FAIRYTAIL~絶対なる黒龍戦記~   作:無颯

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あんまりストーリーは進んでないかもしれません。


あと一応オリジナルのモブ敵を出しました。ただ言っておきますが、扱いは完全に“モブ”です。


では、本編をどうぞ。




襲撃

現在レイル達はギルドへの帰路に着いていた。

 

 

「腹減った~」

 

 

「おや? 瞬殺されたのですから大した運動はしていないのでは?」

 

 

「う、うるせぇ! 減るもんは減るんだよ!!」

 

 

「ブラン、そこまでにして……。それにしても、ガジルさんは何処に行ったんでしょうか?」

 

 

「さあなぁ……」

 

 

「敵前逃亡など、漢のすることじゃねぇ……!」

 

 

ブランがナツをからかう中、レイルの問い掛けにマカオとエルフマンがそう言葉を返す。と、ここでようやくギルドが見えてきたのだが……

 

 

「! ギルドの前に誰かいますね…」

 

 

「向こうにいるのはハッピー達か?」

 

 

「誰だ、あいつら?」

 

 

「お客様かしら?」

 

 

ウェンディが人影を見付けてそう言ってきたのだ。更にワカバがハッピー達にも気付く中、ナツとミラは来訪者の方に目を向ける……。

 

 

「っ! ナツさん、この人達……!!」

 

 

「! ああ……!! えっと………クイーン・シャゴット?」

 

 

「違います」

 

 

何か思い当たったウェンディが話し掛けるが、ナツは全く検討違いなことを言ってしまったらしく、謎の3人の内の1人である比較的小柄かつ細身な少女に即否定されてしまった。すると、

 

 

「ココ!!?」

 

 

遅れてやってきたルーシィがその少女を見て驚きを露にした。

 

 

「久しぶり! ていうか、どうやって“アースランド”に来たの!?」

 

 

「カハッ! どうやらウチ等、すっげぇ人違いされてるみたいじゃん!」

 

 

「んん~~~、構うことはねえよ、メリーヒューズ」

 

 

「早く仕事に取り掛かりましょう、シュガーボーイさん」

 

 

「ヒューズ!?」

 

 

「シュガーボーイ!?」

 

 

変わった語尾が特徴の紺と白の髪の女性──メアリー・ヒューズと、金髪リーゼントにサングラスが目を引く何処ぞの“プレ○リー”的な格好をした男──シュガーボーイ、そして先程の少女──ココの会話を聞いて、ナツとルーシィは更に驚く。

 

 

「王都の遊園地で戦った奴等か!!」

 

 

「言われてみれば、どことなく面影が……」

 

 

2人が依然としてビックリしていると、ここで、

 

 

「ナツさん、ルーシィさん、もしかして御二人が話しているのは……“エドラス”でのことですか?」

 

 

「えっ!?」

 

 

「レイルさん、エドラスのことを御存知なんですか!?」

 

 

「う、うん、まあ……」

 

 

「実はエドラスについての情報はこちらにも上がっています。文化や歴史などは違うものの、こちらの世界と似た容姿や名を持つ者達が居るとされるアースランドの平行世界………よもや、このような形で存在が実証されるとは……」

 

 

ルーシィやウェンディの反応を見て、“エドラス”という世界の存在が確かなものであることを知ったレイルとブランは、ここで1つの結論を出す。

 

 

「つまり皆さんの目の前にいる方々は……」

 

 

「ここアースランドに元々いた人達……ということになりますね」

 

 

それを聞いたナツやルーシィ、そしてウェンディは驚く他無かった。まあ、元々こちらにいる人物がここまでエドラス側と似ているとは思っていなかっただろうが……。

 

 

「てかお前男だろ!? 何で女装してんだよ!?」

 

 

「うち、こいつ嫌いじゃん……」

 

 

「ナツさん、その人は何処からどう見ても女性です……」

 

 

「どうやら性別が違うということもあるようですね~」

 

 

そしてナツの失礼千万な発言に対してレイルとブランがそう言う中、ここで、

 

 

「ところで、あの……」

 

