仮面ライダー ISが消えた世界   作:赤バンブル

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蝙蝠男の回、もうちょっと濃いんだけど薄味になってしまった。


悪魔のショッカー 後編

箒の捜索を行って3日目。

 

織斑一夏と立花藤兵衛は二手に別れて行動をしていたが手掛かりを見つけることができず、途方に暮れていた。

 

「既にラボの近くの港町はいくつも周った。でも、箒が上陸したと思われる痕跡は今のところ見つからない。」

 

アミーゴに戻ってきた一夏は、地図に印をつけながら今日の捜索ポイントを絞る。藤兵衛は、パイプでタバコを吸いながら地図を見る。

 

「っとなると、残ったポイントはこの辺りか。しかし、この辺は確か開発が進んでいる住宅地がある場所だぞ?」

 

「えぇ。もし住人の何人かが彼女を見ているなら通報しているのかもしれません。」

 

「よし、公になる前に何としても見つけんとな。」

 

「問題は俺たちを見て錯乱しなければいいんですが・・・・・」

 

「なぁに、あの子は口より体が先に動いてしまうが話を全く聞かない奴じゃない。説得すれば戻ってきてくれるさ。」

 

二人は急いで身支度をし、捜索を再開しようと店の前に出ると弾と蘭が来ていた。

 

「一夏!?」

 

「弾!それに蘭も。」

 

「一週間も一体どこへ行ってたんですか!?立花さんも一昨日からいなくなっていたし!!」

 

「いやぁ~これには色々となぁ。」

 

あまり時間を割くわけにはいかないと思い、藤兵衛は恥ずかしそうな顔で誤魔化す。

 

「家の祖父と母も心配していたんですよ?何かとんでもないことに巻き込まれたんじゃないかって。」

 

(実際、色々あったんだけどな・・・・)

 

「まあ、無事だったらいいけどよ。でも、どこ行くんだ?店の中も片付いていないようだけど。」

 

「少し用事があってな。俺とおやっさんで行くことになったんだ。」

 

「えっ?帰ってきたと思ったらまた出かけるんですか?」

 

「ちょっと俺のレーシング仲間で一夏の実力を見たいと言われてな。これから会いに行くところなんだ。」

 

そう言うと二人は、急いで行こうとする。

 

「あっ、そうそう知ってるか?高級住宅マンションの住民失踪事件。」

 

「「!?」」

 

弾の言葉に二人は足を止め、回れ右をして戻ってくる。

 

「失踪事件?どういうことだ?」

 

「今日の新聞で載ってたんだよ。高級住宅マンションの住民が一斉に蒸発したって。」

 

弾に言われて藤兵衛は店のポストの入っている新聞を手に取って見てみる。

 

そこには確かに住民の失踪に関する記事が書かれていた。

 

「本当だ・・・・。」

 

「だろ?それだけじゃないんだぜ。この住宅マンション近くの交番に勤務している警官が事件前日の夜、でっかいナメクジの化け物と蝙蝠の怪人を見たんだとさ。」

 

「ナメクジと蝙蝠?」

 

「はい、証言によると上半身が裸の女性でその下がナメクジみたいな姿だそうです。蝙蝠の方は人がまんま蝙蝠になったような・・・・」

 

二人の話を聞き、一夏は藤兵衛と囲って小言で会話をする。

 

「おやっさん、どう思う?」

 

「そうだな・・・蝙蝠の方も気になるがそのナメクジの化け物がどうも他人事だとは思えん。もしや、箒かもしれん。」

 

「俺も同意見です。しかし・・・住民の失踪はどうもショッカーが絡んでいるようにも見える。」

 

二人は、コソコソと話し終えると店の『CLOSE』の札を外して、店に戻る。

 

「あれ?どうしたんだよ二人とも。」

 

「いや、流石に店が散らかったまんまだと常連のお客さんに覗かれたとき変なイメージ持たれると困るから出かけるのはまた今度にするよ。」

 

「まあ、電話で断っておけば済む話だからな。」

 

「なんだよそれ!?」

 

弾は、呆れた顔でツッコミを入れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

 

