やぁっと設定説明回
あとなんか今回主人公がドラえもんみたいなポジになっとる……
ステータスプレートの一件の後、メルドさんの言う通りにみんなの訓練を見学してから体力測定をしたのだが、いやぁ見事に普っ通ーでした。普通に動ける騎士レベルって言われました。
まぁ、模擬戦してくれた騎士さんとバトって勝ったからだけど。
その後色々な人と拳を交えたりもした。でも久しぶりの戦闘だったからなー。全勝とはいかなかった。というか強い人多かった……さすがは勇者の戦闘訓練の教官に選ばれた人たちだ。気迫が違いましたわ。
そしてそんな訓練から1日経った午後。
午前中にあった戦闘訓練にぐったりしている南雲くんを引きずってメイドさんに用意してもらった空き部屋で我々最弱組の今後の方針を立てることにした。
「いや、最弱って……それ僕だけじゃない? 訓練超ハードだったのに藤丸さんピンピンしてるし……」
「ふっ、鍛えてますから!」
レオニダスブートキャンプは伊達じゃないのさ。ケルト式戦闘訓練にすら耐え切った私に死角はない!
「というか藤丸さん、ステータスプレートに表示されてないだけで本当は結構ステータス高いんじゃない……?」
「それは無いと思うなー。光輝くんとかは明らかに地球の時より身体能力上がってたけど、私は一切変わってなかった。
きっと元いた世界と力は全然変わってないさ。自分の身体のことだもん。ちゃんと把握できてるよ」
「へ、へぇ……すごいな……」
生粋のインドア派らしき南雲くんは半分なんのこっちゃと思ってる様子だけど、本当に見事なくらい1ミリも変わっていなかった。ちょっとくらいサービスしてくれてもいいと思うんですけど。
でも、そのおかげである程度私がみんなのようにステータスが肉体に反映されていない理由は推測できた。合ってるかどうかはわからんけどね。あくまで仮説の域を出ないものだ。
まずこっちに来て身体能力が上がった理由は二つほど思いついた。
一つはイシュタルさんが言っていたように私たちがいた世界がこの世界より上位に当たるため、前の世界よりも強い力が使えるという転移における自然的な肉体、存在の強化。
二つ目は私たちを召喚した神……エヒト様とやらが転移のタイミングで私たちに根本の存在、いわゆる魂とかに何らかの手を加えたという人工的(神工的?)な強化。
この二つが主要だと思う。
そしてこの二つは、いずれも生命体にのみ作用される強化と思われる。だってそうじゃなきゃ服とかも強化されてなきゃおかしいもんね。命、というか魂が無いものには効かないんじゃないかなーってのが私の推察。
そうすると、私が全く強化されてないのは人という生物ではなく、人と同じ成分で同じカタチをしている物体という扱いだから強化されてないんじゃないか、っていう仮説が成り立つ。
なんたってそれにすんごく心当たりがあるんだよなぁー。
それは私と彼らの決定的に異なる部分で、私だけが違う相違点。
つまり、ヘヴンズ・ドリフトが原因なんじゃね? というものである。
アレの原理は第三魔法で
まぁただ人形に魂入れて動かすみたいな単純な話ではなく、魂と肉体にパスを繋いで擬似的な生命と化すのが本質だ。
だからこそ私は普通に身長が伸びるし、鍛えれば筋肉も付く。甘いもの食いまくれば普通に太る。
なので最初は本当にこの理論で合ってるか? と思ったんだけど、よく考えると魂固定化しちゃってるから、私の魂と肉体の繋がりって普通の人より密接じゃないのね。
だから世界や神さまが私の肉体情報しか読み取れず、結果ただの人間っぽい物体判定された私にはステータスが反映されなかった……みたいな感じなんじゃないかなぁ……?
