FAIRYTAIL~絶対なる黒龍戦記~   作:無颯

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今回もアニメの話です。オリジナルはほぼ無いかと……。


そして若干ブランが空気のような気が……。


では、本編をどうぞ。




真の悪(?)

ザシュッ!!×3

 

 

「「「グハッ……!?」」」

 

 

「ふぅ……」

 

 

キンッ……!

 

 

目の前の敵を瞬時に倒し、一息吐きながらエコートレイサーを収めるレイル……。

 

 

「加勢の必要は全く無いようですねぇ、レイル」

 

 

「う、うん……流石に、ね……」

 

 

レイルがブランの言葉に苦笑いを浮かべるのも無理はない。相手にしていたのは魔法も使えない“ならず者”と言っていい男達なのだ。レイルの相手になることなど“万に一つ”はおろか、“兆に一つ”も無いだろう……。と、ここで、

 

 

「ほぅ。確かにこれは素晴らしい腕だな。ギルドの者ではないと聞いた時には疑ったが……」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

今更かもしれないが、現在の状況を説明しよう。ここはマグノリアから西へと向かう列車の中で、ブランの隣にいるのが今回の依頼人である。内容は依頼人の護衛と、貨物車両にある金塊を守ること。

メンバーは2人の他に、ナツ、ルーシィ、ハッピー、そしてウェンディとシャルルで、金塊の方にはこの5人が付いている。

 

 

「とりあえず、この人達は縛り上げておきます」

 

 

「ああ、頼む」

 

 

「ブラン、手伝って」

 

 

「分かりました」

 

 

ちなみに拘束に使われたのはレイルの造形魔法で生み出されたブラックダイヤモンド製の手錠で、強度は折り紙付きという代物だったりする……。

 

 

(ウェンディやナツさん達は、大丈夫かな……?)

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

「ウ、ウォォォォォォォッ…………」

 

 

こちらはその金塊の置いてある貨車と前の車両との連結部分。その柵に1人の男が顔を真っ青にしながら、絶賛もたれ掛かっていた。言うまでもなくナツである……。

では何故彼はこうなっているのか? 実はナツの弱点は、極端に乗り物酔いをしてしまうことなのである。その上いつもならウェンディの魔法“トロイア”で治る筈なのだが、ナツの場合そのトロイアを何回も掛けてもらったために“トロイア慣れ”してしまい、効かなくなってしまったようなのだ………(byシャルル)。

 

 

「ォォォォォォォォッ………」

 

 

最早“滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)”としての威厳など皆無である………。と、そこへ、

 

 

「だ、大丈夫かぁ!? しっかりしろぉ!!」

 

 

1人の男が前の車両からやってきて、ナツの背中を軽く叩きながら話しかけてきた。だがその格好は、頭から足先まで覆うような黒っぽいピッチリスーツを身に纏っている……。うん、どこをどう見ても明らかに怪しい……。

 

 

「どうしたぁ? 乗り物酔いって奴かーい?」

 

 

「ああ、ま、まあな………誰だか知らねえけど、少し楽になった……。おっさん、見ず知らずの奴を心配してくれるなんて、良い奴だな~」

 

 

「っ!? い、良い奴………!!」

 

 

ナツの言葉に何故かたじろぐ男……。

 

 

「だってよぅ……そこにいる連中、俺が乗り物酔いするのを分かってんのに、こんな仕事を受けるからさぁ……」

 

 

「! 仕事? 一体どんな仕事だ?」

 

 

「ああ……俺達この貨物の警護をしてんだ。あと別のところで、依頼人の護衛をしてる奴等もいる……うぷっ……!」

 

 

「ほぉ……仲間が警護、ねぇ……」

 

 

それを聞いた男は不敵な笑みを浮かべた……。

 

 

 

☆☆

 

 

「ここから中が覗けそうでやんす」

 

 

「そーっと、そーっと……」

 

 

一方その頃、貨物車の上で不審な動きをする男が2人。実はこいつ等、ナツに話しかけてきた男の手下である。まあ、同じダサい格好をしているのがその証拠であろう……。

 

 

カチャッ……!

 

 

「ケツは内」

 

 

そして天窓をこっそりと開け、中を覗いてみると……

 

 

 

 

 

 

『ウェンディー、あんまり気にしちゃダメだよ~……』

 

 

『ダメね……こうなると長いのよ、この子。レイルが一緒なら何とかなったかもしれないけど……』

 

 

『そういえば最近、ますますレイルとウェンディって一緒にいるようになったもんね』

 

 

『ええ。本当に“兄妹”って言われても違和感を感じなくなってきたくらいよ』

 

 

落ち込むウェンディを見てそんな会話をするハッピーとシャルル……。

 

 

『でもナツも酔うの分かってるんだから、この依頼降りてもよかったのにね』

 

 

『むしろ何で誘ったのよ?』

 

 

『だってあいつ、凄く暇そうだったし……』

 

 

『プゥ』

 

 

シャルルが尋ねると、いつの間にか謎の多き精霊“プルー”を呼び出して抱えているルーシィは呆れ混じりに答える……。

 

 

『でも、肝心な時に魔法が使えないんじゃ、魔導士失格ですよ……』

 

 

『それは落ち込み過ぎッ!!』

 

 

体育座りをして落ち込むウェンディに、ルーシィは思わずそうツッコんだ……。

 