一夏と藤兵衛は、事件が起こった住宅地へと訪れていた。

 

(束さんの話によれば、箒の体には軟体生物と水生生物と合わさっていると言っていた。軟体生物は体の乾燥を防ぐために殻を持つが警官の証言が正しければ恐らくない。となると体の水分を失うことを最小限にするために食事をするにしても移動するにしても目立たない夜を選ぶはずだ。」

 

二人は、事件現場へと到着する。近くの茂みを探ってみると何か巨大な物体が通った跡が残っていた。

 

「一夏・・・」

 

「どうやら、ここを通ったことに間違いはなさそうだ。粘液もまだ新しい。」

 

押し潰された草には大量の粘液が付着している。状態を見る限り、そう遠くへ入っていない。

 

「おやっさんは、ここを頼む。」

 

「あぁ。お前は?」

 

「俺は、住民が蒸発したマンションを調べてみるよ。」

 

「わかった。」

 

二人は、別れて行動する。一夏は、例のマンションへ向かうと事件後のためか現場は立ち入り禁止の仕切りがされていた。

 

「警察はもう引いたのか。」

 

彼はそう言いながらマンションの中へと入っていく。すべての部屋の扉は鍵がかかっており誰もいないように見えるが改造人間にされたことによって常人以上の五感となった今、この建物が既にショッカーの巣窟と化していることを察知していた。実際、彼が次の回に上がると鍵が開き中からビールスに侵された吸血人間たちが顔を出している。

 

数階昇り続けると一夏は、不自然に鍵が開いている部屋を見つける。中に入ると無用心に窓が開いており、海岸近くに建てられたこともあり、夜の潮風でカーテンがなびいている。

 

(・・・・近くに何者かがいる。どこだ?)

 

彼は、神経を研ぎ澄ませながら部屋の中を調べ始める。すると天井から人影が下りてきて飛び掛かってきた。

 

「うっ!?」

 

「キャ、キャキャキャキャ。」

 

蝙蝠男は口から延びる牙を喉に突き刺そうとするが一夏は背負い投げをすることで防いだ。

 

「出たな、ショッカー!!」

 

「人間蝙蝠だ!裏切者、織斑一夏。ようこそ、ショッカーの人体実験場に!」

 

蝙蝠男は、距離を取りながら一夏と対峙する。一夏は、人体実験と言う言葉を聞きやはりショッカーが絡んでいたと確信した。

 

「やはり、事件を起こしたのはお前だったか!!」

 

「勘違いするな、俺はショッカー科学陣が新たに培養したビールスが人間の人体にどれほどの影響を与えるかの実験をしていたに過ぎん!失敗作のせいで余計な騒ぎが起きたがな!」

 

「失敗作?・・・・・!まさか、箒が!?」

 

「篠ノ之箒だと?ヒェヒェヒェ、あんな小娘ショッカーのナノロボットの実験で親子諸共等に死んでおるわ!」

 

蝙蝠男は、再び襲い掛かってくる。しかし、元々改造人間用の素体として生み出された一夏を相手にするのは分が悪く、変身もしていないにもかかわらず殴り返されてしまった。

 

「クウゥ・・・・やはり、俺一人では荷が重いか。ならば、我が実験の成果をその身で思い知るがいい!!」

 

蝙蝠男は、部屋から逃げ出す。

 

「待てぇ!!」

 

一夏は、急いで後を追おうとするが部屋の入り口に行くとそこには吸血人間たちが待ち構えていた。

 

「ヒェ~」

 

「ヒェ!」

 

「「ヒェ~ヒェ!」」

 

「ヒェ!」

 

「この人たちは!?」

 

『その男は敵だ!ショッカーの憎むべき敵だ!さあ、かかれ!かかって息の根を止めるのだ!!』

 

蝙蝠男の命令と同時に吸血人間たちは、一夏に向かっていく。一夏は、反撃をしたいと思いながらも常人から並外れた自分が攻撃をすれば彼らを殺してしまうかもしれないと思い、後ずさっていく。

 

「この人たちは、箒と同じく、自分の意志でこうなったわけじゃない。俺が攻撃をすれば・・・・」

 

