好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
イッセーSide
ディオドラの本陣についたと思ったら、なんか凄い激戦が始まってるんだけど!?
爆発がそこかしこで起きて、更にそれをかいくぐるように見覚えのある男女が剣を躱す。
「九成! カズヒ!」
俺が声を上げると、二人は一旦仕切り直すように距離を取りながら、俺達と合流した。
「無事なようでなによりね。あとアーシアはディオドラが奥に連れて行ったわ、急ぎなさい」
「こっちは俺達が引き受ける。メインディッシュは譲ってやるからさっさと行け!」
そんなことを言うけど、い、いいのか?
「いいの? ディオドラの眷属達をあなた達二人に任せても?」
部長が尋ねるけど、二人はすぐに頷いた。
た、確かに。ディオドラの眷属達は二人の相手で精一杯みたいだけど。
特に真ん中でフェンシングっぽい細身の剣を持ってる子は、真っ直ぐに九成だけを見てる。
確か知り合いがいたんだっけか。あの子なのか?
「大丈夫かい? 動きにあまり隙が無い子に見られてるけど」
「……あの人が枉法インガ。インガ姉ちゃんは、両親が世界大会が縁で結婚した生粋のフェンシング一家の出身なんだ。最も強制はされてなかったから、姉ちゃん自身は大会出場レベルじゃなかったはずだけどな」
木場に九成はそう返すけど、厄介じゃないか?
それに他の眷属だって、なんだかんだで会長やゼファードルの眷属より平均は上なんだし。
やっぱり援護した方がいいんじゃないかって思う。
皆もそんな雰囲気をしていたけど、その時カズヒが、震脚みたいな感じで足の踏み込みで大きな音を響かせた。
「いいから行きなさい。事情を知ってるかは知らないけど、あの子達は進む足を止められないもの」
そう言いながら、カズヒは悲しそうな怒ってそうな、そんな目をディオドラの眷属達に向けていた。
ディオドラの眷属関係の事情は知っている。そういうことでいいんだろう。
部長も分かっているから、正直ちょっと憐れんでるような感じだった。そして説得した方がいいと思ったのか、口を開こうとして―
「言っておくけど、説得では止まらないわよ」
―カズヒが、そうはっきりと言い切った。
「……イッセーならこういえば分かるかしら? あの子達はいうなれば鬼畜調教ゲームの攻略済みキャラクターみたいなものなのよ」
「いや確かに納得だけど。今そんなこと言ってる場合か?」
的確過ぎるけどその例えはどうなんだよ。
俺ですら正直引いているけど、カズヒの態度は大真面目だった。
「もしくは薬物中毒でもいいかしら? どっちも患っていると言ってもいいかしらね」
そう言うカズヒの背中は、何て言うか、すすけている雰囲気がしていた。
「精神的に追い詰められていると、例えそれが元凶だろうと救いの手を差し出した者に感謝するのよ。そして精神的に限界を超えていると、どんな悪辣な物であっても逃げたり忘れられるものに逃げて縋って依存するの」
悲しいような、怒っているような、悔やんでいるようなその背中は、俺達が知らないカズヒの人生が作ってきたんだろうか。
「
その背中から告げられる言葉に、俺達は何を言えばいいのかも分からない。
だけど、カズヒには覚悟も決意もあるってことだけは嫌って程分かった。
その決意を背中に背負って、カズヒは静かに構えをとる。
「……命すら惜しまず殺しに来る相手を、殺さずに取り押さえられるかどうかの判断も技術もないでしょう? ここは私に任せて頂戴」
「……ああ、それにまあ、インガ姉ちゃんは俺に任せてほしい」
九成も、ショットライザーを腰に巻き付けながらインガって子を真っ直ぐ見る。
「そういう奴が必要なら、それこそ
そ、そう言われると男としてちょっと止めづらい。
そして九成をなんか誇らしそうに見ながら、カズヒは顎で道の先を見せる。
「私達は私達の都合と我儘で仕事を割り振ってもらったの。終わったらすぐ追いかけるから、あなた達はあなた達の都合に合わせた仕事をしなさい!」
「……カズヒの言う通りです。私達はまず、アーシアさんの救出に専念するべきでしょう」
シャルロットにそう言われて、リアス部長も頷いた。
「必ず生き残りなさい。ディオドラを何とかしたら、その時は私達も参加させてもらうから!」
「「それまでに終わらせる!!」」
……そこまで言われちゃ、任せるしかねえか。
「任せたよ二人とも!」
「アーシアはこちらで引き受ける!」
木場とゼノヴィアが剣で相手をけん制しながら先陣を切って、俺達はそれを追いかける。
待ってやがれ、ディオドラ……っ!!