 

 

 

 

「「ま、魔導士!?」」

 

 

そんな中にいるウェンディ達の正体を知った手下2人は、慌ててその場を離れるのだった……。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

「分かるぞ、兄ちゃん……! 仲間と巧くいかない時ってぇのは、何かと辛えもんだ。特に、それがリーダーの立場ってなると……」

 

 

「分かってくれんのか、おっさ……んォォォォォォッ………」

 

 

「おいおい、本当大丈夫かよー……」

 

 

戻ってナツと怪しい男は何故かすっかり打ち解けていた。すると、

 

 

「「兄貴!!」」

 

 

「うおっ!? び、びっくりした~……!!」

 

 

突如手下2人に背後から話しかけられ、男は驚きを露にしてしまった……。

 

 

「中に人がいるでござんす……!」

 

 

「知ってる。貨車の荷物を警護してるらしいな」

 

 

「どうやらそいつ等、魔導士みたいでやんすよ。これと同じマークを付けてたでやんす」

 

 

手下の1人がナツの左肩にあるギルドの紋章を指差す。

 

 

「ってことは、こいつ等ギルドかよ……。そいつは少し厄介だな……」

 

 

「あ~!! 何も出ねぇッ!!」

 

 

「「「あ~~~~ッ!!!!」」」

 

 

いきなり起き上がるナツに驚き、叫び声を上げる3人組。

 

 

「って、あれ? 増えてる!?」

 

 

「だ、だははははッ!! こいつ等はおじさんの仲間だ!! 皆親切な奴等で、兄ちゃんの介抱に来たのさ~!!」

 

 

「こ、困った人を放っておけない性分なんでやんす~!」

 

 

「お、おお~……皆良い人なんだなぁ……。ウ、ウオオオオオオオオオオ~~ッ……」

 

 

「負けんな、兄ちゃん!! 良い人みんなが応援してるぞッ!!」

 

 

と、男は言ったものの、その後すぐに手下2人と顔を合わせて笑っていることに……ナツが気付く筈もなかった……。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

コンコンッ!

 

 

「あ」

 

 

「ん?」

 

 

「は~い」

 

 

「どうせナツでしょ? 返事しなくていいわよ」

 

 

「あ、そっか」

 

ノックの音が聞こえて思わず返事をするルーシィだが、シャルルにそう言われて納得する。

 

 

「ナツー、入っておいでよ」

 

 

「元気になったのかな?」

 

 

「鈍いから、魔法が掛かるのに時間が掛かったのかも」

 

 

「ナツさん、どうしたんです……かッ!!??」

 

 

ウェンディが入り口のドアを開けると、そこには………グッタリとしたナツを抱えた男と手下2人がいた。

 

 

「どもーッ!!」

 

 

「「おっ邪魔っしまーす!!」」

 

 

「あ、あの……どちら様ですか………!!??」

 

 

あまりにも衝撃的な格好をした男達の姿にウェンディは呆然としてしまう………。

 

 

「ちょっくらごめんなさいよー」

 

 

「「ふふふふ~ッ」」

 

 

「ちょっと! ここは関係者以外立ち入り禁止なんですけど!」

 

 

「いやね? この兄さんがさ、そこん所でぶっ倒れてたもんだからさ」

 

 

「「倒れてた!?」」

 

 

男の話を聞いて驚くルーシィとウェンディ。

 

 

「あらら、これは重症ね……」

 

 

「まったくもう……」

 

 

「ナツさん……」

 

 

「ナツ~、しっかり~!」

 

 

そして4人が降ろされたナツの元へ駆け寄り声を掛けていた、その時、

 

 

「(キラーンッ!!)」

 

 

「うわっ!?」

 

 

「な、何!?」

 

 

男の目が怪しく光った瞬間、手下2人が同時に動き、車内両横の扉を素早く開けた。突然のことに驚くルーシィとシャルル。更に……

 

 

「きゃあっ!!」

 

 

「ッ!? ウェンディ……!!」

 

 

一番近くにいたウェンディの手首を捻り上げて拘束し、彼女の背後に回る……。

 

 

「動くんじゃねえ!! この嬢ちゃんがどうなってもいいのか!!」

 

 

「おおっ!! さすが兄貴!!」

 

 

「まさに真の悪ゥ~ッ!!」

 

 

「真の悪? っ! あんた達、この貨物が目的で……!!」

 

 

「ああ、そうとも!! 魔導士なんざ怖くねえッ!! 俺達は真の悪………」

 

 

ルーシィの問いに対し、男達3人はこう名乗りを上げる………。

 

 

 

 

「「「大強盗! ケツプリ団!!」」」

 

 

………どんなポーズを取っていたかは面倒臭いので書きません、うん。で、それを見たルーシィ達は………

 

 

「「「………………」」」

 

 

真っ白な灰になりそうな程、ただただ唖然とする他なかった。あ、ちなみにウェンディは見てませんよ? 位置的に無理ですし………。

 

 

「何してんの……?」

 

 

「ダサい……」

 

 

「というか、ナツが完全に空気ね……」

 

 

「ええい、黙れ!! 野郎共! パワーを溜めろッ!!」

 

 

「「へいッ!!」」

 

 

ルーシィ達の率直な一言を聞いた男は憤りを露にし、手下2人にそう指示を飛ばした。すると2人はケツを左右横に動かし始める……。その際何か掛け声を口にしていたが、キモいので無視。

 

 

「ちょっとあんた達……何してんの?」

 

 

「もう見てるのも嫌なんだけど………」

 

 

「オイラ、吐きそう……」

 

 

ルーシィとシャルルはともかくとして……ハッピー、耐えろよ……?

