好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話 旧名:ハイスクールL×L 置き土産のエピローグ 作:グレン×グレン
和地Side
そんな野郎同士のヒートアップした空気のまま、俺達は来客用の応接間に移動した。
そこにいたのは金の髪を左右でドリルにしている、分かり易いお嬢様テンプレの女の子。
フェニックス家本家の娘さんか。相応の立場らしいけど、それがイッセーも含めてどんなようだ?
そう思っていると、そのレイヴェルはほんのり頬を赤らめてイッセーに華やいだ顔を向ける。
「お久しぶりですわ、イッセー様」
「よぉ、レイヴェル。俺まで呼び出すなんて、何かあったのか?」
……レイヴェル側の反応はともかく、イッセー側の反応が妙だな。
何かあったのか? イッセーってフェニックス家に敵視されてるとか?
あとレイヴェルの反応的に、それだとロミオとジュリエットだな。流石にデスエンドは可哀想だけど、こいつはグレモリー家だけでなくフェニックス家にも手を付けてるのか。
俺がそんなことを思っていると、アニルも同じことを気にしたのか、アーシアやゼノヴィアの方によって首を傾げた。
「なんかお互いの反応があれなんすけど、何かあったんすか?」
「さっぱり分からん。アーシアは知っているのか?」
「あぅう……。いつの間にレイヴェルさんまで……」
取り合えず、ゼノヴィアは知らないけどアーシアは知っていることのようだ。
と、同じように首を傾げているヒマリ達やカズヒ姉さん達に朱乃さんが気付いてくれた。
「あらあら。そういえば皆さんは知らない話でしたわね」
というと?
俺含めて結構な人数の疑問符に、朱乃さんはにっこり微笑みながら、レイヴェルをてで指し示す。
「実はコカビエルが問題を起こす前、リアスはイッセー君の尽力もあって許嫁との婚約を解消しましたの。その婚約者はフェニックス本家の三男であるライザー・フェニックス。レイヴェルちゃんはその妹であり、同時に眷属悪魔の一人でしたの」
え、そうなの?
というか実の妹を眷属悪魔にするとか、ちょっと分からないというかさっぱりというか。
いや、上級悪魔の本家ともなれば、他の家の分家といった上級悪魔を眷属にすることもあるだろう。フロンズとかノアとかがそうらしいし。
だけど自分の実の妹を眷属にするとか、ちょっとびっくり。
そんな時、カズヒ姉さんがハッとなった。
「……あ、もしかして」
何か仮説に思い付いたみたいだ。
なんか視線が集まっているけど、カズヒ姉さんは同情の視線をレイヴェルに向ける。
「勘違いだったら謝るけれども、もしかして庶民の愛人との間に生まれたとか、分家から引き取られた義妹とか、そういう複雑な来歴故の冷遇ってことは―」
「違いますわ。そういうわけではないので気にしなくて構いませんわ」
即座に否定が入った。
「……まあ、何も知らずに貴族の家とかが絡むと、そういう勘違いをしてしまうこともあるのかしら?」
「……流石に同情」
リアス部長や小猫ちゃんも、苦笑いや憐憫の表情を浮かべている。
なるほど。どうやら複雑な生まれとか家庭環境ってわけじゃないらしい。
「……邪推してごめんなさい。でも、ならなんで実の兄の眷属に?」
なんか真剣実のある表情でカズヒ姉さんが聞くけど、なんか知っている側が通夜みたいな表情で俯いた。
「カズヒ、たぶんこれ……もっとアホっぽい理由じゃない? 兄弟喧嘩でそういう賭けをした結果とか」
雰囲気から悟ったっぽいヒツギの意見だけど、なんか俺もそんなアホな理由な気がしてきた。
「む~……はっ! エイプリルフールでそんなこと言ったら、周りが本気になって断れなかったとかではありませんの!?」
「「いや、大喜利じゃないから」」
ヒマリは何か勘違いしているから、俺とヒツギでちょっと口を塞ぐ。
まあ、今ので空気が和らいだからいいとするか。
「それでぇ、正解はぁ?」
リーネスが話を進めると、レイヴェルが遠い目をした。
「お兄様にどうしても頼まれましたの。頼られて悪い気はしなかったので了承しましたが、あとで聞いた理由が……その……」
言い淀むぐらいアホな理由なのか。
俺はちょっと真剣に同情してきたけど、理由が別の意味で気になっていたな。
というか、なんでイッセーは悔しがっている感じなんだ。何を知っている。
「……「俺はそうじゃないけど対外的な意味として妹萌えをコンプリートしたい」という理由でして」
…………。
「「「「「「「「「あ、同類……」」」」」」」」
知らない組がイッセーに一斉に視線を向けたよ。
そしてイッセー。悔しそうに拳を握り締めるな。
「実妹。それは、実の妹を持たない男には生涯ゲットできない属性……っ。俺はその一点だけは、決して奴には勝てない………っ!」
俺、もう部屋に戻って寝ていいかな?
