ストライクウィッチーズ 〜異界からの大艦隊〜   作:橘闘牙

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 すみません、だいぶ投稿が遅れてしまいました。
 
 本来なら1月中にこの話を投稿予定だったんですが、いろいろと重なりまして…



第七話

 

 

 side 501JFW

 

 

「知っている人もいるかも知れませんが、これから共に戦うことになった新たな仲間を紹介します。」

 

 

「しっつもーん!それって異世界から来たっていう人のこと?」

 

 

「えぇ、その通りよハルトマン中尉。」

 

 

「ミーナがそう言うということは上層部はその人物を未来人と認識しているんだな」

 

 

「その認識で間違ってないわ。実際、未来から来たということを裏付けるに足るものは見せていただいたわ」

 

 

 その言葉によって、場はいくらか騒がしくなっていった。未来から来たということが信じられているそれだけでも驚くのは無理ないことだと思う。実際、私自身、そんな話を証拠なしでは相手にもしないでしょうから。けれど証拠はあるし、実績も示したと在ってはなおさらでしょうね。

 

 

「他に何か質問はありますか?……なさそうね、坂本少佐が件の人物を案内してくるまで待機してください」

 

 

 その言葉から少し間を開けて、ドアがノックされる音が部屋に響いた。

 

 

「中佐、私だ。目的の人物をご案内した。」

 

 

「分かりました、入ってください。」

 

 

 そう言って、入室を許可する。不安はあれど、横山元帥との協力は間違いなく私達に良き方向に作用してくれるでしょう。

 そんなことを考えながら、扉の方を私は見ていた。

 

 

 side out

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 中での会話が一段落した辺りで坂本少佐がドアをノックした。

 

 

「中佐、私だ。目的の人物をご案内した。」

 

 

「分かりました。入ってください。」

 

 

 中からミーナ中佐の入室を促す言葉がすぐに聞こえてきた。

 

 

「何分、騒がしいところもある仲間たちだが、そこは目を瞑ってもらえるとありがたい。」

 

 

「そんなことで、一々機嫌を損ねたりはしませんよ。ここは公的な場所ではありますが、うるさい人たちはいませんしね。」

 

 

「そう言ってもらえてよかったよ」

 

 

 坂本少佐がその言葉とともに、扉を開けて入っていく。それに続いて自分も室内に入っていく。視界にはじめに入ったのは、ドアを抑えている坂本少佐の顔、次にミーナ中佐、最後に九人の少女が目に入ってきた。

 

 

「将暉さん、こちらへどうぞ。」 

 

 

 ミーナ中佐に促され、彼女の隣に向かう。

 

 

「…こちらが先程簡単に紹介した。横山将暉さんです。」

 

 

「ミーナ中佐のご紹介にあった日本国防軍の横山将暉です。こちらで艦隊の指揮等を執ります。所属は信じらないでしょうが、異世界の軍ということになります。」

 

 

 最初はどんな反応があるかと身構えたが、どうやら驚きよりどう接していいかわからないといった感じが伝わってきた。

 そんな中で、一人の東洋人らしき少女が意を決したようにこちらに話しかけてきた。

 

 

「あ、あのはじめまして、横山さん。わたし宮藤芳佳って言います。これからよろしお願いします。」

 

 

「こちらこそよろしくおねがいします。」

 

 

 宮藤の紹介を皮切りに徐々に周りも動き出してくれた。

 

 

「えっと……私は、リ、リネット・ビショップといいます。リ、リーネって……呼んでください」

 

 

「紹介、ありがとうございますね。俺のことも将暉でいいですよ」

 

 

「自由ガリア空軍のペリーヌ・クロステルマン中尉ですわ。」

 

 

「ゲルトルート・バルクホルン。階級は大尉だ。」

 

 

「エーリカ・ハルトマン。階級は中尉だよ。よろしく〜」

 

 

「シャーロット・E・イェーガーだ。階級は大尉。後であの音速で飛んでた機体について教えてくれ」

 

 

「フランチェッスカ・ルッキーニだよ。よろしく〜」

 

 

 個性豊かなメンバーたちの紹介を受けた。

 

 

「よろしく頼みます。階級はあなた方よりも上ではありますが、どうか気にせずに気軽に話しかけてください。」

 

 

