FAIRYTAIL~絶対なる黒龍戦記~   作:無颯

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約5ヶ月ぶりの投稿…本当にすみません…。そして今後も不定期投稿になるかと、重ね重ねすみません…。



という訳で、今回より“あの2人”が本格参戦です。去年のキャラクター人気投票でも、相変わらず上位ですよね~、うん…。



失礼しました。では本編をどうぞ。





援軍、そして予感

「ガイさん!! ジェイドさん!!」

 

 

 

「! よぉ、レイル、ブラン!」

 

 

 

「少しお困りのようですねぇ……力を貸しましょうか?」

 

 

 

上層でアリスやデクスと相対していたレイルとブランは、その2人──“ガイ”と“ジェイド”の登場に驚きを露にしていた。と、ここで、

 

 

 

「ウェンディッ!」

 

 

 

「大丈夫かい、ウェンディ!?」

 

 

 

「あ、は、はい!」

 

 

 

シャルルとカナが慌てて駆け寄りつつ尋ねてくると、ウェンディはハッキリと頷いた……。

 

 

 

「仲間を助けてくれたこと、感謝する」

 

 

 

「! あ、ああ、いや、当たり前のことをしただけさ。あんた等はもうレイルの仲間な訳だしな」

 

 

 

「! やはり、お前達はレイルの知り合いなのか……?」

 

 

 

「“知り合い”という表現はあまり正しいとは言えませんね~。我々は……」

 

 

 

一旦戦っていたホークと距離を取って感謝の言葉を述べてくるエルザを見て、故かガイが若干焦りを見せる中、当のエルザの問いにジェイドが答えようとした、その時、

 

 

 

「あ、あの男は、まさか……!?」

 

 

 

「は、八元帥の一角……“死霊使い(ネクロマンサー)”ジェイド……!!」

 

 

 

「おい! 隣にいるのは、あの“ガイラルディア・ガラン・ガルディオス”だぞ!?」

 

 

 

「馬鹿な!? 何故奴等がこんな所に……!?」

 

 

 

「“八元帥”って……」

 

 

 

「まさかあんた達、“クロニクル”の……!」

 

 

 

ヴァンガードの構成員達がガイとジェイドの姿を見て、騒然とし始めたのだ。それを聞いたシャルルとカナは理解する。

 

 

 

「ジェイドさん! ガイさん! お願いします!」

 

 

 

「! おや、任されてしまいましたよ? ガイ」

 

 

 

「いや、あんたも任されてるだろう……」

 

 

 

ここでレイルが構成員達への対処を頼むと、ジェイドがさも他人事の様に言ってきたため、ガイは呆れ混じりにそう呟く……。

 

 

 

「何を怯(ひる)んでいる! 数で押せ! 奴等を倒せば一気に名が上がるぞ!!」

 

 

 

『! オオオオオオオオッ!!』

 

 

 

「ほらー、ガイ? ちゃんと仕事しないと、給料が減りますよー?」

 

 

 

「はあ……分かったから、“妖精の尻尾”の人達の援護くらいはしてくれよ……?」

 

 

 

そして、ホークの命令を受けた構成員達が一斉に押し寄せてきた、その時、

 

 

 

シュンッ!!

 

 

 

「ちょっと失礼」

 

 

 

『は?』

 

 

 

「絶破(ぜっぱ)! 十字衝ッ!!」

 

 

 

ドゴオオオオオオオオオオオオオンッ!!!

 

 

 

ガイが目にも留まらぬ速さで構成員達の目の前に現れたかと思うと、素早く剣を十字に振るったのだ。更にその十字によって斬られた部分から衝撃波が発生し、構成員数名を即戦闘不能に追い込む……。

 

 

 

「なっ!?」

 

 

 

「ひ、怯むな! 一気に畳み掛け……!!」

 

 

 

その光景に殆どの構成員達が後退(あとずさ)りをする中、その内の一人が何とか声を上げようとする。だが……

 

 

 

「絶空! 魔神撃ッ!!!」

 

 

 

ザンッ!!!!

 

 

 

『ぐはっ!!??』

 

 

 

ガイの二重の斬撃波による追撃が容赦無くなされ、更に構成員達の数はガクンと減らされてしまった……。

 

 

 

「こ、こうなれば死霊使い(ネクロマンサー)を……!」

 

 

 

ここで構成員の一人が攻撃対象をジェイドの方へ切り換えようとした。すると……

 

 

 

「唸(うな)れ烈風……大気の刃よ……切り刻め……!」

 

 

 

「っ……!!?」

 

 

 

「な、何だ……!!?」

 

 

 

いつの間にか構成員達の足元には、巨大な魔法陣が浮かび上がっていた。そして……

 

 

 

「タービュランスッ!」

 

 

 

ビュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!

