好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
ついでに一気にテコ入れのために、大改名や秘匿情報も明かしまくるぜぇえええええ!
アザゼルSide
さて、大見得切ったはいいんだが、そうもいかねえのが実情ってわけだ。
「……ったく。中国の兵法には「大抵守る側が有利だから、攻める時も守る側になれるような戦いが理想」とかあったはずだが……マジでやるか」
俺が呆れ半分で見るのは、俺達の試合観戦会場と向かい合いようにそびえ立つ、割とでかい要塞だ。
リアス達のレーティングゲームが始まった瞬間に旧魔王派の連中が転移してきたが、こっちがカウンターを叩きこもうとしたらあんなものがそびえ立ってきやがった。
周囲の地面を集めるように、壁ができて砲台ができて、しかも結界まで張られてきやがった。
そんな要塞に立てこもる形で禍の団の連中は集まって、そこから攻撃を叩き込んできやがる。
その援護射撃を受けながら、観客席に突撃を仕掛けてくる、敵のアステロイドとかいうサイボーグやゴーレムにも見える魔獣共。
厄介な連中が暴れてるせいで、思ったより有利には戦えてない。
なにより、イシロ・グラシャラボラスが禍の団のメンバーだと?
ディオドラが蛇を使っていたことや奴さんの性癖もあって、その可能性はぽっかり抜け落ちていた。というより、普通ドーピングして内通者仲間と戦わないだろ、ディオドラさんよぉ……っ!
あいつは、観客席側にいるんだぞ……っ!
「……警備隊! 観客席からイシロ・グラシャラボラスとその眷属を探して無力化しろ! 最悪殺しても構わねえ、奴は禍の団と手を組んでやがる!」
俺は通信が繋がったのと同時に声を張り上げるが、正直期待薄だ。
何せ繋がるのに時間がかかってんだ。既に何かあったと考えるほかねえからよぉ。
実際、もれてきた音声は悲鳴のそれだ。
『……総督、申し訳ありません。既にやられました……』
「現状と被害を報告しろ!」
かなりダメージが入っている感じだな。こりゃ相当やられたか。
俺が悔やんでいると、通信から答えが返ってくる。
『イシロ・グラシャラボラスとその眷属は既に逃走。負傷者は多数ですが
……なんだと?
イシロの眷属、戦車のアルケードは今、オーディンの爺さん達と真っ向から戦ってるらしい。
いくら駒価値10とはいえ、主神と真っ向から戦えるとか異常な領域だ。
更にイシロの眷属は戦車のアルケードと同様に、騎士と僧侶も二駒使っている。兵士は六駒に二駒だが、この様子じゃ油断はできねえ。とどめに女王は変異の駒だしな。
そして全員、誰一人としてアルケードの足を引っ張ったこともねえ。そんな連中が、死者一人出さずに逃げるのか?
そんな俺の嫌な予感は見事に的中する。
『イシロ・グラシャラボラスは眷属と共にこちらを蹂躙したうえで、応急処置をして撤退しました』
………マジか。
「具体的にどんな感じだ? ……言えるか?」
『はい。私達三大勢力の者は重傷止まりですが、他勢力の者達は女は皮をはがされたり乳房を引きちぎられ、男は睾丸を抜き取られるなどしております。また四肢を切り落とされた被害者も多く、それらはすべて持ち帰られました……っ』
そこまで聞いて、俺は奥歯をへし折りかねないぐらい噛み締めた。
あ、の、女ぁ……っ!
外道としか言いようがねえ。しかも性格の悪さが透けて見えやがる。
三大勢力には手加減したうえで、和平を結んだ他勢力の連中は徹底的に後遺症や傷跡が残るように傷つける。正真正銘の善良な奴や、あくまでやったのがイシロ達だと考える奴は問題ない。
だが、そうじゃない奴だってゴロゴロいる。三大勢力の奴らにやられたとか、三大勢力と共闘した結果やられたってことを重点に置く奴には効果覿面だ。
やられた奴だけじゃなくやられた奴の身内にそんなのがいれば、和平に参加したことに対して異を唱える連中や、三大勢力を恨み連中が出かねねえ。元々和平に反対な連中なら、直接の関係がなくてもこれを理由に反感を抱くだろう。
何より奴の慈善活動で助けられてきた奴らがやばい。援助がごっそりなくなるばかりか、八つ当たりのように排斥してくる連中がごまんと出てくるはずだ。
性格最悪な奴がやる、えげつない手段を取りやがって……っ!
