FAIRYTAIL~絶対なる黒龍戦記~   作:無颯

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今回は殆ど原作に沿って進行しています。



ただ前回名前だけ登場したあのキャラ達の説明が入ってます。色々無理矢理な設定な感じもありますが……(汗)



では、本編をどうぞ。





旅路

───ギルド“妖精の尻尾”───

 

 

 

「………………(ムス~ッ)」

 

 

 

「あらあら、可愛いわね♪」

 

 

 

「そこかよ……(汗)」

 

 

 

ハッピーの頭の上に乗っかっている小さいナツを見たミラの一言に、思わずカナがツッコミを入れる……。

 

 

 

「いやはや、何とも珍妙な光景ですね~」

 

 

「ねえナツ~、頭重いんだけど……」

 

 

「俺だって好きで乗ってんじゃねえよッ!!」

 

 

 

ブランが面白そうに呟く中、ハッピーの発言を聞いて思わずそう叫ぶナツ。すると、

 

 

 

「お? おわぁっ!?」

 

 

グレイがマフラーを掴んでナツを持ち上げ……

 

 

 

「おい、マックス」

 

 

「ん?」

 

 

「また売店始めたらどうだ? このチビ吊り目グッズ、案外売れそうだぜ?」

 

 

「ハハハッ……」

 

 

そんなことを提案してきた。それに対し、マックスは苦笑いを浮かべるしかない……。

 

 

 

「俺はグッズじゃねえええええええッ!!!」

 

 

 

「そのサイズだと、そう見えても仕方ないよ~」

 

 

 

『あはははははは……ッ!!』

 

 

 

そしてナツが叫びながら火を吹いているのを見てハッピーがそう言い、ギルドの者達もこれには笑わずにはいられなかった…。

 

 

 

「うるさいわね!! 集中できないでしょッ!? はぁ……」

 

 

 

あまりの騒がしさに声を荒げつつも、今度は溜息を吐いて問題の絵本『星空の鍵』を読み返すルーシィ。すると、

 

 

「! あっ…!」

 

 

 

「どうしたんですか、ルーシィさん?」

 

 

 

「皆! ちょっと聞いて!」

 

 

 

何かに気付いた様子のルーシィを見てウェンディが尋ねると、ルーシィは皆を呼び集めた…。

 

 

 

「色々分かったの!」

 

 

 

「? 何がだよ?」

 

 

 

「私のお父さん、この本の内容をなぞってたの」

 

 

 

「どういう事だ?」

 

 

 

ルーシィの言葉に疑問を感じるナツとエルザ。ちなみにこの時、ジュビアがグレイをハートマークと化した目で見つめていたことは……まあ、どうでもいいことであろう…。

 

 

 

「『星空の鍵』っていう物語はね…小さな女の子が“全部集めると幸せになる”って言われている、6つの鍵を探して旅をする話なの」

 

 

 

「はあ~、ジュビアも幸せになりた~い♡」

 

 

 

おい、そこの恋に溺れてる大海の魔導士…ちょっと黙っててくんない…?

 

 

 

「でもね…その子の代わりに、“周りの人達が不幸になってしまいました”っていうオチもあるのよ…」

 

 

 

「おやおや…」

 

 

 

「どうなのさぁ、そういうオチって…」

 

 

 

「茶々を入れると話が分かんなくなるでしょ!!」

 

 

 

「アイ、ごめんなさい…」

 

 

 

ブランが若干衝撃的な結末を聞いて呟く中、シャルルに自らの発言を咎められたハッピーはシュンとしながら謝罪した…。

 

 

 

「それで?」

 

 

 

「『1つ目の鍵は旅をする』って書いてあるの」

 

 

 

エルザの問いにルーシィがそう答えると…

 

 

 

「鍵が旅なんてするかよ?」

 

 

 

「馬鹿か? 物の例えだろうがよ」

 

 

 

「だからそれが何なんだよ!?」

 

 

 

「お前なぁ、鈍いにも程があんぞ…」

 

 

 

ルーシィの言葉の意味を理解していないナツに、思わず呆れるグレイ…。

 

 

 

「レギオン隊が最初に襲ったのは何処だ?」

 

 

 

「! お? ってことは…」

 

 

 

「そう、時計の針はここに運ばれてきた…。つまり、“旅をした”ってこと…!」

 

 

