後悔はない…
こんな世界とはいえ オレは
自分の『信じられる道』を歩いていたい!
ジュエルさえ貯まれば…
今は(ガチャから)逃げるだけだが
(欲しい)キャラは必ず当てる
『ーー我ながら、欲深いな』
その上、薄情だ。
初めて担当したウマ娘との契約を終え、デビュー前のウマ娘たちが走るレーストラックを眺める自分。自嘲の笑みが漏れても仕方ない。
欲深い事に彼女よりも速く、強いウマ娘を求めている。まぁ「上を目指す」のはトレーナーとしては至極当然の事なのだろうが。
『はぁ……』
自然と溜息が出た。
かつて担当した彼女との契約期間が終了してから数週間。こうして次に担当するウマ娘の候補を探してはいるものの……中々見つからない。
どうしても最初に担当したウマ娘「二冠バ」の存在が嫌でも俺の中で担当したいウマ娘のハードルを上げている。最低条件としてまず「二冠バ以上の素質」というのが付いているのだ。酷いな。
……その二冠バである彼女本人がこれを聞いたら、喧しいぐらいに喜ぶ姿が容易に想像できる。
(妥協すべきだろうな……)
普通に考えてそうすべきだろう。頭では分かっている。
だが、それはそれで選んだ相手に失礼だとも思う。妥協して担当するウマ娘を選ぶトレーナー。あぁ字面がもう最低だ。如何にも無責任な風である。
トレーナーならばまず、最低限持つべき責任がある。ウマ娘を担当するということはそのウマ娘の貴重な時間を預かるということなのだから。
『………ん?』
そんな風に思案していた時、俺はそのウマ娘の姿を見た。
不思議と彼女に目を奪われたことは、今でも覚えている。大勢いるウマ娘たちの中で彼女の姿だけが俺には何故か際立って見えた。
『ーーはぁー………ふんッ!』
簡単なストレッチを済ませ、短く息を吐いた彼女は態勢を整え、芝の上を走り出す。
『……圧巻だな……』
その日、俺は初めて彼女の……何れ「皇帝」と呼ばれるウマ娘の走りを目にした。
(見つかったかもしれないな)
そして、俺は漠然とそう思った。
今思えば、もしかしなくても、彼女の走りを選抜レースで見る以前から、俺は彼女の走りに惚れていたに違いない。
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ボクのお願いでダンスゲームをしてくれる事になったオジサンは早速パネルの上に乗り、画面を操作して曲を選び始める。
(オジサンってどんな曲選ぶんだろ?)
そんなオジサンの後ろ姿を見つめながら、ボクはそんなことを考えていた。
「…………」
ゲーセンに行く前に「ダンスゲーム?」と首を傾げてたり、今こうして曲を選んでる時も慣れた感じのしない手つきで画面をスライドしてたり…………
(もしかしなくても、オジサン。ダンスゲームってこれが初めてなのかな?)
「……あった」
曲選びから1分足らず。オジサンは小さな……ウマ娘のボクじゃなかったら聞こえないぐらいのボリュームの声を零し、画面をタッチし曲選びを終える。
最初はてっきりダンスゲームが初めてだから、ボクが踊ったのと同じ曲を選ぶのかなって思ってた。ついさっき目の前でボクが踊ったのを見てて、リズムとかパネルを踏むタイミングなんかも少しは分かるだろうし。……なんだけど、オジサンは違う曲を選んだ。
(あれ……この曲ってーー)
その曲をボクは聞いたことがあった。
どこで聞いたんだっけ……確か、シンボリルドルフさんが皐月賞を走った時……シンボリルドルフさんが一冠をとった時に……
そんな風にボクが思い出していた時、
パネルがカラフルに光って、画面が切り替わり、
ーー曲名が表示されると同時にイントロが流れ出す。
「………………」
ダンスゲーム序盤。
オジサンは落ち着いて動きを曲のリズムに合わせ、一見普通にパネルを踏んでいく。だけど、よく見るとパネルを踏む強さは毎回バラバラで……ボクにはそれが何かを確認してる様に見えて、
「……こんな感じか」
小さくオジサンが何かを呟いた直後。
そこからオジサンのパネルを踏む強さがバラバラじゃなくて
「わぁ……!」
(オジサン! やっぱりすごいやっ!!)
急な変化にボクは興奮して声を上げる。ちょっと周りを見てみたら、オジサンのダンスを見ていた他の人達も驚いて声を上げているのが見えた。
絶対とは言えないけど、オジサンは1分にも満たない時間でこのダンスゲームのコツが早速掴めてきちゃったみたいだった。
「…………」
そして、曲がサビに入ってオジサンのステップは一段速くなり、踊りのキレも増す。しかもそれだけじゃない。オジサンはリズムに合わせてパネルを踏みながら、
「……ぇ」
ーー次の瞬間、素早く右脚で回し蹴りをし、続けて流れるように左脚で後ろ回し蹴りを放ち空を切り、すぐにまたダンスに切り替わる。
踊りの合間に挟まれたソレは驚くほど違和感がなく、サビの盛り上がりにピッタリなくらい派手で、何よりも凄く様になっていた。
「えええええっ!? ナニソレ?!」
それをやった本人はというと……まるで何事もなかったかのように平然とダンスを踊り続ける。ボクは普段のオジサンからは想像できないそのダイナミックな動作に衝撃を受けて叫ぶ。
「…………」
そんなキレキレな
「……!」
オジサンは最後にくるりと華麗にターンするとーー右手の人差し指を立て天に掲げた。そんなオジサンの後ろ姿がボクには、あの日憧れたシンボリルドルフさんと重なって見えた。
──891,981
ダンスゲームが終わり、画面にスコアが出ると同時に周りにいた人達からはボクの時と同じ……ううん、ボクの時よりも大きな拍手と歓声が上がる。
何故なら、スコアが表示された後に画面が切り替わり、「winning the soul」のランキングの欄でオジサンのスコアがトップスコアとして更新されたからだ。
「トップスコア!? ぐ、ぐぬぬぬぬっ……!」
オジサンのダンスは「しゅっ、ばしっ!」って感じで、ボクが好きな「しゅたっ、きゃぴ☆」なカッコかわいいダンスとは違ったけど……キメキメですっごくカッコよかった!
曲が違うとはいえ、オジサンにスコアで負けて悔しい気持ちと、たくさんの人がオジサンを褒めるのを見て嬉しい気持ちが半分半分で…………ボクの気持ちはフクザツだった。
「オジサーン!!」
そんな気持ちでダンスを終えたオジサンにボクは駆け寄って、
「……………………」
「…………オジサン?」
パネルの上で立ち尽くして、さっき掲げていた自分の右手を見つめるオジサンの姿を見たんだ。その様子に何とも言えない違和感を覚えて、ボクは心配になってオジサンの顔を覗き込むようにして見つめた。
「………俺は、何を………」
自分の手を見つめるオジサンの目は信じられないものを目にしたみたいに大きく見開かれていた。
Q:何で自虐野郎は「winning the soul」選んだの?
A:カイチョーが一冠とった辺りが自虐野郎が一番調子に乗ってた(まだ希望を持ってた)頃なんですけど…………なんでですかねぇ?笑
1ヶ月以上投稿期間空いたのにも関わらず、文字数少なく、大して話が進まない作品があるってマジ……?(ごめんなさいッ!)