「とりあえず、そのライザーって奴が女にだらしないのは分かりました」
俺はとりあえず、そう声を絞り出した。
そしてカズヒ姉さんは、ため息を盛大についた。
まあ、この内容では色々と頭が痛くなるのは理解できるからなぁ。
「……そりゃ婚約を解消したくなるわね。部長はそういうのに夢を見たいタイプだと思うし」
「……50点ってところね。確かにカズヒの言う通り夢はあるけど、別にハーレムを作っていることは関係ないのよ? 悪い男でもないし、私を愛してはくれるでしょうし」
カズヒ姉さんに部長はそう返すけど、やっぱりハーレム作ってたんかい。
まあでも、ならイッセーがOKな理由が分からないからそこはいいのか。
じゃあなんでとか気になったけど、そこでルーシアがパンパンと手を叩いた。
「色々と気になるところもありますけど、親しき仲にも礼節は必要です。今は本題に進みませんか?」
まあそうだよなぁ。
正論すぎて反論もない。というか、色々とプライベートに踏み込む内容は慎重にいかないとな。
「ルーシアは本当にできた子だよねぇ。素直に褒めて挙げるじゃんか」
「ありがとうございます。私の兄はリュシオンですから」
……ヒツギに頭を撫でられながらだけど、もはや決め台詞とかしてるな、その言葉。
そんなこんなで色々と事情を聞いたけど、そりゃまたすごいな。
そもそも婚約そのものが「大学卒業までに恋人ができたら無し」になってて、だけど何故かいきなり話が進んだってところでまあびっくり。その上圧倒的に駒の埋まりぐらいが開いているってのに、レーティングゲームの勝敗で決めろとか……ねぇ?
まあ、負けたけどイッセーがエキシビジョンマッチをすることになって、その果てにライザーは敗北。婚約解消と人生初の挫折のダブルパンチで引き籠りになったってことか。
「全くもう! お兄様もお兄様ですわ! 一度敗北したぐらいで、もう何ヶ月も引き籠るだなんて! 男なら次こそはと決意を燃やすぐらいでなければいけませんでしょうに!」
そんな風に愚痴を漏らす様子を見る限り、その辺りのごたごたは尾を引いてなさそうだ。
というより、時々ちらちらとイッセーを見ている様子からすると惚れている感じだろう。今の会話ではどこで惚れたのかがよく分からないけど……まあそこはいいか。
「……とはいえ、やはり兄ですので―」
そんな風に心配げな表情を浮かべるレイヴェルに、結構なメンツが気にしている。
まあ、お人好しのグレモリー眷属なら当然か。もうちょっとぐらい冷たくても、罰は当たらない関係だと思うけどなぁ。
そんなことを思いながら、俺はとりあえず話を進めることにする。
「……で、レイヴェルちゃんだっけ? こういう言い方はなんだけど、なんである意味元凶なグレモリー眷属に?」
「はい。あれから色々な方に相談したのですが、グレモリー眷属が筆頭なものを使うべきだという意見が多かったものでして」
そう素直に答えてくれるけど、どういうことだ?
俺達が首を傾げてると、レイヴェルはイッセー達を真っ直ぐに見つめた。
「リアス様達が持つ……いわゆる根性が必要なのではないかという意見が多い物で」
「な、なるほど」
イッセーがそう言うけど、まあ確かに。
ヘタれているなら根性を獲得する。まあ確かにそうなるけど―
「でも引き籠っているんでしょう? ヘタレに無理やり根性を入れようとしても、逆に折れて大変なことになりかねないわよ?」
カズヒ姉さんが怪訝な表情を浮かべるけど、リアス部長達は違う考えのようだ。
「いえ。このまま自然に持ち直したとしても、ライザーだって何度も負けを経験することになるでしょう。ならここで負けに潰されない根性を持つべきだわ」
「そういうことなら任せてください! 俺に考えがあります!」
部長に乗っかる形で、イッセーが気合を入れて声を上げる。
……何を考えたんだろうか。ちょっと不安というか、脳筋君な発想な予感がするんだが―
「えー。本日のトライフォース放送局ですが、趣向を変えて雪山で踊ってみます!」
「吹雪く中での燃える踊りをご覧くださいませー!」
「「……なんでこうなる」」
ノリノリのヒマリについていけず、俺とカズヒ姉さんは装甲越しでため息をついた。
イッセーの発想はとんでもなかった。
元龍王タンニーンという壮絶なコーチを頼んで荒療治だ。しかもあの龍王、寄りにもよって雪山を貸してきやがった。
荒療治すぎないか? 冗談抜きで心が完全に折れるんじゃないか?