 

「あんた等、何しに来たんだ?」

 

 

「ここは私達のギルドよ!!」

 

 

ウェンディとマックス、ラキが本題を尋ねた。

 

 

「カハッ!」

 

 

「んん~~~~。噂通り、ショボい魔導士達だね~」

 

 

「何ィィィィィィィッ!!!??」

 

 

それに対するマリーとシュガーボーイの返しにナツがキレる。

 

 

「ウチ等の要求はただ1つ! ルーシィ・ハートフィリアを渡して貰おうじゃん!!」

 

 

「え……ええええええええええッ!!!???」

 

 

「渡せ、だなんて……/////」

 

 

マリーの予想だにしない要求に、本人のルーシィだけでなくミッシェルまで仰天した。

 

 

「うわぁ~、オイラ初めて見たよ。生のプロポーズ……」

 

 

「「違うわよ(じゃん)ッ!!!」」

 

 

意味合いを完全に間違えている青猫に対し、言った方と言われた方の両者が慌ててツッコんでいたが……まあ、当然であろう……。

 

 

「隠しても無駄ですよ!!」

 

 

「ルーシィ・ハートフィリアがこのギルドにいるのは分かってるじゃん!」

 

 

「んんん~~~。さっさと名乗り出る方が身のためだよ、ベイビ~」

 

 

(ルーシィさんが目的? このタイミングってことは……まさか……)

 

 

3人が強硬な姿勢で要求してくる中、レイルは1つの可能性を考え始める。

 

 

「一体どういう事…?」

 

 

「どうして姉さんが…?」

 

 

「わ、私に聞かれても…」

 

 

「いきなりやって来て大層な口叩いてくれるじゃねえか」

 

 

「俺はここのマスターだ。理由も言わずに“仲間を差し出せ”と言われて、『はい、そうですか』って訳にはいかねえなぁ……!」

 

 

「何処の誰だか知らねえが、さっさと帰りやがれ!!」

 

 

「おやおや、怖い怖い」

 

 

レビィとミッシェルが困惑を露わにする中、ワカバとマカオ、マックスが3人の態度に憤りを露にする。だがマリーがそう言うように取り合う様子は見られない。すると……

 

 

「……! あちこちで教会が襲われている事件って…もしかして、あなた達が…!?」

 

 

「はあ?」

 

 

「成る程」

 

 

「確証は無くとも、タイミングが良すぎるという事だな」

 

 

「んん~~~! スパイシーなこと、言ってくれるねぇ……」

 

 

「心外ですね!!」

 

 

キナナやシャルル、リリーの推測に対しては不機嫌さを全面に出してきた……。

 

 

「レイル、この方々はもしや……(ボソッ)」

 

 

「うん……ひょっとしたらブランの予想通りかもしれない(ボソッ)」

 

 

そして、その様子を見たブランとレイルが相手の3人について何か予測を立てた、その時、

 

 

「てめえ等の与太話に付き合う義理は無いじゃん! ほら、さっさとルーシィ・ハートフィリアを差し出しなッ!!」

 

 

「逆らうというなら、力ずくで貰っていくまで~ッ!!」

 

 

痺れを切らしたシュガーボーイが動き出した。木製の変わった物体を取り出すと、それは瞬時にスタンドマイクのような特殊な杖へと変形し……

 

 

「チッチッチッ……カモォォォォォォォンッ!! 我が猟犬ッ!!!」

 

 

「ああ?」

 

 

「何だ、これ?」

 

 

「歌……なのか……?」

 

 

突如歌い出したのだ。何とも言えないセンスの歌に、怪訝な表情を浮かべるしかないエルフマンやナツ、リリー達。だが、ここで変化が起こる……。

 

ブクブクブクッ……!

 

 

『っ!!??』

 

 

シュガーボーイ自身の体から緑色のスライム状の物体が大量に出現したのだ。

 

 

「うわっ!?」

 

 

「色々キモいんですけど!?」

 

 

「おいしそ~……!」

 

 

当たり前の感想を言うキナナとルーシィに対し、全く感性の違うリアクションをするミッシェル……。

 

 

ズオオオオッ!!

