ストライクウィッチーズ 〜異界からの大艦隊〜   作:橘闘牙

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第肆話

「……噓だろう。」

 

 

 俺の目に入ってきたのは今まで一緒に戦ってきた戦闘機の姿ではなく、先ほどの空戦で目にした「ストライカーユニット」と呼ばれるものだった。

 だが、変化しても自分の機体であることを示す大将旗が描かれていた。

 

 

「これは、どういうこと?」

 

 

「いえ、それが簡単な整備・補給しようと機体に近付いたら光出しまして収まったらストライカーユニットになっていまして-」

 

 

「……」

 

 

「あの、横山大将大丈夫ですか?」

 

 

「ああ、大丈夫ですよ。どうしたらいいかなと考えてまして-」

 

 

「あの、少し失礼します。………っ!?横山大将、貴方には魔法力があります!」

 

 

「何?ミーナそれは本当か?」

 

 

「えぇー、間違いないは」

 

 

「あの〜魔法力とはさっき貴方が飛ぶのに利用していた力という認識でいいのか?」

 

 

「あぁー、その通りだ。」

 

 

「……飛ぶのに必要な条件が揃ってるなら一回試してみるか。」

 

 

 そう言うと、烈風から変化したストライカーユニットを脚に装着して、起動しようとすると頭と臀部辺りから何かが出てきた。

 

 

「ん?何だこれ?」

 

 

「それは使い魔というものだ。見たところ、犬の様だが何か心当たりはないか?」

 

 

「犬か?昔、よく遊んだ秋田犬ならいたな。……じゃあ、やってみるか!」

 

 

 そう言うと、足元に魔方陣が展開される。

 

 

「姿が変わっても、変わらないな。いくぞ!」

 

 

「うっ!凄い風だな。」

 

 

「(凄い、宮藤さん並みの魔力だわ!!)」

 

 

 ヴィルケ中佐、坂本少佐が驚いていたが、そのことには気にせず、飛び立った。

 

 

「おっと、流石にいつもと勝手が違うな。だが、……気持ちいいな!」

 

 

『司令、何やってるんですか!』

 

 

「うん、飛んでるだが-」

 

 

『そんなことはわかっています。何でそんなので飛んでるんですか。』

 

 

「いや、それはな-」

 

 

 これまでの経緯を大まかにではあったが、説明した。大鳳もどうなってるんですか?と独白していた。

 

 

『……状況は、理解しました。しかし、検査を行うまで飛行は行わないでくださいね。今、迎えを派遣します。着陸して待っていてください!』

 

 

「分かったよ、待機してる。」

 

 

 大鳳に軽率な行動を怒られてしまった。烈風が変化した姿とはいえ、どんなものかも分かっていないことも確かだったため素直に従い着陸した。

 

 

「あら、どうしました。横山大将?」

 

 

「艦隊に向かったのではないのか?」

 

 

 ヴィルケ中佐と坂本少佐が怪訝な表情でこちらに問いかけてきた。

 

 

「いや、副官に怒られてしまいまして。迎えをやるから待ってろと言われて。謎の原理で変化した烈風のストライカーユニットは検査するまで飛行するなとね。」

 

 

「それもそうですね。」

 

 

 ヴィルケ中佐は苦笑しつつ、首肯していた。

 数分後、オスプレイが向かいに来てくれた。

 

 

「変わった形の飛行機だな。」

 

 

「えぇー、そうね。あれだとプロペラが地面に付かないかしら」

 

 

「まあ、見ていてくださいよ。」

 

 

「随分速度が速いようだが……なっ!?」

 

 

「翼が曲がったわ!」

 

 

「それでは、いったん失礼します。」

 

 

 オスプレイに烈風を積み込んで、艦隊に向けて帰投していった。

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 side 501JWF

 

 

「……でどうだったミーナ。例のパイロットは?」

 

 

「えぇ、一応聴取できたけれど……」

 

 

「何か問題でもあったんですか?」

 

 

「えぇ、宮藤さん。本人曰く『異世界から来た』そうよ」

 

 

「異世界?」

 

 

「ワオー♪面白そう!!」

 

 

「何ですのそれは……ふざけているのですか?」

 

