仮面ライダー ISが消えた世界   作:赤バンブル

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初期の仮面ライダーはまさにホラーだった。




悪魔のショッカー 中編

「箒?」

 

束の言葉に一夏は、思わず口を開く。束は、後悔の念があるのか表情が暗かった。

 

「私が自殺を演じて姿を晦ましたところまでは話したよね。確かに世間では、死んだって扱いになったんだけどショッカーはまだ私が生きていると考えていたんだ。ナノマシンの研究を任せていたから保険をかけなければ早々自殺なんてありえないって。・・・・それで私を誘い出すために4年前、日本政府が隔離していた箒ちゃんたちを捕らえて実験を称しての制裁を行ったんだ。」

 

「制裁?」

 

束の重苦しい表情を見ながら一夏と藤兵衛は、緊張する。

 

「ナノロボットの実験だよ。私は確かに未完成のナノマシンしか提供しなかった。でも、ショッカーの大幹部がそれに目を付けて人間の内部から改造する特殊なものへと作り替えたんだよ。そして・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソ、放せ!!」

 

「いいから黙って歩け!」

 

4年前、箒はショッカーに拉致されてある孤島に設けられた秘密基地へと連れてこられた。拉致されたとき、彼女は抵抗したが顔がコブラのような男を見て失神、そのまま基地へ連れてこられてしまった。

 

「グュッグュッグュッ・・・ここへ入っていろ。」

 

基地に到着されるなり、箒はコブラ男に基地の一部屋へと押し込まれる。

 

そこには長年生き別れていた両親の姿があった。

 

「お父さん!お母さん!!」

 

久しぶりの再会に箒は思わず二人に飛びつくがその感動もすぐに打ち消されてしまう。

 

それから数分後。

 

突如部屋の照明が消え、不安に感じ三人はお互いに抱き合う。

 

『篠ノ家諸君。ようこそ、ショッカーへ。』

 

目の前には、不気味な光と共に白い紳士服に黒マントを身に着けた初老の男が姿を現す。柳韻は、妻と娘を自分の後ろに移動させて身構える。

 

「誰だお前は?何故、私たちをこんなところへ監禁させる?」

 

『私の名は「死神博士」。』

 

「死神博士・・・目的はなんだ?」

 

『お前たちに聞きたいことがある。・・・篠ノ之束はどこにいる?』

 

束という名前を聞いて三人は目を丸くする。無理もないが数年前の彼女の自殺映像見ていたこともあり、束は死んでいたと思っていたからだ。

 

「・・・・・あの娘はもういない。」

 

『とぼけても無駄だ。我々はあの小娘が生きていると確信している。生きているのなら肉親であるお前たちの所にも何かしら接触してくるはずだ。』

 

「とぼけてなどいない。私たちは、政府に隔離されてからここで再会するまでまともに会うこともできなかったんだ。増しては・・・・束は。」

 

『そうか。あの小娘め、肉親に対しては何かしらの接触をすると思っていたが・・・・・ならば、仕方ない。お前たちには我が組織の実験台になってもらう。』

 

「実験台だと!?」

 

三人は、死神博士の言葉に不安を覚える。そんな三人を彼は不敵な笑みを浮かべていた。

 

「私はどうなっても構わん。だが、妻と娘だけは帰してやってくれ!」

 

『そうはいかん。我々の存在を知ってしまった者を生きて帰すわけにはいかん。』

 

「くう・・・・外道が。」

 

『フッフフクククッ、だが運が良ければ我が組織の一員になれるやもしれん。ナノロボットの投与を開始せよ!』

 

そう言うと死神博士は姿を消し、部屋に通気口からガスのようなものが噴き出してくる。

 

「なんなんだこのガスは!?」

 

ガスは瞬く間に部屋に充満される。柳韻は、二人を守ろうとポケットに入っていたハンカチを口と鼻に当ててガスを吸わせないようにするが早速異変が現れ始める。

 

「ア、アァアア!?」

 

「お母さん!?」

 

最初に症状が出始めたのは母親の方からだった。物凄く苦しそうに咳き込み、倒れたかと思えば白目を剥いて痙攣し、最後に絶叫を挙げると同時に体が爬虫類なのか虫なのか分からない異形の姿となり果てて事切れた。

 

「きゃああああ!!」

 

