好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ   作:グレン×グレン

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 事実上の、魔性変革編最終話となります。


魔性変革編 第五十八話 決意の夜に

『ソーランソーラン♪』

 

「「「ソーランソーラン!」」」

 

 という、ちょっと歴史ある感じのリズムに乗って踊る、赤い鎧に青と橙のプロテクター。

 

 沖縄民謡だったかそんな感じだったソーラン節に乗って踊るのは―

 

「……実態を知って観ているとシュールな気がするじゃん」

 

「ふふ、でもちょっと面白いと思わない?」

 

 厳正な決戦(じゃんけん)の末見学の権利を獲得した、ヒツギとリアス部長が言いたくなる気持ちも分かる。そんな俺とイッセーとヒマリである。

 

 ちなみにイッセーが真ん中で、左右に俺とヒマリが並ぶ形だったりする。

 

 表情が見えないのが救いだ。分かっているとはいえ、これを初回から真面目かつノリノリにやるのは結構きつい。

 

 踊りには手抜きはしてないがな!

 

 ……そしてダンス終了と同時にそれぞれ装甲を解除。

 

「ふぃー。こういうダンスってやっぱ動きの分だけ疲れるな」

 

「なんでダンスの違いまで分かってますの?」

 

 イッセーに首を傾げるヒマリに、俺はそっと手を置いた。

 

「覚えておけヒマリ。日本の学校には精神的な地獄ともいえる創作ダンスという科目があるんだ」

 

「そっちじゃないから。あと数日ぐらい経ったら教えるから」

 

 え、違うの?

 

 じゃあなんでだ? ダンスの違いとかそんなレベルで把握できるようになる経験を高校生がするとか、それぐらいな気もするんだけど。

 

『……あと、数日しかないのかぁ』

 

 あとドライグはなんで凹んでるんだ?

 

 俺が首を傾げながら汗を拭いたり水分を取ったりしていると、部屋に備え付けのデスクトップPCを操作したメリードが頷いた。

 

「無事撮影は完了いたしました。これでYou〇ubeチャンネル「トライフォース放送局」第一弾は無事投稿完了です」

 

 ……そう。これは某映像配信番組に載せるのだ。

 

 登録チャンネル名はさっきもメリードが言ったトライフォース放送局。既に各勢力には三大勢力から通達済みであり、おそらく日付が変わる頃には多くの異形が見ているだろう。

 

 このある意味とんでもない行動もまた、三大勢力による和平の広報活動の一環だ。

 

 ある意味和平の象徴である、駒王町を担当するリアス・グレモリー眷属と、その同居組たるAIMS第一部隊に聖ミカエル監察団。彼らが仲良くやっていることを示し、そして対外的に和平に対するコマーシャル活動じみた一環として、動画配信を生かすという提案がされた。そしてノリで各勢力のトップがOKした結果がこれだ。

 

 この為に兵藤邸別館の一階は撮影ブースとなっている。更に男女混合で済んでいる為分けにくかった共同浴室を男女別で一階にまとめることで、撮影終了後のひと汗流すことも簡単になっている。

 

 あと共同浴室はシャワーブースやサウナまで備え付けられている。無駄に豪華だと思う。

 

 ちなみにこのダンスはその一環で、各勢力について知っている者達からすると見た瞬間に和平側にとって味方と思わせる為の仕込みを兼ねているらしい。

 

 ちなみにこれだけで終わるわけがなく、ギャスパーが単独でのゲームプレイ配信を某音声読み上げソフトを使用。複数人プレイ可能なものは、野郎の交流も兼ねて俺・イッセー・アニルにゲームでめちゃ強い小猫ちゃんが参加する形で別途でやる予定。

 

 それと顔が見えないようにしたコスプレなどで、ピアノやバイオリンの演奏をやったり、魔剣創造や聖剣創造を持っている組で創作物の剣を再現して殺陣をしたりする。クックスの協力をもって本日の一品的なものもしたりする予定だ。

 