 

「本人はいたって真面目のようだ。それに周辺にいきなり現れた艦隊の司令長官大将だそうだ。」

 

 

「大将!?……嘘をついているんじゃないのか?ミーナ、少佐」

 

 

「いや、あいつの目を見たが決して嘘を付く者の目ではなかった。それに、お前だって見ただろうバルクホルン。あの音速で飛ぶ航空機を」

 

 

「ああ、そうだな。あれは確かに音速を超えてたな少佐。」

 

 

「だが、」

 

 

「はいはい、そこまでよ。ここで議論しても仕方がないでしょ。一応、上層部の方に報告してくるわ。それまでは皆さん待機してください。」

 

 side out

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 艦隊に戻って少し経った頃に、艦隊・部隊のAIたちを招集した。

 

 

「大鳳、準備は整ったか?」

 

 

「はい、全員揃っていますよ。後は私たちだけです。」

 

 

「そうか、ならさっさと行かないとな。」

 

 

 簡単なメンバー紹介

空母  「大鳳」(艦隊副司令)「翔鶴」(副司令補佐)「瑞鶴」「紅鶴」 ヘリ空母 「出雲」「日進」

 

戦艦 「金剛」(副司令補佐)「比叡」「榛名」「霧島」

 

強襲揚陸艦 「厳島」「敷島」「御島」「初島」「沖島」「夏島」

 

工作艦 「明石」「鳴門」「海鳴」「桃原」

 

イージス巡洋艦 「加古」「衣笠」「高雄」「愛宕」「鳥海」「摩耶」「妙高」「那智」「足柄」「羽黒」

 

イージス駆逐艦 秋月型12人

 

原子力潜水艦 「親潮」「蒼龍」(代表)

 

汎用駆逐艦 「陽炎」「天津風」「夕雲」「高波」「白露」「暁」(代表)

 

補給艦 「間宮」「速吸」

 

陸上部隊副司令 「斑鳩(いかるが)」(代表)

 

航空部隊副司令 「(おおとり)」(代表)等

 

 

「全員に集まってもらったのは他でもない、現在の状況についてだ。」

 

 

「司令、それについては大鳳から聞いてるよ。」

 

 

 金剛が代表として言葉を言ってくれたようだ。

 

 

「異世界なんて話をされて驚いてるけど、そうでも言わなきゃ説明がつかないしね。」(瑞鶴)

 

 

「……それじゃあ、今後について話し合いたいと思う。」

 

 

「まずこちらから、よろしいですか?ここが、1944年つまりは過去ということは今後現代兵器の補給はあちらからは望めません。そのため、輸送艦の備蓄と生産をすることで運用することになりますが、資源の調達のめどはたちますか?」(明石)

 

 

「そのことは、今後の協議次第になると思うが多分大丈夫だろう。」

「それより、現在の備蓄でどれぐらい持つんだ?」

 

 

「それについては私から報告させていただきます。各補給艦、輸送艦に搭載されているミサイル・弾薬等は通常戦闘で約3年分、全力戦闘で約1年分となります。」(間宮)

 

 

「陸上部隊・航空部隊の燃料は全力・通常を問わずに持って、1年と半年ほどです。」(速吸)

 

 

「弾薬はまず大丈夫だが、問題は航空機と車輛の燃料か。……あちらとの協議前に資源調査を実施するか-」

 

 

「それはさすがに問題になりませんか?それにネウロイという敵性体もいますし-」(翔鶴)

 

 

「そうですよ、それにばれた際にあちら側の心証を損なう恐れがあります。」(霧島)

 

 

「何ために、光学迷彩とレーダ攪乱装置があるんだ。現代ならいざ知らずこの時代じゃあ、衝突か相当近くまで接近されなきゃ気づかれないさ。そのことについて、秋月達や陽炎達はどうだ?」

 

 

「はい、私たちは問題ありません。」(秋月)

 

 

「私たちの出番ですね。」(陽炎)

 

 

「やる気十分だな。会議終了後、調査艦と総合支援艦を4隊に分けてそれぞれの裁量で護衛にあたってくれ。…すまん、一番肝心なことを忘れていた。明石、衛星の打ち上げはすぐに可能か?」