 

 

「どこがよぉぉぉぉッ!!??」

 

 

だがそのスライムが襲い掛かってきた瞬間、ルーシィにツッコまれた。まあ、当たり前である……。

 

「何だこりゃ!?」

 

 

「粘液!?」

 

 

「漢ォォォォォォォォォッ!!!」

 

 

突然の事にマックスとキナナが驚く中、エルフマンが即座にスライム状の物体を殴りに掛かった。しかし……

 

 

グニュッ!!

 

 

「あぁ!?」

 

 

スライムは攻撃など無かったかのように、エルフマンの腕を捕らえてしまったのだ。

 

 

「何じゃこりゃあ!!? どこを掴んで良いか分からねえ!!?」

 

 

その結果、易々とエルフマン自身もそのスライムに呑まれてしまった。それを見て、

 

 

「エルフマン!!」

 

 

「エルフ兄ちゃん!!」

 

 

「! ダメです! ミラさん! リサーナさん!!」

 

 

「来るな!! こいつは、何かある……ぐぼぁっ!!?」

 

 

ミラとリサーナが救出に向かおうとするが、更にスライムは増加していき……

 

 

「「きゃあっ!!?」」

 

 

レイルとエルフマンの制止も虚しく、2人も呑み込まれてしまう……。そして、

 

 

「! レイル!!」

 

 

「うん! ウェンディ、ゴメン!!」

 

 

「え……? きゃっ//////!?」

 

 

自分達の方にもスライムが迫ってきたのを見たレイルは、すぐさま近くにいたウェンディを抱えて黒混合の翼を背中に生成。瞬時に飛び上がって回避する。

 

 

「! ミラさん! エルフマンさん! リサーナさん!」

 

 

「大丈夫ですか!?」

 

 

「う、動けない……!」

 

 

「思い出すな~……。昔は3人でこんな風に仲良く1つの布団で……」

 

 

「喜んでる場合じゃねえッ!!」

 

 

「おやおや、随分と余裕そうですね~」

 

 

すぐに呑み込まれた3人の下へ近寄るレイルとウェンディだが、約1名が和やかムードになっているために全く緊迫感が無い……。

 

 

「「レイル!!」」

 

 

「ウェンディ!!」

 

 

「! ハッピー! リリー!」

 

 

「シャルルも!」

 

 

「御二人共、御無事でしたか」

 

 

そこへハッピーとリリー、シャルルが翼(エーラ)を出して飛んできた。

 

 

「何なのアレ!? どんどん増えてくよ!?」

 

 

「粘液が意思を持っているというのか!?」

 

 

「とにかく現状において言えることは、ただ1つ……」

 

 

「ええ……! 皆、それに触っちゃダメよ!!」

 

 

ハッピーとリリーが謎の物体に驚きを見せる中、ブランの言わんとしていることをシャルルが全員に伝える。どうやらナツ達は魔法を使って凌(しの)いでいるようだ……。

 

 

「とにかく一旦安全地帯へ行こう。あそこなら大丈夫かな……?」

 

 

ここでレイル達は一先ずギルドの屋根の上、すなわち一番高い場所へ向かった。そしてウェンディを降ろした所で、様子を見てみると……

 

 

「ど、どうしよう……」

 

 

「今のところ魔法を行使しているのはあの男とあの少女。しかし残る1人の魔法がどのようなものか不明な以上、ここは様子見が妥当かと」

 

 

「うん、それしかないね……」

 

 

そう話している間にも、いつの間にかココの軽快な動きに翻弄されたワカバやマカオ、ロメオもスライムに呑み込まれ、マックスやラキも自らの砂の魔法や木の造形魔法で耐えている状況になっていた。またルーシィとミッシェル、レビィは……

 

 

「何これ!? どんどん大きくなってる!?」

 

 

「ナツ~!! 何とかしてぇ~~ッ!!」

 

 

迫り来るスライムから必死に逃げている中、ルーシィはナツに助けを求めるが…

 

 