 ……ちなみに、変な料理になる組はクックスの厳正な審査で弾かれている。

 

 まあそんな感じで、今回は変身してダンスだ。イッセーは覇龍を何度も使った影響で、時間制限以内なら一旦解除しても最変身できるようになっているからいいが、できない状態でやるのはリスクがあったんじゃなかろうか。

 

 俺がそんなことを思っていると、撮影室の収納スペースにレフ板などの格納が完了する。

 

「メリードさん。お片付け終わりました」

 

 そう報告するのはインガ姉ちゃん。

 

 何故このタイミングでインガ姉ちゃんなのかとも思うけど、メリードがリーネスと視線を躱して頷いていたからそういうことなんだろう。

 

 ……下世話っていうと思うんだけど。

 

 俺が何となく半目になっていると、メリードはこっちをちらりと見てからインガ姉ちゃんの方を向いた。

 

「では、インガの本日の業務は終了です。今から明日午前六時までは自由時間ですので、少しぐらいは気を緩めて起いてください」

 

「え、あ、はい……」

 

 そこでちらりと俺とインガ姉ちゃんの視線が合う。

 

 ……き、気まずい。

 

「嫉妬の炎はよそで燃やしてやる。ありがたく思えよ」

 

「はーい。ヒマリは邪魔したらいけないからあっちいこうねー」

 

「む~。和地とインガの初夜、私もサポートしたかったですわ」

 

「多方面で余計な世話を焼いてくれるなぁもう!」

 

 むしろ一緒にいてくれ。というか、そんなこといきなりしないからね!?

 

 あ、何時の間にかメリードまでいない。

 

 え、えっと……男は度胸!

 

「インガ姉ちゃん、とりあえず……俺の部屋、行くか?」

 

「そ、そうだね! うん、メイド用の生活ブースは共同空間多めでプライベートブースは狭いから!」

 

 そんな感じで、俺とインガ姉ちゃんは俺の部屋で。

 

 ちなみにドアのすぐ近くに「ちょっとぐらいは楽しい時間を過ごしなさい」と、お菓子とジュースの差し入れがあった。

 

 この文字と文の感じはカズヒ姉さんだな。これまた余計な気をまわして来てやがる。

 

 とりあえず持ち込んでから部屋に入り、俺達はジュースとお菓子でちょっとした駄弁りを始めた。

 

 会話の種はグレモリー眷属や聖ミカエル監察団がらみだ。

 

「って、インガ姉ちゃん達もアニルの燻製食べたのか?」

 

「うん。本当に美味しいよね。イギリスってメシマズの印象があったけど変えた方がいいかも」

 

「そこはアニルが凄い可能性もあるしなぁ」

 

 なんてことを駄弁っていると、ふと沈黙が続いた。

 

 ……なんというか、ちょっとこぉ、沈黙がキッツい。

 

 ふとなんというか視線を逸らしていると、割と遅い時間にもなっているし、切り上げ時かもしれない。

 

 そう思って視線を戻すと、なんかインガ姉ちゃんが顔を近づけていた。

 

「……えっと、ベッドイン?」

 

「……クスッ。今日はいいかな」

 

 そう言いながら、インガ姉ちゃんは俺の隣に座りと、そっと寄り添った。

 

 落ち着け落ち着け落ち着け俺。クールになれ、深呼吸だ。

 

 冷静になろう。今この場の勢いで致すのはよくない。そこはしっかり気を付けないと、何をやらかすか分かったもんじゃない。

 

 男の劣情はそういう判断とか責任問題をぶん投げて飛んでいくからな。いざという時は腹を掻っ捌くぐらいの覚悟を持て望まねば。

 

「……和地くん」

 

 俺のドギマギとしている心境を知ってか知らずか、インガ姉ちゃんはどこか遠くを見るような目で、窓の外を見ていた。

 

 ……自然と、俺も落ち着いたというか真剣になる。

 

 これはきっと、真面目な話だ。そしてそれは、彼女を強引に引っ張り上げた俺がきちんと聞かなければいけない。それが責任ということだ。

 