 

 

「衛星ですか?……それでしたら一応は打ち上げ可能です。ただ、すぐにできるのは搭載されているロケット4基までです。」(明石)

 

 

「そうか、なら衛星8基は打ち上げられるな。しばらくはそれでやりくりしていくとして衛星やロケットも含めて製造を万全な体制にするにはどれくらいいる?」

 

 

「製造だけなら、今すぐにでも可能です。ただ、修繕用に搭載されている資材を使うことになるので応急修理も十分に出来なくなります。」(明石)

 

 

「なら、どれくらいまでなら修繕に影響が出ないんだ?」

 

 

「ロケットなら4基、対空ミサイルなら80基、対艦ミサイルなら20基が目安になります。」(明石)

 

 

「……それなら仕方ないか。製造は協議の結果か資源調査の報告を待ってからにする。それまでは打ち上げ可能なロケットと衛星の整備に力を注いでくれ。」

 

 

「「「「了解しました!」」」」(工作艦's)

 

 

「後の議題は-」

 

 

「司令、少しよろしいですか?」(高雄)

 

 

「どうした?」

 

 

「いえ、現在こととは少しズレたことなのですが-」(高雄)

 

 

「うん、言ってみてくれ。」

 

 

「それでは……さっき司令があってきた女性たちの格好についてです。」(高雄)

 

 

「?…あぁー、あのことね。」

 

 

「あの格好についてなにか情報はありますか?」(高雄)

 

 

「特に言ってなかったな。恥ずかしがる素振りも無かったし、こっちではあれが常識なんだろ。」

 

 

「司令は、何とも思わないんですか?」(高雄)

 

 

「まあ、何とも思わないでもないけどこちらの常識なんだこっちがどんなに指摘したってしかたないだろう。」

 

 

「おっと、議題が大分逸れたな。高雄は聞きたいことは以上か?」

 

 

「はい、ありません。」(高雄)

 

 

「じゃあ、ネウロイについてだな。鳳、これから先の戦闘はしばらくはおまえが重要な役割を担うことになっていく。しばらくは海上と空中での戦闘がメインになるから戦闘機隊が主力だ。期待しているぞ!」

「斑鳩は、ガリア(フランス)のネウロイの巣を破壊するまでは主だった出番は回ってこないが、特戦群にはどんどん働いてもらう予定だ。」

 

 

「頑張ります!」(鳳)

 

 

「特戦群以外はそれまでは練度向上に努めますね。」(斑鳩)

 

 

「これで今必要なことはあらかた言ったかな-」

 

 

「それでしたら、こちらからいいですか。」(大鳳)

 

 

「何だ?」

 

 

「龍之介元帥からこのような事態が起きた際のマニュアルがありましたので読み上げてよろしいでしょうか?」

 

 

「へぇー、養父はそんなものまで用意していたのか。いいぞ読んでくれ。」

 

 

 ー緊急時マニュアルー

 これは、統合司令部等の司令機関との通信が30分以上途絶した際の対応マニュアルである。

 ※この指示に対する辞令の却下棄却は認めないものとする。

 

 1.通信途絶の際の指揮

 通信が30分以上途絶した際は、司令部の生存が確実に判明するまでは現地司令官の裁量で行動・戦闘を行うこと。

 

 2.補給行動について

 無人艦隊を除く艦隊は、司令部との連絡がつかない際は燃料・弾薬の補給、兵站確保のために母港への即時帰投を許可する。

 

 3.無人艦隊について

 司令部との通信が1時間以上途切れた際は、無人艦隊司令長官横山将暉大将を元帥に昇進する。(指揮を円滑にする為)

                                                     以上

 

 

「……」

 

 

「良かったですね、司令」(大鳳)

 

 

「おめでとうね〜」(金剛)

 

 

「昇進おめでとうございます」(高雄)

 

 

「おめでとうございます」(一同)

 

 

「いや、まあ、ありがとう。ただ、何となく仕組まれてたような気がしてならないな。」

 

 

「そこは、仕方ないと思いますよ。」(大鳳)

「司令が散々昇進を蹴ったからこんな形に収まったんだと思います。」

 

 