 

「なるほど。それが今回の一連の事件の発端だった、という訳ですね?」

 

 

 

グレイのアシストでようやくナツが話を理解したところで、ルーシィとブランがそう言った。そしてそこからルーシィは更に話を続ける…。

 

 

 

「主人公の少女は、残り5つの鍵を探して旅を続けるの。そして色々な所で鍵を見つけていく……最後は聖堂に辿り着いて、6個目の鍵を見つけるの」

 

 

 

「? 聖堂? まさか…」

 

 

 

「うううん。この街のカルディア大聖堂じゃないわ。もっとずっと遠くよ」

 

 

 

「? 何故分かる?」

 

 

 

自らの予想をあっさり否定したルーシィに対し、エルザはそう尋ねた…。

 

 

 

「私子供の頃この話が好きで、色々調べてみたことがあるの。そしたらね? 『星空の鍵』のモデルになった場所が分かったわ。お父さんも、時計の残り5つの部品をその場所に分散して隠したんだと思う…。そんなような話、してなかった?」

 

 

 

「! い、いいえ、特には……。亡くなる頃、とっても無口だったから…」

 

 

 

「………」

 

 

 

俯き気味にそう話すミッシェル見て、ルーシィは少しばかり口を閉ざしたものの、すぐに気を取り直してこう説明した。

 

 

 

「とにかく! この『星空の鍵』のモデルになった場所に行けば、残りの部品は手に入れられるわ。間違いない! レギオン隊がどうして時計の部品を狙っているのかは分からない…。でも! 『混沌が訪れる』なんて言われたら、放っておく訳にはいかない!」

 

 

 

「ルーシィさん…」

 

 

 

「私、探しに行ってくる!」

 

 

 

「お前1人でか?」

 

 

 

「うん…」

 

 

 

ウェンディが思わず呟く中、自らの意を決した発言を聞いてナツが尋ねると、ルーシィは神妙な面持ちで頷く…。

 

 

 

「マスターには“やめておけ”って言われたけど、何か気になるし…」

 

 

 

「ぐすっ…そうですね…(泣)」

 

 

 

その決意にミッシェルも泣きながら賛同を示した。

 

 

 

「ナツはこのままじゃ役に立たないしね!」

 

 

 

「ハッピー!! お前俺よりデカくなってから一々棘があんなぁッ!!?」

 

 

 

「違うよ。オイラが大きくなった訳じゃなくって、ナツが小っちゃくなったんだよ」

 

 

 

キレ気味に叫ぶナツに対し、ハッピーはナツの頭をポンと叩きながらそう返す。

 

 

 

「どうするよ? レギオン隊もこのネタに感づいてんじゃねえか? だとしたら、時間との勝負になるぜ…」

 

 

 

そしてグレイがそう言っていると、ここで、

 

 

 

「…ここで1つ、聞いておくべきことがある」

 

 

 

「? 確認したいって…」

 

 

 

「何をだよ?」

 

 

 

シャルルとナツが疑問に感じる中、エルザはある者に目を向ける。それは……

 

 

 

「レイル、お前が言っていた“イオン”というのは、一体誰のことだ?」

 

 

 

「! そういえば…」

 

 

 

「“親友で上司”って言ってましたよね…?」

 

 

 

「つまり、あんた達の所属してる“クロニクル”の人間ってことかしら?」

 

 

 

「レギオン隊の奴等もその名前聞いて、凄え動揺してたよな…」

 

 

エルザの問い掛けを聞いて、ルーシィやウェンディ、シャルル、グレイはハートフィリア邸でのレイルとサミュエル達とのやり取りを思い出した。すると……

 

 

 

「レイル」

 

 

 

「うん、分かってる。そろそろ皆さんに話さないとね……」

 

 

 

ブランから声を掛けられた所で、今まで口を閉ざしていたレイルが話し出す……。

 

 

 

「皆さんは“ゼントピアのトップが誰か”、ご存知ですか?」

 

 

 

「? そりゃあ……」

 

 

 

「有り難い説教をくれる“大司教様”だろ?」

 

 

 

レイルの質問にそう答えるワカバとマカオ……。

 

 

 

「確かに大司教は“表向きには”ゼントピアのトップとして認識されていますね~。ですが実際には、その大司教を上回る“実質的な最高指導者”が存在しているのです。そしてその人物は教会内部において、“導師(フォンマスター)”と呼ばれています」

