魔王倒して元の世界に戻ろうと思ったら、歪な男女比の世界に転移してしまった件   作:羽根消しゴム

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可愛い

「ねぇねぇ知ってる?明日新しい子が編入してくるんだって!」

 

「へぇ、そうなんだ・・・も、もしかして男の子って可能性も・・・」

 

「いやいやいや、多分普通に女子だと思うよ?」

 

「だ、だよね・・・」

 

げ、元気だなぁ・・・と、すれ違った可愛らしい女子校生に目を向ける。

あぁでも、思っていたよりはゴリゴリマッチョウーメンって感じじゃなくて良かったかも。

 

・・・え?お前は一体何してるんだって?

 

女装して学校まで下見に来てんだよ(ボソッ)

まぁ勿論女装だけじゃなく、男とバレないように香水を───。

 

「・・・ねぇ、なんかさ、男の匂いしない?」

 

「そ、そうだよね!?私も言おうか迷ってたんだけど・・・」

 

ヒェッ!?

な、何故だ!?きちんと香水を振って男の匂いと分からないようにしたのはずなのに!?

 

くっ、やっぱりこの世界の女性は侮っては駄目だ。此方が喰われてしまう。

主に性的に。

 

こんなんだったらやっぱり下見に来るのはやめといた方が良かったかもしれない。

 

 

 

 

───そ、そのぉ・・・申し訳ないのですが、水無月様は超能力戦闘訓練学校に編入する際、じょ、女装して通って頂きます。

 

───それはつまり、男という事を隠せ、という認識でいいんですかね?

 

───は、はい。そして出来れば状況把握の為にも、下見に行って頂けると尚嬉しいのですが・・・。

 

───分かり・・・ました。

 

・・・これが主治医さんと俺の間であった会話の内容だ。

お分かり頂けただろうか?──女装は決して俺の趣味じゃないことに。

 

俺は断じて女装の趣味はない。

加えて男である。乙子ではない。

 

なのに、なのにだ───。

 

「ねぇ見てみて!あの娘めっちゃ可愛くない!?」

 

「うわ、肌きれーだし、スタイル良い・・・モテるんだろうなぁ」

 

「「まぁ、胸はないけど」」

 

やかましいわ!

 

おっと、ついツッコんでしまった。あ、ナニは突っ込んでないぞ。

 

いや俺が一番やかましいわ!

 

「・・・俺、きっと疲れてんだな」

 

どうしたんだろう。俺こんなに下ネタ連呼するような性格じゃないのに。

 

変な世界に召喚され、四苦八苦しながら魔王を倒し、漸く戻れると思ったら貞操観念と男女比が逆転している世界に来ちゃうし、学校に通うことにはなったけど女装しないといけないし・・・しかも女装めっちゃ似合ってるし・・・。

 

似合いすぎて、鏡で確認したときもつい二度見してしまった。

 

政府から支給された女装用の制服を主治医さんとナースさん(因みに名前は、主治医さんが雪風(ゆきかぜ) 美冬(みふゆ)さん、ナースさんが船橋(ふなはし) 蜜柑(みかん)さんというらしい)が着させてくれたのだが、可愛い可愛いと連呼したまま動かなくなった。

 

まぁ、俺のパンツに手を伸ばそうとしたから石化させたんだけどな。

発動させるのにほとんど魔力も必要ないし、ドラゴンですら5分程動けなく出来るお手軽魔法だ。

 

しかし、雪風さんと船橋さん(あの人達)には2分が限界だった。

肉体で魔力による石化を、バキバキと音をさせながら無理矢理解除しやがったのだ。

 

俺は思ったね。

お前ら人間じゃねぇ!と。

 

───

──

 

──とある女子高生side──

 

「はぁっ・・・はぁっ・・・」

 

汗が滴るのも気に止めず、必死に木刀を振る。

 

手に出来たマメだってたくさん潰れた。

散々馬鹿にされてきた。

 

でも努力したお陰で、今ボクはこの学園にいる。

 

ここは“超能力戦闘訓練学校”。文字通り、各々が持つ超能力を開花させ、切磋琢磨し、世の男性の為に鍛える。

そんなエリート校だ。

 

筆記試験と実技試験は、正直あり得ない程難しかったし、成績を維持するのだって大変だ。けど、そんなエリート校の中でも、“超能力戦闘訓練学校BEST8”・・・略してチクビという全校生徒3000人の中から決められた、最強格の八人の内の一人になれば、将来は約束されたようなものだ。