「いや、少将になったあたりから何度も言ってるけど先達の山本さんや小澤さんの方が経験も指揮能力もあるからそっちを優先してくれってことなんだけどな。」

 

 

「その、山本大将と小澤大将が老い先短いものより未来あるものに頼みたいと言っていたじゃありませんか。」(大鳳)

 

 

「分かったよ、昇進のことでどうこうするつもりはないからな。ハアー、ヴィルケ中佐たちにどう説明したもんかな〜」

 

 

「それでしたら、私がしっかりと説明します。」(大鳳)

 

 

「……じゃあ、会議は解散かな。今後もしっかりと頼むぞ。」

 

 

「了解!!!」(一同)

 

 

 一応の艦隊・部隊に対して、伝達することは終了した。その最後に昇進することになったのは驚いたが、あの養父のことだと腹を括れもした。

 

 連合軍やブリタニア連邦との協議・説明も行わなければならないことに溜息を付きつつも、やるしかないと思った。

 翔鶴にこちらの世界の方々に俺達の世界の説明に必要な資料の準備を命じ、準備完了とともに大鳳と陸戦部隊(警護)を伴って帰投の際利用したオスプレイに乗り込み、ドーバー基地に向かった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 501JFW side

 

 

「どうだったミーナ」

 

 

「一応は報告してきたけれど、半信半疑だったわね。」

 

 

「無理もないだろう。言っていることだけ抜粋したら世迷言にしか聞こえないだろうからな。」

 

 

「そうね、実際にこの目で見た私たちですらこうだもの、見てない人達からしたらそうなるわよね。マローニ大将はいろいろ言ってきて面倒だったわ。」

 

 

「それで、横山大将は戻ってきたかしら?」

 

 

「いや、まだだ。……さすがにあちらもそんなにすんなりと話が進むわけじゃないだろうからな。」

 

 

「そう。みんなはどんな感じだった?」

 

 

「まあ、相変わらず色々と言っていたな。」

 

 

「トゥルーデはどんな感じだった?」

 

 

「バルクホルンなら、まあいつも通りだったな。ありえないとね!」

 

 

「今後しばらくは日本のことでもちきりになるでしょうね。忙しくなるわね。」

 

 

 ミーナがそんなことを言ってると隊長室の扉がノックされた。

 

 

「中佐、先ほどの機体が戻ってきました!」

 

 

「思ったより早かったな」

 

 

「えぇ、そうね。もう少し長引くかと思ったけど、優秀なようね。そろそろ、出迎えにいきましょうか。」

 

 

「そうだな。」

 

 side out

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

 艦隊から離れてから数分、ドーバー基地に到着したオスプレイをヴィルケ中佐、坂本少佐が出迎えてくれた。

 

 

「ヴィルケ中佐、坂本少佐お待たせしました。出迎えいただき感謝します。」

 

 

「いえ、思ったよりも早かったので驚いてるくらいですよ。それで、そちらの方は?」

 

 

「はじめまして、艦隊副司令の大鳳と言います。」

 

 

「ストライク・ウィッチーズ隊長・基地司令をしているミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐です。」

 

 

「同じく戦闘隊長・基地副司令の坂本美緒少佐だ。」

 

 

「それで、横山大将その様子ですとこちらの申し出は受けてもらえるのですか」

 

 

「はい、先ほどの申し出を承諾します。これからよろしくお願いします。後、先ほど大将と名乗りましたが緊急時の辞令によって元帥へ昇進しました。」

 

 

「それは、……おめでとうございます」

 

 

「ありがとうございます。それで、今後はともに戦うことになるでしょうからこちらの艦隊と兵器について説明しようと思いまして」

 

 

「そうですか、それでしたら隊長室にご案内します。」

 

 

 そういって、ヴィルケ中佐はこちらを案内し始めた。オスプレイにいる陸戦隊に機体の警備を命じて、移動を開始した。

 

 

「それでは、お互いに詳しい説明をしましょう。」

 

 

 その言葉を皮切りにまず、こっちの世界の国家の位置や地名などの確認を行いそこから戦況の推移についての説明を受けた。

(扶桑=日本、ブリタニア=イギリス、ガリア=フランス、リベリオン=アメリカ、カールスラント=ドイツ、オラーシャ=ロシア)