 

 

「さーてどうする? 降りるのか!? 降りねえのかぁ!?」

 

 

「せい!」

 

 

「さあ!!」

 

 

「さあさあさあっ!!」

 

 

「「「さあっ!!!」」」

 

 

男達3人はそう言いながら一か所に、かつ横一列に集まる。

 

 

「チャージ完了! いくぞ!! ケツプリ奥義!!」

 

 

「ガスケツ!!」

 

 

「プリプリ!!」

 

 

「エクスタシー!!」

 

 

「「「っ!?!?!?!?!?」」」

 

 

ケツによる見事な三角形(トライアングル)の構図を見て、とてつもなく嫌な予感を覚えるルーシィ達。ちなみに発射音に関しては割愛します、色々な意味で……。そして…

 

 

 

 

 

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ……!!!!!

 

 

 

 

「うわああああああああああああああっ!?!!?!?!?」

 

 

「ぎやああああああああああああああっ!!?!?!?!?」

 

 

「ぎょええええええええええええええっ!?!?!?!?!!」

 

 

「み、みんなーーーーーーーっ!!!!」

 

 

あまりに強烈な威力によって車両の窓やドアは瞬時に吹き飛び、その圧力によってルーシィ達は、残されたウェンディの叫びも空しく外へ放り出されてしまった。しかもよりによってそこは、谷を挟んだ橋の上……。

 

 

「鼻が曲がる!! 臭いが服に染み込む!! お肌が荒れる!! てか落ちるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!」

 

 

「んなことで落ちて…!!」

 

 

「たまるもんですか!!」

 

 

何とか翼(エーラ)を出してルーシィを助けるハッピーとシャルル…。

 

 

「2人共ありがとうッ!!」

 

 

「あぁ…でもダメだぁ…」

 

 

「鼻の中に臭いが残って、力が入んない……」

 

 

「え、ちょっと、ヤダ……結局落ちてるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!」

 

 

だがトンデモ攻撃の余波に負け、ルーシィ達はヨロヨロと谷底の川へと落ちていってしまった……。

 

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

それからしばらくして、貨物車両内では……

 

 

「……ん……」

 

 

「! ウェンディッ!!」

 

 

「あれ…? レイル…さん……?」

 

 

「うん! よかった、気が付いたみたいで…!」

 

 

ウェンディが目を覚ますと、目の前にはレイルの姿があった。要するに、彼に抱き起されているような状態である…。

 

 

「…ここは…?」

 

 

「貨物車の中だよ。凄い音が聞こえたから、依頼人の護衛をブランに任せて急いでこっちに来てみたんだ。そしたらウェンディが倒れてて……」

 

 

ちなみにレイルは造形魔法によって生成された翼で素早く飛んできたため、あのとんでもない攻撃による轟音からものの数十秒で駆け付けている…。と、ここでウェンディはようやく意識をはっきりと取り戻したのか、辺りを見回し始めると……

 

 

「っ!? 皆は…!?」

 

 

「それがルーシィさんとハッピー、それにシャルルは何処にもいないんだ。ナツさんは…」

 

 

「うぷ……ウオォォォォォォォォォォ……」

 

 

「あそこでとっ伏しちゃってるし…無事って言えるのはウェンディだけ…」

 

 

と、その時、

 

 

「プゥ……ププゥ…」

 

 

「! プルー!!」

 

 

「そっか! 君も無事だったんだね!」

 

 

「プゥーン!」

 

 

貨物の陰から恐る恐るプルーが姿を見せた。どうやらレイルとウェンディの姿を見て安心したらしい。

 

 

「それで、ウェンディに聞きたいんだけど……残りのこの人達は?」

 

 

「あ! えっと、それが……」

 

 

レイルの視線の先で倒れ伏している3人の怪し過ぎる男達を見て、ウェンディが事情を説明しようとすると……

 

 

「……んぁ……?」

 

 

「あ……!」

 

 

ここで男が目を覚ました…のだが……

 

 

「プゥ……ププゥ~…」

 

 

「な、何だ、こいつは…?」

 

 

「プルーていう精霊ですよ」

 

 

「っ! 妙に可愛いぜ…。荒んだハートの悪な俺には刺激が強ぇ~…」

 

 

(あ、あれ? 何かちょっとやり取りがおかしい気が……)

 

 

目の前のプルーを見て完全に和んでいた。その上サラッとプルーの紹介をしているウェンディも含めて、レイルはどことなく状況が間違っているような感覚を覚える…。

 

 

「あ、あの……」

 

 

「っ!! 子分A! 子分B! 起きろぉッ!!」

 

 

「う~ん…」

 

 

「く、臭いっす…」

 

 

ウェンディが声を掛けると、我に返った男は手下2人を蹴って叩き起こした。というか、どうやらこいつ等は先程の自分達のトンデモ攻撃の臭いによって気絶したようである……。言わなくとも阿呆だな、うん……。

 

 

「見ろ見ろ~! 精霊だとよー!! 始めて見るじゃねえかぁ~!」

 