ぶっ飛び理論すぎてにわかには信じ難い……正直自分でも半信半疑なのだ。
けど、昨日ステータスプレートを使ってアレコレ実験した結果、人間以外の動物でもステータス出てきてたのに、動物の死骸の血液垂らしても一向に何にも起こらなかったからこの可能性が一番高い気がするんだよなぁー。
というわけで、その存在に命、もっと言えば魂が感じ取れるかが問題なんだと思う。
そう考えると私の魂ってかなり厳重にセーフティかかってるんだよね。
まずヘヴンズ・ドリフトの第三魔法で魂固定化による肉体との若干の剥離と魂の変化・干渉に対する耐性。
次に死体という物体に入り込んでいるという事実。いくら魂の波長が合うからってこの身体は私の肉体じゃないし、別物の魂と肉体の間にある齟齬が世界の認識に影響を与えてる可能性がある。
最後にバーサーカーによってわたしの魂に刻みつけられた
正直最後のが一番説得力あるんだけど、とりあえずこの三つのファイアーウォールによって世界や神の認識と干渉を妨害してしまった結果、こんなわけわからんことになってしまったのだろう。
これが良いことか悪いことかはまだわからない。クソザコナメクジみたいな弱さしてるという点は相当まずいが。干渉されないという一点で見るのなら大きな利点ではあるのだから。
今は考えるのをやめないことが最重要だ。何が敵になり、何が使えるのか。私たちはこの世界に対してまだまだ無知だと言わざるを得ない。
だからこそ、常に努考え続けなければいけないのだ。思考を止めた者から脱落していくのだ。力が無ければなおさらそうだ。
「というわけで、これから私たちに必要なこと、私たちがやるべきことは何かってのを具体的に考えていこうと思うんだよね」
「なるほど……確かに今後の方針は大事だ。わかった。じゃあまず考えなきゃいけないのは、僕たちに必要なこと……かな?」
「その通り! じゃあまずは最終目標から逆算して必須事項を決めていこう
か」
南雲くんは話が早くて助かるな〜。こういう頭の回転の良さ、柔軟さは彼の強みの一つだと思う。
よし! 私の方も気合い入れていかなきゃね!
「最終目標の『元の世界への帰還』。
これを達成するには、私たちを召喚した神さまに気に入られて返してもらうルートと、もう一つ。自分たちで自力で帰還のための魔術……いや、魔法を発見、もしくは開発して身につけて帰るルートの、どちらか2パターンが求められるね」
「最初のパターンはちょっと不安だね……神様がそんなことをしてくれる保証はどこにも無い訳だし。文字通り苦しい時の神頼みだ。
となると、確実なのは自分達で帰還の魔法を手に入れて帰ることになるか……。それも、魔法なんて今まで全く縁が無かった僕達には厳しいと思うんだけど……」
「そうだね。自力で開発するのは多分無理ゲーだと思うよ」
時空間転移とかそれこそ並行世界の運営……第二魔法の領域か、あるいはそれ以上の難易度になるだろう。なにせここは並行どころか異世界なのだから。
「ただ、方法がゼロって訳じゃない。実際にこっちに転移してきてるんだし、この世界から元の世界に干渉してたのなら一方通行でもないは
ず。手段自体は必ずあると思うよ。
だから私たちが最重要視して挑むべき目的は、それを見つけて私たちで使えるようにすること」
「なるほど……。さすがだよ、藤丸さん! 進むべき道が見えてきた……!」
嬉しそうな笑顔を浮かべる南雲くんに、私も少しはにかんで笑う。彼は素直だから、こうやってストレートに褒められると、ちょっと照れるね。
「ふふ、ありがと。
んじゃ話の続きなんだけど、そういう魔法って見つかってたらもうちょい噂になってたり、文献に残ってたりしても良いと思うんだけど、そういったものは全然なかった。
だからもし可能性があるとしたら、それは神代魔法に関係してるんじゃないかって思うんだ」
「神代魔法……?」
「そ、神代魔法。むかーしむかし、神が地上にいた時代に栄えたものだって。神さまが転移の魔法を使ったんだとしたら、それはこの神代魔法の可能性が最も高い」
「ということは、その神代魔法を習得すれば……!?」
「そう! 自力で帰還の魔法を使うことも不可能じゃないってことさ!」
これを調べるために昨日も訓練してから寝食摂らずに書庫を漁って漁って漁りまくって得た情報だ。ちなみに当然の如く徹夜である。
昨日のメルドさんのステータスプレート説明会の時に出てきたキーワードを中心に調べていったらビンゴだったんで思わずガッツポーズで吠えました。司書さんにはクッソ怒られました。
「じゃあ、どうやってその神代魔法は使えるようになるの!?」
「あ、それはわかんない」
「わかんないんかい!!」
ナイスツッコミ、センキュー!
「え、本当に何にも手がかり無かったの?」
「無いね。マジで無い。宮廷魔術師の人たちみんな巻き込んで大捜索大会開催したけどマジで無かったね」
「何してんの?」
戦いは数だよ南雲くん! 数使っても見つからなかったけどね!
