FAIRYTAIL~絶対なる黒龍戦記~   作:無颯

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お待たせしました。続きです。


そして突然ですが、OPとEDを設定したいと思います。主題歌とか結構好きなもので……。


OP → “鐘を鳴らして”~BONNIE PINK~

(“テイルズオブヴェスぺリア”主題歌)


ED → “追憶メリーゴーランド”~onelifecrew~

(“FAIRY TAIL”ED2)


以上でお送りします。ちなみに個人的にはOPの曲が非常に好きです。


長々と失礼しました。では、本編をどうぞ。




命令と歓迎と・・・

『はああああああああああああああああ(えええええええええええええええ)……!!?!?!?』

 

 

「っ!? あ、あのー…………?」

 

 

妖精の尻尾の面々の叫び声に、思わず驚くレイル・・・。

 

 

「お、お前等軍の人間だったのか!?」

 

 

「しかも元帥ってお前、どんだけ偉いんだよ……!?」

 

 

「た、確か軍の中で一番上の階級だった気が……」

 

 

「嘘だろ!? じゃあこいつが軍のトップってことか!?」

 

 

「どう見たってウェンディと然程(さほど)年変わらねえんじゃねえか!?」

 

 

「大佐っていうのも相当偉いんじゃねえか……?」

 

 

「軍の大部隊の指揮官が大体そのくらいの階級に着くと思うが……」

 

 

「エ、エクシードが軍の人間って、マジかよ……!?」

 

 

レイル達の予想だにしなかった正体に騒ぎ始めるギルドメンバー達。ちなみに喋っているのは上からウォーレン、グレイ、レビィ、マカオ、ワカバ、エルフマン、リリー、マックスだったりする……。と、ここで、

 

 

「ちょ、ちょっと待って! そもそも“クロニクル″って何!? そんな組織が王国にあったなんて、聞いたことも………!」

 

 

ルーシィが最も気になっている言葉について疑問を口にすると、それに対して答えたのはまたしても7年間の状況を知るメンバー達だった………。

 

 

「そういえば、天狼組の皆にはまだ言ってなかったわね」

 

 

「実はナツ兄達がいなくなってから少しして、闇ギルドの活動が凄く活発になったんだ。しかも新しい闇ギルドもいっぱい出来て、犯罪もあちこちで数え切れない起こるようになって……」

 

 

「正規ギルドの方じゃ例の“ギルド間抗争禁止条約″で手は出せないし、王国軍や評議院の検束魔導士部隊だけじゃ数が足りない上に返り討ちに遭うことが多かったから、一時はフィオーレ全体が危うくなったりもしたくらいでな」

 

 

「闇ギルドがそんなに台頭したんですか……!?」

 

 

ロメオとアルザックの話を聞いて驚くジュビア。“7年″という月日の間に国全体が一時的に危機に瀕するというのは、確かにスケールの大き過ぎる話かもしれない………。

 

 

「そこで5年前、王国側がその台頭してきた闇ギルドに対抗するための魔導士の組織を立ち上げたの」

 

 

「じゃあ、それが………!」

 

 

「ああ……それが“クロニクル″って奴だ」

 

 

ビスカの言葉を聞いたリサーナが言う前に、マカオがそう口にした…。

 

 

「“クロニクル″には軍で佐官以上の階級を与えられる程……簡単にいえば、軍の部隊長を任される程の実力者のみが所属することを許される。将官クラスともなれば全員S級に裕に匹敵する魔導士達ばかりだが、その更に上……“元帥”の階級を持つ人間は僅か8人しかおらず、その8人は総称して“八元帥”と呼ばれている。ちなみに八元帥の実力は聖十(せいてん)大魔導と互角、もしくはそれ以上だ……」

 

 

「お、おいおい! 聖十と互角かそれ以上って……!!」

 

 

「ま、まさか………!!」

 

 

「ああ……。お前達の目の前にいるレイル・アスフォードは5年前に僅か10歳で八元帥の一角に選ばれた、クロニクル最強格の魔導士の1人であり……そこにいるマカロフ・ドレアーと互角以上の戦闘能力を持つ男だ」

 

 

リヒターが補足をするかのように続けて述べた。そしてグレイとルーシィが声を上げる中、レイルについて改めてその正体を伝えると………

 

 

『………はああああああああああああああああ(えええええええええええええええ)ッ!!!!???』

 