 

 

 

『どわあああああああああああああああああっ……!!!??』

 

 

 

凄まじい強さの突風によって構成員達は全員巻き上げられ、宙を舞うことになった……。

 

 

 

「ったく、相変わらず容赦無いな」

 

 

 

「ハッハッハッ、何を言ってるんですか、ガイ~。最大限手加減してるに決まってるじゃありませんか~」

 

 

 

「手加減してあの威力なら、向こうに同情してやりたくなるな……」

 

 

 

そして、それを見ていたウェンディ達は……

 

 

 

「す、凄いです……!」

 

 

 

「圧倒的にも程があるわね……」

 

 

 

「その上まだ少しも本気になっている様子が無いな。実力が計り知れん」

 

 

 

「敵として戦うのは御免な相手だねぇ、この2人……」

 

 

 

現れたレイルの仲間達の実力に驚きを隠せないでいた。まあ、確かに端から見ても“一方的な戦い”と言わざるを得ないだろう……。その一方で、

 

 

 

「どうしますか? アリスさん」

 

 

 

「この状況は圧倒的に貴女方に不利なようですよ?」

 

 

 

「……そうね~。流石にあの2人も一緒に相手することになったら、確実にアリスちゃん達が負けちゃうわ~。仕方ない……」

 

 

 

レイルとブランのそんな言葉を聞いて、アリスは若干ため息混じりの言葉を口にする……。

 

 

 

「ホーく~ん、退くわよ~」

 

 

 

「! よろしいのですか、アリス様……?」

 

 

 

「クロニクルの元帥2人を相手に戦うほど、レギオン隊なんかに義理立てする必要ないもの~。それに~……ウェンディちゃんにふざけた真似しようとした“大馬鹿ちゃんのお仕置き”も、しないといけないしね~……」

 

 

 

「ヒッ……!!??」

 

 

 

アリスが一変して“絶対零度の視線”を浴びせたのは、先程ウェンディに凶刃を向けた構成員の男だった。男は当然ながらそれを受けた瞬間、“蛇に睨まれた蛙”の如く恐怖で顔を滲(にじ)ませるしかない……。そして、

 

 

 

「行くわよ、デクス」

 

 

 

「オッケー! アリスちゃーん!!」

 

 

 

「だから五月蝿いって言ってるのよ」

 

 

 

「……何をボーッとしている? 撤退だ」

 

 

 

『っ! はっ……!!』

 

 

 

「ふふっ、でも何だかまたすぐに会える気がするわ♪ じゃあまたね、レイル君♪」

 

 

 

こうして“血盟の先駆者(ヴァンガード)”の面々は、さながら嵐であったかの如く一斉に後にしていったのだった……。

 

 

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

「ウェンディ!」

 

 

 

「! レイルさん!」

 

 

 

「大丈夫!? 怪我とかは……」

 

 

 

「あ、へ、平気です!」

 

 

 

「そっか、よかった……」

 

 

 

すぐさま駆け付けたレイルは、ウェンディに大事がないことを確認して思わず安堵した。

 

 

 

「いやー、にしても本当にギリギリだったなー」

 

 

 

「ええ。あなたの口から御決まりの“ガイ様、華麗に参上!”が出ないほどギリギリでしたねぇ」

 

 

 

「いや、茶化すなよ……」

 

 

 

自らの発言にジェイドが水を差してきたため、ややげんなりとするしかないガイ……。すると、

 

 

 

「あ、あの……!」

 

 

 

「ん?」

 

 

 

「助けてくれてありがとうございました……!!」

 

 

 

「! お、おおっ……!」

 

 

 

ウェンディがそんなガイに話し掛け、深いお辞儀と共に御礼の言葉を述べてきたのだ。心無しか先程のエルザの時同様、ガイの表情に若干の“引きつり”が見られてはいるが……それは後々明らかになるだろう……。

 

 

 

 

「お久しぶりです、ガイさん、ジェイドさん。そして本当にありがとうございました、ウェンディを助けてくれて」

 

 

 

「! おお、レイルか! ハハッ、相変わらず堅いぞ? そんなに畏まった挨拶をする必要も無いだろ? ま、といってもそれがお前の素だしなぁ……」

 

 

 

「しかし、まさか御二人が来るとは驚きですね~。やはり……」

 

 

 

「ええ。私達が来た理由は恐らくあなたの想像通りでしょう、ブラン。ですがその前に……」

 

 

 

そしてレイルとガイが話す中、ジェイドがそう言っていると、ここで……

 

 

 

「話の途中すまないが、そろそろこちらから聞いてもよいか?」

 

 

 

「そうだねぇ。とりあえずアンタ達がレイルの仲間だっていうのは間違いないみたいだけど……」

 

 

 

「! これは失礼しました。まだきちんとした自己紹介をしていませんでしたね。ここは改めて行った方がいいでしょう」

 

 

 

エルザとカナが話し掛けてくると、ジェイドはそう言いつつ少しばかり礼を正す……。

 

 

 

「初めまして。私はジェイド・カーティスといいます。まあ、“レイルの同僚”と思ってくれれば十分ですよ? そして隣にいるのが……」

 

 

 

「俺はガイラルディア・ガラン・ガルディオス。まあ、長いから“ガイ”と呼んでくれ。今はとりあえずジェイドの部下……ってことになるのか?」

 

 

 

「おや、でしたらガイー? これから当分は私の暇潰しの相手ということで……」

 

 

 

「撤回だ。“協力者”って感じの認識で頼む……」

 

 

 

「やや省略されている部分がありますので、私の方で補足を……。ジェイドさんはレイル同様、クロニクルでは八元帥の一角であるのと同時に、王国軍でも“元帥”の階級を有しています」

 

 

 

ガイとジェイドがそんなやり取りをする中、ブランが2人について説明を加える。

 

 

 