 

「「精霊!?」」

 

 

男の言葉に驚いてプルーの近くへ寄っていく手下2人…。

 

 

「可愛い~…」

 

 

「癒される~…」

 

 

「愛らしい~…」

 

 

そのままプルーを囲んで今度は3人で和み始めた。そこだけお花畑が広がっているように見えるのは気のせいでは無い……。

 

 

「えっと…あの~……」

 

 

「「「はっ!!」」」

 

 

「おおっと~! 真の悪としたことが取り乱してしまったッ!! 気合いを入れ直せ! 腕立て23回!!」

 

 

今度はレイルが話しかけたことで我に返ったかと思えば、男が手下2人に突然そんなことを命令する。

 

 

「お、俺等がやるでござんすか!?」

 

 

「しかも中途半端な回数っすね」

 

 

「ええいっ!! いいからやれぇ~ッ!!」

 

 

「「いーち、にー、さーん、よーん……」」

 

 

で、結局言われた通り腕立て伏せを始める手下2人……。と、ここで、

 

 

「これからどうするんですか…?」

 

 

「フンッ、知れたこと! この金塊を頂くだけよ!! お嬢ちゃん1人で……あれ?」

 

 

ウェンディの問い掛けに対して答えようとしたところで、男はようやく気付いた……ウェンディの他に、先程までいなかった“もう1人の人物”がいることに…。

 

 

「だだだ、誰だお前!?」

 

 

「えっと、今更ですか……。まあ、ギルドの人間じゃないですけど、ここにいるウェンディの仲間です」

 

 

「っ! チッ、そうか。お前がそこにいる兄ちゃんの言ってた、依頼人を護衛してるっていう仲間か」

 

 

(ナツさん、他人にサラッと依頼の中身を教えないでください…)

 

 

男の話を聞いたレイルは、思わずナツの口の柔らかさにげんなりしてしまう…。

 

 

「だが! 兄ちゃんと嬢ちゃんの2人だけで金塊を守れるかな~?」

 

 

「プルーもいます!」

 

 

「だはぁ~…っ! ぶるぶるぶるっ!! だ、騙されんぞー!! 第一、お前達には人質としての使い道が…!!」

 

 

ウェンディにプルーを見せられた男は完全に表情を緩ませてしまいつつも、何とか可愛さによる誘惑を振り払う。だが、

 

 

「1つ聞きたいんですけど…」

 

 

「あ? 何だ兄ちゃん? 言っておくが、俺達“ケツプリ団”は魔導士なんかには負けn」

 

 

「ルーシィさん達…ここにいない僕の仲間に何か酷いことはしてませんよね?」

 

 

「(ビクッ!!)」

 

 

男は大きな勘違いをしていた…“レイルがそこらの魔道士と同じレベルだ”というとんでもなく大きな勘違いを……。

 

 

「それと僕がここに来た時、ウェンディが気を失って倒れてたんですけど……まさかウェンディにまで酷いことをしてませんよね…?」

 

 

「…………(ダラダラダラダラッ)」

 

 

更にどことなく冷たい声色のレイルの問いに、男は大量の冷や汗を流し始めた。よくよく考えると、いきなり無理矢理手首を捻って拘束した上に痛みも与えてしまっている点から言えば、一番ウェンディが手荒な真似を受けている……。故に男は否定できなかった…。

 

 

ジャキンッ!!

 

 

「ひぃっ!?!?」

 

 

「仲間に…特にウェンディに手を出したというなら、容赦はしません…」

 

 

「レ、レイルさん。あの、私は大丈夫ですから…」

 

 

レイルがエコートレイサーを抜いて切っ先を男に向けると、ウェンディは若干慌てて声を掛ける…。と、そこへ、

 

 

「あ、兄貴、腕立て終わったでござんす…」

 

 

「って、な、何でやんすか!? この状況…!?」

 

 

「! 子分B!! ただちに仕事に掛かれぇッ!!!」

 

 

「! へいッ!!」

 

 

ようやく腕立て伏せを終えた手下2人が目の前の状況を見て驚いていると、男は咄嗟にその内の1人に何かを指示した。すると、その手下が取り出したのは…

 

 

「パンパカパァーンッ!!」

 

 

「っ…!」

 

 

「爆弾!?」

 

 

何とダイナマイトだった。これにはレイルとウェンディも驚く中、慣れた様子で導火線に火を付けて連結部分に投げ込んだ……。

 

 

 

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!!

 

 

 

「大!!」

 

 

「成功でありんす!!」

 

 

前の車両と切り離されるのを見て、喜びを露わにする手下2人。

 

 

 

「ああっ!? 貨物がぁ…!!」

 

 

「だーはっはっはぁー!! 金塊は俺達“ケツプリ団”が頂いたぁー!!」

 

 

「「「さらばだぁーー!!」」」

 

 

前の車両からやって来た駅員が離れていく貨物車を見てショックを受ける中、男達3人はそんな去り文句を叫ぶ…。

 

 

「よぉーし!! 推進力よぉーいッ!!」

 

 

「「へいっ!!」」

 

 

「え……?」

 

 

列車の行く方向にケツを向ける3人の姿を見て、まだ“あれ”を見ていないレイルはキョトンとした表情を浮かべてしまう…。そして…

 

 

「ガスケツ! プリプリ! エクスタシーッ!! 方向良ーしッ!! 撃てえッ!!!」

 

 

ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!

