ……あの笑顔を覚えてなかったら、一種の極限状況だったあの環境だと恋に落ちていたかもしれないしな。相方のヒマリとは別の意味で深い関係でもある。

 

「……匙、そっちの子は?」

 

「あれ? そっちに話いってなかったのか?」

 

 と、イッセーがこっちに気づいて匙に事情を効こうとしてる。

 

 まあ、グレモリー眷属側に派遣されるイリナについてもあまり言われてなかったしな。当然と言えば当然か。

 

 俺がそう思い直していると、鶴羽は微笑みながら胸を張った。

 

「私はAIMS第二部隊の南空鶴羽(みそら つるは)! シトリー眷属側と連携する、堕天使側のメンバーの一人よ。ま、駒王町全体に散らばってるから駒王学園にいるメンバーは少しだけどね」

 

 まあ、AIMS第二部隊って結構いるしな。それだけの人数を全員駒王学園に入れたりなんてしないか。

 

 俺が感心していると、イリナが思い出した用の手を叩いていた。

 

「あ、確か教会の方と連携するのよね? 私からも言っておくからよろしくね?」

 

「うふふ。ソーナや匙君達と仲良くね? それに、今度機会があったらお茶会にでも招かせてもらうわ」

 

「うっし! お前は第二部隊じゃ結構重要ポジだし、一番協力的だったしな。期待してるぜ?」

 

 部長や先生からもそんな風に期待されて、鶴羽はちょっと機嫌が良さそうだった。

 

「ま、まあ? 私はレイダー部隊では成績良かったし? ええ、もちろんですよ総督! むしろ連携ならそちらより強いぐらいになるまで頑張っちゃいます!」

 

「ふふふ。そうなると本当に心強いですね、期待してますよ?」

 

 会長のメガネが光っている。勢いで言ってることに気づいている。

 

 これは仕事が多くなりそうな予感がするな。頑張れ鶴羽。

 

 俺が同情の視線を送ってると、なんか顔をほんのり赤くしながら俺に流し目を送ってきた。

 

「ふふん。期待されてる私に何か言うことがあるんじゃないの?」

 

「……うん、応援してる」

 

 別の意味も込みでな。

 

 会長は厳しくて厳しいとまで、恋焦がれている匙に言われる人物だ。絶対ホワイトであってもハードだぞ。

 

 ザイアとは比べるまでもないまともな人だけど、仕事の厳しさは待遇の良さとは別の形でもあるな。

 

 頑張れ鶴羽。俺も差し入れぐらいはしてやるから。

 

「……何か、変な意図がありそうなんだけど」

 

 鶴羽は俺を半目で伺ってたけど、ふとその視線が別のところに向いた。

 

 その方向に視線が何となく集まるけど、その先の人は全然気づいていない。

 

「…え…あ……あ……れぇ……?」

 

 リーネスが凄い事になってるな。

 

 なんだあの、鳩が豆鉄砲喰らったような表情は。

 

「リーネス? どうしたの?」

 

「え、いや、えっと……ねぇ?」

 

 カズヒ姉さんが肩をゆすって我に返らせるけど、それでも結構パニくってる印象だった。

 

 俺達が首を傾げていると、鶴羽は何時の間にか近寄ってハグをしてきた。

 

「可愛いわねあなた! 私、もしかして自分は両性愛者(バイ)なのかと思うぐらいっ」

 

「あ、あらぁ? 私も結構そういうケがあるのよぉ」

 

 ……俺は今凄い複雑な感情を覚えている。

 

 え、なにこれ?

 

 ちらりと見ると、近くのカズヒ姉さんが面食らっていた。

 

「え、あれ? え……えぇ……え?」

 

 めっちゃ動揺してる。

 

 と、何時の間にか鶴羽の手がそっとリーネスの首元に触れていた。

 

「実は私、学生生活をするにあたって文芸部とかにも行ってみたいと思ってたの。女の子が理不尽に蹂躙された所為で道を間違えながらも、それでも償おうと頑張るんだけど、その理由を知らずに間違いだけ見てしまった子が憎しみを持つ話」

 

「っ」

 

 そんな鶴羽の脈絡が飛んだ会話に、カズヒ姉さんの肩がビクリと震えたような気がした。

 

 位置的に俺にしか見えなかった気もするけど、見えそうなリーネスは何故かめっちゃどぎまぎしている。

 

 ……顔が赤いというより青いんだが、何があった?

 

 逆に鶴羽は気づいてないのか、そのまま話を進めている感じがするん……だが……。

 

「……………それは、またハードなものを書くのねぇ」

 

 そう言葉を選んだリーネスに、鶴羽は頷いた。

 

「ええ、その恨んじゃう女の子の名前は決まってるの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

七緒っていうの

 

「「………っ!?」」

 

 その時、カズヒ姉さんとリーネスの表情が固まった気がするのは、気の所為なんだろうか。

 

 そして俺は、その名前にどこか懐かしい物を覚えていた。

 

 

 

 

 




 AIMS第二部隊の新キャラ、南空鶴羽。

 和地やヒマリ以外のAIMSキャラを味方として出すことは予定ではありましたが、和地のヒロイン関係を踏まえた結果、そのキャラクターとして作ることになったキャラクターが鶴羽です。和地のヒロインです。

 彼女の出番は当面は少なめになりますが それなりに目立つキャラクターになる予定なので、そのあたりはお楽しみにしてください。









 次回、台詞のみで構成されるちょっと変化球の話です。

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