「あの糞アマ! 何を考えてやがる!」
俺が思わず吠えると、ふと気配を感じた。
「いや? あれは僕が指示したことだから、彼女に言ってもねぇ?」
咄嗟に飛び退れば、そこに突き出される槍の穂先。
俺がその正体を悟って面食らった瞬間、今度は紫の炎が俺に襲い掛かる。
モロに喰らえば命が本気でやばい炎。なによりそれがどういうものか知ってるから尚更俺は驚く。
おかげでかわしきれねえ。せめて吹き飛ぶのが義手止まりならいいんだがと思ったとき、絶大な魔力が壁になってそれを相殺した。
同時に光の槍が一斉に放たれて、敵をけん制する。
「無事かね、アザゼル」
「これはどういうことでしょうか? 何故あれが彼に……っ」
サーゼクスとミカエルがこっちに来てくれたのは助かるが、俺に言われても困るってんだ。
ま、このタイミングで来てくれたんなら話してくれるんだろうがな。
「説明してくれるんだろうなぁ。イシロの
俺はドスの効いた声で黒髪のそいつを睨む。
目の前にいるのは、一見すると気弱な印象すら覚える雰囲気の転生悪魔の少年。名前は確か、ミザリだったな。
年齢はイッセー達より少し若い程度。おそらく年齢は一六っていったところだろう。
だが、イシロの眷属で戦車のアルケードと並び立てるヤバい奴なのは確定だ。
イシロ・グラシャラボラスは女王の駒が変異だった。そしてそれを使用したのが目の前のコイツ。
しかも、俺達の目の前で使用したのは……っ
「
聖なる輝きを放つ槍。黄昏の聖槍。
紫に輝く十字の盾。紫炎祭主の磔台。
どっちも神滅具で、しかも神の子の処刑に関与する代物。しかも聖槍は上位神滅具のそのまたトップ、最強の神滅具と言われてる代物だ。
そんなものを二つ抱えてるなら納得だが、逆に納得できやしねえ。
こいつがイシロの眷属になった時期から考えて、あの女が倒されて奪われたってことは無いだろう。……どういう絡繰りだ?
俺達が睨んでいると、ミザリは背中に背負っていたでかいバックパックを外しながら、更に微笑んだ。
「これだけじゃないよ。まずはこんな感じでっと」
そう言いながら、バックパックの中身を奴はぶちまける。
そこから流れ出るのは適当にぶつ切りにされた人の体の部位。
間違いなくゴア指定のそれに俺達は嫌な気分になるが、それ以上にヤバいのはその後の流れだ。
その肉片共は急に蠢いて溶けるようにいくつかの塊になると、そのまま膨張して人型の化け物になる。
肉がむき出しな部位がある上、更に目玉もいくつもあるような化け物だが、力だけなら最上級悪魔クラスはありやがる。
その数体の化け物を可愛い物を見るかのように見ながら、ミザリは微笑んだ。
こいつは性根が歪んでる。俺は確信したぜ。
「と、まあこんな感じで
……聖杯と聖墓もかよ。
神の子の血を受けた聖杯と、神の子を一旦埋葬した聖墓。その二つに由来するあれもまた、それぞれが神滅具だ。
聖杯は魂と生命を癒し組み替え、死者すら蘇らせる。
聖墓は龍脈から力を引き出し、大地を操り聖域を造り出す。
全く。僅かは半世紀ちょっと前に発見された聖墓までか。
世も末だが、何となく読めてきた。
俺は最悪の予感を覚えながら、それでも確認は必須だと判断して問いかける。
「……お前、
「「っ!?」」
「その通り。やっぱり頭がいいね、アザゼル総督は」
驚愕するサーゼクスやミカエルをしり目に、野郎はあっさり肯定した。
デミ・サーヴァント。ザイアが研究していたらしい、サーヴァントを人間の肉体に宿す理論上のみ存在する存在。
ザイアですら完成させなかったそれが奴の正体ならこれも納得だ。
それなら奴の宝具として、今の神滅具のオンパレードも当然だろう。
アドルフ・ヒトラーは聖槍を宿し、聖杯と聖墓を献上された。
そして最悪なことに、聖十字架と共に巡り合った力が奴にはある。
「……貴様ぁああああああ!」
その時、一人の最上級悪魔がミザリに組み付いた。
やばい! あいつ、状況が分かってないからってなんて無謀を!
