まずは今の作品完結させたい。
たくさんの方々見て頂いて感謝します。
トレーナー目線です
父は優しくて頼りになって誰よりも優秀な最高のトレーナーであると同時に、弱い人だった。
と言っても弱かったのは腕っぷしのほうじゃなくて、優しすぎた心のことだ。
優しすぎて何かあると他人を責めず、自分が悪いと考えるそんな人だった。
家でもその傾向はみられた。夕方にお菓子を食べて夕飯を食べられなかった時、母は怒ったが、父は注意をしなかった自分が悪いと母を宥めていたことがあった。
仕事でもそうだった。レースで勝てなかったらまずは自分の指示が正しかったのか疑った。
そんな性格が原因だった。
当時、父が担当していたウマ娘が、父の悲願であったURAファイナルズ優勝のため決勝戦に出た時、転倒事故を起こしてしまい惨敗してしまった。
更に不運は重なり、事故を起こしたウマ娘はその時の怪我が原因で引退せざるを得ない状況に追い込まれてしまう。
当人たちは互いに反省点があったり、不運だったと言って終わったのだが、周りはそうは思わなかった。
負けた理由を父の指導不足、無謀な作戦が原因と言った。
一見すると、無能なトレーナーの指示で犠牲となった可哀そうな担当ウマ娘という縮図が出来ていた。
それを見逃さなかったマスコミ各社は、一斉に父を叩いた。
仕事仲間のトレーナー、事情を知らないウマ娘たち、見に来ていた観客は父に罵詈雑言を浴びせた。
そして父は自分の指示や指導のせいで、担当のウマ娘を二度と走れない体にしてしまったと本当に思ってしまった。
思えば、あの時家族で父を支えてさえいれば、こんなことにはならなかったのか。今でも後悔している。
そんな重圧に耐えられず自ら命を絶ってしまった。
葬儀の時、母は父が入る棺に泣き崩れながら父の名前を呼んでいた。
俺はその光景をただ見ていた。まだ、死んでしまったことが信じられなくて、ひょっこり父がどこからか出てくるんだと思っていた。だが、泣き崩れる母の姿を見て、本当に死んだのだと確信してしまった。不思議なことに木棺の中にいる父の遺体を見ても、涙は流れなかった。
いや、泣けなかったと言う方が正しいだろう。
今思えば、あの日から俺はおかしくなってしまったと思う。
感情を表に出せなくなった。
笑って見ていたテレビ番組を見ても笑えなくなった。
感動できていた映画を見ても、何も感じなくなり涙も流れない。
一緒に遊んでいた奴と遊んでも何も楽しくなかった。
葬式が終わって数日経ってから、母からすぐに引っ越しをすると言われた。
行き先は、母方の祖父、祖母がいるここから遠く離れた場所だ。
いつも遊んでいたアイツに会って引っ越しについて話したがあまり言いたくなかった。
「行ってはダメ、一人にしないで」
泣きながら頼む彼女に、もう決まったことだから無理だと言った。
「別に一生あえない訳じゃないんだから泣くなよ」
「じゃあ次はいつ会えるの?」
彼女の問い掛けを聞いて少し考える。多分もうここには来ないからもう会うことは無いだろう。
「いつかまた会えるだろ。知らないけど」
「いつかはいや。また会いたい」
泣き止み目を赤くして、いつもより真剣に話す彼女を見て、ため息をついて答える。
「じゃあ、名前忘れたけどトレセン学園とかでいんじゃね。お前レース走るウマ娘目指してんだし」
「とれ……セン?」
「知らねーのかよ。あれだ、全国の強いウマ娘が集まる場所の事。親父が働いてた場所だよ」
「じゃあ、そこにする。そこでまた会いましょう」
彼女は、手を取り嬉しそうにぴょんぴょん跳ねる。跳ねるのをやめると手を握ったまま話す。
「約束よ。ぜったいぜったい約束よ」
「……わかったよ」
無邪気な笑顔で聞いてくる彼女に渋々答える。一瞬答えるのが遅れたのは、純粋に約束を守ろうとする彼女へ罪悪感を覚えたからだろう。そう、最初から守るつもりもない約束なのだから……。
引っ越し当日、彼女とメジロ家総帥の祖母と使用人たちが電車のホームまで見送りに来た。電車が止まりドアが開くと母と一緒にスーツケースを引きながら乗り込みボックスシートの席に座る。窓から見送りに来たメジロ家の方たちへ頭を下げる。彼女はまた泣いていた。
ドアが閉まり、電車が発進すると彼女は窓から見えるように合わせて並走する。電車のスピードがだんだんと上がっていくが、ウマ娘だからか人間では追いつけないスピードでも必死に食らいつく。だが、彼女は転んで窓から姿を消してしまう。すぐに立ち上がると彼女は叫ぶ。
「さよなら。お元気で」
泣きながらめいいっぱい手を振る彼女が、米粒位の大きさになる。聞こえないと分かっていてもそれでも独り言のように声に出してしまう。
「ウマ娘は嫌いだ。親父を追い込んだ奴等だから。だから、もう関わらない。トレーナーも目指さない。トレセン学園にもいかない。約束破るけど悪く思うなよ」
息を吸い、二度と会うことがないであろう彼女への最後の言葉を出す。
「けど、お前は嫌いじゃなかったよマックイーン。さよなら」
書いてて自分でも思うほどわけわからんことになってしまった
ど、どうしよう…