 

本日2回目の絶叫が建物内に響き渡った………。

 

 

「マスターと互角以上だと……!?」

 

 

「冗談にしか聞こえねえけど……」

 

 

エルフマンが驚く中、ジェットが微妙な表情でそう言うが……

 

 

「でも聞いたことあるぞ! クロニクルは殆どギルドのエースだけで固められてる様な組織で、特に上の奴等の強さは異常だって……!」

 

 

「まあ、確かにそれならさっきナツの攻撃を止めたのも納得はいくしな……」

 

 

ドロイの話を聞いたマックスは思わずそう呟いた。その話の信憑性は先程のレイルの行動を鑑みると、むしろ高いと言える……。

 

 

「おい、てことは天竜の小娘(ガキ)と白猫を拐った闇ギルドはそいつらが……」

 

 

「ああ。恐禍の狩人(テラーズ・ハント)は壊滅した………そこにいるレイル達2人によって、構成員“300人”全て叩き潰されたとのことだ」

 

 

「は……はいぃッ!!?」

 

 

「それだけの規模の闇ギルドを、たった2人で潰したというのか……!?」

 

 

ガジルの言わんとしていることをリヒターがあっさり肯定すると、それを聞いてルーシィだけでなくエルザまでもが驚きを露わにする。無論他のメンバー達も同様だった……。

 

 

「その闇ギルドの殲滅が僕達に与えられた任務だったんです」

 

 

「その際にあの御二人がギルド内で捕らわれているのを我々が偶然発見し、ギルドの紋章からここ“妖精の尻尾”に所属している魔導士だと判断してお連れしたという次第です」

 

 

「そうだったのか……」

 

 

レイルとブランからその話を聞いたエルザは、2人が“本当にウェンディ達を助けた”という事実を改めて認識した。すると、

 

 

「まあ、といっても……実はレイルも私も、あの少女が“天竜のウェンディ”であることは存じ上げていたのですが……」

 

 

「! ウェンディのことを知ってるの!?」

 

 

「え、ええ、まあ……。滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)の存在は僕達“クロニクル”のメンバーも皆気にしてますから……。なので勿論、ナツさんやガジルさんのことも知ってます」

 

 

「へー! やっぱり滅竜魔導士って有名なのね~」

 

 

「まあ、つってもその肝心の1人は今………」

 

 

レイル達の話を聞いたルーシィが思わず声を上げる中、グレイはここで苦笑いを浮かべながら“ある方”に視線を向ける。そこには………

 

 

「オ………オォッ………!」

 

 

「どっかの女の3度目の拳骨を喰らって沈んでるけどな……」

 

 

ナツがピクピクと痙攣しながら床に突っ伏していた。え? 何故こうなったかって? では簡潔に説明しよう……。

 

 

①“レイルが聖十クラスの実力の持ち主である”という話をナツが聞く

 

 

②勝負しようとレイルに向かって駆け出す

 

 

③エルザに鉄拳制裁で止められる

 

 

④撃沈

 

 

以上である……。まあ、そうでもしなければ今までナツが全く会話に参加してこなかったことの説明がつかないだろう……。

 

 

「じゃあ、僕とブランはこれで失礼します」

 

 

「えっ!? もう行くの!?」

 

 

「あ、はい……。僕達はあくまであの2人を……ウェンディとシャルルをこちらに送り届けに来ただけですから」

 

 

「でもあなた達はウェンディとシャルルの恩人な訳だし、私達としては何かお礼をしたいくらいなんだけど……」

 

 

ここでレイルがそう切り出すと、レビィは思わず声を上げ、ミラは残念そうに呟く。どうやら最初の段階で全体的に色々と失礼な面があったため、申し訳なく思っているようである……。

 

 

「そうだよ! それにウェンディ達だって目が覚めたら多分“直接お礼を言いたい”って言うだろうし……」

 

 

「繰り返しになるかもしれませんが、それには及びません。あくまで偶然なのですから、あの御二人が気にやむ必要もありませんので……」

 

 

そしてリサーナに対しブランがそう言葉を返した、その時、

 

 

「いや……生憎だがお前達2人は当分、このギルドから離れることを許されなくなった」

 

 

「え………?」

 

 

「それはどういう意味でしょうか? リヒター……」

 

 