「そちらが名乗ってくれた以上、我々もそうすべきだろうな。私は……」

 

 

 

「いえいえ、その必要はありません。何せこちらは既に皆さんのことを知っていますからねぇ」

 

 

 

「! 要するに、こっちのことはもう調査済みって訳かい? ってことは、あたし等が何をしようとしているのかも……」

 

 

 

「当然把握しています。何分職務上、情報を事前に入手するのが癖になってしまったので」

 

 

 

エルザとカナに対して何とも微妙な言い方で素性を知っている旨を明らかにするジェイド。それを見て……

 

 

 

「あ、あの、レイルさん……」

 

 

 

「えっと、大丈夫だよ、ウェンディ。確かにジェイドさんはちょっと変わった所があるけど、凄く力になってくれるのは間違いないから……」

 

 

 

「ええ、あれは一種の癖のようなものですので御安心を」

 

 

 

「そうね、あの男から何となくアンタと同じ匂いを感じるわ……」

 

 

 

不安がるウェンディにレイルとブランがそう言うが、シャルルはむしろ別の事に不安を感じているようだ……。

 

 

 

「まあまあ、とりあえず俺達のことは後で詳しく話すことにしないか? 例の“時計の部品”だったか……それを探すんだろう?」

 

 

 

「あ、はい!」

 

 

 

「それもそうだな……」

 

 

 

ガイが仲裁するかのようにそんな提案をすると、ウェンディはそれに頷き、エルザも状況を考えて同意する。

 

 

 

「でも、こんな広い建物の何処にあるのかしら?」

 

 

 

「問題ないよ。それについてもルーシィが事前に見当を着けてたみたいだからね」

 

 

 

そしてシャルルの疑問に対してカナがそう言っていると……

 

 

 

「成る程、流石というべきですね……(ボソッ)」

 

 

 

「? どうしたんですか、ジェイドさん?」

 

 

 

「! ああ、何でもありません。こちらの話です」

 

 

 

ジェイドはレイルからの問いに対し、お茶を濁した……。

 

 

 

「とにかく行ってみるとしよう。あまり時間も無いだろうからな」

 

 

 

「そうね。他のチームもそろそろ部品を見つけてる頃かもしれないし・・」

 

 

 

「急ぎましょう!」

 

 

 

エルザとシャルルの会話を聞いたウェンディがそう声を上げ、一行は目的の場所へと向かった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

 

 

「ルーシィが推理した場所は多分ここだよ」

 

 

 

そしてしばらくして或る場所に到着すると、先導していたカナが口を開く。

 

 

 

「”古き魔導の知恵を枕に“・・ていう一節が手掛かりになったそうよ」

 

 

 

「? ”知恵を枕に“・・?」

 

 

 

「なるほど。ここにあるものは全て古代魔法に関する書物・・それも印刷技術の無い時代に、“写本”という形で残されたものばかりです」

 

 

 

「まさに”古き魔導の知恵“が眠ってる場所って訳か」

 

 

 

カナの言葉にシャルルが疑問を感じる中、ジェイドとガイはそう言う・・。

 

 

 

「じゃあ、時計の部品もこの場所の何処かに?」

 

 

 

「間違いないでしょうね~」

 

 

 

「とにかく手分けして探すとしよう。まずは・・・」

 

 

 

ウェンディとブランがそんな会話をする中、エルザがこれからの行動を模索しようとしていると……

 

 

 

「その必要はないみたいですよ、エルザさん」

 

 

 

「ええ、どうやらそのようですね」

 

 

 

「ふぇ?」

 

 

 

「どういうこと?」

 

 

 

レイルとジェイドがそう口にしたのだ。そして当然その発言の意味について尋ねると、レイルが目の前にある本棚の前に立ち……

 

 

 

「……フッ!」

 

 

 

『ッ!!?』

 

 

 

ドォォォォンッ……!

 

 

 

少し力を込めて押したのだ。すると本棚はゆっくりと後ろに傾いて倒れると、そこには……

 

 

 

「これは……!」

 

 

 

「隠し通路……!?」

 

 

 

かなり奥まで続いていそうな通路を前に、驚きを露にするエルザとカナ……。

 

 

 

「どうして分かったんですか?」

 

 

 

「“風”だよ」

 

 

 

「? 風……ですか?」

 

 

 

自身の問いに対するレイルの答えに、いまいちピンと来ない様子のウェンディ。すると……

 

 

 

「そういえば微妙に変な風の流れがあったな。原因はこの通路だったのか……」

 

 

 

「僅かな隙間から風が通り抜けていたのでしょう。そしてこの先には恐らく……」

 

 

 

「時計の部品があるの?」

 

 

 

「可能性は高いだろうな……行くぞ」

 

 

 

ガイとブランの解説するかのような会話を聞いたシャルルがそう言うと、エルザが先頭を切って進み始める。そしてしばらくすると少し拓(ひら)けた空間へとやって来て……

 

 

 

「どうやら当たりのようですね……」

 

 

 

ついに発見した。まるで台座のような奇っ怪な部品を……。ただ……

 

 

 

「随分な大きさだな……」

 

 

 

「いや、どう見てもデカ過ぎでしょ……」

 

 

 

その大きさは“部品”という枠を明らかに超えていたのだ。およそ3~4メートル程はあるであろう。ガイとカナも思わずそう呟く他無い……。

 