 

 

 

「! じゃあ……!」

 

 

 

「そうです。その導師を務めているのが僕と同い年の親友で、クロニクルを統括する“三官”の内の1つ、“神祇官”のイオンなんです」

 

 

 

ブランの話を聞いたレビィが気付く中、レイルの“イオン”という人物に関する紹介にギルドの多くの者達が驚きを露にした……。

 

 

 

「おいおい……」

 

 

「レイルと同い年な奴があのゼントピアのトップ……!?」

 

 

 

「それに“三官”っていやぁ、国の政治にも口出しできる連中なんだよな?」

 

 

 

「つくづくぶっ飛んだ話だな……」

 

 

 

「けど何でそいつがあのフィオーレ1の宗教組織のトップなんだ?」

 

 

 

「普通に考えると、あり得ない話よね……」

 

 

 

ジェット、ドロイ、グレイ、マックスが思わずそう呟くと、ここでエルフマンとリサーナがもっともな事を尋ねる。まあ、年齢のことを考えればその疑問も当然であろうが……。それに対し、

 

 

 

「いえいえ、それは実に簡単な話ですよ? 何せイオン様は、“ゼントピア教会最強の魔導士”と呼べる方なのですから」

 

 

 

「……はいぃッ!!?」

 

 

 

「ゼ、ゼントピア最強……!!?」

 

 

「しかもイオンは6年前、当時8歳で不在だったマスターマカロフの空席を埋める新たな“聖十大魔導”の有力候補になったことがあるんです」

 

 

 

『……はああああああああああああああああああ(ええええええええええええええええ)ッ!!??』

 

 

 

ブランの“ゼントピア最強の魔導士”という単語にルーシィとラキが驚くが、レイルの更なるカミングアウトに今度は殆どの人間が驚愕した……。

 

 

 

「アスカとあまり年も変わらないじゃないか……」

 

 

 

「でも確かに普通に聞いたら信じられないけど、レイルのことを考えればあり得ない話じゃないわよね……」

 

 

「なぁ、そいつってどんな魔法使うんだ?」

 

 

 

アルザックとミラがそう呟く中、ナツがそう尋ねると……

 

 

 

「イオン様は、“ダアト式魔法”という古代魔法の使い手です」

 

 

 

「ダアト式魔法……?」

 

 

 

「聞いたことがないけど……」

 

 

 

「そうでしょうね~。何せ現在その魔法を使えるのは、イオン様ただ1人でしょうから」

 

 

 

ウェンディとレビィの反応を見たブランはそう言った……。

 

 

 

「“ダアト式魔法”は、僕やウェンディ、ナツさんの使う滅竜魔法と同じ“古代魔法(エンシェント・スペル)なんですが、その魔法の威力は滅竜魔法を裕に凌(しの)ぎ、1つの魔法で街を丸ごと消し去るとさえ言われてるんです」

 

 

 

「えええっ!!?」

 

 

 

「街を消し去るだと……!?」

 

 

 

「どんだけヤバイ魔法なんだよ……」

 

 

 

「でもそれだけ凄い魔法が使えるなら、“聖十大魔導”の候補に選ばれても不思議じゃないわね……」

 

 

 

レイルの話を聞いたハッピーとリリーが驚く一方、マックスとビスカは一先ず納得といった様子を見せた。すると、

 

 

 

「しかし実際にはイオン様が聖十の一角に入ることは万に一つの可能性もありませんでした。何せイオン様は、魔導士としてあまりにも“致命的な欠点”を抱えているのです」

 

 

「? “致命的な欠点”……?」

 

 

 

ブランの意味深な発言に疑問を抱いたエルザが尋ねると、それに答えたのはレイルだった……。

 

 

 

「イオンは元々体がかなり弱くて、魔法を使う度に体力を著しく消耗してしまうんです。それも下手をすれば“命に関わる”とさえ言われていて、医者からも魔法の使用を禁じられています」

 

 

 

「! 確かにそれは致命的ね……」

 

 

 

「じゃあ実際には魔法を使えないってこと?」

 

 

 

「ええ。余程の緊急事態でない限り、イオン様はまず魔法を行使しないでしょう」

 

 

 

その話にシャルルとリサーナの発言に、ブランはそう言葉を返す……。

 