突然リヒターからそう言われたレイルとブランは、思わず怪訝な表情を浮かべる他無かった。当然である。その言葉の意味がイマイチ頭にピンと来なかったのだから……。

 

 

「はい」

 

 

「! これって……!」

 

 

「“三官”の連中からの命令書よ。リヒター様がここに来た最大の理由は、あんたにこの命令書を届けるためだったの」

 

 

するとアクアがレイルに丸めた状態の文書を渡してつつ、そう言ってきたのだ。渡されたレイルは驚きつつもその文書を開き、ブランと共に内容を確認し始める。そんな中……

 

 

「ねえ、今の“三官”って……?」

 

 

「確かクロニクルのトップを務める3人の総称よ」

 

 

「何でも政治にも口出しできる程の権力を持ってるって話だぜ?」

 

 

「要するに、そこにいる2人よりも上の超お偉いさんって訳か……」

 

 

ルーシィの問いにラキとマックスが答えると、それを聞いたグレイは至極簡単に纏める。と、ここで、

 

 

「リヒター……これは本当にあのお三方からの命令なのですか……?」

 

 

「ああ、間違いない。何せ本人達から通信ラクリマを使って態々(わざわざ)頼まれたのだけらな」

 

 

「でも、これは………」

 

 

命令書の内容に目を通し終えたレイルとブランは、どこか信じがたいような表情を浮かべる。何故なら、その命令の内容とは………

 

 

「“レイル・アスフォード元帥、ブランズ・センチュリオン大佐の両名に当面の間、妖精の尻尾(フェアリーテイル)への同行を命ずる”………というのが、お前達に課せられた三官直々の命令だ」

 

 

『………はああああああああああああああ(えええええええええええええええ)ッ!!!???』

 

 

リヒターから読み上げられたレイル達の命令書の内容を聞いて、本日三度目の叫び声がギルド内に響き渡る……。如何せん“お前ら叫び過ぎだろ……”と思ってしまうのは、仕方のないことだろう……。更に、

 

 

「そしてこの件についてはここに来る前、すでにマカロフ・ドレアーからも了承を得ている」

 

 

「ええっ!?」

 

 

「マスター、それは本当ですか!?」

 

 

リヒターからの追加発言を聞いてジュビアは当然声を上げ、エルザが慌ててそう尋ねると、それに対しマカロフは………

 

 

「ああ……この件に関して儂は受け入れるつもりでおる」

 

 

「ほ、本気かよマスター……!?」

 

 

「こいつ等は軍の人間なんだぞ!? ってことは、要するに俺達の監視役みたいなものになるってことじゃねえか!!」

 

 

首を縦に振った。これにはエルフマンも声を上げ、ウォーレンは慌ててそう意見を述べる。確かにギルドと軍は実質的に対となるような関係にあり、その人間が同行するということは、普通に考えれば“監視役を置かせろ”と言っているのと同様に思うだろう。だが………

 

 

「いや……先程も言ったがレイル達に課せられたのはこのギルドへの“同行”であって、“監視”ではない。そもそも監視が目的なら、レイル達が素性を明らかにしようとした時点で俺が止めているだろう……」

 

 

「確かにそうだな……」

 

 

リヒターにそう言われると、リリーは納得する他無かった。確かに自らが対となる立場だと明かした上で監視役の責務を全うしようとする者など間違いなくいないだろう……。

 

 

「まあ、そう簡単に信用出来ないのはやむを得んだろうが、これだけは言わせてもらう………」

 

 

そしてリヒターはこう言った……。

 

 

「こいつ等がこのギルドに害をなす可能性は塵一つありはしない……。それだけは部外者であるこの俺が保証させてもらう……」

 

 

その言葉には得も言われぬ意思が含まれていることを妖精の尻尾の面々は無意識の内に感じ取った。決定的な根拠などまるで無い。だが……その言葉には確かな重みがあったのだ。すると…

 

 

「いいんじゃねえのか、別に」

 

 

「! ナツ……!」

 

 

「お前、起きてたのか……!?」

 

 

ここでそう意見を口にしたのは、今まで絶賛気絶中だと思われていたナツだった。これには当然ルーシィやグレイを始め皆驚くが、ナツは言葉を続ける……。

 

 

「よく分かんねえけど、そいつ等がウェンディ達を助けてくれたのは事実なんだろ? それに俺も何となくそいつ等が悪い奴には見えねえんだよなぁ……」

 

 