 

 

「えっと、どうしましょうか……?」

 

 

 

「私の荷物と一緒に運べばいい。このくらいであれば問題ないだろう」

 

 

 

「ていうか、それ以前にどうやってここから運び出すのよ…………って、問題ないみたいね……」

 

 

 

ウェンディの問いにエルザが答える中、ここでシャルルが別の問題を提示しようとするが……ある光景を見て止める。そこには……

 

 

 

「レイル、ここは少々手荒ですが、壁を破壊して直接外部へ出た方がよいのでは?」

 

 

 

「そうだね。どう考えても入り口は小さ過ぎて無理そうだし……」

 

 

「価値のある建物なのですが、致し方ありませんねぇ」

 

 

 

苦も無さげに部品を持ち上げながら話をするブランとレイルの姿があった……。

 

 

 

「いやー、やはり肉体労働というのは若い方々にやってもらうに限りますねぇ」

 

 

 

「おいおい、肉体労働出来ないような年じゃないだろ……」

 

 

 

「何を言うんですか、ガイ。私も色々衰えていますよ?」

 

 

 

「年で衰えてるような人間は普通、傭兵ギルドの連中をまとめて倒したりしないと思うぞ……」

 

 

 

ジェイドとガイのそんなやり取りを聞いて、それぞれ頷いたり苦笑いを浮かべたりするエルザやウェンディ達。とにもかくにも、何とか目的を果たしたレイル達だった……。

 

 

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

 

その後どうにかして魔導図書館から部品を外へ運び出したが、既に日は落ちかけており、辺りもすっかり暗くなっていた。そのためレイル達は一先ず図書館内で一夜を明かし、翌朝に出発することにしたのである。そして現在は軽く作った夕飯を皆で食す中、ジェイドとガイが“或る事”をレイル達に話している……。

 

 

 

「我々がこちらへ派遣されたのは、“イオン様とアニスの失踪”に“妖精の尻尾とレギオン隊との対立”が関連してると判断が下ったためです」

 

 

 

「実はレイル達との通信が出来なくなったのと同時に、ゼントピアの教会本部との通信も不能になってな」

 

 

 

「! 教会本部とも通信が……!?」

 

 

 

ジェイドとガイからの話を聞いて、レイルは驚きを露にする。

 

 

 

「原因はやはり、例の通信障害でしょうか?」

 

 

 

「ええ、恐らくは。ただ……」

 

 

 

「? 何かあるんですか……?」

 

 

 

ブランの問いに対してジェイドが言葉を濁し始めると、レイルがすかさず尋ねた……。

 

 

 

「実はお前等が“妖精の尻尾”に行ってすぐ、イオンから『教会内部の対立がまた表に出てきた』っていう報告が上がってたんだ」

 

 

 

「「……!」」

 

 

 

それを聞いて大きく反応するレイルとブラン。と、ここで、

 

 

 

「あの、“対立”って一体……」

 

 

 

「! ああ、そうだね。えっと……」

 

 

 

「“ゼントピア”という組織は一枚岩ではないのですよ」

 

 

 

ウェンディがそう尋ねてくると、レイルより先にブランが答えた。

 

 

 

「ゼントピアには大きく分けて2つの派閥が存在しています。1つは導師であるイオン様を推し、保守的な思想を持つ“導師派”。そしてもう1つが“組織の構成自体の一新”を掲げ、革新的な思想を持つ“枢機卿派”です」

 

 

 

「問題なのは枢機卿派の方だ。少し前までは比較的少数な派閥だったんだが、“トップ”が変わってから急に大きくなり始めてな」

 

 

 

「確かその“トップ”って……」

 

 

 

「ええ、あの“ラポワント卿”です」

 

 

 

「? 有名な奴なのかい?」

 

 

 

ジェイドとガイ、そしてレイルが説明をしつつ話していると、突如出てきた名前に関してカナが尋ねる。

 

 

 

「ここ数ヶ月の間に急激に頭角を表し始めた男です。非常に頭の切れる人物のようで、現在では実質的に“枢機卿の代表者”と言ってもよいくらいでしょう」

 

 

 

「ただ同時に、何を考えてるのかイマイチ読めない奴でもあってな。こっちでも少し警戒はしていたんだが……」

 

 

 

「……御二人は今回の一件に、“枢機卿派”が関わっていると……?」

 

 

 

「もちろん可能性の段階ですが……大いに考えられるとは思いませんか?」

 

 

 

問いに対するジェイドの言葉に、レイルとブランは口を開かず険しい表情を浮かべる……。

 

 

 

「とはいえ、こちらにはこれ以上確固たる情報がありません。となれば、あちらが仕掛けてくるのを待つのが最善の手……」

 

 

 

「ま、そういう訳で俺達もレイル達に合流しようってことになってな。ジェイドがここに目星を付けて来てみたら……」

 

 

 

「我々が居たということか。しかし、どうやってこに目星を?」

 

 

 

ジェイドとガイの話を聞いていたエルザは、ふとそんな疑問を抱いた。すると、

 

 

 

「ここから割り出したんですよ」

 

 

 

「あ! それ、ルーシィさんの……!」

 

 

 

「『星空の鍵』じゃない……!!」

 

 

 