「………(チーンッ)」

 

 

「って、何か真っ白なんですけどぉぉぉぉぉっ!?!?(泣)」

 

 

その本人は真っ白な灰となっていた…。

 

 

「ナツさん!!」

 

 

「まさか、今頃ラクサスとの決闘のダメージが…!?」

 

 

「おやおや…」

 

 

「凄い時間差……」

 

 

「くっ…(どうする…!?)」

 

 

まさかの圧倒的劣勢な状況に、思わず歯噛みするレイル…。

 

 

「スッゲ~! こいつ等面白過ぎ~!」

 

 

「スパイシーなスクリームだね~」

 

 

「ギルドの魔導士なんて、大したことないですね!」

 

 

「戻っといで、ハウ~ル!!」

 

 

ここでシュガーボーイがスライム達を自らの下へと戻していくと、そこには呑み込まれていたギルドの面々が倒れ伏していた…。

 

 

「はい、終了~! もう降参ですか?」

 

 

「はあ…はあ…くそっ…!」

 

 

「魔力の消耗が…!」

 

 

(! まさか、あの粘液に魔力の収奪効果が…!?)

 

 

ココが挑発的に尋ねるが、何とか耐え切ったマックスとラキも息も絶え絶えといった様子だった。レイルはそこからスライムの特性について、そう推測する…。

 

 

「どうなってるのさぁ!?」

 

 

「レイルの言う通り、こいつ等は俺達の知っているココ達ではなく…」

 

 

「アースランドの元々いた、ココ、ヒューズ、シュガーボーイなのね…」

 

 

ハッピーの問いに対し、リリーとシャルルはそう答える。3人の様子を観察して、改めて彼女達が本当にこの世界にいる別の人間達であることを理解したようだ…。

 

 

「ルーシィ・ハートフィリア! いい加減に名乗り出ないと、仲間がもっと傷つくじゃん? それとも、もっとウチ等に暴れて欲しい? カハッ!」

 

 

「ダメだよ、ルーちゃん…!」

 

 

「ここは堪(こら)えないと…!」

 

 

「くっ…」

 

 

マリーからの脅迫に対し、レビィとミッシェルはルーシィにそう言葉を掛ける。と、その時だった…。

 

 

「まだルーシィが誰かはバレてねえ…。お前等一旦ここを離れて、じっちゃんを探してくれ。後は俺が何とかする…!」

 

 

「! で、でも…」

 

 

「フラフラだよ、ナツ…!」

 

 

ナツが立ち上がり、ルーシィ達にこの場を離れるよう指示した。だがその足取りは覚束ず、本調子でないのは明白だった…。

 

 

「そこの3人、すっげえ怪しいじゃん…!!」

 

 

そしてマリーがルーシィ達3人の様子を気にし出していると、ここで、

 

 

「ナツ兄、これを…!」

 

 

ガシッ!!

 

 

「サンキュー、ロメオ…」

 

 

ロメオが右手で黄色の炎の玉を作って投げると、ナツは礼を言ってその炎を食べた…。

 

 

「っ!! くっせェェェェェェェェェェェッ!!?!!?!?!」

 

 

「ご、ごめん、間違えた…(汗)」

 

 

どうやら刺激の強い特殊なもののようだが…。

 

 

「とりあえずご馳走さん…」

 

 

「ん?」

 

 

「走れ、ルーシィィィィィィィィィィィィッ!!!!」

 

 

炎を食べて魔力を回復したナツは、マリー達3人に向かって炎を放った。だが、

 

 

「ホット!」

 

 

「火の魔法ですか」

 

 

「カハッ! くだらないじゃん…」

 

 

3人は一切動じる様子も無く、マリーが動きを見せた。その右手には木で出来た指揮棒のような杖が握られている…。

 

 

「指揮術!!」

 

 

そして、それをマリーが振った瞬間…

 

 

「「おいぃぃぃぃぃぃ!?!?」」

 

 

「おろぉ…!?」

 

 

(! まさか、あの魔法は…!?)