「いや真っ先に殴りかかってたじゃねえか、お前……」

 

 

「殴りかかって止められた時に気付いたんだよ」

 

 

「凄え言ってること滅茶苦茶だな……」

 

 

それを聞いて思わず呆れ混じりに呟くワカバとマカオ。しかし………

 

 

「それでよい……」

 

 

『………!』

 

 

そんなナツの言葉をマカロフは肯定し、更にこう述べた………。

 

 

「“家族の無事”以上に望むことなどありはせん……。経緯はどうあれ、儂等の家族を救った人間を疑っては我ら妖精の尻尾(フェアリーテイル)の名折れじゃ……例え、儂等と立場が違う者であってもな……。お前達も、そうは思わんか……?」

 

 

「マスターマカロフ……」

 

 

ギルドマスターである彼の言葉には得も言われぬ確かな重みがあり、これに思わず言葉を失うレイル。すると………

 

 

「マスターがそこまで仰られた以上……それに異を唱えることなど我々には出来ませんね……」

 

 

「というより、誰も言い返せないんじゃないかしら?」

 

 

「ふふっ、そうだね!」

 

 

それを聞いたエルザとミラが賛同の意思を見せたのだ。さらにリサーナを始め、他の妖精の尻尾の面々もそれぞれ表情や反応は違うものの、誰一人反対する者はいなかった…。

 

 

「妖精の尻尾(フェアリーテイル)の一員として迎えることは出来んが……“我等と共に歩む者”として主等(ぬしら)を歓迎しよう……。それでよいかの?」

 

 

その問いに対し、レイルとブランはすぐさまマカロフの前で片膝を着き……

 

 

「ありがとうこざいます、皆さん……」

 

 

レイルは誠心誠意の感謝の言葉を述べた。こうして、妖精の尻尾に“紋章を持たない1人と1匹”が加わったのだった……。

 

 

 

☆☆

 

 

 

その日の夜………。

 

 

「私とシャルルを助けてくれて、ありがとうございました!」

 

 

「今回は私も流石にお礼を言わせてもらうわ。もしあのままだったらと思うと想像もしたくないし……」

 

 

ウェンディが深くお辞儀をしながら感謝の言葉を述べると、シャルルも素直にそれに続いた。勿論その相手は……

 

 

「そんなに畏まらなくても平気だよ」

 

 

「ええ、それだけ感謝の意を伝えてくれればこちらとしても十分ですから」

 

 

レイルとブランである……。

 

 

「とにかく2人共無事にここへ帰ってこれた……今はそれを喜べばいいんじゃないかな?」

 

 

「! はい……!」

 

 

「それもそうね……」

 

 

レイルの言葉にウェンディは晴れやかな笑顔を、シャルルは苦笑いを浮かべながら頷くと……

 

 

「お、もう済んだのか? じゃあじっちゃん!」

 

 

「うむ、分かっとる」

 

 

その様子を周りで見ていたギルドメンバーの中でナツが真っ先に声を上げると、それに対しマカロフが頷き、カウンターの上に立った……。

 

 

「では……こうして無事に帰ってきたウェンディとシャルル、そして2人を救い今日から我等と共にいることになったレイルとブランを祝って……」

 

 

そう口上を述べるマカロフの手には、いつの間にか酒を飲むための木の入れ物である大きな“ビアマグ”が……。そして……

 

 

「宴じゃーーーーーッ!!!!」

 

 

『かんぱーーーーいッ!!!!』

 

 

盛大な歓迎会が始まった……。

 

 

「なあ、俺一応まだマスターだよな? 何か俺……雑に扱われてね?」

 

 

「いや、いきなり何言い出すんだよ、父ちゃん?」

 

 

「全くだ! つーかお前の扱いは昔から雑じゃねえか!」

 

 

「ああ……! 時に諦めるのも漢(おとこ)だ……!!」

 

 

「お前も本当に雑に使うなー、その言葉。しかも意味分かんねえ……」

 

 

ワカバに続いてエルフマンはそう言うが、ウォーレンが即座に指摘する。またこちらでは……

 

 

「レビィ! 一緒に呑もうぜー!?」

 

 

「あ!! 何サラッと抜け駆けしようとしてんだ!! レビィ! 俺と呑もうぜ!?」

 

 

「お前だって人のこと言えてねえじゃねえか!!」

 

 

「何だと!?」

 

 