 

 

「でもそれだけ希少な魔法の使い手なら、狙われる可能性も十分あるわね」

 

 

 

「確かに、“ダアト式魔法”目当てでイオンを狙う人間は幾らでもいると思います。だけど考えられない……イオンには常に“アニス”が付いているのに……」

 

 

 

「? 今度は誰だよ?」

 

 

 

「その人もレイルとブランの仲間?」

 

 

 

ミラに対してレイルがそう言う中で出てきた新たな人物名に、ナツとハッピーがそう尋ねる。

 

 

「アニス・タトリン。我々と同じクロニクルに所属している魔導士で、イオン様専属の護衛役である“導師守護役(フォンマスター・ガーディアン)”を務めている少女です。ちなみに彼女もレイルやイオン様と同い年で、レイルの親友でもあります。また彼女も無論王国軍に所属しており、階級は中佐です」

 

 

 

「おいおい、御付きの護衛も子供(ガキ)なのかよ?」

 

 

 

「でもあんた達の上司でゼントピアのトップでもある人間の護衛を務めてるくらいなんだから、その“アニス”っていうのもただの魔導士じゃないんじゃないの?」

 

 

 

ブランの話を聞いたグレイがそう呟くと、シャルルがそんな推測を立ててきた……。

 

 

 

「アニスはフィオーレで右に出るものはいない“パペッター”……つまり“人形魔導士”なんです」

 

 

 

「! それって、あの“蛇姫の鱗(ラミアス・ケイル)”のシェリーみたいに人間以外のモノを操る魔導士のこと?」

 

 

 

ルーシィは自分と何度も接触のある“何かと愛を強調する女性”を思い浮かべるが……

 

 

 

「いえ、“人形魔導士(パペッター)”というのは“魔導人形(パペット)”という魔法で動く人形を操る魔導士です。その殆どは演劇などを生業として商業ギルドに所属していることが多いんですけど、アニスの持つ“トクナガ”は対魔導士を前提に製作された唯一の戦闘特化型の魔導人形と言われています」

 

 

 

「しかも彼女自身、魔導士としての才も非常に秀でていますからね~。まあ、少なくともナツやグレイと互角以上の戦闘をすることは容易でしょう」

 

 

 

「比較対象にされてんのは少しムカつくな……。けどよ、逆にそんな奴等の身に何かあったとすれば……」

 

 

 

「その者達を超える実力を持つ人間が関わっている……という可能性が高いだろう」

 

 

 

レイルとブランのアニスに関する説明に対し、グレイとエルザはそう呟く。すると更に……

 

 

 

「そしてもう一つ……通信ラクリマによるクロニクルとの連絡が不能になりました」

 

 

「? 通信ラクリマが?」

 

 

 

「といっても通信ラクリマの不通は昔から度々起きていますし、我々もその手の技術的知識は持ち合わせておりませんので、何とも言えませんが……」

 

 

 

「まあ、私達にはウォーレンの念話もあるから、その点は問題ないわね」

 

 

 

「ああ、その時は任せてくれ!」

 

 

 

ブランのそんな報告にレビィが首を傾げる中、ミラの言葉にウォーレンが力強く頷いた。

 

 

 

「でもイオンやアニスの行方が掴めないことは、当然クロニクルの本部でも既に分かってるはず……。もう誰かが動いているのは間違いないと思います」

 

 

 

「このような事態ともなれば、流石に元帥の誰かを投入してくるでしょうね~」

 

 

 

「あの、他の“元帥”の人達もレイルさんと同じくらい強いんですか?」

 

 

 

「それは間違いありませんね~。むしろ当然ながら一番の若輩はレイルですから、他の元帥の皆さんの方が上なのでは?」

 

 

 

「そうだね。僕もまだ“あの人達”と対等だなんて、全然思えないし……」

 

 

 

「いや、あんたより上の人間って……」

 

 

 

「オイラ、これっぽっちも想像できないよ……」

 

 

ウェンディの問いに対して2人がサラッと答えると、カナとハッピーは思わず顔を引きつらせるしかなかった。だが……

 

 

 

「これまでのレギオン隊の行動や教会破壊事件は、イオン達の行方が掴めなくなったことと何か関係している……僕はそう考えています。イオンとアニスは僕にとって大切な親友です。もし何者かが2人を危険に晒しているのなら……僕はその人間を絶対に許しません……」