 

 

「え…え~……」

 

 

あの強力な一撃の威力により、凄まじい速度で列車とは逆方向へと突き進む貨物車両。だがレイルはそのあまりの光景に呆然とする他無かった……。

 

 

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

一方、ルーシィ達は河原で服や鼻に染みついた臭いと格闘していた。

 

 

「2人共、あれ!!」

 

 

「「ん?」」

 

 

ハッピーの指差す先には、先程の橋を猛スピードで逆走する貨物車両の姿が……。

 

 

「3人共、追いかけるわよ!!」

 

 

「鼻の中も綺麗になったしね!」

 

 

ルーシィ達は追跡を開始した…。

 

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

再び戻って貨物車内……

 

 

「見たかギルド!! 見たか魔導士!! ケツプリ団に、不可能はないのだぁッ!!」

 

 

「でも結局、これってすぐ止まっちゃいますよね? その度にさっきのガスを噴射するんですか? それに何も持ってないみたいですけど…これだけの荷物、どうやって運び出すんですか?」

 

 

「っ!!!!」

 

 

ウェンディの言葉を聞いて激しく動揺を見せる男……。

 

 

「…あ、あの…」

 

 

「まさか、何も考えてなかったー……なんてことはないですよね…?」

 

 

「「え…?」」

 

 

レイルとウェンディの問い掛けに驚き、手下2人は思わず男の方に目を向ける。しかもここで、絶妙なタイミングと言わんばかりに貨物車も止まった…。

 

 

「止まっちゃったでござんすね…」

 

 

「どうするんすか、兄貴?」

 

 

「ふふ…ふふふふふっ! だーはっはっはっ!! この俺様が、何も考えていなかったと思うかぁ!? 俺達の腕っ節があれば、出来ないことは何も……ない」

 

 

「えー……」

 

 

図星という反応をもろに見せる男を見て、唖然とするレイル…。

 

 

「という事は…!!」

 

 

「頼りになるのは己の足腰…!!」

 

 

手下2人がそう言うと、男達3人は降りて貨物車を押しにかかる。だが…

 

 

バキッ!!

 

 

「あっ…!」

 

 

バキバキッ!!!

 

 

「ああっ……!!」

 

 

あからさまに何かが折れる音が響く…男の体から……。

 

 

「あああああああああああああああああっ…!!!!」

 

 

「「兄貴ィッ!!?」」

 

 

「なっ…!?」

 

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

 

「大丈夫な訳ねえッ!!」

 

 

これにはレイルとウェンディの2人も駆け寄った。すると…

 

 

「だったら…!!」

 

 

ウェンディは男に治癒魔法を掛けた…。

 

 

「嬢ちゃん…」

 

 

「私、治癒魔法が得意なんです。痛みが少しでも和らげばいいんですけど…」

 

 

「これが天竜の力……」

 

 

集中して治癒を行うウェンディを見たレイルは純粋に驚く……。

 

 

「兄貴、どうでやんすか?」

 

 

「おぉ~~………すぅーっと痛みが消えてくみてぇだ~……」

 

 

「この嬢ちゃん、只者じゃないっすね」

 

 

と、そうこうしている内に治療は完全に終わった。

 

 

「ありがとよ、嬢ちゃん。だいぶ楽になった」

 

 

「よかった~……」

 

 

「お疲れ様、ウェンディ」

 

 

「あ、い、いえ………////!」

 

 

「「ほぅ……」」

 

 

レイルの労いの言葉を聞いて、若干恥ずかしがりながら謙遜するウェンディ……。

 

 

「でもよぉ~、こんだけの力があるんなら、そっちの兄ちゃんも魔法を掛けてやりゃあいいじゃねえか~?」

 

 

「! ダメなんです……。酔い止めの魔法があるんですけど、掛け過ぎて逆に効かなくなっちゃって………。もっとレベルの高い魔導士にならないと………」

 

 

(それで何処か少し元気がなかったのか……)

 

 

「嬢ちゃん……苦労してんだなぁ~……!」

 

 

「「うぅ………」」

 

 

ウェンディの落ち込み様に、レイルだけでなく男達3人も同情する……。

 

 

「そんなことないですよ! 妖精の尻尾の皆はとても良い人達です! 私、このギルドに入って良かったと思います!!」

 

 

「「健気ぇ~!!」」

 

 

「そ、それに……最近はレイルさんがいつも一緒に居てくれますから、凄く安心です……//////」

 

 

「「「ジ~~~ッ……」」」

 

 

「えっと………何で僕の方をそんな怖い目で見てるんですか……?」

 

 

揃ってジト目で見てくる3人に、思わず苦笑いを浮かべるレイル。これが何を指すかは……御想像にお任せします。

 

 

「でも、皆さんもあんまり悪い人には見えませんよ?」

 

 

「おおっと~ッ!! 助けて貰っているのもなんだがぁ~、真の悪にはその言葉は最大の侮辱ってもんよ~ッ!! いいかぁ~、真の悪って言うのはだなぁ~………!!」

 

 

「それより、どうやって荷物を運ぶのか考えた方が良くないですか?」

 

 

「っ………!!」

 

 

またしてもウェンディの言葉にハッとする男……。

 

 

「この子の言うことはもっともでやんすよ?」

 

 

「どうやって運ぶんすか?」

 

 

「ええいッ!! 子分共、集合ぉーーーッ!!」

 

 

「「へいっ!!」」

 

 

「あ、あの、ちょっと……」

 

 

集まってコソコソと小声で話し合いを始めてしまった男達。その何とも言えない行動パターンにレイルは戸惑いを隠せない……。そんな中、

 

 

(レイルさんが困ってる………しっかりしなきゃ! いつもレイルさんに助けてもらってばっかりだし、役に立たないと……!!)