そんな懸念をしていた俺と同じように、カズヒ姉さんも同じことを考えていたらしい。
結果として、カズヒ姉さんが
いや、差し入れぐらいはする気だったけど、これは無いだろ。
まあ、雪山でこんな格好してダンスとか、絶対バズるとは思うけど。
「……和地。私は今、真剣に帰って寝たいわ」
「みなまで言うな、気持ちは一つさ」
仮面越しだと遠い目も見えないから、しゃべらなければこれで誤魔化せるだろう。
……後日、この動画が一気に流行って収益化が秒読みになるのは蛇足ってことで。
まあそんなわけで、俺達も自主トレをしたりしつつライザーの特訓に付き合っていた。
このレベルの山岳豪雪地帯で訓練って機会もないし、それなりにやってはいる。
やってはいるけど寒いけどな。
「ライザーさんには同情するぜ。いきなりこれはきつすぎだろ」
「同感ね。あ、そこのカレー粉取って頂戴」
と、俺とカズヒ姉さんは今日の晩飯当番。
今日はカレーを作っている。
コンテナハウスは断熱加工がついていて、あとはまあシンプルな空間だ。ただ防水加工や排水設備がついているブースがあって、そこにポータブルシャワーを設置することでシャワーがあびれる。お湯は別途で作る感じだけどな。
「色々な物入れてるんだな、カズヒ姉さんって」
「暗部として長期任務とか、人が入ってこないようなところを経由することもあるもの。それなりの備えはしているわ。この神器って本当に便利だし」
確かに。
入れる物を用意するのが一番大変だけど、これだけの物を生身で運べるってのは凄い便利な神器だよなぁ。
でもまあ、その分悪事にも使えそうな神器ではあるけどな。
「やっぱりさ、こういう神器を使って密輸とかしてるやつもいるのか?」
「暗部任務で一人始末したことはあるわね。コンテナ数十個分の麻薬を運ぶことができれば、巨万の富を動かすこともできるもの。兵器だって日本とかに持ち込んだら国家転覆すら狙えるわよ?」
あ~、確かに。
そこそこの輸送船一つ分ぐらいいけるっていうしな。それだけの麻薬や兵器を運ぶことが出来たら、冗談抜きで世界を揺るがせる。
ダーティジョブにも必要な時はあるってことか。この辺も、俺だって理解しないといけないよな。
そういう意味だと、ちょっと色々と気になることもあるな。
「世間話で聞くけどさ。プルガトリオ機関ってやっぱ人材豊富なのか? ドラゴンが所属したりしてるけど、悪魔や堕天使もいそうだし」
「そうね。他にも色々あるけれど、筆頭格があるならエクストラ部隊かしら?」
へぇ、エクストラ。
多分X担当だけど、NATOフォネティックコードは違う文字だったよな?
ということは、もしかして特別なのか?
俺がちょっと興味津々な目で見ていると、カズヒ姉さんは苦笑して肩をすくめると。
「簡単に言うと、神々が属する部隊なのよ」
………。
おっと、ちょっと意識が真っ白になった。
今ちょっと聞き違いをしたな。それでびっくりしすぎるとは―
「言っておくけど本当に神々が参加しているわ」
―勘違いさせてほしかった。
「いやちょっとタンマ。神々って、聖書の教えは一神教なのにか?」
「ええ、だからプルガトリオ機関の中でも特別な部隊なの。フォネティックコードから外れてるのもそこに由来するわ」
マジか。
いや、ちょっとタンマ。神々が属しているってことは、つまり戦闘能力は魔王級レベルか。
俺が思わず唖然としていると、カズヒ姉さんは苦笑した。
「まあ、神々と言っても基本的に下位の部類ではあるようだけれど。ただ神々でありながら聖書の教えを信奉している分、自己研鑽を欠かさず行うような決意を持っているそうだから、かなり強いとは聞いているわね」
おいおい、冗談だろ。
暗部組織プルガトリオ機関、正直言ってマジ怖い。
敵に回したくないな………。
「和地、そろそろ焦げそうだから混ぜて頂戴?」
「おっと」
おっといけない。
俺は慌てて鍋に意識を向けながら、ちょっとだけ脳裏にさっきの言葉を残す。
異教の神々すら従える、教会暗部組織か。
会ってみたいような見たくないような。そんな連中が集まってそうだなぁ。
書き溜めが過ぎて覚え違いをして、活動報告でフライング募集をしてしまったエクストラ部隊。
元E×Eで出てきていら、スターシステム的に使っているプルガトリオ機関。その中でも特級の組織としていつか出したかったのがエクストラ部隊です。
その実態は別神話体系の神仏が所属するというイレギュラー中のイレギュラー。まあ神仏としての格は低いですが、それでも神仏なだけあって最上級悪魔の下位レベルなら眷属総出でも返り討ちにできそうなのがそろっています。
いつか出したくて出したくてたまらなかったけど、取り合えず名前だけはここで出せました。この章で何名か出てきますので、こうご期待!
まあ書き溜めすぎての覚え違いで、ちょっと反省したりとかで先週は投稿できませんでしたが。
今週はその分大目に投稿しますし、創作意欲の暴発が収まったりファンリビをとりあえず終わらせたりしたので、そろそろ週数話の投稿速度が戻ってきそうですハイ。