ありふれた元マスターでクラス最弱   作:抹茶れもん

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お気に入り登録してもらえたのがすごくうれしいです
あとありふれ要素全然無くて本当にすみません
またぐだ子まわりの話です……
ちょっと少なめになっちゃいました
次回更新は間が開くかも


第3節 記録

あの保育園卒業のお祝いの日に起きた一騒動を経て、私と両親の関係には少しだけ変化が生じた。

 

 まず、私はあの後前の世界にいた頃の自分のことを二人に話して聞かせた。

 

 人理修復はもちろんのこと、それ以前。カルデアに来る前のことも話した。

 

 ちょっとデリケートな話だから、これは私が心から信頼できると判断した人にしか話していない、いわば最大級の信頼の証。

 

 

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 前の世界では、私に両親はいなかった。正確に言えば、私が小さい頃に二人とも死んでしまったのだ。

 

 それもただ病気で死んだ、とか事故で亡くなった、とかではない。

 

 殺されたのだ。二人とも。私の目の前で。

 

 あの日のことは今でも鮮明に、強烈に私の網膜に焼き付いている。

 

 閉め切られたカーテンによって部屋は暗かった。

 ただし、隙間から差し込む僅かな月明かりが、真っ赤に染まったリビングを、ひどく克明に照らし出していた。

 ガムテープで手と足、それから口を何重にも乱雑にぐるぐると巻かれて拘束された。

 目の前には首を掻き切られた父だったモノと、腹を掻っ捌かれた母だったモノが転がり、光の無い目で私を見上げていた。

 そして殺人者は、その傍らで両親だったモノの血を弄びながら作業を楽しんでいた。

 

 あの頃から私は、すごく体が弱くって、ベットから出られないほどに虚弱だった。

 

 その日は珍しく体調が良く、家で家族三人で夕食にハンバーグを食べていた。

 

 鍵は掛けていなかった。

 

 最初に父が殺され、次は母が刺された。

 

 押し入ってきた若い男は、これから悪魔を呼び出すのだと言った。

 それには子どもの生け贄が必要だとも。

 

 後に知ったことだが、男は当時全国的にも名の知れた連続殺人犯で、犯行区域であった冬木の街では、それはそれは恐れられていたそうだ。

 

 まぁ、それはともかくとして、当時の私は未知の感覚に襲われたものだ。

 

 幼少期の私は自分という人間が形作られている最中で、自意識が希薄だった。無垢だったと言っていいだろう。

 それも両親が献身的に支えてくれて、善良という概念を白紙の私に書き込んで、徐々に私を普通の人間にしていった。

 私はそれにとても感謝している。その経験はカルデアで後輩に接するときに遺憾無く発揮された。

 

 だが両親が私に刻んだのは、夢、希望、善性といったものだけだった。

 いつだって私を最大限に気遣ってくれたから。

 

 殺人者の男は、それらとは真逆のものを私に刻み込んだ。

 すなわち、恐怖、孤独、そして、絶望だ。

 

 言い換えるならば、その時私は初めて人並みの負の念を抱いた。

 それらを生まれて初めて得たのだから、未知の感覚も当然だろう。

 

 まぁ、そういう感情をいっぺんに経験したからこそ、私は普通の人として成立できたのだろう。

 でなければ身体の全てに善性の詰まった聖人になっていただろうし。

 別にそれでアイツを許すワケじゃないけどね。

 

 ただ、私は復讐を考えたことはない。

 

 それは許したワケではなく、その男が所業に見合う報いを受けたからだ。

 

 さらには、そんなことを気にする余裕がなくなるほどの出来事が起きたからだ。

 

 男の召喚術は成功した。

 

 男は死んだ。

 

 召喚陣から出てきた人ならざる者によって消滅させられたからだ。

 

 ただしその者は、断じて悪魔などではなかった。

 

 私が見上げるそれは、神々しい輝きを放つ、自分とは規格が違うと一目で分かるその神秘。

 抑止の輪より来たる天秤の守護者、その中でも最上級で至高の一騎。

 普通の人になったばかりで、自分の行動指針も何も無かった私に、生き方を授けてくれた憧れの存在。

 普通の生き方が出来無い身体の虚弱を、その加護で支えてくれる大恩ある彼。

 

 つまりは。

 

 

 

 

 

 英霊が現界したのである。

 

 

 

 

 

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 その後なんやかんやあって聖杯戦争に参加することになって、その時に得た伝手で魔術使い見習いになり、そのままカルデアに運良く誘拐、もといスカウトされて人理修復を四苦八苦してなんとか乗り切った、という話を掻い摘んで軽〜く両親に話したのさ。

 さすがに全部細かく伝えるのは無理だったけど、まぁいいでしょ。

 

 ちなみに聖杯戦争にはあえなく敗退しました。子どもの私にサーヴァントは扱い切れませんでしたわ……。

 

 大事なのは一つ。今の私は色んな人と色んな経験で形作られているんだってこと。

 

 前の世界の両親には善性を叩き込まれた。

 

 殺人犯の男には悪性を叩き込まれた。

 

 初めてのサーヴァントには今の私の行動指針を叩き込まれた。

 

 人理修復の旅ではかけがえのない後輩を、仲間との絆を、出会いを、別れを、失恋を、苦痛を、責任を、誇りを、意地を、愛憎、人の持つ無限大の可能性を学んだ。

 

 そして今の両親には私の奥底に埋もれかけて見失っていた大切なことを、再び叩き込まれた。

 

 それは、家族の愛情だった。

 

 私は家族に恵まれてる。前の両親、カルデアのみんな、今の両親。

 

 全部ぜんぶ、私の大切な宝物。

 

 今の両親は私が前の世界で成してきたことを聞いてすごく驚いていた。

 やっぱ客観的に見るとヤバいことやりまくってるよね、人理修復って。

 

 それでも、お父さんは不器用に頭を撫でてくれて、お母さんは私を優しく抱きしめてくれた。

 

 ''よく頑張ったね。えらい!''って。

 

 それだけで私は救われた気持ちになった。我ながら単純だ。

 

 人理修復は結局カルデア外部の人には全然認めてもらえなかったからな〜。

 自分では気にして無いつもりだったけど、やっぱり心の奥ではあんまり納得いってなかったのかもね。

 だから褒められたのが嬉しかった。

 何より、大好きな人に、認めてもらえて誇らしかった。

 

 私たち家族はその後もいっぱいいっぱい話し合った。思い出話に花を咲かせた。

 

 子どもが学校の出来事を話すように。親が仕事の成功の自慢話をするように。

 

 私たちの会話どこかありふれてなくて、でもその光景は、普通の家族のようにありふれていて。

 

 今まで意図せず形作られていた壁はもうどこにもなくて。

 

 ただ普通の「家族」になれたことが、ただひたすらに嬉しかった。

 

 

 

 

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 そんなことがあって、私のこの世界での行動指針は定まった。

 

 それすなわち 親 孝 行 !

 

 前の世界でできなかったことのリベンジだ。

 まぁ、大したことをやるつもりはない。せいぜい両親を心配させないように、毎日気楽に楽しく過ごすだけ。

 それを一番望んでるだろうし、これからは私も何の遠慮もなく普通の日々を満喫できる。

 

 

 

 そして明日はなんと、待ちに待った小学校の入学式!

 

 さあ、友達いっぱい作っちゃおう!

 

 

 




召喚に応じてくれた最初のサーヴァント。彼は一体何者なのでしょうか
次回はやっとありふれキャラが出る予定です
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