「「ぐぬぬぬぬぬッ……!!(バチバチバチッ)」」

 

 

いつも通りジェットとドロイがレビィを巡って言い争いを始めるが、当の本人はというと………

 

 

「お、チビのくせに気が利くじゃねえか、ギヒッ!」

 

 

「誰がチビよ! 誰が!」

 

 

「「ガーンッ……!!」」

 

 

何気にガジルに酒を注いでいた。それを見てショックを露わにする2人。いい加減学習しろよ、おい………。

 

 

「えっと、何というか……」

 

 

「想像以上の喧し……失礼、賑やかさですね~」

 

 

「別に気にしなくてもいいんじゃないかしら? 喧しいでも全然合ってるわよ」

 

 

「でもそれがこのギルドの良いところだと思うんです! 皆とっても明るいですから♪」

 

 

そんな様子を見たレイルとブランの呟きに、シャルルとウェンディがそう言っていると………

 

 

「お、いたいた!」

 

 

「! ナツさん……!」

 

 

そこへやって来たのはナツとハッピー、ルーシィ、グレイの4人だった……。

 

 

「いやー、昼間は悪かったなー! いきなり殴りかかっちまって!」

 

 

「あ、いえ! 確かにびっくりしましたけど、大丈夫です!」

 

 

「そっちも悪かったな。本当に平気か?」

 

 

「ええ、あのくらいの攻撃であれば十分対処は可能でしたので」

 

 

「いや、こっちは結構本気でやったつもりだったんだけどなぁ……」

 

 

「ていうか、それ以前にあんた達謝り方が軽過ぎ……」

 

 

「アイ、それがナツ達です」

 

 

あまりにもサラッとしたナツとグレイの謝罪に思わずツッコむルーシィと、今更と言った感じで口にするハッピー……。ちなみに言うまでもないが、ナツ達とは既に打ち解けている。

 

 

「でもいいんでしょうか? 先程マスターマカロフはああ言ってくれましたけど、やっぱり僕達はこのギルドにとってあまり歓迎されるべき人間ではない気が……」

 

 

「そう気にすることではないぞ? レイル」

 

 

「あ、エルザ!」

 

 

レイルがそう言っていると、そこへ丁度エルザがやってきた……。

 

 

「まあ、確かに私達は何かと軍や評議院とは小競り合いを起こしていて、お互いあまり良い印象を持っていないのは事実だ……。しかしお前達がウェンディとシャルルを助けてくれたのも事実で、マスターがそれを認め受け入れている……。私達にとっては充分過ぎる理由だ。それとも、お前達はあの“リヒター”という男が言っていたのとは違い、このギルドに仇なす存在なのか……?」

 

 

そう問いを投げかけるエルザは、穏やかでありながらも何処か意地悪な笑みを浮かべていた。レイルはそれを見て……

 

 

「……分かりました。ここはギルドの皆さんからの好意を素直に受け入れないとダメみたいですね」

 

 

「ああ、そうしてくれ。その方が皆は勿論……何よりウェンディが喜ぶだろうからな」

 

 

「え……? あ、はい♪」

 

 

エルザからそう言われたウェンディは一瞬キョトンとするものの、言葉の意味を理解したのか笑顔で頷く。“自分を救ってくれた相手に精一杯感謝したい”……それが今の彼女が一番したいことなのだ……。

 

 

「さて、ところで1つ聞きたいんだが……」

 

 

「? どうしたの、エルザ?」

 

 

「ナツ、グレイ、2人で先程派手に喧嘩をしていたな……?」

 

 

「「………(ギクッ!!)」」

 

 

ルーシィが首を傾げる中、そう尋ねるエルザの声のトーンが低くなったことに気付いたナツとグレイは途端に冷や汗を流し始めた……。

 

 

「そして私に思いきりぶつかったな? “ケーキを食べていた私”に……」

 

 

「ああ、いや………(ガクガクッ!)」

 

 

「そ、それはだな! そのー………(ガクガクッ!)」

 

 

まあ、ここまで言えば一体何が起きたのか想像が付くだろう。ナツとグレイが何か言い訳を言おうとするが……もう遅い……。

 

 

チャキッ!