 

 

これを口に出していたら、確実にまたレイルは男達にジト目で見られていたことだろう……。

 

 

(……! そうだ!)

 

 

ここでウェンディは何かを思い付いたらしく、男達に話し掛けた……。

 

 

「あの~、皆さ~ん?」

 

 

「「「うわああああっ!!??」」」

 

 

いや、話し掛ける度に驚いててどうする悪党………。

 

 

「な、何だぁ!?」

 

 

「ビックリしたでござんす!!」

 

 

「もし皆さんがどうしても金塊が欲しいって言うなら、私が依頼人に話して、ちょっとだけ分けて貰えるように交渉してあげます」

 

 

「えええええーーーッ!!!??」

 

 

「ウェ、ウェンディ……!?」

 

 

この提案には男だけでなく、流石のレイルも驚きを露にした……。

 

 

「いいんですか、そんな事してぇー!!?」

 

 

「その代わり、約束してください。2度とこんな悪いことはしないって」

 

 

「あー………それはちょっとー………」

 

 

「じゃあ、金塊は諦めることです」

 

 

「「そんなぁ~~……!!」」

 

 

「もし約束してくれるなら、私がこの貨車を動かします」

 

 

「出来るのでやんすか!?」

 

 

「はい! さっきの皆さんのガスのやり方なら、私にも出来そうです」

 

 

「嬢ちゃんが“ガスケツエクスタシー”を決めるんスカぁっ!?」

 

 

「あああああ……違います///////////!!!」

 

 

「女の子に対して失礼過ぎですよ………」

 

 

顔を真っ赤にして否定するウェンディを見て、レイルは問い掛けた手下の1人に呆れる……。

 

 

「よしっ! 嬢ちゃんの話に乗った!!」

 

 

「「えええええっ!!??」」

 

 

まさかの男の承諾に手下2人は驚きの声を上げる……。

 

 

「子分共、集合!!」

 

 

「「へ、へい……!」」

 

 

すると男はそんな2人を集め……

 

 

「いいかぁ~、ここはアイツに乗ったふりをするのだ。真の悪はちょっとだけの金塊で満足する訳ねぇーだろうよぉ。アイツを安心させておいて、隙を突いて全部頂くのさ」

 

 

「さすが兄貴!!」

 

 

「真の悪は頭の回転が違うッス!!」

 

 

またしても隠れてコソコソとそんな目論見を説明していた。しかし……

 

 

「まさか……ウェンディを騙して金塊全てを盗もうなんて考えてるんじゃないですよね?」

 

 

「「「うわああああああああっ!!??」」」

 

 

いきなり別の声が聞こえて慌てて振り向いてみると………そこにはレイルの姿が……。

 

 

「そんな話が聞こえた気がしたんですけど……僕の気のせいでしょうか?」

 

 

「そそそ、そうだぜ兄ちゃ~ん! 俺達は別にそんな酷えことなんざ考えてねえよー! なぁ!?」

 

 

「「(コクコクッ!!)」」

 

 

男の言葉に手下2人は凄まじい速さで首を縦に振り、同調する。

 

 

「そうですか。ならいいです」

 

 

「「「ほっ……」」」

 

 

「でも……」

 

 

「「「(ビクッ!!)」」」

 

 

「もしウェンディを悲しませるようなことをするなら……それなりの覚悟を持ってやって下さいね?」

 

 

そう一言残してウェンディの元へ戻るレイルの笑顔を見て、尋常じゃない冷や汗を体中から噴き出す男達……。

 

 

「どどど、どうするんすか兄貴ィッ……!?(ヒソヒソッ)」

 

 

「あの兄ちゃん、超怖えでやんすよぉッ!?(ヒソヒソッ)」

 

 

「う、狼狽えんじゃねぃッ!! アイツにも必ず隙がある!! そいつを突くんだよッ!!(ヒソヒソッ)」

 

 

まあ、実はそんな小声の会話も全てレイルに筒抜けであることを、男達は知らない……。

 

 

「さーて嬢ちゃん、動かして貰おうかい!」

 

 

 

 

 

 

という訳で、ウェンディは貨車を動かすための配置に着いた……。

 

 

「でもガスケツじゃなかったら、どうするんでやんすかね?」

 

 

「さぁーなー……。あんな小っこい成りして、ギルドマークを付けた魔導士でござんしょ? とんでもない魔法を使うとか?」

 

 

そんなウェンディの様子を見て、手下2人は予想し出す。

 

 

「それは見れば分かります。少なくともウェンディを敵に回すなんて馬鹿な考えは、出なくなると思いますよ?」

 

 

「ほぅ……。まあ、お手並み拝見といこうじゃねえか」

 

 

「それではいきます……!」

 

 

レイルと男が話していると、ここでウェンディがついに動いた……。

 

 

「天竜の……咆哮ォォォォッ!!!」

 

 

ゴオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!