 

 

ナツがいきなり急転回してラキとマックスに炎を放ってしまったのだ。更に当のナツは“何で?”といった表情を見て、レイルはその魔法の正体を瞬時に予想する…。

 

 

「この野郎ォォォォォッ!!!」

 

 

「いけません、ナツ!」

 

 

「ほいっ」

 

 

「なっ…あらぁッ!?」

 

 

カチンと来たナツは再びマリー達に炎を放とうとしたのを見て、咄嗟にブランが制止を求めたが、時すでに遅くマリーによって方向転換され…

 

 

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!

 

 

「「「きゃああああああああああああッ!!?!?!?」」」

 

 

ルーシィ達3人の方に炎が放たれ、大爆発を起こしてしまった…。

 

 

「ブランッ!!」

 

 

「はい!」

 

 

それを見たレイルは即座にブランに声を掛けると、ブランは言わずとも分かっているかのように即座に大型化すると、素早く行動を開始し…

 

 

パシッ!!

 

 

「ご無事ですか? レビィ」

 

 

「! う、うん、ありがとうブラン…!」

 

 

崖にぶつかる前にレビィを受け止めることに成功する。だが、

 

 

「「ああああああああっ!!!!」」

 

 

「しまった!!」

 

 

「ルーシィさん! ミッシェルさん!」

 

 

ルーシィとミッシェルは吹き飛ばされた勢いで、ギルドの外へと転がって行ってしまった。

 

 

 

「キャッハッハ!!」

 

 

「っ!」

 

 

「罰当たりな魔導士共! もっと楽しく踊るじゃん!!」

 

 

と、その時、

 

 

ガッ!!

 

 

「がっ!?」

 

 

(っ! 石…!?)

 

 

突如マリーの側頭部に石が投げつけられた。その主は……

 

 

「……っ……!」

 

 

(キナナさん……!?)

 

 

ギルドで唯一魔導士ではないキナナだった。これにはレイルも驚きを隠せない…。

 

 

「んん~~? あの娘、魔導士ではないようだね」

 

 

「石……ウチに石を……スッゲエ殺意湧くじゃん…!!」

 

 

「もうやめろぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

 

マリーの標的がキナナへと向けられそうになったのを見て、上空からリリーがそのまま突っ込むが、

 

 

ドガッ!!

 

 

「ぐあっ!!??」

 

 

「猫は引っ込んでなさい!!」

 

 

ココの蹴りをもろに受けてしまった。更に…

 

 

「天竜の…!」

 

 

「! ダメだ! ウェンディ!!」

 

 

「翼撃ィィッ!!」

 

 

「ヴァーカ!」

 

 

ウェンディが両手による旋空の一撃を放つが…

 

 

「どわああああああああああああああっ!?!?!?」

 

 

「あれぇぇッ!?!?」

 

 

あえなくナツの方に攻撃が命中。そのままナツは上空へ吹き飛ばされてしまう…。

 

 

「あの杖のせいだ!」

 

 

「やっぱり…人体操作の魔法…!」

 

 

「魔法を…いえ、人を操る魔法って事!?」

 

 

ハッピーとシャルルにマリーの魔法の正体を伝えるレイル。と、ここで、

 

 

「(でもこれで…こっちから仕掛けられる!!)ハッピー! シャルル! 皆を頼む!!」

 

 

「えっ!?」

 

 

「レイルッ!?」

 

 

ついにレイルが動きだし、3人の下へと飛翔して突っ込みにかかった。

 

 

「! あなたも邪魔です!」

 

 

最初に気付いたココが空中でレイルに蹴りを放ってくるが、

 

 

パシッ!!

 

 

「えっ!?」

 

 

「その程度の蹴りは通用しません!!」

 

 

「きゃっ!?」

 

 

それを難なくそれを右手で受け止め、そのまま放り投げた。

 

 

「っと…!」

 

 

まあ、魔法を使って近くの木に張り付き着地したが…。

 

 

「ハッ! 無駄じゃん! 指k「ブラックメイク!!」……っ!?」

 

 

次にそれを見たマリーがレイルを指揮術を掛けようとするが、瞬時にレイルは造形魔法を発動した。

 

 

ガシッ!!