 

 

「そこに直れ……今すぐ2人揃って仲良く斬り刻んでやる……(ゴゴゴゴゴゴゴッ!!)」

 

 

「「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!??」」

 

 

「逃げるな貴様等ーーーーーーッ!!!!!」

 

 

今ここに生死を懸けた追いかけっこが始まった。それを見て………

 

 

「うわー……あの2人生き残れるかしら……」

 

 

「ケーキのことになるとエルザの強さは倍増するし、捕まったら確実に終わりだね。ナツの骨はオイラが拾うから大丈夫」

 

 

「あんた、本当にナツの相棒なの……?」

 

 

「おやおや、中々個性的な遊びですね~」

 

 

「……あんたに至ってはこの状況を楽しんでない?」

 

 

「いえいえ、そのようななことは決してありませんよ? クックックッ………」

 

 

「………………」

 

 

否定しつつも何とも言えない感じで笑う陰険な黒猫を見て、シャルルは思わず怪訝な表情を浮かべるしかなかった。何はともあれ、実に賑やかで平和な宴はこうして続いている。だが……

 

 

「…………」

 

 

そんな中でただ1人……ウェンディだけが何処か違った笑みを浮かべていることに気付く者は……“殆ど”いなかった………。

 

 

 

☆☆

 

 

 

楽しい宴も日付を跨いだ頃には流石にお開きとなっていた。しかしだからといってこのギルドにちゃんと帰る人間など居る筈もなく、全員が仲良くゴチャゴチャな状態で雑魚寝を決めていた……。

 

 

「……ん………寝ちゃってたか……」

 

 

そしてそれはたった今ふと目を覚ましたレイルとて例外ではなく、彼は壁に寄り掛かって座っている……。

 

 

「す、すごいな……これ………」

 

 

真っ先に周りを見回してレイルがそう呟くのは仕方の無いことだった。ありとあらゆるものが散乱し、机と椅子は大半が壊れ、それを巧く避けるようにしてフェアリーテイルの面々は寝ている……。仲良く寄り添って寝ている者もいれば、自分の足を人の顔の上に乗せてイビキをかいている者も居た……。まあ、何があったのかを細かに説明するのは面倒なので、一言“暴れて騒いだ結果”と集約した方がいいだろう……。

 

 

「そういえば、僕もカナさんに無理矢理酒をたくさん飲まされて………まだ年齢的に飲めないんだけどな、僕……」

 

 

………どうやらこの少年もバッチリ騒ぎの被害者になってしまったらしいが………。と、ここで、

 

 

「すぅ………すぅ………」

 

 

「ん………?」

 

 

レイルは今更ながら気が付いた。自身の隣から穏やかで規則的な呼吸音が聞こえることに………そして自分の左肩に“誰か”がもたれ掛かっていることに……。その正体は……

 

 

「っ!? ウェ、ウェンディ……!?」

 

 

オレンジのワンピースタイプの服を身に纏った、藍色に近い青のツインテールが特徴の少女──ウェンディだった。まさかのことに驚きを露わにするも、何とかできる限り小さな声でリアクションするレイルだったが……

 

 

「……ん………んん………?」

 

 

それでも彼女が起きるのには十分だったらしく、小さく唸ったかと思うとスーッと目を開け始めた……。

 

 

「あれ……私……」

 

 

更に寝ぼけ眼で辺りをキョロキョロと見回していくと……

 

 

「えっと………」

 

 

「………ふぇっ/////!?」

 

 

目の前には苦笑いを浮かべるレイルの姿が……。しかも自分がそのレイルの肩に寄り掛かっているような状態でいることに気付くと、ウェンディは一気に顔を赤くし出す……。

 

 

「あ、あの、わ、私、どうして………//////!!??」

 

 

「お、落ち着いて! 皆が起きちゃうから……」

 

 

「あ………」

 

 

レイルにそう言われたウェンディはその後、何とか動揺を抑えた……。

 

 

「あ、あの……」

 

 

「あー……実は僕もどうして君が隣で寝てたのかは知らないんだよね、全然覚えてないし………。ウェンディは何か覚えてる?」

 

 

「え? あ、確か……っ!」

 

 

「? ど、どうしたの……?」

 

 

突然ウェンディの顔が青くなったのを見て、レイルは思わずそう尋ねた。すると……

 

 

「カ、カナさんにお酒を飲まされた後から、記憶が………」

 

 

「……何をしてくれてるんだろう、あの人は……」

 

 