 

 

「「「どわあああああああああっ!!??」」」

 

 

竜巻のような咆哮によって、貨車は列車のいる方向へ凄まじい速さで向かっていく。

 

 

「ななな、何じゃあーー!!??」

 

 

「何じゃこりゃあーー!!??」

 

 

そのままスピードは衰えることなく、ルーシィ達が落下した橋もあっさりと通過する……。

 

 

 

☆☆

 

 

 

「この魔力……!」

 

 

「ウェンディだわ! ハッピー、急いでッ!!」

 

 

「アイサーッ!!」

 

 

ルーシィ達もウェンディの魔力を感じ取り、一気に追い付こうとスピードを上げた………。

 

 

 

☆☆

 

 

 

再び貨車内………

 

 

「どうですか? これで一気に遅れを取り戻せると思うんです!」

 

 

ウェンディが男達3人にそう言った。

 

 

「じょ、嬢ちゃんもしかして………滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)って奴か……?」

 

 

「え? ええ………まあ………。あ! あとレイルさんも同じ滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)ですよ?」

 

 

「ちょ! ウェ、ウェンディ……?」

 

 

すると………

 

 

「「「姉御、そして兄貴と呼ばせていただきまーすッ!!!」」」

 

 

「「………え………?」」

 

 

突如深々と頭を下げながらそんなことを言い出す男達に、思わずキョトンとするレイルとウェンディ。

 

 

「こんな凄え方々に会ったのは初めてだ! ケツプリ団の仲間………いや! “神”と“女神”と呼ばせてくだせぇ!!」

 

 

「「うええーー!!??」」

 

 

「ついでにこの………ケツプリ団のユニフォームを着ていただきた~いッ!!」

 

 

手下2人まで驚く中、男は何処からともなくレイルとウェンディぐらいのサイズのユニフォームを取り出した……。うん、そのものはやっぱりダサい……。

 

「そーすりゃー俺達!」

 

 

「「わっ……!?」」

 

 

「どこまでも付いていきやす!!」

 

 

男はウェンディとレイルにそのユニフォームを渡し、またしても頭を下げる。

 

 

「あ、あの………」

 

 

「私達の方が『うええーっ!!?』なんですけど………!」

 

 

「子分共、集合!!」

 

 

「へいッ!!」

 

 

そしてそんな2人の戸惑いも聞かず、手下達を集める男………。

 

 

「“神”と“女神”って、本気でござんすか!?」

 

 

「本気も本気、超本気………なーんてな! あの凄え魔法を使える奴等なら、味方にするのが1番だ。巧く利用して最強の味方にすんのよ!!(ヒソヒソッ)」

 

 

「さすが兄貴ィッ!(ヒソヒソッ)」

 

 

だが言うまでもなく……

 

 

(この人達、悪人としての素質無いんじゃないかな……)

 

 

この話もレイルに完全に筒抜けである……。そんな中、

 

 

(どうしよう………こうなったら、とことん味方の振りをするしかない! ここは私が頑張らなきゃ! それに………)

 

 

ウェンディは決断した。その最大の理由は………

 

 

「レイルさん、ちょっと失礼しますね?」

 

 

「えっ? ちょ、ウェンディッ……!?」

 

 

(レイルさんにこんな格好させたくない……!!)

 

 

レイルへの心配りだった……。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

数分後………

 

 

「あ、あの………//////」

 

 

「……!」

 

 

「「「オオオオオオオオオオオオッ……!!!?」」」

 

 

声を聞いてレイルと男達が振り向くと……そこにはあの渡されたユニフォームを着たウェンディの姿が……。ちなみに頭には猫耳っぽいものが付いている。

 

 

「おー……可愛いッ!!」

 

 

「よかったッス!! 今までケツプリ団やってて最高の瞬間ッス!!」

 

 

すると男達が感嘆の声を上げる中、ウェンディは真っ先にやってきて……

 

 

「? ウェンディ?」

 

 

「レ、レイルさん……やっぱりおかしいですよね? こんな格好……////」

 

 

「え……?」

 

 

その問いにレイルは正直困った。何故なら……意外と似合っていたのだから……。

 

 

「えっと………僕は全然大丈夫だと思うよ?」

 

 

「! 本当、ですか……?」

 

 

「う、うん……」

 

 

「な、なら、よかったです……/////」

 

 

(やっぱり、着ている人間が一番関係してるんだろうなぁ、この服がダメなのって……)

 

 

3人の男達を見ながら、思わずそんなことを考えるレイル。同じデザインの服なのに此れほど差が出るとは………恐るべし、人の容姿……。

 

 

「じゃあ、女神になっていただけるんでやんすね!?」

 

 

「はい」

 

 

「ならば! まずはこのポーズから!!」

 

 

「えっ!? ちょっ……!」

 

 

「俺達は大強盗!!」

 

 

嫌な予感がしたレイルが慌てて止めようとするが、遅かった………。

 

 

 

 

「「「「ケツプリ団ッ!!」」」」

 

 

「………………」

 

 

ウェンディも加わってやったポーズだが………こっちに関してはやはり駄目だった。それを初めて見たレイルは呆然とする他無い。と、ここで、

 

 

ギィィッ…………

 

 

「止まりましたっすよ!」

 

 

「女神様! 出番ですッ!」

 