 

 

 

「レイルさん……」

 

 

 

一転して右拳を握り締めながら呟くレイルを見ると、ウェンディを始め皆一様に真剣な表情を浮かべた。すると……

 

 

 

「残りの部品が全て集まった時、何が起こるのかは定かではない…。じゃが……『世界の混沌』は避けねばならん」

 

 

 

『………!!!』

 

 

 

「マスター……!」

 

 

 

今まで静観していたマカロフの言葉に、ルーシィを始めギルドの者達は全員ハッとした表情を浮かべた。更に……

 

 

 

「そして何より……“誰かを助ける”ことを躊躇う必要は、何処にも有りはせん」

 

 

 

「! マスターマカロフ……」

 

 

 

その一言はレイルを驚愕させるには十分だった。それを聞いたギルドの面々も皆決意した表情で頷き……

 

 

 

「チームを編成しよう」

 

 

 

エルザがそう提案すると、その内訳を全員で話し合いだした。そして、それを見たレイルは……

 

 

 

(ありがとうございます、皆さん……)

 

 

 

心の中で感謝の言葉を述べながら、深々と頭を下げた……。

 

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

チームといったが、それは勿論『星空の鍵』のモデルとなった場所へ行き、そこにあると思われる時計の部品を回収するためのものである。で、そのチームの内訳はというと……

 

 

 

①レビィ、ジェット、ドロイ、リリー

 

 

 

②グレイ、ジュビア

 

 

 

③ミラジェーン、エルフマン、リサーナ

 

 

 

④ナツ、ルーシィ、ハッピー、ロメオ、ミッシェル

 

 

 

そして、最後の1チームは…………

 

 

 

 

 

───とある草原地帯───

 

 

 

「ん、んん~~! 気持ち良いね~~……!!」

 

 

 

レイル、ウェンディ、シャルル、ブラン、エルザ、カナというメンバーである。ちなみに今伸びをしながら声を上げたのはカナだったりする……。と、ここで、

 

 

 

「何だか、ルーシィさんが言ってた物語みたいだね」

 

 

 

「? どういう事よ?」

 

 

 

ウェンディのふとした発言にシャルルは疑問を持つ。

 

 

 

「『星空の鍵』の女の子は世界中を旅したでしょ?」

 

 

 

「確かそうでしたね~」

 

 

 

「きっとこんな感じだったんじゃないかな~って♪」

 

 

 

「うん、そうかもしれないね」

 

 

 

ウェンディのそんな話に、レイルとブランもそれぞれ 言葉を返した。

 

 

「呑気ねぇ。その娘が幸せになったことで、周りの人間は不幸になって、世界が混沌に陥ったのよ?」

 

 

 

「あ、そっか」

 

 

 

「アタシは少女じゃないけどね~」

 

 

 

「ですがやはりこの中だと、ウェンディが物語の登場人物として一番合致するのでは?」

 

 

 

「表紙に描いてあった女の子も、丁度ウェンディくらいの年みたいだったしね」

 

 

シャルルとウェンディの会話を聞いたカナがそう言う一方で、ブランとレイルはそんな話をしていたが……

 

 

 

(これまでの時計の部品を巡る一件はイオン達の事と繋がってる可能性が高い。なら今は、部品探しの方に専念するしかないか……)

 

 

 

頭の中でそんなことを考えていた……。すると、

 

 

 

「お前達」

 

 

 

『??』

 

 

 

「ここに座らないか?」

 

 

 

「「「…………」」」

 

 

 

「「……え(はい)……?」」

 

 

 

エルザの声を聞いて振り向いた瞬間、ウェンディやシャルル、カナは呆然とし、レイルとブランは思わず揃って声を上げる。当然であろう。何故なら目の前には……大きなシートが広げられ、そこにかなりの量の弁当が置かれていたのだから……。

 

 

 

「えっと……エルザさん? これは一体……」

 

 

 

「ああ~、やはり気持ちが良いものだなぁ。“ピクニック”とは」

 

 

 

「……ピクニック……?」

 

 

 

レイルが2度質問して“ポカーン”とするのも仕方が無い。だってあまりにも訳が分からないのだから……。

 

 

 

「一度やってみたかったのだ! ピクニック……!」

 

 

 

「ちょっとエルザ、趣旨が違ってきてるよ……」

 