部屋には十人ぐらいの吸血人間が乗り込んでいき、一夏は窓際に追いつめられる。一夏は、この狭い部屋では敵の思う壺だと判断し、窓から飛び降りる。

 

「ヌッ!?」

 

改造人間とは言えこの高所マンションから飛び降りるのは自殺行為だというのにもかかわらず、飛び降りた彼に対し、蝙蝠男は不振に感じて窓の方へと出て来る。一夏は落下すると同時に腰のベルトを展開し、風力を与えて風車を回転させ、その姿を変えていく。

 

 

改造人間、織斑一夏はベルトの風車に風力を与えることによって『仮面ライダー』に変身するのだ!

 

 

仮面ライダーは、地面に一回着地すると飛び上がり、マンションの屋上へと行く。蝙蝠男も後を追って両手に備え付けられている翼を展開して飛ぶ。

 

闇討ちを得意とする蝙蝠男は、暗闇の中から飛び蹴りを喰らわせようとするが、仮面ライダーはその足を受け止め壁に投げつける。

 

「ゲッ!?」

 

「トウッ!!」

 

仮面ライダーは、怯んだ蝙蝠男の隙を逃さず連続でチョップをお見舞いする。

 

「ま、待て!?」

 

蹴り飛ばされて尻もちをついた蝙蝠男は、更に追撃を仕掛けようとする仮面ライダーに対し、慌てて制しようとする。

 

「今頃怖気付いたか!」

 

「俺を殺してみろ!?そうすればあの人間たちはどうなる!?血清がなければ二度とも度に戻らんぞ!?いいのか!?」

 

「クッ。」

 

蝙蝠男の言葉に仮面ライダーは、手を止める。

 

確かに血清は持っていない以上、あの吸血人間たちを元に戻すことは不可能になる。だが、蝙蝠男を生かしたところで血清を手に入れられる保証はない。

 

(俺がこのままコイツにとどめを刺せば、血清が手に入らなくなる。そんなことになればこのマンションの住人たちはどうなる?見捨てるなんてこと、俺にはできない。)

 

一瞬、判断に戸惑う仮面ライダーの隙を見て蝙蝠男は両足で彼の首を絞める。

 

「グッ!?」

 

「ヒェヒェヒェ、かかったな織斑一夏!」

 

蝙蝠男は、翼を広げてそのまま屋上の上から飛び立つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、同じ頃立花藤兵衛は、粘液の跡を追いながら箒を探し続けていた。

 

「箒!箒、どこなんだ!?」

 

彼女が未だに人間の言葉が理解できるかどうかはわからないが藤兵衛は望みをかけて彼女を呼んでみる。すでに粘液の跡は海へと続く水路で途絶えてしまい、後は周囲に隠れていることを信じるしかなかった。

 

「俺だ!伯父の藤兵衛だ!束から事情は聴いている!頼むから出て来てくれ!」

 

その時、茂みから何かが飛んできた。懐中電灯で照らしてみるとそれは食われた生魚の骨で暗い林の中に何かが隠れていることがわかる。

 

「箒!箒なのか?」

 

藤兵衛の声を聞いてカサッと物音がする。それが返事だと感じたのか彼は言葉を続ける。

 

「箒、姿が変わっちまって逃げだしたくなった気持ちはわかる。だけどな、束はお前の体に元に戻そうと必死なんだ。わかるな?」

 

『ウウゥウウウ・・・・』

 

今度は唸り声が聞こえてくる。

 

「だから、戻ってきてくれ。今、束がお前の体を治す薬を作っているんだ。」

 

『・・・イ、イヤ・・・・・ダ・・・・・』

 

ようやく聞き覚えのある声が聞こえてきた。どうやら、理性は残っていたらしい。

 

「どうして嫌なんだ?」

 

『薬、ナンドモ打ッタ。・・・・デモ、体ノヘン化止ラナイ。ドンドン、ワタシジャナクナッテイク・・・・・怖ィ・・・・誰ニモ見ラレタクナイ・・・』

 

「箒・・・」

 