ジェイドが懐から取り出したもの。それはルーシィが持っていた、今回の事件の手掛かりとなる絵本“星空の鍵”だったのだ。思わぬものの登場に驚くウェンディとシャルル……。

 

 

 

「そちらのギルドの一員、ルーシィ・ハートフィリアの御父上の遺品についての話は、通信不能になる前にレイル達から聞いていましてね。そこからこの“星空の鍵”との関係を見つけ、このモデルとなった場所に何かあるのではないかと考えたまでです」

 

 

 

「“遺品”のことを聞いただけで辿り着いたのかい? とんでもない奴だねぇ、あんた……」

 

 

 

「まあ、ジェイドはクロニクルの中でも随一の切れ者だからな。人格的に問題はあるが……(ボソッ)」

 

 

 

「ガイ~? 何か言いましたか?」

 

 

 

「い、いや、何でもない……」

 

 

 

カナが思わずジェイドに対して舌を巻く中、当の本人はガイの小声の発言に敏感な反応を見せていた……。

 

 

 

「ともかく我々は今回の件に関して、“妖精の尻尾”へ協力を申し出ます。受けていただけますか?」

 

 

 

「フッ、当然だ。お前達のような強者が手を貸してくれるなら非常に心強い……。改めて、これからよろしく頼む」

 

 

 

「ええ、こちらこそ」

 

 

 

お互いそう言うと、エルザとジェイドはしっかりと握手を交わす。こうして、ここに“妖精の尻尾”と“クロニクル”の協力関係が成立したのだった……。

 

 

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

 

更に時は進み、すっかり真夜中となった頃。レイルは1人外に出ていた……。

 

 

 

(部品は回収したけど、イオンやアニスの手掛かりはまだ掴めてない。レギオン隊やアリスさん達も無関係な筈だ。なら……誰が何のために2人を……)

 

 

 

夜空を見上げながら、これまでの状況を踏まえつつ思考するレイル……。

 

 

 

(やっぱり枢機卿派の人達によるものなのか? でも、あのイオンとアニスをどうやって……)

 

 

 

と、その時、

 

 

 

「レイルさん……?」

 

 

 

「! ウェンディ……!」

 

 

 

背後からの声を聞いて振り返ると、そこにはウェンディの姿があった……。

 

 

 

「どうしたの?」

 

 

 

「えっと……起きたらレイルさんが居なくて、それで……」

 

 

 

「! そっか……。ゴメン、変な心配をさせたみたいだね」

 

 

 

「あ、い、いえ……!」

 

 

 

言わんとしている事を理解したレイルが謝ると、ウェンディは慌てて大丈夫である旨を伝え……

 

 

 

「あの……隣、いいですか?」

 

 

 

「! うん、いいよ……」

 

 

 

そう言って、レイルの隣に立った……。そして少しの間お互い何も言わずに夜空を見ていると、先にレイルが口を開く……。

 

 

 

「多分この先、何かとんでもない事が起こると思う」

 

 

 

「え……?」

 

 

 

「勿論僕の勘にしか過ぎないんだけど、そんな予感がしてならないんだ……。とてつもなく大きな事態が引き起こされるような……そんな感覚が……」

 

 

 

「レイル、さん……?」

 

 

 

一転して険しい表情を浮かべるレイルを見て、ウェンディは不安を感じずにはいられなかった……。

 

 

 

「! ゴメン、ウェンディ。また変に不安にさせちゃったね……」

 

 

 

「あ、えっと……」

 

 

 

「でもきっと大丈夫。僕から見ても妖精の尻尾(フェアリーテイル)の人達は皆強いし、何よりギルドの結束力は間違いなくフィオーレ1だ。それに今回は、ジェイドさんとガイさんまで応援に来てくれたしね……。これなら何が起きても問題ない筈だ」

 

 

 

「! はい!!」

 

 

 

レイルのそんな言葉を聞いて、明るく頷くウェンディ。

 

 

 

「特にジェイドさんとガイさんは、今回の事件を何としてでも解決したいだろうし……」

 

 

 

「? どうしてですか?」

 

 

 

「2人は行方が分からなくなってるイオンやアニスと親交があってね。特にアニスはジェイドさんの補佐役も務めてるんだ。だから2人共表には一切出してないけど……内心ではかなり心配してると思う……」

 

 

 

「そうだったんですね……。イオンさんとアニスさん、大丈夫でしょうか……?」

 

 

 

話を聞いたウェンディは、思わず心配そうな様子で呟く。

 

 

 

「前も話した通り、あの2人はそう簡単にやられたりはしないよ……。少なくとも、僕はそう信じてる……」

 

 

 

「そうですね……。はい! きっと大丈夫です! それにもし御二人が怪我をしていたとしても、その時は私が絶対治しますから♪」

 

 

 

「…………!」

 

 

 

ウェンディのそんな言葉を聞いたレイルは、少し驚きを見せたかと思うと、一転して柔らかな笑みを浮かべる。そして……

 

 

 

ポスッ

 

 

 

「ふぇ……?」

 

 

 

「ありがとう、ウェンディ」

 

 

「ふぁ……////////」

 

 

 

彼女の頭に右手を乗せ、優しく撫で始めたのだ。それに対してウェンディは顔を赤らめつつも、しばらくすると目を細めて気持ち良さそうな表情を浮かべる……。

 

