100連から虹何にも来なかったんですけど、確率とは
雨期の季節と思うほど雨が降るこの頃。
私は、今近くにある大型ショッピングモールに来ています。今日、練習はお休みだったのですが、それを聞いたゴールドシップが急にパーティ―をやるなどと言い出し、お菓子などをの必要なものを買いに来たのが理由です。ですが、向かう道中、嫌な気はしていました。どんよりとした空だったのですが、時間もそんなに掛からないと思い、お財布以外は持って来ませんでした。
私は、正直雨が好きではありません。じめじめしますし、雨が降れば外で走れません。おまけには洗濯物は乾きが悪くなります。更に、気分も少し落ち込むように感じる日もあります。
ですが、こんなことになるとは。
私は今、買い物を終えショッピングモールの入り口で立ち尽くし、降り頻る雨を見て呆然としてしまいます。帰るまでなら大丈夫と思ったのですが。
傘はもちろん持ってきてはいません。持ってきていたらこんな苦労はしませんから。ですが、これは困りましたわ。
ないのであれば、買えばいいと思うところなのですが、お財布の中のお金は、丁度使い切るぐらいの金額しか、持ってこなかったので傘を買うお金がありません。こんなことになるなら少し多めにお金を持ってくればよかった。
雨は一向に止む気配がありません。それどころか段々雨音が強く響いてきました。寮にいる誰かが迎えに来てくれるのならいいのですが、最悪この雨の中を走って帰らなければいけません。
私は、テイオーに連絡を入れようと携帯を出した時、後ろから覚えのある声を聞き耳と尻尾が垂直に上がってしまいます。
「マックイーン?」
「と、トレーナーさん!」
振り向けば、私の想い人である彼が少し気だるそうに立っていました。服装は、今日会った時と同じスーツ姿ではなく、ジャケットを脱ぎ、ネクタイも締めておらず、ワイシャツの首元のボタンは外され、袖はまくられています。手には買い物袋を持っていました。
驚く私を気にせず、彼は話します。
「お前も買い物か何かか?見たところ食料品が多いようだが、あまり食べ過ぎるないでくれよ。また練習メニューを考え直さなきゃいけなくなるからな」
私が、両手に持っている買い物袋を見ながら彼は言います。私も視線に釣られて袋に入るたくさんのお菓子などを見て、顔に熱が集中するのが分かりました。もしかすると勘違いをしているかもしれない彼に弁解をします。
「い、いえ。これ全て私が食べるわけではなく他の方々と一緒に分け合って食べますので勘違いをなされないでください」
早口にそう言ってしまいます。もしかすると、今彼にはたくさんのお菓子を食べようと買う、食いしん坊のように見えてしまっているのではと考えてしまいます。だとしたら、とても恥ずかしい。
「ならいいんだが。それより、どうした。こんなところで立ち尽くしていて。傘でも忘れたのか?」
「はい。大丈夫と思っていたのですが。油断していました」
「そうか。なら、送っていこう。雨の中傘もささずに帰られて風邪でも引かれたら困るからな。どうする?」
「よろしいのですか。それはとても助かり……。は!」
彼に感謝の言葉を言いかけた私は、あることに気付いてしまいます。
そう、これは……。
『あいあい傘』なるものではないでしょうか!