 

 

さながらエコーが掛かってるかのようなエルザの発言に、思わず困惑しながらカナがそう言うが……

 

 

「人生初のピクニックだ!!」

 

 

 

「見事に自らの世界へトリップしていますね~……」

 

 

 

本人は感激しながらサンドウィッチを絶賛実食中であった。これにはブランでさえも若干呆れ気味である……。

 

 

 

「何やってるのよ!? そんな事してたらレギオン隊に先越されちゃうわよ!?」

 

 

 

「全ては計算済みだ! 途中で一度ピクニックをした所で、先を越されることはない!」

 

 

 

「だといいですけど……」

 

 

 

シャルルに対してキッパリとそう言い切るエルザに、ウェンディも苦笑いを浮かべながら呟く他無い……。

 

 

「ああ~……! 風が吹き渡り、何処までも広がる草原……! はむっ!」

 

 

 

「清々しい程の余裕ですね~」

 

 

 

「というより、よっぽどピクニックがしたかったみたいだね、エルザさん……」

 

 

 

レイルとブランは満喫しているエルザを見て再び呟く……。

 

 

 

「美味い!」

 

 

 

「価値観が違いすぎる……」

 

 

 

「かなりね……」

 

 

 

そしてシャルルとカナが溜め息混じりに話していた、その時……

 

 

 

 

ドドドドドドドドッ……!!

 

 

 

「ん?」

 

 

 

「何かこちらにやって来ますね~」

 

 

 

「あれって……」

 

 

 

複数の足音が聞こえてきたことに気付いたレイルとブラン、そしてウェンディ。するとやってきたのは……

 

 

 

 

「オイオイオイッ!! 誰に許可貰ってピクニックやってんだァッ!!?」

 

 

 

『………………』

 

 

 

「えっと……」

 

 

 

「あれ……馬……?」

 

 

 

あまりにも不審な格好をした盗賊らしき男達だった。ちなみにレイルやカナを始め全員が微妙なリアクションしている理由は、男達の乗ってる馬(?)だったりする……。というか、明らかに人ですよね……?

 

 

「許可……だと……?」

 

 

 

「ここは俺達の草原だ!! 勝手にピクニックして貰っちゃあ困るんだよッ!!」

 

 

 

「要するに縄張りを主張したい様ですね~」

 

 

 

「というか、皆さんピクニックにこだわり過ぎじゃ……」

 

 

 

エルザの問いに対する男達の言葉を聞いたブランがそう解釈すると、ウェンディは再び苦笑いを浮かべてそう呟く。と、ここで、

 

 

 

「! オイオイ、こいつ等“妖精の尻尾(フェアリーテイル)”じゃねえか~?」

 

 

 

「最近何やらお宝を探してる様じゃねえか~……!」

 

 

 

「「「っ!!??」」」

 

 

 

男達の思わぬ発言に驚きを露にするウェンディ、シャルル、カナ……。

 

 

 

「情報が漏れてる……!?」

 

 

 

「レギオン隊を敵に回してるんだもの! 漏れててもおかしくないわ……!!」

 

 

 

「暗部を担っている以上、情報操作などお手の物でしょうからね~。ですが……」

 

 

 

(本当にそれだけなのか……?)

 

 

 

カナとシャルルがそう声を上げる中、ブランとレイルは微かな違和感を感じていた……。

 

 

 

「おおっ!! 旨そうなモンがあるじゃねえかーッ!!」

 

 

 

「こいつぁ丁度いいー! 凄え腹減ってたんだ! ヘヘッ!!」

 

 

 

「………………(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!)」

 

 

 

「! あ、あれ、エルザさん……?」

 

 

 

そんな中、いちゃもんを付けてきた盗賊達はエルザの用意した食事を無遠慮に貪(むさぼ)り食い始めると、エルザの異変にレイルは直ぐ様気付いた……。

 

 

 

「初だったのに……人生初のピクニックだったのに……!! 換装! “雷帝の鎧”ッ!!」

 

 

 

「ツッコむ所そこぉッ!!?」

 

 

 

「おやおや、これはこれは……」

 

 

 

「スイッチが入っちゃった…!!」

 

 

 

「エルザさん、ちょっと怖いです……!」

 

 

 