 だから、そのまま黙ってしまったインガ姉ちゃんの肩を抱く。

 

 正直に言うと、まだちょっと迷ってるところはある。カズヒ姉さんが好きだから他の子に愛されるとか、抵抗がないと言えば嘘になる。

 

 だけど、自分の意思で引きずり出したことに対する責任は取ろう。

 

 少なくともそこは取る。いつか俺が手を引かなくても、インガ姉ちゃんが歩けるようになる算段は整える。その上でインガ姉ちゃんが俺と一緒にいると決めたのなら、その時は誠実に対応する。

 

 静かに呼吸を整えながら、俺はインガ姉ちゃんの言葉を待った。

 

「………いつか、お母さんやお父さんに謝りに行きたいんだ。でもちょっと……凄く怖いから、一緒に来てくれないかな?」

 

 ………そうだよな。

 

 折角、まだ両親が生きているんだ。俺とは違うんだ。

 

 拒絶されるかもしれない。だけど、それを自分でしようっていうのなら―

 

「分かった。その時は一緒に行くさ」

 

 ―無言で涙を流すインガ姉ちゃんを宥めるのに時間がかかって、ちょっと寝坊したのは此処だけの話だったりする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……いっそのことこのままで来てくれたらって思ったりはするわね」

 

「そうねぇ。そう言いたくなるでしょうねぇ」

 

「ま、その方が都合いいのかな?」

 

「ゴメン。ちょっと鶴羽の気持ちを考えてなかったわ。まとめて貰われちゃいなさい」

 

「……えっと、その気遣いは変な方向っていうか、カズヒこそもうちょっとその、貰われちゃったら?」

 

「ねえリーネス。再会した次の日から鶴羽っておかしくない? この中だと一番昔と変わらない印象なんだけど」

 

「仕方ないんじゃない? 二十年弱もあれば、何かしら変わるわよぉ」

 

「一番変わらなさそうな堕天使が変わってると、説得力が違うわね」

 

「でもまぁ、これからもこれからで忙しくなりそうよぉ」

 

「知ってる知ってる。どの勢力でも和平反対派に人が流れてるんでしょ? カズヒはダーティジョブ担当としてどこまで知ってるの?」

 

「最近すっかり表側に移行してるから、リーネスよりは知らないわね。最も、特に活発に動いている奴は知ってるけど」

 

「マジで? やっぱ暗部の伝手って奴?」

 

「ええ。暗部側でアースガルズに睨みを利かせていたメンバーが、気になる情報をね」

 

「……あそこって、かなり早い段階で和平を結んでいたはずだけどぉ?」

 

「一神話規模ともなれば一枚岩じゃないってことよ。……特に、筆頭格がちょっと洒落にならないしね」

 

「え、なにそれ。今更単独で神々の黄昏(ラグナロク)とか起こされても困るんだけど? アース神族とか巨人族とか?」

 

「もっと酷いのよ。……アースガルズにおいて主神オーディンや戦神トールに並ぶ有名どころ、悪神ロキが反対派を抱え込んで反対運動に動いてるって」

 

「あぁ~。それは困ったわねぇ」

 

「マジで勘弁してよ~。あのレベルの神が動いたら、折角結ばれた和平がポシャりかねないじゃない!」

 

「ええ、だからこっちも備えるだけ備えときたいわ。……リーネス、鶴羽」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと本腰入れて神対策を整えるわよ。二人とも、手を貸してもらうから覚悟して」




 次に幕間を入れた後から、次の章に移行します。

 次の章は以前にも書いたと思いますが、中核をラグナロク編にしつつ、パンデモニウム編につながる短編集のオリ話や、短編の話をいくつか組み込んだ作品にする予定です。

 中核となるラグナロク編においては、ジャンプ漫画、それもBLACHのように同時タイミングで多種多様なバトルが発生するため、イッセーや和地、カズヒが主体とならないお話が増える可能性が高いです。まだ書き溜めはそこまで言ってないですが、アニルVSアーサーや

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