母の最期を見て箒は絶叫する。それからすぐに柳韻の体にも異変が現れ、やや衰えていた体が若々しく筋肉質となり、何か突起物が背中から突き破る。

 

そして、とうとう箒自身にも体の変化が起こり始めた。

 

「い、嫌だ・・・・・」

 

右手の指の間に水掻きができ始め、体が内部から膨張している感じがし始める。同時に激しい激痛が襲ってくる。

 

「た、助けて・・・・・」

 

体が思うように動かなくなり、体が自分の意思に反して作り替えられていくのを嫌でも伝わる。

 

「た、助・・・・て・・い・・・チ・・・カ・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・それでおじさんとおばさんは?」

 

束の話を聞いて途轍もない喪失感を感じながらも一夏は聞く。

 

「私が密かに島に上陸したときは、基地は放棄されていて箒ちゃんとお母さんの死体しか見つからなかった。死神博士が作ったナノロボットは短期間で改造できる反面、適性がない人間は改造に耐えきれずに死んでしまう危険性があるんだよ。実際島の海岸には失敗作の死体が何体も打ち上げられていた。お父さんの死体も多分・・・・」

 

束は手を震わせながらティーカップを取り、コーヒーを口に含む。一夏の隣では、妹一家に起きた出来事を聞いて藤兵衛が泣きながら悔しそうに手を握りしめていた。

 

「箒ちゃんは死ぬことはなかったけどナノロボットが常に暴走してどんどん体の造りが変わっちゃっているんだ。今じゃ・・・・・私のことも誰なのか分からないのかもしれない。」

 

彼女は頭を押さえながらため息をつく。そこへクロエが新しい服を持って戻ってきた。

 

「束様、こちらのものでよろしいですか?」

 

「うん、それでいいよ。」

 

返事を聞くとクロエは彼女に服を渡して再びソファーに腰を掛けた。

 

「・・・・束。箒を・・・・箒をどうにか助けてやることはできんのか?」

 

藤兵衛は、彼女の顔を見ながら聞く。その問いに対し、束は何とも言えなかった。

 

「束さん。人間に戻せないにしろ、せめて日常生活を送れるぐらいに治療する方法はないのか?記憶だけでも。」

 

「・・・・・そのことについてはずっと研究を続けているよ。」

 

束は、自信のない声で答える。

 

「箒ちゃんの体を作り変えているのはナノロボットだからそのナノロボットを停止させ、新しいナノマシンで正常な体に作り直せば人間に近い姿に戻れる。」

 

「「本当か!?」」

 

「・・・・・ただ、それにはナノロボットの活動を強制停止させる信号を送ると同時に修正を行うことができるナノマシンを、それも大量に作らなくちゃならない。」

 

束は、暗い顔をしながら立ち上がる。

 

「箒ちゃんを助けてから何度も改良しているけど未だに成功していない。・・・・それにできたとしてもそれが本人にとって幸せなのかな・・・・・」

 

それだけ言うと彼女は着替えるために部屋を後にする。

 

「・・・・」

 

藤兵衛もまた、虚しい顔でリビングを後にする。一夏はその後姿を見送ることしかできなかった。

 

「・・・・おやっさん、束さん。」

 

一夏は、腕を組みながら自分がしなければいけないことは何なのかを考え始める。

 

(俺に・・・何かできることはないのか?できることは・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズズーン

 

 

「!?」

 

その時、ラボにまた凄まじい衝撃が走った。あまりの揺れにソファーはひっくり返り、一夏もクロエもその下敷きにされてしまった。

 

「い、今のは・・・・・」

 

一夏は、体を起こしてソファーをどかすとクロエを助ける。

 

「大丈夫ですか?」

 

「えぇ。しかし、さっきのは。」

 

二人は、リビングを出て再び下の階の例の部屋へと向かった。部屋に辿り着くとそこには藤兵衛と束が既に来ており、部屋には壁に大きな穴が開いて外が丸見えになっていた。

 

「これは・・・・・」

 

一夏はその破られ方に呆気にとられるが束は顔が真っ青になっていた。

 

「迂闊だった・・・・体の負担を考えて睡眠薬の配合を少し減らしたのがまずかったよ。箒ちゃん、薬に耐性を付けた影響で早く目が覚めちゃったんだ。」

 

「束・・・・箒はどこに行ったんだ?」

 

藤兵衛は、落ち着かない様子で聞く。束は頭を押さえながら仮説を導き出していく。

 