「離れるんだ!? このままでは君は死ぬぞ!?」
「構いません魔王様! 今のうちに私ごと奴を―」
サーゼクスの叱責に決死の覚悟を見せた瞬間、組み付いた部分が消滅し、勢い余ってそいつは更に体を押し付けてしまう。
結論として、その最上級悪魔は全身の殆どを消滅させて絶命した。
歯噛みするサーゼクスには悪いが、おかげで確認が取れた。
……その肉体そのものが聖遺物同様の聖なる存在と化している。悪魔の体にそんなことができる上、アドルフ・ヒトラーが持っていた最後の神滅具が、やはり奴には宿っている。
「
アドルフ・ヒトラー。真っ当な教育を受けていれば、この名前を聞いたことがない奴はまずいないだろう。
第二次世界大戦を主導したともいえる、当時のドイツの総督。
表の人間が真剣に調べて分かる範囲内で最もヤバいのは、民主主義で選ばれた独裁者である点と、一時的にとはいえ当時のローマ教皇にその行動が認められたというツートップ。そして後者には一つの理由が存在する。
最強の神滅具である黄昏の聖槍に、更に幽世の聖杯と紫炎祭主の磔台。
これら当時知られていた聖遺物系の神滅具三種に、更に新種の聖遺物に由来する神滅具を二種も手にしてしまったことが、当時の神の死を知る信徒共にとって、ミカエルを凌駕する信仰対象として認識されちまったことに由来する。
生まれつき聖杯を宿していたうえ、独立して宿主を選ぶ特性を持つ聖十字架と聖血に選ばれ、更に信者達の献身で聖杯と聖墓すら宿した結果、奴は魔王すら超える化け物となった。その影響によってドイツ第三帝国は三大勢力の一角に匹敵する大勢力に成長し、結果として三大勢力と四つ巴の戦いにまでなったわけだ。
そんな奴がサーヴァントとして召喚されたらどんな感じになるのかと、思わなかったわけじゃない、
だがなぁ―
「まさか、現実にデミサーヴァントになる方法があったなんてな。リーネスですら苦労しまくってるんだぞ……っ」
「ええまあ。ちょっとした裏技といったところかな。聞くかい?」
ミザリは俺にそう尋ねるが、言うまでもねえ。
あほみたいな方法だが、考えられる手段が一つあるからな。
「亜種聖杯を利用した。そんな感じでいいんだろ?」
「正解。
ミザリの言い分に、俺は首を傾げる。
五年だと? こいつがイシロの眷属になったのは奴が悪魔の駒を手にした直後だったはずだ。
その時のコイツは十代前半。しかもそのあとはイシロの眷属として平穏に過ごしていた。
……なんか更にヤバい約ネタが聞こえてきそうだ。
「何せ無理がある方法だったから、あの頃は今ほど思うように使えなくてね。だから亜種聖杯戦争を利用して色々と準備を整えたんだけど、まず真っ先にしたことがあるんだよ」
そう苦笑しながら、ミザリは過去を思い返す目つきで語る。
「二回目の亜種聖杯戦争から先を見越して、眷属悪魔狙いで「死後強大なデミ・サーヴァントの素体としての才覚に優れる上級悪魔の子供として転生する」を願ってね。同時に協力してくれそうな願いを持ってるだろうサーヴァントを狙って召喚したり、三回目で能力込みだと思い当たりにくいから「協力してくれるだろうサーヴァントの見繕いと触媒」を要求して、それからはサーヴァント達には「眷属悪魔になれる純血悪魔に生まれ変わる」として先に生まれ変わる準備をしてもらっていたのさ」
マジかよ、オイ。
俺達が唖然としていると、そいつは肩をすくめる。
「最も僕は旧魔王血族の子供として生まれてしまってね。幸いイシロがグラシャラボラス家に生まれてくれていたからいいものの、あの時はちょっとどうしようかと思ったね」
しかもコイツ旧魔王血族かよ!?
