花道を探して   作:ゆごりー

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ライスちゃんが全くガチャで出ません・・・やはり少し貯めるべきなんでしょうか・・・そんなことより本編どうぞ。


共に祝福を

悠「・・・失礼します。」

 

2回ノックをして俺は理事長室に入った。中には全身緑色の女性と一見俺よりも年下に見える金髪の女性が居た。しかし2人とも初対面である訳では無い。

 

悠「お久しぶりです。たづなさん、理事長。」

 

緑色の人は駿川たづなさん。理事長秘書をされている方でトレーナーやウマ娘達のフォローをしてくれる結構オールラウンダーな方だ。そしてその隣でどっしり座っているのが秋川やよい理事長。俺がこの年齢でトレーナーとして働けるのもこの人が大きく力添えをしてくれたからだ。主に俺に声をかけてくれたことから始まり、俺にも描きやすいように書類を上手いことやってくれたり就職しやすいようになどエトセトラやってくれた俺にとって恩が深い人だ。

 

やよい「歓迎!!よく来てくれた!君が来るのを楽しみにしていた!」

 

悠「ありがとうございます。改めまして、色々手伝って下さりありがとうございました。」

 

やよい「謙遜!!私はただ君の才能が欲しくて色々させてもらったのだ!君にはプレッシャーをかけるようで申し訳ないが大いに期待している!」

 

悠「いえいえ、私もその期待に答えるために来たので。精一杯やらせていただきます。」

 

やよい「歓喜!うむ。よろしく頼む。ではここからはたづなから詳しく聞いてくれ!」

 

たづな「はい、それではまず学園案内からさせていただきますね?理事長、失礼致します。」

 

やよい「承知!では藤咲くん!また機会があれば会おう!」

 

悠「はい、失礼します。」

 

そのまま頭を下げてたづなさんに連れられる形で理事長室を出る。

 

たづな「では学園内の案内からさせていただきますね?地図はお持ちですか?」

 

悠「ああ、はい。持ってるんですが、結局よくわからなくて。」

 

たづな「だったらゆっくり見て回りましょうか?」

 

そのまま教室、図書室、ジム、ターフなど学業施設からトレーニング施設、隅々まで案内して貰った。普通の学校しか見てこなかった俺にとって大変に新鮮なものだった。

 

たづな「はい、今案内出来る場所は以上になりますがなにか質問はありますか?」

 

悠「いえ、今のところ特にありません。わざわざ案内ありがとうございました。」

 

たづな「ふふ、いえいえ。では理事長の所に戻りましょうか。こちらです。」

 

そのままついて行くのだがどうも理事長室に向かっているのでは無い。というか校舎の中に入らないのだ。

 

悠「ええっと、理事長室では無いんですか?」

 

たづな「はい。理事長はもう移動していらっしゃるはずですので。」

 

悠「移動、ですか?」

 

まだ案内していない場所があるんだろうか?いや、さっき終わったって言ってたし・・・

 

悠「えっと、どちらに・・・?」

 

たづな「着きましたよ。こちらです♪」

 

たづなさんが指したさきは競技場だった。学園でのイベントレースや模擬レース、選抜レースなどが行われる場所だ。・・・そういう事か。

 

たづな「本日、年に4回行われる選抜レースがあります。理事長はそれの観戦を毎回していらっしゃいます。ですのでこちらに来ていただきました。」

 

悠「なるほど・・・というか入学式まもなく選抜なんですね?」

 

たづな「入学したてで先頭争いをする子はここに来るまでの間に相当努力を詰んだ娘か相当才能のある娘なので、この時期のスカウトはとても大事なんですよ?」

 

なるほど・・・

 

たづな「では入りましょうか?こちらです。」

 

中に通されると中は既に熱気に満ちていた。もうすぐ第1レースが始まる頃合いのようだ。かなり上まで昇っていくと

 