 

 

「さて、明日は他のチームの人達との合流しないとだし、そろそろ……」

 

 

 

「あ……」

 

 

 

「? どうかした、ウェンディ?」

 

 

 

 

「! い、いえ……////」

 

 

 

レイルの手が離れた瞬間、ウェンディは一瞬名残惜しそうな表情を浮かべるが、すぐに取り繕い……

 

 

 

「えっと、も、もう寝ますね……////!」

 

 

 

「分かった。おやすみ、ウェンディ」

 

 

 

「あ、はい///! おやすみなさい、レイルさん……////!」

 

 

 

ウェンディは少々足早に去っていった。またしても彼女の頬が若干赤くなっていたように見えたのは……恐らく気のせいではないだろう。そして、そんなウェンディを見送ったレイルは……

 

 

 

「ふぅ…………そこにいるんでしょ? ブラン」

 

 

 

「おやおや、気付かれていましたか」

 

 

 

近くにある林の方に目を向け、そう声を掛ける。すると木陰からブランが出てきた……。

 

 

 

「盗み聞きは感心しないよ」

 

 

 

「すみませんね~。貴殿方がどんな話をするのか気になったもので」

 

 

 

「……ブランが期待するような話をしたつもりは無いけど?」

 

 

 

「確かに話の内容はそうでしたね~。ですが……中々興味深い光景は見れましたよ? クックックッ……」

 

 

 

「??」

 

 

 

 

ブランの言う“興味深い光景”の意味が分からず、首を傾げるレイル。ちなみにその光景は、どちらかというとウェンディの方に関係しているのだが……レイルがそれを知る由もない……。

 

 

 

「まあ、その話は置いておくとして……何を気に掛けているのですか、レイル?」

 

 

 

「……どういうこと?」

 

 

 

「惚ける必要は無いのでは? これでも貴方とは長い付き合いになるのですから、その程度のことには気が付きますよ」

 

 

 

「…………」

 

 

 

「話していただけますね……?」

 

 

 

先程とは打って変わり、ブランは全てを見透かしているかのように尋ねる。それに対し、レイルは暫し黙っていたが……少しずつ話し始めた……。

 

 

 

「恐禍の狩人(テラーズ・ハント)のことは、覚えてるよね?」

 

 

 

「! 勿論。ある意味我々が妖精の尻尾(フェアリー・テイル)と関わる最大の要因となったギルドですから……」

 

 

 

「高い魔力を持つ子供達を狙って拉致し、人身売買で他の闇ギルドから利益を得る闇ギルド……。そのギルドマスターであるジゼル・バーチャーの幻術系魔法、“恐怖の宴(フィアーズ・フィエスタ)”は強力で、検束部隊を含めた多くの魔導士達が精神崩壊で再起不能に追い込まれた……」

 

 

 

「実に醜悪でありながらも、同時に厄介なギルドでしたね~。しかし現在は完全に壊滅し、そのジゼル・バーチャーも留置場で俳人に成り下がっていると聞いていますが……そこに何か気になることが有るのですね……?」

 

 

 

かつて潰したギルドの事を思い出しながら問いかけるブランに対し、レイルはこんなことを言い始めた……。

 

 

 

「あの一件に関わっていたのは本当に恐禍の狩人“だけ”だったのか?」

 

 

 

「・・! どういうことでしょうか……?」

 

 

 

ブランが内容に少し驚きを見せる中、レイルは話を続ける……。

 

 

 

「襲われた家の人達は全員意識が回復したけど、あの事件についての記憶の一切を失ってた。元々の標的で、ウェンディと一緒に攫われた子供も含めて・・」

 

 

 

「後の調査では、マスターのジゼル・バーチャーが魔法による記憶の改ざんを行ったということで決着が着いたようですね~。もっとも、当の本人が取り調べを真面(まとも)に受けることが出来ない以上、確かめようもありませんが・・・」

 

 

後に明らかとなった事を交えながら、詳細を整理するように話すブラン。すると・・・

 

 

 

「もしその記憶の改ざんを行ったのが、そのジゼル・バーチャーじゃなかったとしたら・・・どう?」

 

 

 

「! あの一件に、何者かが暗躍していた……と?」

 

 

 

「勿論これも僕の推測だよ? でも、だとすればあの幻術系魔法にも説明が付く。あの男の魔導士としての実力は、どう見積もってもナツさんやグレイさんにも及ばない・・。そんな男があれだけ高度な魔法を完全に習得していたとは思えないんだ。そして、そうなると1つの可能性が出てくる・・・」

 

 

「っ! まさか・・・なるほど、確かにその可能性はありますね~・・・」

 

 

 

ブランはレイルの言わんとしていることに気付くが、その内容を口には出さなかった・・・。

 

 

 

「元々あのギルドは実態が掴めなかった……。人身売買を行っていたのは明らかだったけど、それ以外の動向は今でも明らかにされてない……。何かがおかしいんだよ……」

 

 

 

「では……」

 

 

 

「うん……。もしかすると、あの事件は“まだ終わってない”のかもしれない……」

 

 

 

険しい表情を浮かべるレイルは、ふと見上げながら呟く。その日の夜空は、全く星を見ることが出来ないほど曇っていた……。

 

 

 

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

 