その話を聞いたレイルは呆れ混じりに呟きつつ、少し離れた所で寝ている元凶の方に目を遣ると、当の本人は酒樽を抱き締めながらムニャムニャ寝言を言っていた………。女性としての品格などまるで感じられない格好である……。

 

 

「あの、レイルさん……」

 

 

「ん?」

 

 

「ありがとうございました…助けてくれて……」

 

 

「もうお礼はいいって言ったはずだけど……?」

 

 

「はい……。でも、何度も言わないと気が済まなくて……」

 

 

「……そっか……」

 

 

ウェンディから再びお礼を言われたレイルは、そんな彼女の律儀さを理解しつつ……

 

 

ポスッ……

 

 

「あ………//////」

 

 

「どういたしまして……」

 

 

「! はい………/////」

 

 

そっと右手を彼女の頭に乗せ、慣れた様子で優しく撫で始めた。少し恥ずかしいのかウェンディは若干顔を赤らめてはいるものの、何処か気持ち良さそうに目を細めている……。

 

 

「あ、ごめんね、ウェンディ! 何か僕撫で癖があるらしくて……」

 

 

「あ、い、いえ……/////」

 

 

「? どうかした、ウェンディ……?」

 

 

「な、何でもないです……/////!」

 

 

「? ならいいけど………。じゃあ、僕は向こうで寝るから。おやすみ、ウェンディ」

 

 

「あ………」

 

 

ギュッ………!

 

 

「! ウェンディ………?」

 

 

「あ、あの………」

 

 

それは予想外のことだった……。レイルがその場を離れようとした瞬間、咄嗟にウェンディがそんな彼の服を掴んで止めたのだ。するとレイルに尋ねられたウェンディは少し躊躇いながらも………こう口にした……。

 

 

「行かないで……」

 

 

「え………?」

 

 

「1人だと……“あの時のこと”を思い出しちゃいそうで……。だから……行かないで、ください……」

 

 

恐らく今の彼女の言葉を相棒のエクシードが聞けば、あからさまに驚いただろう……。ウェンディは確かにフェアリーテイルに入って大分経つ今でも引っ込み思案なところがあるが、それ以上に彼女は幼くも聡(さと)い子である。故に自らが感じている不安や心配、恐怖といった感情を表に出すことは周りを困らせてしまうと考え、表では無意識の内に健気に明るく振る舞う……。それが“ウェンディ・マーベル”という少女の性分なのだ。しかし……

 

 

「ひぐっ………うぅ………」

 

 

今の彼女にはそれが出来なかった。そんな心の余裕が一切無かったのだ……。いくらフェアリーテイルの優秀な魔導士といえど、彼女は未だ年端もいかない少女。今回彼女が体験した“恐怖”は、まだまだ幼い彼女の精神で耐えられるものではなかったのである……。そして今まで胸の中に留めていた感情を溢れさせ、静かに泣き出してしまったウェンディに、レイルは………

 

 

「ウェンディ……」

 

 

「? レイル……さん……?」

 

 

「おいで……」

 

 

再び壁に寄り掛かって座り、今出来る精一杯の穏やかな笑みを浮かべながらウェンディを呼び寄せたのだ。それに対してウェンディは僅かに戸惑いを見せるものの、素直に彼の元へと歩み寄っていき………

 

 

フワッ………

 

 

「ふぇ………?」

 

 

「大丈夫……ちゃんと傍に居るから………」

 

 

そっと抱き寄せられながら、そんな言葉を優しく掛けられた……。すると彼に体を預けることになったウェンディはいつの間にか泣き止み、無意識の内に更にレイルへと身を寄せていく。その姿はまるで、温もりを求めて親に身を寄せる子猫のようだった………。

 

 

(あったかい………)

 

 

命の恩人の胸に顔を埋(うず)めていると、スーッと心が楽になっていくのを感じるウェンディ……。

 

 

(あ…………でも……眠くなっ……て………)

 

 

それは彼女を再び眠りへと誘うには十分だった……。そして……

 

 

(レイル……さん……)

 

 

心の中でその名を呟きながら、ウェンディは穏やかに眠るのだった……。

 

 

 

☆☆

 

 

 

「すぅ………すぅ………すぅ………」

 

 

「おやすみ……」

 

 

それから数分後……自分の腕の中ですっかり眠りについているウェンディをレイルが優しく見守っていると、そこへ1人(?)の人物が話しかけてきた………。

 

 