やよい「賞賛!!時間ピッタリだな!さすがはたづなだ。時間配分は完璧だな!藤咲くんも何度も移動させて済まないな!」

 

悠「それは構いませんが、なぜ俺をここに?」

 

やよい「解答!!無論それは君がトレーナーだからだ。着任したてとはいえ君は紛れもないトレセン学園のトレーナーだ!君にも選抜をしてもらうぞ!もちろんそのままウマ娘と話を合わせ、専属トレーナーになってもらっても構わない!」

 

悠「ふむ、なるほど。わかりました!理事長の期待に添えるよう精一杯やらせていただきます。」

 

たづな「ではこちらが今日出場するウマ娘達の資料です。」

 

そして渡された資料にざっと目を通す。一応この学園の生徒のことはある程度調べてきたので分かる娘も何人かいるが、しかし俺の目にとまったのは最終レースの欄にあった名前だった。

 

悠(ライスシャワー・・・)

 

ランニングしてた時のフォーム、予測ではあるが相当のスタミナがある。素直そうな子だったし努力家でもありそうだった。

 

悠(まあ、他の子の走りも見てからだな。決めるのはまだ早いかな。)

 

そうこう考えているうちに選抜レースが始まった。やはりどのウマ娘も気合いが入っているのが走りからひしひしと伝わってくる。特に1着から3着を抑える娘たちは凄まじい実力を持っている。中でも俺が目に停めたのは短距離のときだった。

 

悠「ミホノブルボン・・・」

 

彼女の走りには凄まじい正確性を感じた。走法は逃げで常に安定していて尚且つ圧巻のスピード。選抜からかなりの才能を見せてくれるなと思った。

 

たづな「・・・彼女が気になりますか?」

 

悠「ええ、正直選抜に出ているのが不思議なくらいですよ。」

 

たづな「ふふ、お気持ちは分かります。トレーナーさんの間でも彼女は有名ですから。なので・・・」

 

たづなさんのが向けた視線に俺も意識を向ける。ミホノブルボンが一人の男性にかけていくのが見えた。その人はかなり有名なトレーナーで数多く三冠や無敗など大きな結果を残したウマ娘を誕生させたトレーナーだった。

 

悠「なるほど・・・まあ不思議な話ではありませんね。」

 

恐らくミホノブルボンはあの人の元でトレーニングを行っているのだろう。ならば俺が誘える理由はなくなる、他の子を誘おうと再びターフの上に集中を向けた。しかし俺がピンとくる子はなかなか出てこなかった。そうしているうちに最終レース、ライスシャワーが出てくるレースになった・・・はずだったんだが。

 

悠「・・・?」

 

ゲートの方に目を向けてもライスシャワーらしき姿が見えない、ウマ娘は個性が別れやすい、故にあそこまで漆黒の長髪、青薔薇にミニハットの髪飾りは逆にそれなりにわかりやすいと思うんだが・・・そんなことを考えていると、ふと下で選抜をしているうちのトレーナー達の声が偶然耳に入ってきた。

 

トレーナーA「ライスシャワー、とうとうセンバツレースまでボイコットか・・・」

 

トレーナーB「素質としては申し分ないんですがねー、レースに出られないんじゃそれ以前の問題ですね。」

 

・・・どういう事だ?ライスシャワーがボイコット?選抜レースっていうのはウマ娘自身が出場を決めるものだ。選抜に関わらず、トレーナーが着く前の娘がレースするなら全ての学内レースがそうなるはずだけど・・・本番に弱い?メンタル的な問題か?あの後身体になにか支障があったのか?頭の中で様々な思考が駆け巡った。放っておくという選択肢はその時の俺の中には皆無だった。

 

悠「・・・すみません、たづなさん、理事長。失礼します!」

 

やよい「む!?藤咲くん!」

 