 各々の質問に答え、一段落してからミーナ中佐に対して、提案を持ちかけた。

 

 

「ミーナ中佐、こちらから提案したいことがあるのですが……よろしいですか?」

 

 

「えぇ、……何でしょうか?」

 

 

「ここに何機か、戦闘機と哨戒機を配備したと考えているんですが」

 

 

「構いませんが、…あまり大規模な受け入れはできませんが」

 

 

「そこは問題ありません、配備といっても移動式のフロートを接岸させて運用したいと考えているので面積的な問題はありませんよ。」

 

 

「なあなあ、それってあの戦闘機のことか?」

 

 

「そうだ。まあ、機体についての説明はもう少ししたら設けるので待ってくれ。」

 

 

「じゃあ、将暉が乗ってた機体については教えてくれるか?」

 

 

「問題ないですよ。俺の乗っていたのは『烈風二二型改』通称『烈風改』だ。エンジン換装によって、性能は原型機の倍以上になっている。速度は最大800km/h以上で平均でも720km/hを維持することができる。最高高度は10000m以上。」

 

 

「スゲー、私のムスタングより速い!!今度乗せてくれないか?」

 

 

「えっと、ちょっとそれは…やめておいたほうがいいと思うよ」

 

 

「なんでだ?別にいいだろう」

 

 

 シャーリーの申し出は結論から言えば断った。謎の原理で変化したこともあっていつ不具合が発生するかもわからないものを乗せるわけには行かないからだ。そのことにブーたれていたシャーリーはバルクホルン大尉の注意によって渋々引き下がっていた。

 そこでまず紹介の目的は果たしたため、解散となった。宮藤に、昼食ご一緒にいかがですか?と聞かれたので、ミーナ中佐に視線を向けてみると難しそうにしていたので、今回は忙しいのでまた今度とご遠慮した。

 

 閑話休題

 

 翌日、大鳳から基地内に割り当ててもらった部屋にいくつかの書類や私物を持ち込む作業をしていた。大鳳たちは自分たちがやるといってくれたが、量も多いわけではなかったのでこうして自分の手でやっている。

 

 

「ふぅー、こんなものでいいかな。……しっかし、気を使わせたみたいだな、部屋がきれいに掃除されてる。」

 

 

 最初、部屋の掃除からかなと思っていたんだが、案内してくれたミーナによれば宮藤がいつもの掃除のついでにやってくれたそうだ。この部屋を使う機会は少ないかもしれないが、こうして陸に部屋があるというのはやはり落ち着くものだ。

 コンコンコンとドアを叩く音が聞こえた。

 

 

「うん?誰だ?鍵はかかってないから入ってきていいぞ」

 

 

「横山さん。なにか手伝うことってありますか?」

 

 

「宮藤か?大丈夫だ。今さっき終わった所だ。」

 

 

「そうなんですか。それなら、横山さんって朝ごはんは食べましたか?」

 

 

「いや、まだだけど」

 

 

「よかったら、一緒にどうですか?和食を作ったんですが」

 

 

 ちょっと回答に迷ったが、断ってばかりでは失礼だと思ったため今回は了承の旨を伝えた。

 

 

「ありがとうございます。じゃあ、ついてきてください。」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「へぇー、芳佳は宮藤博士の娘なんだ。」

 

 

「はい、そうですよ。私自身、ここに来るまで父が何してたかなんて知りませんでしたけど」

 

 

「それは仕方がないことだと思うよ。……それよりも芳佳はまだ航空ウィッチになりたてって聞いたんだけど」

 

 

「はい、まだ成って1月くらいだと思います。」

 

 

「それは、どうしてかな?」

 

 

「そうですね……きっかけは父からの手紙です。……亡くなってるはずなのに4月の頭に父から手紙が届いたんです。……それで、居ても立っても居られなくて。それで、こっちまできて、ネウロイと戦って、坂本さんから話を聞きました。……それで力になりたいと思ったんです。」

 

 

「そんなことがあったんだ。それで、なんで手紙が今頃届いたの?」

 

 

「それは……よく分かりません。坂本さんが言うには検閲なんかで遅れたんじゃないかって言っていました。」

 

 

 その話を聞いたが、検閲や手続きに年単位でかかるなんてことはまずありえない。その中身はストライカーユニット(最新)をバックに撮られた写真だったそうだが、ユニット自体存在が公開されていたはず。軍機に触れているわけでもないのに遅れるなんてことは絶対にない。