「相変わらずあなたの子供への扱いは目を見張るものがありますねぇ、レイル」

 

 

「! ブラン………ずっと見てたの?」

 

 

「ええ、少々目に留まってしまったので……。それにしても、随分と懐かれていますねぇ」

 

 

「懐くっていう歳の子じゃないと思うけど……」

 

 

「会って1日程度の人間に体を預けて眠っているのですから、表現は十分適切だと思いますがね~」

 

 

「はぁ………本当に嫌な性格してるよね、ブランって」

 

 

「誉め言葉として受け取っておきましょう。クックックッ……」

 

 

レイルのため息混じりの呟きを聞いたブランは、それを何喰わぬ顔でそう受け取った。あからさまな嫌味である………。

 

 

「どうですか、レイル? “妖精の尻尾”の仲間となったご感想は……?」

 

 

「仲間って……僕達はあくまでも命令を受けて同行しているだけだよ。とてもじゃないけど、“仲間”とは言えない……」

 

 

「そうでしょうかねぇ。少なくとも私の目から見れば、紛れもなく今日の宴は我々を仲間として受け入れるものだったと思いますが……?」

 

 

「体に刻まれる紋章がギルドにとってどれだけ大切なものか、君も知ってるだろ? それが刻まれていない以上、僕達がこのギルドの本当の仲間とは言えない……」

 

 

ブランの問いに対するレイルの回答は、実に静かで冷めたものだった。だがそれでもブランは、先程までの嫌味な性格を一切封じて言葉を掛ける……。

 

 

「ですがその少女……ウェンディのあなたに対する先程の態度や行動は、あなたを“心から信頼している証”なのではありませんか?」

 

 

「……………」

 

 

「まあ、私からはこれ以上特に言うことはありませんので………。では、おやすみなさい」

 

 

それだけ言ってその場を後にするブラン。するとそんな彼の後ろ姿を見送りつつ、レイルはふと今日の“ある時のこと”を思い返す……。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

 

それはレイルとブランの“妖精の尻尾への同行”の命をリヒターが伝え終え、ギルドを後にする際のこと………。

 

 

「どうだ、このギルドと共にいることになった感想は……?」

 

 

「! どういうことですか? リヒターさん……」

 

 

周りに聞こえぬよう、小声でそう聞いてくるリヒターに対してレイルは尋ね返すと……

 

 

「何か“思うところがある場所”なのだろう? このギルドは……」

 

 

「……そういう訳では無いと思いますけど……」

 

 

「ほお……ならば一体ここはお前にとってどんな場所になるのだ?」

 

 

「……それはまだ、僕自身にもよく分かりません……」

 

 

そんな曖昧な返答を繰り返すレイルを見たリヒターは、何故か尋ねるのをやめて僅かに意味深な笑みを浮かべた……。

 

 

「まあいい……。このギルドに居ればお前のその曖昧な心情もいずれはっきりするだろう……。お前の上司達が何故こんな命令を下したのかは知らんが、もしかしたらそれも見越していたのかもしれんな……」

 

 

「……………」

 

 

そしてそんな言葉に対してレイルが何も言うことなく黙っている中………

 

 

「俺はもう行く……。精々この妖精の尻尾を………特にあの“天空の巫女”を気に掛けていろ……。行くぞ、アクア!」

 

 

「あ、はい、リヒター様! それじゃあね、レイル! パートナーの陰険エクシードは相変わらず大変だろうけど、頑張ってね♪」

 

 

リヒターはアクアと共にサッサとギルドを去っていったのだった……。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「“思うところがある場所”……か……」

 

 

去り際のリヒターの言葉をレイルは思わず呟いていると………

 

 

「ん………すぅ………すぅ………」

 

 

ウェンディが僅かに身じろぎして、再び規則正しい呼吸をし出した。そんなあどけない少女の様子に、思わずレイルは穏やかな笑みを浮かべる……。

 

 

(この子が……“天空の滅竜魔道士”……)

 

 

そして穏やかに眠りに就いている少女が“竜殺しの魔法の使い手”であることに、何か言い様の無い気持ちを覚えつつも……

 

 

「おやすみ……ウェンディ……」

 

 

一言そう口にして、静かに意識を落としていった……。

 

 

 

 

―――――眠りに就く少女に何かを感じる少年…。彼の中にある想いが何か……それは彼自身にしか分からない―――――

 

 

 

 

 

 

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