翌日、レイル達はすぐに予定の合流地点へと向かうために出発していた。そして現在の時刻は昼頃……

 

 

 

「おおっ、見ろ! “ここで休憩してください”と言わんばかりにテーブルがあるぞ!」

 

 

 

「えっと……」

 

 

 

「未だにピクニックへの憧れが衰えていないとは、驚きですね~……」

 

 

 

ワクワクした様子のエルザを見て、レイルは苦笑いを浮かべ、ブランは呆れ混じりの声を漏らしていた……。

 

 

「いいですね! ここでお昼にしましょうか!」

 

 

 

「それはいいけどさ……」

 

 

 

とはいえ昼時なのは事実であるため、ウェンディがそう提案する一方、カナは何とも言えない表情を浮かべていた。何故かというと……

 

 

 

 

「何でアタシ等、“ケツプリ団”のユニフォームを着てる訳……?」

 

 

 

「しかも何で私達にピッタリのサイズがあるのよ!!?」

 

 

 

そう、疑問を感じているカナや苛立ちを見せているシャルルを始め、エルザも何故かあのピッチリ黒スーツを着ていたのだ。ちなみに無論ウェンディも着ている……。

 

 

 

「備え有れば憂い無し!」

 

 

 

「だから何の備えなの!?」

 

 

 

エルザが凛とした様子でそう言い、シャルルがツッコミを入れる……。

 

 

 

「お前のトラウマ克服の為でもあるのだ、シャルル」

 

 

 

「これで克服できるんですか……?」

 

 

 

「意外に皆ノリノリだねぇ……」

 

 

 

ウェンディとカナが苦笑いを浮かべるのは……ある意味仕方の無いことである……。と、ここで、

 

 

 

「ていうか、何であんた達は着てないのよ!?」

 

 

「えっと……」

 

 

 

「いや、そう言われてもなぁ……」

 

 

 

「そんな格好をするくらいなら、今頃仕事をサボっている馬鹿上司のお守りの方がマシですので」

 

 

 

「右に同じく、全力でお断り致します。クックックッ……」

 

 

 

シャルルが苛立ちを覚えている理由はもう1つあった。それは……レイルとブラン、そして昨日新たに加わった“クロニクル”からの助っ人──ガイとジェイドが同じ格好をしていないことである……。

 

 

 

「こういうのは普通オス共の役目でしょ!? あんた達も着なさいよ!!」

 

 

 

「「お断りします(ですね~)」」

 

 

 

「何でそこだけ息ピッタリなのよ!?」

 

 

 

人物的に難のある1人と1匹に対し、更に苛立ちを募らせているシャルル。

 

 

 

「あー、諦めた方がいいと思うぞ? 多分疲れるだけだろうからな」

 

 

 

「はぁ…もう遅いわよ…」

 

 

 

「ハハッ、みたいだな…」

 

 

 

 

そんな彼女にガイが助言を送るが、どうやら手遅れだったようである。

 

 

 

「まったく…あんたは兎も角として、レイルは絶対に無理だし…」

 

「? どうしてだ? レイルなら言えば簡単に着てくれそうだが…」

 

 

 

「確かにレイルはそうね。でも……」

 

 

 

「?」

 

 

 

「ウェンディが“絶対にダメ!”って言って聞かなかったのよ…」

 

 

 

「! 成る程な…」

 

 

 

シャルルの言葉を聞いて、納得したような表情を浮かべるガイ……。

 

 

 

「あの娘(こ)、レイルのことになると信じられないくらいムキになっちゃって……正直驚いたわ」

 

 

 

「ブランから聞いてるとは思うが、レイルは前から年下の子供達によく好かれてるからなぁ。あそこまで行くと、一種の体質のようなものかもしれないが…」

 

 

 

 

「…多分それだけじゃないでしょうけどね(ボソッ)」

 

 

 

「? 何か言ったか?」

 

 

 

「何でもないわ」

 

 

 

何かを聞いたような気がしたガイはそう尋ねるが、シャルルはそれを適当にはぐらかす……。そんな中、

 

 

 

「もう一度ピクニックが出来て私は嬉しいんだ!」

 

 

 

「もうやることは決定なんですね…」

 

 

 

「こうなったエルザは止められないからねぇ。仕方無いんじゃない…?」

 

 

 

エルザの宣言にレイルは苦笑いを浮かべ、カナも同情気味に呟く。

 

 

 

「ピクニックを楽しむためには、身も心も1つにならなければならんのだ!!」

 

 

 

「エ、エルザさん、そうまでして初めてのピクニックを…(泣)」

 

 

 

「やむを得ませんね~。ここはお付き合いするとしましょう」

 

 

 

「でも、確か前回はこのタイミングで…」

 

 

 

「さあ、始めよう!」

 

 

 

そしてウェンディが感動してシャルルが若干嫌な予感を感じる中、エルザが今度こそ念願を叶えようとした、その時……

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと待ちなッ!!」

 

 

 

「お前等、誰の許可貰ってピクニックやってんだッ!!」

 

 

 

「ねぇ、マヨネーズ食べる?」

 

 

 

「ふぇっ!!?」

 

 

 

「ま、また何だか凄い人達が…」

 

 

 

 

突如現れたその集団を見て、ウェンディは驚き、レイルは何とも言い難い表情を浮かべる。何故なら目の前にいるのは……紫色のタイツを着た、如何にも体脂肪率が常人の2倍はありそうな体型を持つ男達だった……。