「フッフッフッ、確かに習得方法は見つからなかった……だがしかぁし! この私がその程度で諦めると思ってもらっちゃあ困るぜい? ちゃーんと手がかりに目星はつけておいたのさ」
「それは……?」
「うん、まず実際にそういう神代魔法があると仮定すると、それは当然古いものだ。つまりこの世界の神に関係する古い施設とかに何かしらの手がかりがあるんじゃないかって」
「なるほど、道理だね」
「そんで、そういう施設の中でめちゃくちゃ怪しいものがあった。それが『七大迷宮』さ」
「『七大迷宮』?」
南雲くんは頭にクエスションマークを浮かべている。まぁ日本で真面目に聞くフレーズじゃないもんね……私は何度かあるんだけどもね。
「この世界有数の危険地帯さ。魔物の巣窟、霧の樹海、灼熱の火山……そんな人が踏み入ることのできない場所にある迷宮らしくてね。
かなり古い文献にもその存在が載ってた。それに人が手を加えた痕も見つかってる。かなり古いものでね。
だから、神代に関する情報が得られる可能性が高いと思ったんだ」
「そうか……じゃあ、その七大迷宮の攻略が当面の目標になるってことだね?」
「ザッツライト!」
いやー、これに思い至った時は肩の荷がようやく一つ降りた気分だったよ。具体的な目標が決まると、みんなのやる気も出しやすいからね。後で光輝くんたちにも詳しく話す予定だけど、一応彼と擦り合わせをしておきたかったのだ。
「というわけで『七大迷宮』の攻略が現在の目標として、今度は私たちのやるべきことを考えていこうか」
「そうだね。と言っても、僕はあんまり役に立てそうも無いなぁ。その迷宮って危険なんだよね? 戦闘力の低い僕じゃあただの足手纏いだよ」
「そこは非戦闘系天職なんだから仕方ないよ。そもそも戦闘するための力じゃないんだから、それ」
南雲くんの天職は『錬成師』。鉱物の変形や変質を得意とし、その能力で低コストで武器を創ることに秀でた職業だ。
当然鍛治職であるため戦闘に関する技能は一切保持していない、完全な後方支援要員。
でもそれって言うほど悲観的になることかな? この世界の錬成師と比べても十分差別化できると思うんだけど。
「私思うんだけどさ、君には君にしか創れないものを創ればいいんじゃないかな」
「僕にしか……創れないもの?」
「例えば銃とか、車とか。そういうこの世界には無い機械、あるいは武器を君は創れる。それらを明確にイメージできて、実物として正確に再現できるのはこの世界で君だけだと思うんだよね」
「……!」
そう、そこが彼の一番の強み。この世界には存在しないものの知識という、現代人の強みである。
この世界の魔術にもイメージの作用は少なからず存在する。ならば今までそういった現代兵装を見たこともないこの世界の凄腕職人と、正確にイメージして魔術を行使できる南雲くん。
魔術を使って物を創る以上、この差はかなりの違いを生むことになるだろう。
つまり、南雲くんはこの分野において最大のアドバンテージを持っているということだ。
「でも、僕は銃の構造とかさっぱりだよ? 外観を真似るぐらいならできると思うけど……」
まぁ当然の疑問だね。私も南雲くんがこの発想聞いてぱっぱと銃創り始めたら「何でそんなもん知ってんの!?」って思ってちょっと引くもん。
だからここはパートナーである私の出番である。
「ふふ、わかってるって、心配ご無用! こんなこともあろうかと〜私が図面を描いてきたのです!」
「何でそんなもん知ってんの!?」
「人生経験が違うのだ、
「同い年ですよね?」
細かいことは気にしない気にしない。
あ、私が銃とかの製図できるのはカルデア時代にそういう武器を使ったり
魔力
ちなみにお気に入りはキャリコM950とトンプソン コンテンダーです。バレンタインにエミヤアサシンがくれたやつを長いこと使ってたからね。愛着があるのだ。殺傷力高すぎるのが悩みの種だけど。
他にもコヤンスカヤとかが色々売り込んできた時に構造は教えてもらったし、結構色んな銃のことを知ってる方なんだよね。
「んじゃ、これからさっそく創ってみよっか。レッツ錬成!」
「今から!? ちょっといきなりすぎない!?」
「良いではないかー! とりあえず君の腕がどんなもんかを見させてもらおう! さぁ南雲くん、魔力の貯蔵は十分か!?」
「ヘトヘトです!!」
今は大成しなくてもいい。彼のポテンシャルなら、きっとこの世界を変える大きな力になるだろう。
それは戦争の形態を変えるかもしれないし、この世界では未だ届き得ない地点への足掛かりになるかもしれない。
ゆっくりでいいんだ。焦って誰かが欠けるのが一番まずい。
今日の訓練を見ていれば、他のみんなにもそれぞれ高い可能性を感じさせられた。
全員で一致団結し、力を合わせれば……この異世界も十分に攻略ができるはずだ。
まだ見ぬおそらく性格がひん曲がっている神さまよ。私たちは、あなたの思い通りにはならないよ。
絶対、全員無事に私が元の世界に帰して見せるんだから。
プロットよりちょっと間延びしてるぅー