 

「(何か裏があるのか?坂本少佐が嘘を付くようなタイプには見えなかった。とう言うことは何かを隠してるとしたら上層部か。)」

 

 理由はよくわからないが、宮藤博士の死には何か作為を感じる。そのことは異常なレベルで遅く届いた手紙が物語っている。

 

 

「おはよう、宮藤。…と横山か。部屋の片付けは終わったのか?」

 

 

「あっ、おはようございます。坂本さん。」

 

 

「おはようございます。そんなに量もなかったんですぐに終わりましたよ。それで、ちょうどその時朝食に誘われて」

 

 

 博士の件で少し考えに沈みすぎていたようだ。そのため坂本が近くに来ていることに気づかなかった。ちょうどよかったので少し聞いておきたかった件を尋ねてみた。

 

 

「坂本、少し聞きたいんだがいいか?」

 

 

「なんだ?」

 

 

「ミーナの件だ。どうにも表面上はともかく深い交流には消極的というか…拒絶されているように感じるんだが……」

 

 

「それは私の口からはな。ミーナにもそれなりに苦労があったとだけしか言えない。」

 

 

「ありがとうございます、不躾な問いに答えて頂いて」

 

 

「気にしなくていいさ、あいつの行動には思うところがないわけではないからな。……事情を知っている身としてはな。」

 

 

 その言葉に対しては、無言の首肯に留めた。多くのヒントのおかげで理由を推し量るのはそれほど難しくなくなった。ただ、この解決には自分では繋がりが浅すぎる。

 少しして、食堂に到着した。

 

 

 

 

 朝食をを終え、しばらくしてミーナがブリーフィングルームに集合するように言っていた。特に予定もなかったので、自分も参加する旨を伝え、そこに向かった。どうやら、明日の予定についてのことらしい

 

 

「え?海に行くんですか?」

 

 

 芳佳は、目をキラキラとさせながら次の言葉を待っているようだった。

 

 

「ああ、明日の午前からだ。場所は本島東側沿岸」

 

 

「やったー!!海だー!!海水浴だー!!」

 

 

 と宮藤は喜ぶが……ここは普段の雰囲気のせいで忘れるが、最前線…

 

 

「芳佳、喜んでいるところ悪いけど、これは訓練だと思うぞ」

 

 

「へ?そうなんですか?」

 

 

「横山の言うとうりだ。我々は戦闘中何が起ころうとも対応せねばならん。例え海上で飛行不能になってもだ。そこで海に落下した時の訓練が必要なのだ」

 

 

「なるほど……」

 

 

「なんだ宮藤。訓練が嫌なのか?」

 

 

 

「あ、いえ、そうじゃないですけど」

 

 

「そう落ち込むな芳佳。1日中訓練ってわけじゃないんだ。」

 

 

「ふふっ…集合場所はここ、時間はヒトマル・マルマル(10:00)時よ。いい?」

 

 

「了解」

 

 

「わかったわね、宮藤さん?」

 

 

「あ、はい」

 

 

「では以上の内容をシャーリーさんやルッキーニさんに伝達してください」

 

 

 坂本からも訓練へ参加してはどうかと誘われたので二つ返事で了承し、伝達係になった二人の後をついていった。

 

 

「そういえば、シャーリーは何やってるんだ?」

 

 

「シャーリーさんですか?わたしはよく分かりません。リーネちゃんはなにか知ってる?」

 

 

「うーん、私も詳しいことは知らないの。すみません、横山さん。お力になれず…」

 

 

「そんなに、畏まらなくてもいいですよ。これから、本人に聞けば済むことですから。」

 

 

 どうにもリーネは男性との会話が苦手らしい。自分の階級のこともあるだろうが、どうにも堅い。どうにか打ち解けられる機会がないかなと考えながら、格納庫に向かう。近づくに連れて、レシプロエンジンの回転音が聞こえてきた。

 

 

「うっ、すごい音…」

 

 

「いい音しているな」

 

 

「おっ、宮藤かどうした」

 

 

「ミーナさんから、連絡です。」

 

 

「あっ?なんだって?」

 

 

「ミーナさんからの連絡です。」

 

 

「中佐がなんだって?」

 

 

