魔王倒して元の世界に戻ろうと思ったら、歪な男女比の世界に転移してしまった件 作:羽根消しゴム
「・・・もど・・・れたのか?」
空間の歪みを突き進んだ先・・・闇が開けた先には、見慣れたビル郡が覗く。
辺りを見れば、お洒落をした女性(やけに多い)がたむろしているのがわかった。
こうして見ると、ようやく戻れたのだと実感が沸く。
「あぁ・・・俺、ようやく帰れたんだな」
自然と溢れてくる涙を堪えて、久し振りの
一応様子を確認するために、たまたま近くにあったコンビニの中に入り、新聞を手に取って年数を確認する・・・が。
何かおかしい。
───
な、なんだそれ?
いつの間にか平成から年号変わっているし、ていうか変わってからも12年も経ってしまっているんだが?
おかしいぞ・・・?俺があの世界にいた年数はたった二年のはずだ。
・・・もしかして、あの世界と地球じゃ時の流れが違うとか?
むぅ、否定できないのが恐ろしいところだな。
「ね、ねぇ・・・あれってもしかして男?」
「はぁ?嘘つかないでよ。男がこんなところにい・・・るんだけど?え?いるんだけど?」
「ま、間違いないわ!この嗅ぐだけで絶頂しかけそうな芳醇な匂い・・・男だわ!」
「・・・え?男前過ぎひん?」
・・・にしても今日は外が騒がしいな。
有名な俳優でも来ているのだろうか?
少し気になり、コンビニを出て外を確認する・・・が、それらしき人物は見当たらない。
───というか。
「・・・やっぱり女性多くね?」
俺がコンビニを出た瞬間に、周りにいる女性達から突き刺さる視線。
頭から足までじっくりねっとり舐め回す様に見つめてきたかと思うと、次は獲物を狙う目で俺のマイサンを狙いを定めてきた。
女性全員レイプ目である。
ヒエッ!?と情けない声が出るのを抑え、そそくさとその場から立ち去ろうとする。
「あのぉー、すみません・・・もしかしなくてもその子宮を刺激する香りを放つということは男性の方ですよね?」
「・・・」
職質のように(されたことはない)肩を叩かれたかと思うと、その張本人である女性はとんでもない台詞をマシンガンのようにぶちまけてきた。
魔王の覇気に屈しなかった俺ですら、口を開けず縮こまってしまう。
え、なにこの人?なんて脳内でツッコミ余裕すらない。いや、私がナニを突っ込んであげましょうか?って言われそうだなって考えちゃうくらいには余裕かも?
しかし、マイサンも元気をなくしてしまった・・・この女性、見た目は可愛いのに何て事を言うんだろうか?
何で警官方はこの女性を職質しないのか謎である。
「アァッ!あの女ナニ話しかけてんのよ!」
「据え膳食わぬは雌の恥・・・私、イッきまーす!」
「私は悪くない・・・こんな時間に無防備に外に出るあの男の人が悪い・・・そう、だから別に・・・しても・・・」
「ふ、ふへ、ふへへ・・・男にょこが・・・」
周りを見渡せば、頬を朱くしてモジモジとしている
アッ、ヤバイ
こんな真っ昼間にアッーーー!な展開になっちゃう!
くっ!猛獣達がいるところになんかいられるか!俺は戻るぞ!
と、内心でフラグを立てつつ、今度は一目散に逃げようとクラウチングスタートの構えを取り、走りだ───せなかった。
「ふ、ふへ、ふへへ───逃げちゃ駄目だよ?」
ヒエッ!?
と驚くのも束の間、いつの間にか木の蔦のようなモノが、俺の手足に絡まっていたのだ。
「な、ナンダコレ!?」
ふへふへお姉さん(仮称)が手を翳したと思ったら、たった数秒で地面から蔦が伸び、体を雁字搦めにされ俺は逃げられなくなった。
いや、なんで亀甲縛り?
男の亀甲縛りとか誰が見たいんだ?