そんでもってイシロの奴は生まれる前から協力者だってか? それもサーヴァントが転生するってことは、デミ・サーヴァント以上にヤバいことになるじゃねえか。
「……なんという手段をっ」
「悪夢と思いたいですね……っ」
サーゼクスとミカエルが唸るのも無理はねえ。
デミサーヴァントの成功にそんな裏技があるとは正気の沙汰じゃねえ。
つまり人生二週目かよ。そりゃ成長できるわけってもんだ。
人間の成長には年齢とかで限界がある。特に成長しやすい若い頃は、精神的な未熟が原因で伸ばしきれないケースがいくつもあった。
それを克服してるどころか、まず最初の段階でブーストがかかってるわけだ。それも、完全なデミサーヴァントとして生まれて神滅具五つ持ち。
反則としか言いようがねえ……っ!
「しかもそれが特に傑作でね。だから自己紹介をさせておくれよ」
おいちょっと待て。
嫌な予感が更につるべ打ちになるってのか。
俺達が警戒していると、ミザリは軽く髪を払う。
どうやら髪は黒く染めていたらしい。俺が魔力によってこそぎ落とされ……俺達は目を見張った。
それは、ヴァーリを思わせる銀の髪。
そして同時に、術式で封印していたのか魔力の質が変化する。
嘘だろ。この魔力の質は……っ
俺達が戦慄しているのを分かった上で、奴は優雅に手を広げた。
「禍の団、イシロ・グラシャラボラス眷属の真の
冗談にしてほしいと本気で思う。
よりにもよって、ヴァーリの叔父だと?
それはつまり、
「……ちょっと人間世界と異形社会、それらすべてに絶望と嘆きを広げる男さ」
しかも目的がやばい。
ヤバい奴の餓鬼がヤバい目的で動く。どう考えてもヤバいことにしかならねえだろ、これは……っ!
「よろしくね♪」
そんなウインクと共に、ミザリは作った魔物を俺達に差し向けた。
そんなこんなで、明かされる秘匿情報。道間清明の名で分かる方はわかると思いますが、此処で説明を。
実はこの作品、エタってしまったかつての自作品「ハイスクールD×D/Apocrypha 魔術師達の狂騒曲」の超大幅手直し作品です。同時にリベンジ作品でもある「異世界狂騒曲 ―ハイスクールD×D×D」のリベンジ作品でもあります。
もうその辺のネタ晴らしを盛大にしますが、イルマ・グラシャラボラスやイルマ・クリミナーレを超大幅手直ししたのがカズヒ・シチャースチエです。またアイネス・エルメロイ・アーチホールことツヴェルフ・シトリーもスピネル・G・マルガムから大幅手直ししてリーネスです。麻宮鶴来も能力面を大幅手直しした結果、九成和地として申請しました。あとまあ当然ですが、ミザリ・ルシファーはトルメー・グラシャラボラスを手直ししましたが、こいつは一番変わってないですね。
これに関しては思考回路を一変させることも踏まえたもので、心機一点であると同時にカズヒ関連においてはより彼女の根幹部分に則った変化を遂げた物です。
さらに心機一転するにあたり、別の意味で神様転生に対するアンチテーゼ的な部分も組み込みました。結果としてけた違いに変化しているので、知っている方も言われて初めて気づいたのではないでしょうか?
どうしても「ハイスクールD×D/Apocrypha 魔術師達の狂騒曲」で書きたかった部分を書き切りたいと思っていたので、そのための苦肉の策でもあります。なので、できればあの作品を見ていた方々には見ていただきたいと思っているのが実情ですね。