 

 

「なるほど、なかなか追い詰められていますね。」

 

 

「えぇ、ここブリタニアが欧州最後の砦です。ここが陥落すれば欧州への影響力を人類はほぼ喪失します。」

 

 

「(まるで、第二次世界大戦初期のイギリスだな。いや、もっと悪いかもな)大体、理解しました。後、統合戦闘航空団についての説明をお願いします。」

 

 

 突如現れた人類の敵ネウロイの脅威に対抗すべく、各国の優秀なウィッチ募り編成した戦闘航空団

 基は、1939年にスオムス(フィンランド)で編成された「スオムス義勇独立飛行中隊」(通称:いらん子中隊)を源流としている

 多国籍のウィッチや人々が協力して、戦果を挙げていることを各国軍は高く評価し、そこからエースを集めた精鋭部隊を実現させようとする動きが起こった。

 しかし、各国軍はエース供出を渋り実現は困難に思われたが、ネウロイの進行によって実施された国民大撤退作戦「ダイナモ作戦」にてブリタニアに各国のエースが集まったことによって初めての統合戦闘航空団、第501統合戦闘航空団「ストライクウィッチーズ」が結成されるに至った。

 

 

「まあ、妥当な試みでしょうね。各国協力の象徴としても機能しますし、ネウロイへの主力としての役割の両立が可能となっている。」

 

 

「こちらから、今伝えられることは以上になります。」

 

 

「それじゃ、横山。そちらの艦隊等の詳細を聞きたいのだが-」

 

 

「はい、今度はこちらの番ですね。」

 

 

 先ほどの協議の際に簡単な歴史を説明したため、その後の相違点などを主に詳細に説明していった。

 ナチス・ドイツの台頭、ポーランド侵攻で始まった第二次大戦、独ソ戦、欧州戦線に参戦せんがためにアメリカが日本を挑発して引き起こした大東亜戦争。

 そして、広島と長崎への原子爆弾の投下。それに始まる米ソの核開発競争により、世界を8回滅ぼしてなお余りある量の核兵器。

 

 

「……人同士の争いが、これ程までに凄惨な物だったとは……特に一発で都市を一つ消し飛ばすことのできる爆弾……まるで押川春浪の世界だな。」

 

 

「改めて言われても……信じられません。……ですが、そちらの世界ではこのような事が当たり前のように起こっているんですね……」

 

 

 その場の空気が一気に重苦しいものに変わったことが伝わってくる。

 

 

「直近でも第三次世界大戦が起こっていますし、人同士の戦争はこのように血塗られた歴史です。……それと、先ほど伝えた艦艇数には嘘があります。」

 

 

「それは、どういうことですか?」

 

 

「原爆のことを知ったあなた達のみに今のところ語りますが、この艦隊には原爆以上の威力を誇る兵器が配備されています。」

 

 

「なっ!?」

 

 

「先ほどの説明から抜いた艦艇は2隻、どちらとも潜水艦です。その艦はその兵器の運用専用に設計された艦です。なぜ、あえて艦艇数を詐称したのは言わずとも分かりますよね?」

 

 

「えぇ、理解できます。」

 

 

「あんな歴史を見せられたら理解できるな」

 

 

「……それでは、艦隊に所属する艦の大まかなスペックを説明します。」

 

 

 大鳳に艦隊のCG画像と艦艇ごとの詳細な画像を交えて説明していった。CGは綺麗な輪形陣をなしている時のものをもとにしている。

 

 

「これが……駆逐艦、巡洋艦ですか?……駆逐艦には一門しか砲がありませんね……」

 

 

「それに、空母も何だか甲板が不格好だな-いや、失礼!」

 

 

 両方の指摘はこの時代としては当然の疑問だろう。砲数があった方が、当たる可能性は上がる。空母も飛行甲板は直線式がまだ主流のはずだからな。

 

 

「それはまあ、そうでしょう。この時代の空母といったらストレートデッキ(直線甲板)が主流で、まだ研究や試験段階の域を出て居ないでしょうからね。第二次大戦の空母乗りの方たちからよく不格好、アンバランスだなと言われていました。しかし、こちらの世界では着艦と発艦が同時に行えることからアングルド・デッキ(斜甲板)が空母甲板の主流になっています。」