 

 

「なっ…!?」

 

 

「五角封鎖(ペンタゴナル・ロック)…!」

 

 

結果、マリーの周りに形成された黒い五角形の陣から、5本の黒い帯状の物体が出現。マリーの体にあっという間に巻き付いて両腕を瞬時に拘束し、指揮術を使えなくしたのだ。

 

 

「チッ…! ワンちゃん達、カモォォォォンッ!!」

 

 

すると2人が立て続けに軽くあしらわれたのを見たシュガーボーイは、再びあのスライム状の物体を体から出現させ、レイルに殺到させた。

 

 

「ん~! そのボーイを呑み込んじまいなぁ!!」

 

 

それに対し、レイルは……

 

 

「雷神…烈光刹(れっこうさつ)」

 

 

ザザザザザザザザザザザザザザザザザザンッ!!!!!

 

 

「っ!?!? ホワァット!?!?」

 

 

肉眼では捉えきれない程の超高速な斬撃で、粘液を微塵にした…。

 

 

チャキッ…!

 

 

「動かないでください。でなければ、その首が落ちます…」

 

 

「シットゥ……!」

 

 

そして即座に彼の背後に回り、首元に愛刀“エコートレイサー”を突き付けるレイル…。と、そこへ、

 

 

「さっきはよくも…!!」

 

 

先程あしらったココが再びレイルへと向かってきた。しかし…

 

 

「ブラン」

 

 

「失礼しますよ?」

 

 

「あっ…!?」

 

 

ドゴッ…!!

 

 

「あうっ!!」

 

 

いつの間にかやってきていたブランによって、呆気なく背後から組み伏せられる…。

 

 

「うそッ!?」

 

 

「あの3人をこうもあっさりと動けなくするとは…」

 

 

「レイル達って本当に規格外だよね…」

 

 

それを見たシャルルとリリーが驚きを露わにする中、ボソッと失礼っぽい事を言うハッピー…。

 

 

「ん~…ボーイ達は何者かね?」

 

 

「な、何なんですか、あなた達は…!?」

 

 

「他の奴等とはまるで違うじゃん…!!」

 

 

「! 成程…名を名乗っていない以上、我々もこのギルドの一員と認識されてしまうのは当然でしたね…。レイル、どうしますか?」

 

 

「…正体を明かすしかないね…」

 

 

マリー達が一気に3人共封じ込められたことに驚きを見せていると、ここでレイルとブランが名乗り出す。

 

 

「僕はフィオーレ王国軍元帥兼、王国直轄特務最高機関“クロニクル”において八元帥の一角を務めるレイル・アスフォード」

 

 

「同じく王国軍元帥補佐官兼、“クロニクル”所属の魔導士であるブランズ・センチュリオンと申します」

 

 

「っ!? クロニクルって、あの王国が誇る最強の魔導士機関…!?」

 

 

「ん~! しかも元帥と言えば、軍のトップのポストだね~…」

 

 

「何でそんな大物がこんなショボいギルドにいるじゃん!?」

 

 

レイルとブランの正体を聞いたココ達は驚愕する他無かった。まあ、まさか確かにこんな町外れのギルドを襲撃して軍の最高階級の人間に会うなど、誰も想像できないだろうが…。

 

 

「僕達の素性は明かしました。今度はこちらの質問に答えてください」

 

 

すると今度はレイルが一言こう尋ねた…。

 

 

「あなた方は…ゼントピアの人間ですね?」

 

 

「「「っ!?」」」

 

 

「えっ…!?」

 

 

「それって…」

 

 

「こいつ等が教会側の人間って事…!?」

 

 

その質問に聞かれた3人が反応を見せる中、ウェンディとハッピー、シャルルが思わず声を上げた…。

 

「やはりそうでしたか。先程のキナナさん達の問い掛けに対する反応を見て、もしやとは思っていましたが…」

 

 

「しかもこれだけの魔法技能と戦闘力……間違いなく一介の教会関係者じゃない。あくまで命令で動いている…違いますか?」

 