恋愛漫画やドラマでお馴染みの男女が一つの傘で帰り道などを帰るあれが、今起ころうとしている。その事実だけで胸が高鳴ります。
携帯の振動で連絡が来てるのが分かり、見てみるとそこにはテイオーからメッセージが送られてきました。内容は、『迎えにいこうか?』と言うものだったので、すぐに『大丈夫です』と送り返します。ここで迎えに来て頂いたら、せっかくのチャンスを無駄にしてしまいますから。
彼は、私に荷物を渡すように言われ、荷物を渡します。空いていた右手で私の荷物を持ちます。
彼は傘を私に渡してきました。彼のすぐ横に行き、傘を開くと寮へと帰り始めます。
身長差があるせいか、いつもより傘を持っている手を高めにしなければ、彼の頭に傘が当たってしまうので少し大変ですが仕方がありません。最初は、歩幅も彼のほうが大きいので、普通と早歩きになってしまいますが、段々と歩くスピードに合わせてくれたのか、いつものペースで歩いて行けます。頼まずとも自然と荷物を持ってくれる、そんな細かい気遣いが出来る彼はやはり最高です。
そういえば、昔もこんなことがあった気がします。
あれは、家の近くのスーパーへ一人で買い物に行ったとき、急に雨が降ってきてしまい困っているところに、彼は走って迎えに来てくれました。その時も、買い物袋を両手に持って私が傘をさして帰った記憶があります。
幼い頃からそんな優しさを持ち接してくれた彼に、惹かれていったのが一つの理由だったと思いました。
そんなことを考えてると、ふと思います。
もしかすると、いつもならトレーナーと担当ウマ娘という関係ですが、今この瞬間は、昔の親しかった関係に戻れるのではないかと。
彼も覚えていて昔を懐かしんでいるのではないかと。
今なら、昔のように呼び合っても不思議に思われないのではと。
でも同時にマイナスのことを考えてしまいます。
彼はそんなこと全く思っていなくて、ただ担当のメジロマックイーンが困っていたので助けているだけではと。
もしくは、彼は何も覚えておらず、私が勝手に興奮しているのではないかと。
そんなことを考えると、拒絶される恐怖に勝てず、担当のメジロマックイーンとして逃げるように彼に聞きます。
「そういえば、トレーナーさんは何を買ったのですか?中身は……ゼリーですか?」
「ああ」
彼が買った荷物を覗いてみると、中には銀色のパッケージで10秒チャージという文字が入ったゼリーが大量に入っていました。私は見た瞬間、前から疑問に思っていたことが浮かび上がりました。
「付かぬ事をお聞きしますが、トレーナーさんいつも食堂にはいらっしゃいませんよね。まさか……」
「ああ、いつもこれで食事を済ましている。時間がもったいないからな。効率的でいいんだ」
「いけません!トレーナーさん。ちゃんとした物を食べて栄養を摂らないと駄目ですよ。でないと本当に倒れてしまいますよ」
私が、注意をしても「ああ」と返すだけで、本当に分かっているのでしょうか。
彼が倒れてしまったなんて想像しただけで眩暈がしてきました。もう少し、自分の体を大切にして欲しいものです。
帰り道、学園に近づくにつれ雨が強くなってくると、傘が受け止めた雨が流れて、彼の肩を濡らしてしまいます。私は彼を濡らせないように、間にあった隙間を無くすため、近づきます。すると腕が密着してしまい、同時に鼓動が早くなり、顔が赤くなっているのが自分でも分かってしまいます。
もしかすると、密着している腕から私のうるさい鼓動が彼に聞こえてしまっているかもしれません。
しかし、彼は何も言わずただ歩きます。私もつられてと言いたいですが、冷静を保つのが精一杯でうまく話せず、無言になってしまいます。
お互い沈黙の中、降りしきる雨の音、その中で走る車の音が聞こえてきます。
私は、正直雨が好きではありませんでした。じめじめしますし、雨が降れば外で走れません。おまけには洗濯物は乾きが悪くなります。更に、気分も少し落ち込むように感じる日もあります。
ですが。
こんな日常をプレゼントしてくれた雨が少しだけ好きになりました。
彼も雨が好きではなかったのなら、今回で少しだけ好きになっていることを私は願うのです……。
おまけ とあるお菓子パーティー会場
「ねえねえ。僕さっき噂で聞いたんだけど、今日二人で仲良く一つの傘に入って帰る、うちの制服を着た女の子と、トレーナーと思わしき男の人を見たんだって。見た感じ超ラブラブだったらしいよ。誰のことなんだろうね?」
「へー。そんなことがあったのかー。誰のことなんだろうなー。な、マックイーン」
「そ、そうですわね。一体誰のことなんでしょう。(今思えば凄く恥ずかしいですわ)」
「ねー。(あれ?マックイーン確か傘置いてったはずだけど、お店で新しいのでも買ったのかな?)」
次回、未定!