 どうやら、連絡という部分がうまく伝わらないようだ。仕方なく、シャーリーはエンジンを切ろうという動きを見せていた。

 

 

「静かにしてくださーい!」

 

 

 宮藤がしびれを切らして、大声を発したのとエンジンを切ったのはほぼ同時となった。そのため、格納庫をその声がこだまする。

 

 〔キーン〕

 

 

「うっ…」

 

 

 隣にいたために、流石に耳がキーンとなった。反対側にいたリーネも同様のようだ。

 

 

「宮藤、もう少し声を抑えてくれよ…」

 

 

「…す、すみません。…それと用のことですけd」「もう、うるさいな」

 

 

「えっ?ルッキーニちゃん」

 

 

「せっかく気持ちよく寝てたのに芳佳のせいで目が覚めちゃったよ!」

 

 

「ルッキーニちゃん、寝てったってここで?うるさくないの?」

 

 

「うん、別に。いつも事だから」

 

 

「…いつものことね。」

 

 

「おっ、将暉やリーネもいたんだ。」

 

 

「あぁ、ちょっとシャーリーが何してるのか気になってな」

 

 

「見ての通り、ストライカのエンジンを改造をしてるんだ。あっ、そういえば宮藤、中佐からの連絡って何だ?」

 

 

「そうでした。……」

 

 

 

 

 

「…やったー!」

 

 

「……そうか、明日は楽しめるな。」

 

 

「…ところで話は変わるんだが、シャーリーは何で音速を超えようとしているんだ?」

 

 

「うん?別にそんな大したことじゃないよ。ただ、ボンネビル・ソルトフラッツで高速で飛ぶウィッチの噂を聞いたのがきっかけだったかな。」

 

 

「ボンネビル・ソルトフラッツ?……ということはシャーリーはバイク乗りだったのか?」

 

 

「おっ!知ってるのか?……ということは、あっちの世界でもやってるのか?」

 

 

「あぁ、スピードを求めてる連中の聖地だったと記憶してるよ。」

 

 

「へぇ~、時間や世界が変わっても変わらないもんだな。……それで話は変わるけどさ、音速でとぶ機体に乗せてくれないか?」

 

 

「別に俺個人としては、乗せていいと言えるんだけど連合軍の上層部連中がうるさいからちょっと無理かな」

 

 

「えぇ、別に黙ってれば分かるはずないんだから、誤魔化せばいいじゃん」

 

 

「そう言う粗探しは、上の連中は得意なんだよ。これは、世界が変わっても変わらないことだ……乗せること自体を断ってるわけじゃないんだからそんな落ち込まないでくれないか」

 

 

 長引きそうな予感がしたため、その場での会話を切り上げて早々にその場を後にした。自分としても技術差を身をもって知っている人物を何人か相手側にいてもらった方が今後の話し合いがしやすくなるという打算もある。

「(それもこれも、上層部を何とかしてからだな)」

 連合軍の上層部が全く信用できないとは言わないが、流石に養父や統合作戦本部の人たちと比べるのは、酷というものだろう。

 三人は、その後明日のことについて話していたが、そこからいつの間にかルッキーニの姿が消えていた。その時は深く考えなかったが、このことがトラブルを呼ぶとは思いもしなかった。

 

 閑話休題

 

 時は経ち、翌日。ストライカーユニットを使った海上での訓練とは聞いていたが、具体的に何をするかは聞いていないことに気づいたが、そこまで気にすることでもないと後に聞いたことを少し後悔することになった。

 

 

「あの、坂本さん。なんでこんなのつけて海に入るんですか?」

 

 

「我々ウィッチはあらゆる状況に対応しなければならない。海上でユニットが不調を起こして墜ちることだってある。そうしたことに備えるためだ。」

 

 

「ですけど……」

 

 

「みんな、やったことよ。やってないのは、貴方達だけなのよ。」

 

 

「えぇー」

 

 

「……えぇい、つべこべ言わずさっさと行かんか!」

 

 

「「は、はい!」」

 

 

 〔ドボーン〕

 

 

「横山は、行かないのか」

 

 

「もう少し間をあけてからにします。今行くとあの二人に引きずり込まれそうですから」

 

 

 二人に引きずり込まれても沈むことはないだろうが、それじゃあ訓練の意味がないだろうからと言って、少し待った。

 