Other Side
同時期、三大勢力を中心とする和平側は、敵の猛攻に対して猛反撃をしながら戦っていた。
総合的にはこちら側が有利だが、然し敵が瞬時に要塞を作ってそこに陣を敷くという奇策によって、決して油断できない塩梅となっている。
もとより拠点攻略というものは、守る側が有利になる物である。更に事前に通達された者達の殆どが、待ち構えて迎撃するつもりが逆に防衛線を仕掛けられている為出鼻も挫かれた。そこに慈善活動家として有名なイシロの残虐非道な裏切りにより、虚を突かれていることが要因になっている。
そして事情を知らない者も少なからずおり、そういった者は相応の保険を掛けられていたが、知っている側以上より衝撃が続いていたこともあって、動揺が激しいのが現状だ。
そんな中知らないながらも奮戦している者達が少なからずいた。
「遅い! 真なる魔王に付き従っておきながらこの程度か!」
振るわれる剛腕は、魔力が注ぎ込まれた防壁を軽く砕いて敵を殴り飛ばす。
バアル本家次期当主、サイラオーグ・バアル。
若手同士のレーティングゲームで初戦から敗北したNo1という、ある意味で最も悪い目立ち方をした彼だが、それは彼が弱いことを意味しない。
彼を内心で嫌悪していた支援者達はいい機会だと手を引いたが、あれは完膚なきまでにノアの作戦勝ちで勝ち逃げに近い。
あの場における最強戦力が彼であることは、分かる者達は当然分かる。逃げ切りを主体としていたとはいえ、ノアの全眷属による包囲を受けても、一時間以上凌ぎ切ったことからもそれは明らかだ。
故に、それで油断した旧魔王派は圧倒されていると言ってもいい。
文字通りの一騎当千。困惑が激しい知らない者達の中で、彼は数少ない護衛班以上に活躍している者達だった。
「……会長、あの人事情知らないはずなのに、全然動揺してませんね」
「動揺はしているでしょう。それ以上に現状を理解して成すべきことをしているだけですよ」
カズヒ・シチャースチエやリーネスに巻き込まれる形で事情を知っていたソーナが苦笑するほどのサイラオーグの無双に、半ば巻き込まれた匙元士郎は面食らっている。
そんなあからさまな隙を敵がつく余裕もないほど、この部位の観客席はサイラオーグが暴れ回っていた。
上級悪魔、それも一部はオーフィスの蛇で強化されていながら、サイラオーグの拳はそれを圧倒する。
この光景に士気は上がり、このままなら優位に決着すると思われたその時だった。
「……流石は若手トップ。我が主が本気を見せてなかったとはいえ、やはり強いわね」
その言葉と共に、灼熱が浮かび上がる。
その熱気に一部の者達が慌てて下がる中、生身でそれに耐えるサイラオーグは、真っ向から相手を見据える。
そこにいるのは一人の少女。赤毛をポニーテールにした、両手に灼熱を纏うその少女を、サイラオーグは相応に知っている。
「確か、ヴィールの
「ええ。知ってくれているってことは警戒してるってことね。あなたほどの戦士にそうされるのは光栄だし、願ったり叶ったりだわ」
そう言いながら、少女は両手に炎を纏うと静かに構える。
それに対し、サイラオーグもまた構えをとることで応じる。
「ヴィールの反乱は既に知っている。だが、眷属だからとてそれに付き従う必要はない。投降するなら無碍にはしないが―」
「お構いなく。私としても望むところだもの」
サイラオーグのその善意を、春菜はバッサリと切り捨てた。
その目に宿るのは、自分の生き死にを決意した者の、狂気すら宿る意思の光。
間違いなく、彼女は自分の意思でヴィール・アガレスに与している。その結果がヴィール達の望み通りに敗北の果ての死であってもいいと、目で彼女は語っていた。
「私は弱きに逃げたりしない。心へし折れても腐り果てることを良しとしなかったからこそ、力を欲したからこそ得たこの
鋭い目で、周囲に対する警戒を消さずに春菜はサイラオーグと向き合った。
「―私は強く生きて強く死ぬ。サイラオーグ・バアル。無能で無意味なその在り方を、私がここで焼き尽くしてあげるわ!」
「いいだろう。誰に否定されようとも、俺はこの生き方を積み重ねるのみ。それしかできん不器用な男なんでな―ッ」
その瞬間、壮絶といって過言ではない死闘が巻き起こった。
実はもとから武闘派だったりするインガ。最もあくまで一般人レベルではあるのですが、そこに星辰光がついたからもう大変。
一方サイラオーグ相手に真っ向から戦闘できる体制の春菜もまた実力者。というより、ある意味反則じみた仕様になっているので、火力と手札に限定すれば和地ヒロインとして設計したキャラでもトップクラスかと思われます。