 

ボクだって、何時かはそうなりたい。そして、馬鹿にした奴らを見返して、イケメンと結婚する。

 

・・・まぁ、言うのは簡単なんだけど。

 

「ふぅ・・・今日はここまでにしておこうかな・・・」

 

汗に濡れた体をタオルで拭い、軽くシャワーを済ませる。

いつの間にか日常となってしまったこの動作。日々精進してもっと強くなろうとはしているけど、正直全く強くなっている実感が沸かない。

 

「はぁ、どうしてボクには才能がないんだろ・・・」

 

何度目か分からない弱音を吐きつつ、実技場の出入口の門を潜る。

流石はエリート校とあって、設備は他の高校の比にならない程整っている・・・けど、チクビに入ってる人達はこれよりもっと設備が豪華で有用な施設や個室に入ることを許されてるらしい。

 

「さっさと帰っちゃうか・・・」

 

誰にも聞こえるでもないのに一人喋りながら、広い校舎の階段を下っていく。

そして、疲れから重い足取りを抱えたまま角を右に曲が───「「うわっ!?」ふぎゃっ!」れずに、思い切り角からやってきた女の子にぶつかった

 

「い、痛い・・・」

 

思わず涙目になるボク。

へとへとでろくに受け身も取れなかったせいで、ぶつかった拍子に地面にもお尻をぶつけてしまった。

 

「うっ、いてぇ・・・あ、貴女は大丈夫ですか?」

 

ボクとぶつかった女の子は、おでこを抑えながら、ボクに手を差し出してき───え?

 

ボクは一瞬、時が止まったように動けなかった。

 

女の子にしては少し短い麻色の髪に、大きなくりっとした茶色の瞳と、長い睫毛。女の子らしい小さな鼻に、可愛らしい血色の良い唇。

白い肌は夕陽に照らされていてとても幻想的だし、こうして手を差し伸べられてるからこそわかる、スタイルの良さ・・・胸はないみたいだけど、そんなのなんか気にならないくらい可愛らしい。

 

そう、ボクは目の前の()()()のあまりの可愛らしさにフリーズしてしまったのだ。

 

「あ、あれ?馴れ馴れしかったかな・・・?」

 

差し伸べた手を引っ込めて困ったように笑う姿も可愛らしい。

 

それに体中の至るところから、男の匂いが香っている。ま、まぁそうだよね。こんなに可愛い人なんだから彼氏くらいいるよね・・・寧ろ手玉にとってそうだもん。

 

「あ、あのー?もしもしー?聞こえてるか・・・ますかー?」

 

「・・・師匠」

 

「ん?し、師匠?」

 

「で、弟子入りさせてください!!」

 

この人に師事してモテる秘訣を学ぼう、男の人と付き合う為にはもうそれしかない。

え?何時やるか?

今しかないよ!

 

───

──

 

──主人公side──

 

おいおいまじかよこの娘・・・初対面の奴に師匠とか言うか普通?

 

俺適当に学校ぶらぶらしてただけぞ?

師事してくれ!って懇願する要素ある?

 

でも実際に弟子入りさせてほしいって言っている娘が目の前にいるんだよなぁ・・・何か滅茶苦茶目を輝かせてるし・・・。

 

・・・でもやっぱり、今この場では返答しかねるな。

───よし。

 

「あ、あそこにイケメンが!」

 

「え!?どこ!?」

 

俺が適当に指差した方向をキョロキョロと探している女子高生。

ふっ、チョロいな。それじゃあ今のうちにっと。

 

───

──

 

青いハリネズミもビックリの速度でその場を逃げ出し、現在校門前。

 

下見した感想だが、正直高校とは思えないほどの設備をしていると思う。

 

なんだよジャグジーって。

なんだよエステって。

 

何で高校にあんだよ。

 

だが、ツッコミ弱者の俺がツッコんだところで現実は変わらないのだ。

 

「明日から編入かぁ・・・」

 

女性だらけの花園に男一人・・・か。何処かのエロゲーにありそうだ。

 

そんなくだらない事を考えながら、俺は弾む足取りで帰宅した。




二話目だおっらぁーん!!!

あ、皆さんお忘れかもしれませんが、次回は例のふおぉぉぉう!のあの人も出てきます。

え?シリアス?
今、シンガポールにいます(くそ寒ぱくり)
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