 

「浮いてこないわね」

 

 

「やはり、飛ぶようにはいかんか……」

 

 

「そりゃ、あんな重いもの着けて海に飛び込めばこうなりますよ。自分もできれば、好き好んでやりたいとは思いません。ついでに救難隊を空中待機させておきます。(訓練にもなるしな)」

 

 

「救難隊?わざわざ、そんな必要もないと思うが……」

 

 

「今後の運用を円滑にするためですよ。こっちの世界と自分の世界にはほぼ違いはないですが、やはり違う部分もあるのでそう言った差異を是正しておきたいんですよ。一応、地形の把握も兼ねてます。……それよりも二人が浮いてきましたよ」

 

 

「~~~はぁっ!」

 

 

「~~~ぷはっ!」

 

 

「こら~、いつまで犬かきやっておるか」

 

 

「そん…なこと…言われても……」

 

 

「もう……むり…」

 

 

 そう言って二人は力尽き、一度沈んでから浮いてきた。不憫に感じたため心の中で合掌した。

 その後、自分自身もやったがきつかったの一言に尽きる。ストライカーを履いてるせいかただ重りをつけて行った訓練よりも身動きができなかったからだ。

 

 

「ふぅー、きつかったな。」

 

 

「…あっ…よこ…や…まさん」

 

 

「おつかれ…さ…ま…です」

 

 

「二人もお疲れさま。」

 

 

 砂浜で休憩していると、疲れ切ったという風な二人がこちらに向かってきてすぐ近くでドサッと倒れてきた。

 一応訓練ということだったが、他の隊員に対する休養の意味合いもあるとのことだったので、差し入れとしてアイスやかき氷を振る舞っていると二人も気づけば復活していた。

 

 餌付けと言われたような気がしたが、女の子は甘いものが好きと相場が決まっているでしょ(偏見)

 

 まぁ、そのアイスなんかを救難機で運ぶのはどうなんだと後から思ったが、多少親睦を深めることが出来たし結果としては上々だろう。(その際にUS-2を見た坂本と話をした結果、扶桑皇国に二式大艇が存在することが判明した。)

 

 

「うん……?」

 

 

 アイスを食べ、小休止を挟んでいると太陽の中に黒い点のようなものが見えた。シャーリーも何かに気づいたのか空を見つめていた。ただ、そうすると大鳳からの報告が上がってないのが気がかり…

 

 

 ウゥゥゥゥゥゥ――――!!!!(サイレン音)

 

 

 基地のサイレンが鳴り響いた。それと同時に大鳳からの報告も上がってきた。

 

 

『司令、報告が遅れました。高速型ネウロイ1機を基地洋上50km地点で探知しました。ロンドンに向け飛翔中。』

 

 

「どうした、何か問題でも起こったのか?」

 

 

『いえ、機材に問題があったわけではありません。…敵味方識別の穴をつかれました。』

 

 

「そうか、迎撃機は上がったか?」

 

 

『いえ、それが…迎撃担当の翔鶴で機材トラブルが発生しまして、急遽こちらで発艦準備中です』

 

 

「大鳳もしかして…またか?」

 

 

『はい、そうです……翔鶴も「申し訳ありません」と司令に伝えてくれと言っていました。』

 

 

「了解……それで迎撃機はあとどれぐらいで上がる?」

 

 

『後、3分です!』

 

 

「分かった。こちらからシャーリーと宮藤、リーネの3人が迎撃に上がった。情報を随時伝えてやってくれ」

 

 

 大鳳からの返答を聞きつつ、坂本たちの方へと走り出した。

 

 

「坂本、ミーナ状況はどんな感じですか!」

 

 

「あぁ、迎撃に上がったまでは問題なかったんだが…」

 

 

「そこでたん瘤つくって、泣いてるルッキーニと何か関係が?」

 

 

『あの司令、お尋ねしたいことがあるのですが……そちらに新型機が配備されたのですか?……いえ、シャーリー機らしき速度が900km/hを突破したもので、その辺りから通信が後続の2人としか行えていなくて…』

 

 

「とのことですが…何がおこってるですが?」

 

 

「詳しいことは後で伝えますが、機体の方に無茶な整備がありまして…こちらでも呼びかけ続けてるんですが…こちらもまだシャーリーさんとの連絡はついていません。」

 