 

「ハッ…! そう聞かれて“はい、そうです”とウチ等が答えるとでも思ってんの…!?」

 

 

ブランが納得する中、レイルの問い掛けに対してマリーは馬鹿馬鹿しそうに言葉を返す。だが……

 

 

「あなた方のこれまでの行動に一切の正当性が無いのは明らかです。もしこれ以上このギルドに危害を加えるというのなら……僕達は本気であなた方を“潰します”」

 

「「「っ……!!?」」」

 

 

そう言うレイルには紛れもない覇気が感じられた。明らかに他の者達とは次元の違うレイルとブランに、3人は表情を強張わらせる他ない……。

 

 

「答えてください。どうして教会の人間がルーシィさんを狙うんですか? あなた方を動かしているのは、一体誰なんですか……?」

 

 

そしてレイルが今回の襲撃の動機と首謀者を明らかにしようとした、その時、

 

 

「っ!!」

 

 

ドドドドドドドガアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!

 

 

「えっ!!??」

 

 

「な、何!!?」

 

 

突如レイルやココ達の所に何が一斉に降り注ぎ、大爆発を起こしたのだ。あまりのことに声を上げるハッピーやシャルル……。

 

 

ボフッ……!

 

 

「! レイルさん!!」

 

 

「ブランも無事だったか……」

 

 

だが直ぐ様レイルとブランは土煙の中から出てきたのを見て、ウェンディとリリーは安堵した。

 

 

「ブラン、平気?」

 

 

「問題ありません。ですが、これは予想外の展開ですねぇ……」

 

 

互いに動揺した様子のないレイルとブラン。と、ここでようやく土煙が晴れてくると、そこには……

 

 

「おーおー、随分と殺しがいのある奴等が揃ってんじゃねえか~? シャシャシャッ……!!」

 

 

「ん~~?」

 

 

「だ、誰……?」

 

 

「一体何者じゃん……!?」

 

 

マリー達3人の前に謎の男が立っていた。赤のロン毛と両耳には大量のピアスをしており、下品な笑みを浮かべたその容姿はどう見てもチンピラのようにしか見えないだろう……。そんな男の登場に、ウェンディ達だけでなくマリー達3人も驚きを見せる。

 

 

「あ~、俺を知らねえだと~? 俺はあの傭兵ギルド、“荒くれの鮫(ラウディー・シャーク)”のボスのベイズ・シャークだぞ!? 知らねえとはどういう了見だァッ!?」

 

 

「傭兵ギルドだと……!?」

 

 

「腕は確かですが犯罪紛いの行動をいくつも起こしているため、しばしば評議院の方から処分を受けているギルドですね~」

 

 

「そんな連中のボスが、ウチ等に何の用じゃん!!」

 

 

その男──ベイズ・シャークの正体を聞いて驚くリリーにブランが説明していると、マリーが不機嫌そうな様子でベイズに尋ねた。そんな中、

 

 

(! “五角封鎖”が解かれた……?)

 

 

レイルはそんなマリーに注目していた。何故なら先程まで彼女を拘束していたはずの黒金剛の陣が、完全に消滅していたのだから……。

 

 

「おいおい、そう邪険にしないでくんねえかぁ、お嬢ちゃんよ~? 何せ俺達は“お前等の上司”から依頼された助っ人なんだからなぁ」

 

 

「なっ……!?」

 

 

「どういう事ですか……!?」

 

 

「ほらよ」

 

 

信じられないといった表情を浮かべるマリーとココに対し、ベイズは懐から1枚の書類を取り出して見せた。

 

 

「っ!? これは……ラポワント様の署名!?」

 

 

「嘘ッ!?」

 

 

「しかも確かに『“荒くれの鮫”と協力せよ』との指示もある。ん~、これはサプラ~イズ……」

 

「そういうこった。分かったか? “レギオン隊”の嬢ちゃん2人と……糞野郎」

 

 

「僕に対しては随分とハードだねぇ……」

 

 

その文書に書かれた内容とサインを見て3人が驚きを隠せない中、ベイズは相も変わらず下品な笑みを浮かべている……。

 

 

「んじゃあ……おい、そこの小僧」

 

 

「!」

 

 

「てめえが一番強えみてえだな? 俺が遊んでやるよ。ありがたく思いな。まあ、断ってもいいが……」

 

 

ここでベイズがレイルに対して挑発的な言葉を言い放っていた、その時、

 

 

「レイル!!」

 

 

「! ブラックメイク! 長城(グレートウォール)ッ!!」

 

 

ドガガガガガガアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!