「箒ちゃんの体には肥大化して軟体生物と水生生物の特徴がゴッチャになっていた。だから、獲物を求めて海から出て街中に出て来るかも知れない。」

 

「街中に?なんで沖じゃないんだ?」

 

「生物に本来備わっている弱肉強食としての本能、そして、一度に多くのエネルギーを摂取するのに都合がいいのが人間だからだよ。早く連れ戻さないと犠牲者が出ちゃう!!」

 

「・・・・・」

 

束の言葉を聞いて、一夏は何かを想ったのか破られた壁から外に出ていく。

 

「お、おい一夏!?」

 

藤兵衛もその後を追う。外に出ると一夏は、海岸に止めてあった自分のバイクに乗り込む。

 

「箒を連れ戻す!束さんの証言だけしかないがあの大きさの穴を空けて出て来る巨体ならそう遠くへは移動していないはずだ。」

 

「だが、どこに現れるのかわからないんだぞ!?」

 

「海岸から上がる際に何かしらの証拠が残るはずだ!それを辿って行けば・・・・・」

 

一夏は、そう言うとエンジンをかける。そんな一夏の姿を見て何か考えたのか藤兵衛も後部座席へと乗る。

 

「おやっさん?」

 

「お前は、ガキの頃から無茶をする奴だったからな。一回、店に戻れ。俺も一緒に探しに行く。」

 

「ですが・・・・」

 

「正直、今の俺は妹を殺されたことで怒り狂いそうだ。だがな、そんなことしてもあいつは報われないんだ。柳韻くんも。だから、二人の形見である束たちを守ることが俺にできる唯一の手段だと思うんだ。」

 

「・・・・わかりました。」

 

一夏は、予備のヘルメットを藤兵衛に渡す。

 

「束さん、俺とおやっさんは箒を探してくる。貴方は、治療ナノマシンの開発を急いでくれ!」

 

「いっくん・・・・」

 

「箒を助けることができるのは貴方だけだ。」

 

そう言うと一夏たちはマシンで走り去っていった。

 

「・・・・」

 

「束様?」

 

しばらく呆然とする束を見てクロエは声をかける。

 

「・・・そうだよね。私以外誰もいないんだもんね。・・・・うん。」

 

彼女と独り言を言うと急いでラボの方へと戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

 

海岸沿いから少し離れた住宅地ではショッカーの恐るべき計画が次の段階へ進もうとしていた。

 

「へ、ィエ゛ーックシュン!!うぅ、まだ寒いねぇ。」

 

一人の中年の警察官がくしゃみをしながら夜中のパトロールをしている。彼はこの近くの交番に勤務しており、この時間は署への提出書類をまとめる前に、見回りをするのが日課だった。

 

「いやぁ~最近のこの辺も人が増えてきたねぇ~。あたしがここに配属されたときは一軒家ばかりだったのにぃ。」

 

彼は、そう言いながら自転車をこぐ。

 

「うん?」

 

その時、彼は自分が進んでいる道端で誰かが立っていることに気が付く。

 

「あのぉ~~そこにいるのは誰ですかぁ?」

 

彼は、一旦自転車を止めて懐中電灯で目の前を照らす。そこには一人の女性がぽツーンと立っていた。

 

「・・・・・」

 

「あら、誰かと思ったら近くのマンションに住んでいるお嬢さん!?ダメじゃないのぉ~~~こんな夜中に一人で出かけちゃって~~!!」

 

知っている人物だと分かったのか警官は、笑いながら女性に声をかける。そんな彼に対して女性は無反応だった。

 

「・・・・・・」

 

「ありゃ?どうしちゃったの、いつもは挨拶してくれるのに~?もしかして、あれ?家族と喧嘩しちゃった?ダミだよ~、いい歳した子が~。」

 

何か事情があるのだと察した警官は、笑いながらとりあえず彼女の自宅であるマンションに連絡を入れようと自転車の方に戻る。

 

「・・・・・・」

 

しかし、彼は気づいていなかった。女性が口から人間の物とは思えない牙を露出して後ろから忍び寄ろうとしていたこと。

 

「もしもし?あれ、おかしいな。誰も出ないな~?番号間違ったかな?」

 

警官は、女性の住宅に連絡が付かなかったため、書いてある番号を見直そうと胸ポケットから手帳を取り出す。

 

「・・・・・」

 

女性は男性の前にまでくると口を大きく開き、警官の首元へ噛みつこうとする。だが、その直後、頭上から何かが落ちてきた。

 

「ごめんね~、お嬢さん。お家と繋がらなかったよぉ。今回はあたしが送るから一緒に謝・・・・・あり!?」

 

警官は、振り向いて彼女を見ようとしたがその光景を見て目を丸くする。知り合いの女性が目の前で何を吹きかけられたのか「ウゥウ・・・」と呻きながら溶けてしまったのだ。

 

何が起こったのだろうか?