その声はとても覚えていた。その声に藤兵衛は、何を言ってやればいいのか頭を抱えた。

 

『オジサン。私、ヒト殺シチャッタ・・・襲ワレタトキニ溶カシタリ、カラダニ取リ込ンジャッタ。モウ、嫌ダァ・・・イチカニモウ、会エナイ・・・・苦シイ・・・死ニタイ・・・・』

 

「馬鹿者!!」

 

『!?』

 

藤兵衛の怒声に箒は、思わず茂みの上からヒョッコリと顔を出してしまった。慌てて顔を引っ込めようとするが藤兵衛の悲しい表情を見て動きを止めてしまう。

 

『オ、オォ、オジサン?』

 

「箒・・・・苦しんでいるのはお前だけじゃない。一夏も苦しんでいるんだ。アイツは・・・・・・お前や両親をこんな目に合わせたショッカーに作られた人間なんだ!」

 

『!』

 

「束が全部教えてくれたよ!千冬ちゃんと一緒に実験体として作られたこと、改造されてもう人間でなくなってしまったことを!けどな、アイツはそんな苦しみを背負いながらショッカーと戦ってているんだ!辛い思いを誰にも見せないように!隠しているつもりでも俺にはわかるんだ!だから、支えてやらなくちゃいけないんだよ!」

 

『・・・・・・』

 

「辛い気持ちもわかる。けどな、お前までいなくなっちまったら束はどうするんだ?僅かな望みさえも捨ててしまったら人は生きていけないんだ!」

 

『オ、伯父さん・・・』

 

箒の目からポロポロと涙が零れてきた。藤兵衛は彼女を見ながらもう一度戻るように再度言おうとした直後、少し離れた場所に何かが落ちて来るのに気が付く。

 

「あれは・・・一夏か!?」

 

『エッ?』

 

箒もまた後ろを振り向くと上空から仮面ライダーが落ちてくるのが見える。一夏のみに何か起きたと気づいた藤兵衛は急いで彼の元へと向かおうとする。

 

「俺は、一夏の所へ行ってくる!お前は、ここで待っていろ!」

 

箒をその場に残して藤兵衛は走っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズーン

 

「う、うぅあ、あぁ・・・・」

 

蝙蝠男によって地面に激突させられた仮面ライダーは、その場で伸びていた。上空からは蝙蝠男が不敵な笑みを浮かべながらゆっくりと降下してくる。

 

「か、体が思うように動かない・・・・・」

 

何とか腕を動かそうとするが強いショックの影響で一時的にマヒ状態に陥り、動けずにいた。

 

「勝負あったな!」

 

蝙蝠男は、見下すように仮面ライダーを見る。

 

「一夏!!」

 

そこへ藤兵衛が合流してきた。しかし、事前に降下地点を教えていたのか茂みに隠れていた戦闘員たちに取り押さえられてしまう。

 

「うわっ!?」

 

「おやっさん・・・・」

 

「キェキェキェキェキェ・・・・無様だな、貴様はこのままショッカーへ連行され脳改造を受けるのだ。」

 

蝙蝠男は、笑いながら自分の翼を見せびらかす。

 

「最後に教えてやろう。お前に教えた血清、それはこの俺の翼の爪にある。尤も遅かれ早かれ、ビールスは間もなく日本中に広がっていく。あのマンションの実験体たちの手によってな。」

 

「クソ・・・・・」

 

「どれ、今度は貴様の理解者であるこの男を我々の仲間に加えるか。」

 

蝙蝠男は、藤兵衛の方へと向かっていく。

 

「や、やめろ・・・・おやっさんに手を出すな・・・」

 

「貴様はそこで寝ているがいい。」

 

「く、くそ~!!放せ!!」

 

藤兵衛は、抵抗を試みるものの戦闘員数人を相手には敵わなかった。蝙蝠男は牙を剥き出しにしながら近づく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その直後藤兵衛の背後から飛んできた溶解液が戦闘員たちに当たる。

 

「イーッ!!」

 

「イーッ!?」

 

戦闘員たちは苦しみながら顔が解けていき、その場で倒れた。

 

「こ、この溶解液は!?」

 