 

 

 

「あー……とりあえず聞いておくが、あんた等は一体何者だ?」

 

 

 

「! おいどん達を知らないとは……!! 子分A! 子分B! この草原が誰のものか、教えてあげなさい!!」

 

 

 

「「はいッ! 親方!」」

 

 

 

「…………」

 

 

 

「? えっと…ブラン…?」

 

 

 

ガイが男達にそう尋ねる一方で、レイルはブランの様子に違和感を感じていた…。

 

 

 

「この草原の所有者は…!」

 

 

 

「おいどん達…!」

 

 

 

 

 

 

 

「「「“ムネプリ団”ッ!!!」」」

 

 

 

「“胸焼けに悩んでいる”という意味でしょうか? 成る程。確かにその体型であれば納得です」

 

 

 

「いや全然違うわよッ!!」

 

 

「おいどん達を馬鹿にしてるだろ!?」

 

 

 

「いえいえ、とんでもない。ただ純粋に貶(けな)しているだけです」

 

 

 

「絶対馬鹿にしてるだろッ!!??」

 

 

 

サラッと目の前の男達に辛辣な発言をするジェイド。それを見て…

 

 

 

「随分ストレートに言うんだねぇ、ジェイドって…」

 

 

 

「まあ、ジェイドだからなぁ。大体今のは普段より数百倍優しいと思うぞ?」

 

 

 

「ム、ムネプリ団、ですか…!?」

 

 

 

「あ……あぁ……!」

 

 

 

 

「ウェ、ウェンディ? シャルル? 大丈夫……?」

 

 

 

 

カナとガイがそんなやり取りをしている一方で、ウェンディとシャルルは男達のチーム名と外見にある種のショックを受け、レイルに心配されていた……。ウェンディが自身の体のある一部分を気にしているのは、余談である……。

 

 

 

「この草原にはルールがあるでごわす~!」

 

 

 

「スタイル良い奴はピクニックするの禁止~!」

 

 

 

 

「マヨネーズ食べる?」

 

 

 

 

「…………(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!)」

 

 

 

「やっぱりこうなるんだねぇ……」

 

 

 

明らかに個人的な妬みの混じっているルールを男達が提示する中、カナはエルザが憤りに打ち震えていることに気付き、思わずそう呟く……。

 

 

 

「てな訳で、食糧は没収でごわす…!」

 

 

 

「肉ないのか!? 肉~!!」

 

 

 

「ねぇ、マヨネーズ食べる?」

 

 

 

 

「はわわわわっ…!!」

 

 

「どうなっても知らないわよぉ…!?」

 

 

 

そして、“没収”という名目でエルザの用意した食糧を男達が貪(むさぼ)り食い始めた、その時……

 

 

 

「初めてだったのに……! 人生初のピクニックに、再チャレンジしたのにッ…!!(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!)」

 

 

 

 

「レイル、ちょっと失礼…」

 

 

 

 

「っ!? ブ、ブラン…!?」

 

 

 

“約2名”の怒りと苛立ちが頂点に達した…。

 

 

 

「許さんぞ……出でよ! 妖刀“紅桜”ッ!!」

 

 

 

「制裁の時間です…“ノワール・ヴァーグ”」

 

 

 

 

「「「(ビクッ!!!!!)」」」

 

 

 

 

エルザが禍々しい気を放つ妖刀を、大型化したブランが右手に高密度の黒い魔力を溜めて構えるのを見て、ようやく危険を察知した男達。だが……

 

 

 

 

「貴様等…その全身で、“後悔先に立たず”という言葉の意味を知るがいい…!!」

 

 

 

 

「貴殿方はお分かりにならないでしょうが、少々“貴殿方のある部分”に苛立ちを感じていましてね~…。では、お覚悟を…」

 

 

 

 

「「「ヒィィィィィィィィィィィィッ!!!???」」」

 

 

 

時既に遅しとは、まさにこの事である……。

 

 

 

 

「「「イイイヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ

!!!!!????」」」

 

 

 

 

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ……!!!!!

 

 

 

 

「あーあ……」

 

 

 

「おやおや、良い感じで舞い上がりましたねぇ。これで彼等の体脂肪も多少は減るでしょう」

 

 

 

 

「いや、そういう話じゃないんじゃないか…?」

 

 

「何だかここ数日で、ブランのファッションに対する厳しさが凄く上がってる気がするんだけど……」

 

 

 

「あははは……」

 

 

 

「やっぱり最後はこうなるのね……」

 

 

 

とにもかくにも、レイル達は頼れる助っ人(?)を加え、着実に(?)合流地点へと向かっていた……。しかし……

 

 

 

 

(でも、何かが引っ掛かる…。何だろう、この言い様のない違和感は…)

 

 

 

 

その中で、ある者は現状に奇妙な感覚を覚え……

 

 

 

 

(もしこの予測が正しければ、この先に待つものは……。やはり、これも“彼女の背負うべき宿命”ですかねぇ…)

 

 

ある者はこれから待ち受けるものを予測しつつ、それを内に秘めていることを……他の面々は知る由もなかった…。

 

 

 

 

 

──そして、ようやく全てが繋がり始め……“新たな局面”へと突入する──

 

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