野球からしばらく経って天皇賞秋の時期になったタマモクロスと戦うためにオグリは出走する。さらに恐ろしいことに菊花賞にも出る。そしてジャパンカップ有馬記念これらも出る。ファンは大盛り上がりする人と俺に殺意をぶつけてくる人にわかれている。記者からも狂気のローテーションと言われている………
俺も辞めさせたいよ。成功するビジョンが見えない。このローテションで一つも勝つことができなければオグリのファンは減るだろう。育成失敗と馬鹿にされるかもしれない。だがオグリが走ると言っている。俺はもうオグリをこのローテションに耐え勝てるように鍛えるしかない。予定は少し早いが今までは本人の才能と努力に任せる方針だったがトレーニングも本来は来年の4月から始めるものに変えるしかない。
今まではできる戦略を増やすのを重点的にしてきたがオグリの戦法を先行策に固定する。そしてトレーニングをショットガンタッチなどに強化する。今まで遊んでばかりいたのはトレーニングの強化のためだ、理事長への根回しや生徒会活動への協力。全てはオグリを強くさせるためだ。
こうしてオグリの本格的なパワーアップが始まった。
「トレーナー今日は何をするんだ?」
「水泳をしてビート版でクロールしてくれ」
一日中見守った。
次の日
「トレーナー今日は何をするんだ?」
「トレーナー!ボクも一緒にトレーニングする!」
「今日は背泳ぎをしてくれ。オグリはビート版だ。」
一日中見守ったあとセブンティーンアイスを奢った。
次の日
「トレーナー今日はどう泳ぐんだ?」
「トレーナー!今日もボクも一緒にトレーニングするよ!」
「ウチも一緒にやらせてもらうで!」
「今日はバタフライだ。オグリはビート版だ。」
一日中見守ったあと、今日はたこ焼きを奢った。
次の日
「トレーナー今日も泳ぐのか?」
「最近ボクたち水泳ばかりだけど何か理由があるの?」
「最近どころかずっと水泳だぞ。スタミナは本当にいるからな。」
「今日は私もお願いします。」
「ということで犬かきを頼む。」
その時、不思議なことが起こった。なんとオグリキャップがビート版を持たずに泳いでいる。
スッ「オグリさんビート版なしで泳げるようになったんですね。」
突如背後に現れ話しかけてくる鏡くん。
「いると思ったけど後ろからいきなり現れるんじゃない鏡くん。」
「それにクリークも泳げるようになっています。一体どうしたんですか。」
「後ろからの部分はガン無視か、オグリは長い間水泳していたからついに形になってビート版がいらない状態になったんだろう。クリークはオグリに対抗してビート版抜きで泳いでいるだけだ。」
「クリークは無茶をしているんですか、とめたほうがいいのかな。」
「いやバッチリ泳げている。もしかしたら気持ちの問題だったのかもな。それとも不調も原因だったのか、何にせよ今は大丈夫だ。」
「トレーナー!もっと見てくれ!ビート版抜きで泳ぐ私を!」
「すごいはしゃいでるな。バッチリみてるからもっともっと泳いでくれ。」
「トレーナーさん!私もオグリちゃんやタマちゃんと一緒に泳げるようになりました。私のこともよく見てくださいね。」
「クリークって赤ちゃんプレイ意外でもはしゃぐんだな。」
「僕の担当ウマ娘をなんだと思ってるんですか。」
「ブギーマン。」
「なんですかそれ。」
「子供をさらう怪人だ。」
「クリークがそんなことするわけないじゃないですか。」
「そうだな、攫ったりしないもんな。」
成人男性を甘やかそうとしたり、高い高いしたり身の回りのお世話をすべてしようとするけど子供はさらわないもんな。
「天皇賞と菊花賞どっちもオグリに取らせるつもりだから覚悟しておけよ。」
「そっちこそクリークの恐ろしさをわかると思いますよ。」
二週間後