蝙蝠男は、まさかと思い距離を取ろうとするが彼の右腕の関節に命中し、溶解する。

 

「キィイイ!?お、俺の腕が!!」

 

蝙蝠男は、取れた右腕関節部を押さえながら狼狽える。同時に仮面ライダーの体の麻痺も治り、落ちている血清付きの右腕を拾ったことで形勢が逆転する。

 

「蝙蝠男!お前の計画もここまでだ!!トウッ!!」

 

仮面ライダーは、上に飛び上がると体を回転させ、蝙蝠男に向かってキックを繰り出す。

 

「ライダーキック!!」

 

「キェエエエエエエエエ!!!」

 

蝙蝠男は勢いよく飛ばされ、川に落ちて沈む。沈んだ所からは赤い血がにじむように現れ、河川を流れていった。

 

仮面ライダーは、蝙蝠男の最期を確認すると藤兵衛の元へと駆けつける。

 

「おやっさん、大丈夫ですか!?」

 

「お、おう・・・・・彼女のおかげで何とか助かったよ。」

 

「彼女?」

 

仮面ライダーは、溶解液が飛んできた茂みの方を見る。そこには藤兵衛の後を追った箒の姿が見えた。

 

「箒・・・・」

 

仮面ライダーは、彼女へと近づく。箒は自分の姿が見られることに抵抗を感じるが藤兵衛の顔を見て逃げるのをやめた。

 

「・・・・・久しぶりだな。」

 

『・・・・』

 

「心配したんだぞ。俺も束さんも。」

 

『・・・・・ウン。』

 

箒は、泣きそうな顔で答える。仮面ライダーがマスクを外すとそこには一夏の顔があった。

 

「ふう。さっ、帰ろう。束さんも待っている。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

血清の件を藤兵衛と現場に駆け付けたクロエに任せ、仮面ライダーは箒と共に束のラボに戻ってきた。

 

ラボの中では既に束が準備をしており、緊張した顔で二人の目の前に巨大な試験管に入った液体を見せた。

 

「一応何とか完成したよ、最新タイプのナノマシン。私の理論が正しければ、これを打ち込めば箒ちゃんの体は正常に戻る。」

 

『「・・・・」』

 

「ただし、ナノマシンの治療中に箒ちゃんの中のナノロボットが拒絶反応を起こして意思を無視して反撃しているかもしれない。でも、その間もナノマシンを打ち込み続けないといけないの。」

 

束は、困った顔で言う。実際機材にコーティングを施して行おうと試みたものの、箒の体から生成される溶解液に対しては持って1分以上が限度だった。

 

治療を行うには最低でも5分打ち込み続けなければならない。

 

 

その話を聞いて仮面ライダーは、束からカプセルを受け取り、特製の注射器に挿入する。

 

「いっくん・・・」

 

「俺がやろう。俺の体にコーティングをすれば機材よりは長く持つはずだ。それにナノマシンの治癒力でなんとかなるだろう。」

 

「けど・・・・」

 

「束さん、俺も箒ももう普通の人間じゃないんだ。だから、その苦しみはわかる。例えに普通の人間に戻れなくても人間らしい生活を送れるようにしてあげたいんだ。」

 

仮面ライダーの話を聞き、束は少し悩んだものの他にてはないと考え妥協することにした。

 

「わかったよ。体の一部が壊れても私が直してあげるから。・・・・でも、危ないと思ったらすぐに中断してね。」

 

「あぁ。」

 

仮面ライダーは、早速体に特殊コーティングを施してもらう。そして、特殊ガラスに囲まれた巨大なケースに入れられ、彼は、箒の体に注射を打ち込もうとする。

 

「箒、始めるぞ。準備はいいな?」

 

『ウ、ウゥウ・・・・・怖イ。』

 

「大丈夫だ。俺を信じろ。」

 

注射針は、彼女の体に突き刺さる。同時に大量のナノマシンが投与され、体の再構築を開始した。

 

最初に下半身の膨張が始まり、上半身を呑み込んでいく。その変化に箒は今まで以上に怖がるが仮面ライダーはナノマシンの投与を続ける。

 