 

『あの司令……何度も申し訳ないんですが、本当に新型機配備されていないんですよね?シャーリー機、機器が正しければ音速突破したんですが…』

 

 

「そのことはあとだ。確か、シャーリーたちが向かった方向に〔セーブ03〕が展開していたよな。ネウロイとの接触予定地点に急行させろ。」

 

 

 最低限ではあるが、一応の備えは行った。後は無事を祈るばかりか。その後も坂本による呼びかけが行われ、その努力が実った。

 

 

「シャーリー応答しろ!」

 

 

『少佐か…やったぞ!…わ…し…おん…くを…と……ぱしたんだ』

 

 

 音速に対応できていないのか音声が乱れる。少佐もそのことを察してか安堵から一転して慌てて呼びかけ続ける。

 

 

「おい、シャーリー。スピードを落とせ、敵機はもう目の前だぞ!」

 

 

『え……んだ…て』

 

 

「ぶつかるぞー!!」

 

 

 しばらくの間、沈黙が続く。そして、すぐリーネからの通信が入る。

 

 

『こちら、リーネ。シャーリーさんをかく…って。ちょっと芳佳ちゃん何してる!?』

 

 

『…うわぁ…ふかふかだ』

 

 

「…おい、どうした。状況を説明しろ!」

 

 

『説明…できません!!』

 

 

 全く無事とはいかないが、大きな怪我はこの感じからないようだった。

 

 

「セーブ3、3人を収容次第、501基地に向かってくれ。」

 

 

『了解!』

 

 

『一応、報告します。高速型ネウロイはシャーリー機によって撃墜されました。後、確認できた最高記録はマッハ1.15でした。』

 

 

「報告ご苦労さま。詳細は、今回の問題点とともに議論するからそのときに頼むよ。」

 

 

 報告事項が済んだため、MV-22の手配を頼もうと口を開きかけたが、その時ルッキーニの姿が目にうつった。

 周りは、少し先程の通信内容で何やら騒がしかったため、ルッキーニ少尉には誰もいなかった。

 

 

「ルッキーニ、ちょっといいか?」

 

 

「うじゅ、しょうき……いいよ」

 

 

「ルッキーニは今回のストライカーのことはどう思っている?」

 

 

「…ごめん…なさい」

 

 

「そうそれで良いんだ。ルッキーニが今回のことを黙っていたのは怒られたくなかったからだろう……そうだよな、怒られるのは誰でも嫌だよな……俺も小さい頃はいたずらをしてよく怒られたから気持ちはよく分かるよ。」

 

 

「しょうきも怒られてたの?」

 

 

「あぁ、俺も色々やってね…だけど、命に関わることは黙ってたらダメだよ。今回は運が良かったけど、もしかしたらシャーリーが大きな怪我をしたかもしれないからね。だからミーナや坂本たちは怒ったんだ。」

 

 

「うん…」

 

 

「そんなに落ち込まなくてもいいよ。…今回みたいなことを次やらないように注意すればいいんだから。ストライカーや自分でいけないことをしたと思ったら誰にでもいいから言うことが大切なんだよ。…そうだな、どうしても怖かったら宮藤やリーネに相談してみるのも良いかもしれないな。」

 

 

「芳佳とリーネに?」

 

 

「そうだ、勿論ルッキーニがいいならシャーリーや俺に相談したって良いんだ。だけど、黙っていることが一番ダメなんだ。そこは分かったか?」

 

 

「うん、分かった。」

 

 

「なら、シャーリーが戻ってきたら謝りに行こうな。俺も一緒に行ってやるから」

 

 

「ありがとう、しょうきって優しくてパパみたい」

 

 

「パパ!?…なら、シャーリーがママか?」

 

 

「そうだよ」

 

 

「そうか…まぁ、シャーリーが戻ってくるまでお菓子でも食べて待つか」

 

 

「やったー!!」

 

 

 この歳でパパみたいなどと言われると思っても見なかったため、少し驚いたがそれなりに親交は深められているのだと納得しておいた。

 それに、そっちの方がルッキーニは相談しやすいだろうと軽く考えていたが、このことがある問題を生むとはこのときは知る由もなかった。

 

 

 

 





 もっと話を構成する力と文才がほしいと思う、このごろです。
 早く、話を進めたい…

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