天皇賞と菊花賞両方敗北した。
タマモクロスの強さを侮っていたのかもしれない。白い稲妻その強さで春の天皇賞を制したのはタマモクロスだということを、完璧な仕上がりで迎えられ相手の狙い通りのレース展開で抑えられ敗北した。
スーパークリークはあのときついに山場を超えたのだろう。今まででは考えられない強さで完全に敗北した。
「トレーナー…私はいったいどうすればいいんだ。」
「オグリまだ勝負はこれからだ。ジャパンカップ勝ちに行くぞ。」
………伏兵にやられた。
「トレーナー…」
「全力の勝負だったんだろう、悔しいだろ、でも、それでも前に進むしかないんだ。」
「相手のウマ娘がタマモクロスと君に言ってたろ、『いい勝負だった』って。」
「トレーナーの夢が……」
……なぜ俺の夢を知っているんだ。
「たづなさんが言っていたんだ。トレーナーの夢は海外のウマ娘に負けない強いウマ娘を作ることだと。」
たづなさん……二年前に言った俺の言葉を覚えていたのか。
俺はルドルフを海外のレースに送り出し惨敗させた。海外遠征を楽観視していたのが原因だ。
理事長の命令でチーム作りをしていたときだった、こう思ったんだ。
「ルドルフは強いやつだ、俺がいなくても大丈夫なはずだ、彼女の夢に俺は最後までついていけないだろうから今回は俺無しで行ってもらおう。」
ルドルフは俺に頼っていたんだ、それを無視して一人にしてしまった。そしてルドルフは海外で負けて繋靭帯炎を発症した。いろんなことが彼女を蝕んでいた。今度は二度とこんなことにならないように体を壊さないように支え続けると大切なときそばにいることを。
ルドルフは奇跡の復活を遂げた。その時俺は離れていた。それでも動き出した、雪辱を果たすためにこのまま日本ウマ娘界最高傑作が世界では相手にならないやつだと思われたまま終わりたくない。
日本のウマ娘は強い。それを証明したかった。
「オグリ俺の夢はもう叶ったよ、今回のオグリのレースのおかげでさ。」
「トレーナー、でも…」
「いつまでも負けたレースを悔やんでいるわけにはいかないんだ。」
「俺も君のおかげで前に進めるようになったんだけどな。」
それに俺の願いを完璧に果たしてくれるウマ娘が現れるかもしれない。それに今回のオグリの順位は3位タマモクロスは2位海外ウマ娘ファンたちにも日本勢の強さが伝わった筈だ。
オグリキャップは勝てなかったが彼女の強さは伝わったはずだ。
「オグリ、俺が言いたいことはわかるな。」
「もちろんだ、必ず有馬記念を勝利してみせる。」
「よし!帰ってトレーニングをするぞ!」
その前にご飯を食べに行くけどな。
前にも寄った定食屋だけどなオグリが気に入ってくれてるようで助かる。栄養バランスよく食べてるようだが量が多いので本当にバランスがいいのか不安になる。
「トレーナー!このすき焼きとても美味しいぞ!」
「オグリ、カツ丼とカルパッチョと茶碗蒸しと焼き鮭を平らげたあとに言われてもそうなのかとしか言えないぞ。」
「てかそのカルパッチョ、サーモンだしその後に焼き鮭食うのはなぜなんだ。」
「トレーナー…」
オグリが神妙な面持ちで言った。
「このお店の魚料理はとても美味しいんだ、もちろんすき焼きとかの肉料理も美味しいぞ。ただ魚がとても新鮮で美味しいんだ。」
「なるほど、ところで肉や魚ばっかで大丈夫か?」
「……トンカツを頼もう。キャベツはおかわり自由だからたくさん食べよう。」
お肉も増えるが考えるのはやめよう。お米もおかわり自由なので出禁にならないギリギリをついて帰った。
帰りに桐生院トレーナーがひったくり犯を捕まえているのをみかけた。トレセン学園のトレーナーは全員体力高めなのかもしれない。
木原トレーナーはようやくオグリと完璧に向き合うことができました。