「ふへ、ふへへ・・・ドM調教プレイからの雌堕ち・・・い、イイかも・・・」
むしろこっちがふへふへお姉さんを調教したいです!と言えばどれだけ良かったか・・・雌堕ちは・・・雌堕ちだけは勘弁してください・・・。
俺は責められたいんじゃないんです、責めたいんです・・・。
「なっ!?あ、あんた!こんなところで超能力を・・・!」
「おい誰か!男性警護官を呼んできて!」
「ふっ、女なら逝くべき・・・今なら人類の神秘を語れる気がする」
周りにいる女性たちは、口では女性の行動を咎めつつ・・・咎め・・・?と、咎めて・・・咎めながら()此方にじりじりとにじり寄ってくる。
懐から見れば俺はさながら、くっ!殺せ!的なポジションだろうか?マジデ冗談じゃないです。
「だ、誰かぁ!ケダモノ達に襲われるぅっ!」
恥をかなぐり捨てて、声を張り上げてそう叫ぶ───が、逆効果だったらしい。
「ね、ねぇ!今の声って男の声じゃ・・・」
「男だわ!幻想じゃない男だわ!」
「じゅるり・・・ふぅ・・・」
ふ、ふざけないで欲しい(震え声)
俺の貞操がこんな路上の上とかどんな人生送ればそうなるんだよ!
そんなツッコミもままらない程、俺は窮地に追い込まれていた。
そしてかわりに、ある結論に至りつく。
───俺、絶対違う世界に転移しちゃった奴だろコレ。
「だ、大丈夫・・・天井のシミを数えてる間に終わるから・・・」
「ひっひっふーだよ?ほら、ひっひっふー・・・」
「オ、オトコ?・・・ワタシ、オトコ、クウ」
とは言いつつも、見目麗しい乙女(?)達に囲まれて、子羊のように震えることしか出来ない俺。
くそっ、俺(の貞操)もここまでか・・・。
そう覚悟を決めて、蒼い空を眺めていると・・・。
「ふぁ!?あへぇぇぇっ!?」
俺と触れあえる距離まで来ていた女の子が突然奇妙な声をあげたかと思うと、ビックンビックンと地面に倒れ込んでしまった。
そしてそこから堰を切ったように、次々と倒れていく女性達。
「・・・あれ?」
良く見れば全員、幸せそうな表情をして逝っている。
・・・嘘だろ?
マイサンも臨戦態勢をキープしていたというのに、突然の事態に萎んでいくのを感じた。
え、ナニ?
覇〇色でも会得したの俺?
「だ、大丈夫ですか!?」
すると、俺達(主に俺)を見ていた野次馬達の中から、一人の女性が飛び出してきた。
俺の周りで円を描くように倒れている女性達をスルーして、此方に歩み寄る。
「男性護衛官の
有無を言わさぬ声色で捲し立てる男性警護官?の西宮さん。即堕ち二コマなのは置いといて、先程から全く身に覚えのない言葉だらけで混乱しかけるが、男性警護官とはつまりそういう事だろう。
恐らく俺が転移してきてしまった世界は、男が希少───もしくは数がかなり少ない可能性がある。
女性の俺に対する態度で大体察してしまったが、男性警護官ともなると、かなり重症だな。
この世界、きちんと機能出来ているのだろうか?
というか綺麗な女性達が
そもそも、俺がやってたのって難易度ナイトメアの鬼畜ゲーじゃねぇの?
「・・・考えたら頭おかしくなりそうだ。」
取り敢えず、見せられないよ!の表情でビクンビクンしてアへ顔を晒していらっしゃる西宮さんを無理矢理叩き起こす。
「・・・はっ!?私はいったいナニを!?って、だ、男性の前であんな顔を晒してしまうなんて・・・な、なんてはしたないことを!?」
じゃあ俺に近付いてクンカクンカするの止めてください、なんて言えない。
───あぁ、とんでもない世界に転移してしまった。
俺のそんな声は、「ふぉぉぉぉう!!!」という西宮さんの声に掻き消された。
え?一話のシリアスな雰囲気はどうしたって?
ふぉぉぉぉう!!!(ギャグ)には勝てなかったよ・・・。