 

 

「アングルド・デッキ(斜甲板)か、確かブリタニア海軍で研究していると言ってたな。」

 

 

 次に説明を行ったのは、戦艦や他艦艇に移った。

 大きさとその主砲口径に驚きを感じているようだった。その他の兵器に関しても様々な反応が返ってきた。

 そして、最後に弾道ミサイル潜水艦の説明を行った。

 

 

「この潜水艦は、先程簡単に説明したように核兵器を搭載運用を前提にした艦です。」

 

 

「すまん、その弾道ミサイルとは何なんだ?」

 

 

「失礼、説明がまだでしたね。……その前にヴィルケ中佐、カールスラントにV-1、V-2ロケットという兵器を聞いたことはありませんか?」

 

 

「そうですね……ノイエ・カールスラントにそのような兵器が開発中という話があったはずです。それが何か-」

 

 

「簡単に説明するならそのV-1、V-2ロケットの子孫が弾道ミサイルです。一度、大気圏外つまりは宇宙空間を飛行し、そこから再突入加速して目標に慣性でよって向かいます。射程は世界全体となります。」

 

 

「しかし、そのような強大な兵器禁止されることはなかったのか?」

 

 

「何回か廃棄・禁止を目指した条約もありましたが、大国が反対することがあったため実現は困難を極めています。唯一の被爆国が核兵器を保有した時点でお察しのことですが……この核兵器の利点があるとすれば、放射能汚染を引き起こさないことくらいですかね。」

 

 

「……それでは、共同戦線のことについて話を詰めましょう。」

 

 

「そうですね、共に戦うにあたって燃料、資源の提供と独立した指揮権の保障が最低限の条件ですかね。」

 

 

「弾薬の補給ではなく資源ですか?」

 

 

「工作艦によって、兵站はこちらで賄えることができるので資源の提供で十分です。」

 

 

「そうですか、その件は私から上層部の方へ伝えておきます。それで、艦隊はこの後どうされるのですか?」

 

 

「適当な場所が見つかれば、そこを根拠地としたいと考えていますが-どうでしょう、ここの沖合に停泊させていただけませんか。その方がそちらとの連携がとりやすいでしょうし、このことも条件に追加します。」

 

 

「分かりました。港湾施設の整備もしますのでそれでよろしいですか?」

 

 

「そちらもこっちで整備しますので大丈夫ですよ。……改めてよろしくお願いします。」

 

 

 了承の印に、坂本少佐、ヴィルケ中佐と握手を交わした。

 

 

「ああ、そうでした。」

「横山元帥、先ほどの銃をお返しします。」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 501JFW side

 

 日本国防海軍・第1遠征機動打撃艦隊全124隻が501JFW基地沖合への根拠地整備作業と投錨が完了したのはそこから16時間が経過した後のことだった。

 双眼鏡でその威容を見つめている二人。

 

 

「これだけ揃うと、圧巻だな!」

 

 

「そうね、砲熕兵装が少ないことに違和感を感じるけど、あれはあれですっきり纏められたようなデザインだし、良いと思うわ」

 

 

「あれが、日本の戦艦か。今のものと比べるとずいぶんと違うな。……しかし、それが時代の必然とあれば仕方ないことだと思うが、私にはこちらの戦艦の方が美しく見えるな。」

 

 

「ええ、そうね。まあ、あちらの世界では戦艦は日本以外保有してないそうだし、国防軍で保有してるのも運用思想が合致して尚且つ対空装備の進歩によって強固になったからみたいだしね。海上戦の主力が戦艦から空母に移ってからはそれが顕著だったみたいね。」

 

 

「そうして、あれがこの艦隊の旗艦か。」

 

 

「確か、資料には戦略空母「大鳳」とあったわね、あら艦隊副司令の名前もたいほうじゃなかったかしら」

 

 

「そういえば、そうだったな。まあ、たまたまだろう。それよりも上層部と日本の横山元帥との会談調整はいいのか?」

 

 

「そうね、……じゃあ行ってくるわ。」

 

 

 

 

 

 

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