やがて、上半身が完全に埋もれると体内のナノロボットの拒絶が始まり、投与している仮面ライダーの体に攻撃を開始した。溶解液は束の施したコーティングによりと化されることはなかったが副作用で今度は体を同化させようとする。

 

コーティングが溶かされ、体の所々が溶解したことで出血する。それに対し、体内のナノマシンが本体を守ろうと働き出し、彼の体は溶解と再生を繰り返した。それに伴う激痛も起こるがそれでも動きは止めない。

 

(箒は自分の体の変化に苦しめられてきた。それに比べたら俺の痛みは大したものじゃない。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

五分以上が立ち、カプセルに入っていたナノマシンは底ついた。

 

ケースの中は膨張した箒の体が液状化したことによって濁った水槽のようになっていた。溶解液も治療と同時に無力化したものの箒の本体がどこなのか分からなかった。

 

(箒はどこだ?)

 

仮面ライダーは、赤い複眼を光らせながら彼女を探すために泳ぐ。しばらく漂うと彼女の姿らしきものを捕らえた。

 

(そこだな。)

 

彼は、手を伸ばす。すると彼女の手と思われるものが自分の手を取ったことが分かった。ゆっくり手繰り寄せると人間と変わらない姿となった彼女が見えた。気を失っているのか目を閉じている。

 

(お疲れだったな。)

 

仮面ライダーは彼女を抱きかかえると天井の方へと昇り、ライダーパンチでガラスを砕いた。水面に出ると彼は体液のプールから脱出し、彼女の体を引き上げる。

 

「箒ちゃん!?」

 

天井から出てきた二人を見て束はタオルを以て急いで登る。仮面ライダーは、彼女からタオルを受け取ると彼女の体に巻き、優しく手渡した。

 

「箒ちゃん?箒ちゃん!!」

 

束に揺すられ、箒はゆっくりと目を開いた。

 

「ね、姉さん・・・・・」

 

「うんうん!」

 

「私・・・・治ったのか?」

 

束は、嬉し泣きしながら彼女に鏡を手渡す。そこには醜く変貌した怪物の姿ではなく、人間としての顔が写っていた。

 

「・・・・治ってる。私、元に戻れたんだ!!」

 

箒は、泣きながら嬉しそうに姉に抱き着くが思いっきりやったせいで彼女の体からバキ、ボキッという音が聞こえた。

 

「おうっ!?」

 

「あっ・・・・」

 

彼女は、姿が戻っても改造人間だったということを思い出し急いで手を引っ込めた。幸いナノマシンの治癒能力で骨折はあっという間に治った。

 

「いやぁ~~~感動の場で嫌な音を立てちゃったよぉ~~!!」

 

「ご、ごめんなさい!私、つ、つい・・・・・」

 

箒は、縮こまりながら謝罪する。そんな彼女の頭に仮面ライダーは、手で撫でる。

 

「無理もない。体が作り替えられた影響で力の制御がうまくいっていないんだ。訓練をすれば、加減ができるようになる。」

 

「一夏・・・・」

 

仮面ライダーに対し、箒は顔を赤くする。だが、仮面ライダーは安心したのも束の間、その場に倒れてしまった。

 

「一夏!?」

 

「いっくん!?」

 

二人は慌てて駆け寄るとベルトの風車が溶解していることに気が付く。

 

「あぁ~~~治療の時に溶けちゃったんだぁ。」

 

「私のせいで・・・」

 

「いや、大丈夫大丈夫。このくらい簡単に治せるからね!」

 

束は、そう言いながら彼を担ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

束の努力と仮面ライダーの決死の行動で箒の治療は無事に成功した。

 

しかし、体が戻ったとはいえ改造人間である彼女にはまだまだ険しい道が待っているだろう。

 

また、ショッカーの陰謀はまだ潰えていない。

 

一夏たちに安息の日が訪れるのはいつか。

 

今はこの一瞬の平穏の時を大切に過ごすのであった。




箒の治療回早すぎたかもしれない。

まあ、下手に死なれると後味が悪すぎるからこれでいいと思う。


次回の怪人は未定です。

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