2人が静止するより先に俺は競技場の外に駆け出していた。ひたむきな彼女の瞳、本番日なのにギリギリまでランニングして自分を完成させようとする精神力、放っておくには捨てがたいと思ってしまった。ひたすら走って探し回っていると以外にも近くの木陰でうずくまっているライスシャワーを見つけた。

 

悠「・・・はぁ、はぁ、ライスシャワー。」

 

ライス「!?」

 

突然現れた俺に驚いたのか耳としっぽがピーンと立つ。しかし直ぐにしゅんっとなって。

 

ライス「こ、こないでください!」

 

悠「・・・どうして?」

 

ライス「ライスはダメな子だから・・・周りをダメにしちゃう子だから。」

 

そのままライスはぽつりぽつりと語り聞かせてくれた。自分が不幸体質であること。それを自分のせいだと思い、ダメな子だと思っていること。そんな自分を変えたくてレースのエントリーをするが直前でどうしても怖くなってしまうこと。一通り聞いたが彼女の悩みは実に健気であり、実にももったいないと思わせた。

 

悠「・・・ねえライスシャワー?これを見てくれるかな?」

 

ライス「え?」

 

できるだけ優しくライスに話しかけ俺は事前に渡されていた校内案内用の地図をライスに見せる。

 

悠「そうだね・・・このルート。この学校は広いからこのルートで走ってここまで戻ってくるとだいたい中距離と同じくらいの長さになると思うんだ。そこでひとつお願いがあるんだけど、今からこのルートを走ってきてくれるかい?出来るだけ早く、ライスシャワー自身のペース配分で構わないから、ね?」

 

ライス「え?え?」

 

訳が分からないと言わんばかりに俺と地図を交互にキョロキョロ見る。だがこれは大事な事だ。選抜はもうとっくに始まってしまっただろう。俺が真にライスシャワーの実力を知るにはこうして走ってもらう他ないとおもった。

 

悠「やってくれるかな?」

 

ライス「え、ええっと、はい!」

 

少しの間があってライスシャワーが肯定の返事をしてくれる。俺の合図に合わせてライスは俺が指定したルートに向かい駆け出して言った。数分して戻ってきたライスシャワーはかなり息が切れていた、が。

 

悠(・・・早い、デビュー前でこのタイムか、これは本当にこのままにしておくにはもったいない娘だね。しかも、)

 

ライス「ふぅ、ふぅ、ふぅぅ、よし。」

 

悠(もう息が整い始めてる。スタミナがやっぱりかなり強い娘らしいね。・・・よし)

 

悠「ねえ?『ライス』?」

 

ライス「え?は、はい?」

 

あえて呼び方を変える。これは俺なりに親しみ、信頼を表したものであり期待を寄せたパートナーとなって欲しいという意思の表れだった。

 

悠「君の走りは素晴らしいよ。正直君をこのままにしておくには惜しい。こんな新人で良ければ君の専属トレーナーにしてくれないかな?」

 

ライス「え?ライスは嬉しいけど・・・いいの?」

 

悠「もちろん、君もそれを望んでくれるなら。」

 

するとライスの瞳に輝が宿ったようにみえた。真っ直ぐに俺の目を見てくれている。

 

ライス「凄い・・・お兄さまみたい。」

 

悠「ん、お兄さま?」

 

ライス「あ、ううん、なんでもないの。ええっと、それじゃあトレーナーさん」

 

悠「うん。」

 

答えるように優しく頷いてあげる。それにライスも答えて

 

ライス「これから、よろしくお願いします!」

 

悠「もちろん、君の望むままに、君が望むウマ娘にしてみせるよ。」

 

それを聞いたライスシャワーは今日1番の笑顔を俺に向けてくれた。




ありがとうございました。次回から日常編多く書いていきます。申し訳ありませんが本番レースの描写は少なめにして練習風景や日常などを多めにします。なので描写出来ないレースや本来は知らないレースに走ったり走るレースに走らなかったりしますがお許しください。感想、評価お待ちしております。

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