 

 

「な、何だ!?」

 

 

「まさか……砲撃!!??」

 

 

「うえええええっ!!?」

 

 

ブランの一声を受けてレイルが巨大かつ長い黒金剛の壁を造り出した直後、そこに無数の何かがぶつかって爆発し、凄まじい衝撃音が響き渡ったのだ。これには

当然マカオやラキ、ハッピーを始めとした全員が慌てる……。

 

 

「へぇ~、大層頑丈な壁みてえじゃねえか。だが……」

 

 

ベイズはそう言いながら右手を指鉄砲の形にし、遠くにある黒金剛の長城へ向け……

 

 

「崩れろ」

 

 

ドゴゴゴゴゴゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ………!!!

 

 

「っ……!」

 

 

「嘘っ!?」

 

 

「レイ兄の黒金剛の造形魔法が……」

 

 

「崩れた……!!?」

 

 

目の前で起きたあり得ない光景に、レイルだけでなくレビィやロメオ、ルーシィも驚きを隠せない……。

 

 

「シャシャシャシャシャッ!! 生憎造形魔法は俺にとって格好のカモなんでな~……。悪いが俺達“荒れくれの鮫”はこのギルドを、離れた場所から遠距離魔法で容赦なく狙い撃ちさせてもらうぜ? 早く見つけねえと此処等一体が焼け野原になっちまうだろうから、精々頑張るこった」

 

 

「っ! 待てッ……!!」

 

 

キィンッ……!!

 

 

一際卑しい笑みを浮かべるベイズの足元に魔法陣が浮かんでいることに気付き、レイルは咄嗟に駆け出すが、一足遅く男の姿は消えてしまった……。

 

 

ドガアアアアアアアンッ!!!

 

 

「きゃあっ!!?」

 

 

「マジで攻撃してきてんぞ!!」

 

 

「とにかく何とかして防がないと……!!」

 

 

遠距離攻撃が着弾した轟音を聞いてリサーナが悲鳴を上げる中、ワカバとウェンディがそう言う。一方で、

 

 

「な、何を考えてるんですか、あの人!!?」

 

 

「このままじゃウチ等まで危ないじゃん……!!」

 

 

「こうなったらルーシィ・ハートフィリアを早く探してエスケープするしかないねぇ~」

 

 

「お前等……!」

 

 

「この状況でまだルーシィを狙う気なの……!?」

 

 

ココ達3人が未だルーシィの身柄確保を優先する気であることに、リリーとシャルルが驚く。

 

 

「レイル、ここはあの男達を早急に倒しに行くべきかと……!」

 

 

「でも、それだとこの3人が……」

 

 

と、その時、

 

 

「行け! レイル!!」

 

 

「……!!」

 

 

ここで声を掛けてきたのはナツだった……。

 

 

「こいつ等は俺達だけで何とかする! だからお前等は向こうでバカスカ魔法を撃ちまくってる奴等を止めてくれ!!」

 

 

「ナツさん……!」

 

 

「レイルさん! 私達は大丈夫ですから! お願いします!!」

 

 

「ウェンディ……」

 

 

そして、ナツとウェンディからそう言われたレイルは……

 

 

「すぐ戻ります! 行くよ、ブラン!!」

 

 

「はい」

 

 

即座に黒金剛の翼で一気に飛び上がった……。

 

 

「僕は向こうにいる魔導士達を片付ける! ブランはそっちを!」

 

 

「分かりました。お気をつけて」

 

 

こうして予想外の敵を排除するために、レイルとブランは行動を開始した……。

 

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