 

見回りに出る前にこっそり飲んだ酒の酔いが今更になって回ってきて幻覚でも見ていたのだろうか?

 

だが、顔を上げてみるとその考えも吹っ飛ぶ。

 

「あ、あ、あぁ・・・・・」

 

彼は、思わずその場で尻もちをつく。女性が立っていた場所より少し離れたところに何かがいる。一見、巨大なナメクジではないかと思っていたが頭部に当たり辺りに人間の上半身のようなものが生えている。電灯で照らしてみるとそれは裸の女性の上半身で右腕だけは異常に発達して人なら簡単に叩き潰せそうに見えた。恐る恐る顔を見ると顔半分は美しい女性の顔だがもう半分は複眼で口は牙が剥き出しで涎が垂れている。

 

『・・・・』

 

怪物は、じっと彼のことを見ていた。彼はその場から逃げようと四つん這いになって自転車の所へ戻る。

 

「あたしゃぁ、何も見てませんよぉ~何も見てませんよぉ~。うん、見てない見てない。」

 

そう言いながら立ち上がろうとするが怪物は、ズズッと自分の方に向かって這い出してきた。

 

「ひゃ~~~!?」

 

彼は、絶叫しながら自転車に乗って逃げようとする。ところが何かにぶつかってすぐに転んでしまう。

 

「アイタタ・・・・今度は何・・・・・」

 

急いで逃げないとと思い起き上がって前を見ると今度は両手に翼をもった蝙蝠のような怪人が牙を剥き出しにして立っていた。

 

「ひゃあああああああ!?」

 

思わず後ろに逃げようとするがそこには化け物が追ってきている。取り囲まれ、警官は顔を真っ青にしていた。

 

「はぁあ~~~~もう、ダメ。」

 

彼は、その場で倒れて気を失ってしまう。蝙蝠の怪人は、怪物を見ると口を開いた。

 

「貴様、どこの所属だ?ここは俺のビールスの実験場だぞ。」

 

『ウ・・・・ウゥウ・・・』

 

「脱走した失敗作か?まあいい、我々の邪魔をするというのなら消えてもらう。」

 

彼は、そう言うと周囲に待機させていた戦闘員と牙を生やした民間人と思われる者たちを呼び寄せる。

 

「この怪物にもビールスを与えてやれ!」

 

蝙蝠男の命令でビールスに感染した吸血人間たちは、一斉に飛び掛かる。ところが噛みついた瞬間、吸血人間たちに異変が起きる。

 

「ウゥ!?」

 

「グガァアア!?」

 

なんと噛みついたところから怪物の体に取り込まれていたのだ。

 

「イーッ!!」

 

「ムゴーッ!?」

 

「イィー!!」

 

さらに下半身から何か触手のようなものが生えてきたかと思うと溶解液を飛ばし、それを浴びた戦闘員たちはたちまち溶けてしまった。

 

「ぐわぁあああ!?」

 

更に溶解液は蝙蝠男の右目にも命中し、彼はもだえ苦しみながら暗闇の中へと消えた。

 

『・・・・』

 

気を失っている警官を残してその場には怪物しかいなかった。彼女は寂しそうに周囲を見るとその場からゆっくりと去っていく。

 

 

翌日、無事だった警官は慌てて署に連絡して応援を頼んだが、「巨大なナメクジ女を見た」という証言から呆れられてしまい、信じてもらえなかった。

 




次回予告


我らの仮面ライダーを狙うショッカー本部が送った次なる使者は恐怖蝙蝠男

恐るべきビールスを撒き散らして迫る怪人蝙蝠男

箒を探す一夏たちに襲い掛かる蝙蝠男の魔の手

暗闇の中で仮面ライダーの死闘が繰り広げられる!

次回、仮面ライダー「悪魔のショッカー 後編」にご期待ください
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