完全本気モードのエルザを見て、シャルル、カナ、ウェンディは仰天していた。まあ、ブランは比較的冷静な感じだが……。すると、

 

 

 

「レイル!!」

 

 

 

「? はい?」

 

 

 

「手伝え……」

 

 

 

「……え……?」

 

 

 

「“て・つ・だ・え”ッ!!!」

 

 

 

「っ!! あー……はい……」

 

 

 

エルザの凄まじい剣幕に冷や汗を掻きながら了承するレイル。“今の彼女なら阿修羅にも勝てるのでは………?”とウェンディ達が思ったのは言うまでもない……。そして、

 

 

 

「えっと……失礼します」

 

 

 

『は……?』

 

 

 

「はあああああああああああああッ!!!!」

 

 

 

「魔神! 閃光断ッ!!」

 

 

 

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!!

 

 

 

『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ……!?!?!?』

 

 

 

エルザとレイルの一撃を受けた盗賊(?)達は見事に吹っ飛ばされていった……。

 

 

 

「あ~あ、完全にエルザの逆鱗に触れちゃったわね…」

 

 

 

「自業自得なんだから仕方ないわよ。というか、何でレイルまで参加しちゃってる訳?」

 

 

 

「まあ、今のエルザには従わざるを得ないでしょうからね~。いやはや、ああなった女性というのが一番怖いモノです」

 

 

 

「あははははは……」 

 

 

 

カナとシャルルの話に対するブランの呟きにウェンディが苦笑いを浮かべるのは……仕方の無い事であろう、うん……。

 

 

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

 

そんなこんなで予期せぬ邪魔者の登場もあってピクニックは御開きとなり、再び鍵があると思われる場所へ向かうことになったレイル達。そしてようやく目的地の近くにある森林地帯へと入ったのだが……

 

 

 

 

「ん~……完全に迷ってしまったようだな…」

 

 

 

「そのようですね~」

 

 

 

エルザとブランの言う通り、迷走を始めてしまった…。

 

 

 

 

「さっきから同じ所をグルグル回ってるみたいだねぇ…」

 

 

 

「地図はどうなってるんですか?」

 

 

 

「細かい道順までは書かれていない。標識を頼りにするようにと、指示はあるんだが…」

 

 

 

地べたに座って休んでいるカナとウェンディの問いに対し、エルザは地図を見ながらそう答える。と、ここで、

 

 

 

「! あ……」

 

 

 

「? どうしたんですか、レイルさん?」

 

 

 

レイルが何かに気付いたかと思うと、その標識に近づいていき…

 

 

 

 

「この標識、逆になってます」

 

 

 

「えっ!?」

 

 

 

「! おやおや、本当ですね~。このようなことに気付かないとは、まさに“灯台下暗し”といったところでしょうか…?」

 

 

 

そう言いながら標識の向きを修正した。これにはウェンディも驚きの声を上げ、ブランも思わずそんなことを呟くしかない…。

 

 

 

「誰かが悪戯で、標識の向きを変えたのかしら?」

 

 

 

「性質(タチ)の悪い悪戯だね~? 標識の向きを変えるなんて犯罪だよ。1つ間違えれば、大事故になりうるんだから」

 

 

 

「ええ…」

 

 

 

「実際に“標識の誤り”による事故は毎年数件ほど起きていますからね~」

 

 

 

シャルルの言葉を聞いたカナの発言に、レイルとブランも厳しい表情を浮かべながら同意や補足を述べた。

 

 

 

 

「近くまでは来ている筈だ。地図を見ながら慎重に進んでいこう」

 

 

 

そしてエルザがそう言った所で、今度こそ正しいルートで目的地へと向かい始める。しかしそんな中…

 

 

 

「ただの悪戯なのかしら…? それとも……誰かが私達の邪魔をしようと……?」

 

 

 

シャルルはその悪戯自体に何か言い様の無い違和感を感じていた……。

 

 

 

 

 

 

 

ガサガサッ……!

 

 

 

 

「! ブラン…(ボソッ)」

 

 

 

「ええ、分かっています…(ボソッ)」

 

 

 

「? 御二人共、どうしたんですか?」

 

 

 

「! あ、うううん! 何でもないよ、ウェンディ…!」

 

 

 

こうして、“不穏な物音”にレイルとブランが密かに気付く中、一行は目指していく……。“思わぬ者達との再会”をすることになる目的地へと……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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