 

「はい! 天竜の………」

 

 

再びウェンディが“天竜の咆哮”を放とうとした、その時、

 

 

「待ったぁッ!!」

 

 

「!!」

 

 

「「「っ!!??」」」

 

 

そこへやってきたのは、ルーシィとハッピー、シャルルだった。

 

 

「ルーシィさん! 皆無事だったんですね!」

 

 

「あれ!? レイル!」

 

 

「何であんたもここに!? 依頼人の護衛はどうしたのよ!?」

 

 

「あ、そっちはブランに任せて、こっちに駆け付けてたんだけど……」

 

 

ハッピーとシャルルが尋ねると、レイルは若干歯切れの悪い答え方をする……。

 

 

「ルーシィさん! ナツさんは中です!」

 

 

「! OK………って……」

 

 

「ウェンディ、それ………」

 

 

「一体何の格好よ………?」

 

 

「はぅっ/////!! こ、これは………その………/////!」

 

 

ウェンディの格好を見たルーシィ達3人は思わずポカンとしてしまうが、本人は今更ながら現在の格好を見られたことに気付いて顔を真っ赤にしてしまった……。

 

 

「アンタ達……ウェンディに何したのぉ~~~~ッ……!!!!!(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ)」

 

 

「事と次第によっては、喉笛を噛みちぎるわよォッ!!!!!(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ)」

 

 

ルーシィとシャルルから凄まじい怒りの炎が噴き出し始めた。あ、ちなみにハッピーは貨物車の中にいるナツのもとへ行っている……。

 

 

「ギャ~ッ!! 女神様、助けてくだせぇ!!」

 

 

「えっと、ここは抵抗しない事で……」

 

 

「「「ええ~~ッ!!??」」」

 

 

ウェンディの“諦めて”発言にショックを受ける男達。だが、彼等にとってはここからがある意味本番だった……。

 

 

「おい、お前等………」

 

 

「! ナツ!!」

 

 

「事情は全部話したよ! ウェンディ、悪党共に脅されてたんでしょ!?」

 

 

「脅されてません!!」

 

 

「お前等、俺にあんなに優しかったのは泥棒だったからか……!! よくも騙しやがったなッ!!」

 

 

「「「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!??」」」

 

 

「ナ、ナツさんも落ち着いて……!!」

 

 

ウェンディが色々と説明や説得をしようとするが、怒り心頭のナツ達は止まる気配がない。更に………

 

 

「あ、ナツさん、僕もやります」

 

 

「レイルさん!?」

 

 

「「あ、兄貴ィッ!!??」」

 

 

「な、何を言い出すんですかぃ!!??」

 

 

そこへレイルも加わったことにウェンディや男達3人が驚きを露にした……。

 

 

「生憎なんですけど、皆さんがこそこそ話している時の内容は全部聞こえてたんです。ウェンディを騙して利用する気満々でしたよね?」

 

 

「「「(ギクッ!!!)」」」

 

 

「へぇ~……随分面白え事考えてるじゃねえかぁ……」

 

 

「ウェンディの優しさに漬け込むなんて~……!」

 

 

「ナツ、レイル、やっちゃって!!」

 

 

「手加減なんか一切要らないわッ!!! 全力でお願いッ!!!!」

 

 

「あ、あの………」

 

 

レイルの話を聞いたナツは実に闘気に満ちた笑みを浮かべ、ハッピー、ルーシィ、シャルルも更に怒り出す。ウェンディが何か言おうとするが、もう遅い……。

 

 

「覚悟はいいな……?」

 

 

「ぎゃあああああああああっ!!??」

 

 

「「ひええええええええっ!!!!」」

 

 

ナツの言葉にこの世の終わりのような声を上げる男達。

 

 

「火竜の………」

 

 

「黒竜の………」

 

 

そして………

 

 

「「鉄拳ッ!!!」」

 

 

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!

 

 

「「「アアアアアアアアアアアアアアアアッ……!!!???」」」

 

 

キラーンッ!

 

 

男達は星となって遥か彼方に飛んでいった……。

 

 

「あの人達、そんなに悪い人達じゃないと思うんですけど………」

 

 

ウェンディが最後にそう呟いていた……。

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

日が沈み始めた頃、ようやくレイル達は目的地の駅へと到着した……。

 

 

「着いたー!!」

 

 

「や、やっと……か………うぷっ!?」

 

 

ルーシィとナツのテンションに凄まじい差がある理由は………言わなくても分かるだろう……。

 

 

「それにしても……何であんた“貨車を引っ張って飛ぶ”なんてことが出来るのよ?」

 

 

「しかもオイラ達のMAXの速さと変わらなかったよね」

 

 

「ま、まあ、鍛えてるからね……」

 

 

「そういう問題じゃないわよ絶対……」

 

 

そう、実はどうやってここまで来たのかと言うと、レイルが貨物車を黒混合の翼で飛んで引っ張っていったのだ。しかもその速度といい、最早エクシードの利便性が本気で危ぶまれるレベルだったらしい。まあ、お蔭で列車に遅れることなく到着できたのだが……。

 

 

「おや、間に合ったようですね」

 

 

「あ、ブラン、お疲れ様。護衛の方は大丈夫だった?」

 

 

「ええ、滞りなく。それより……」

 

 

そこへブランがやってきて、レイルと軽くやり取りを交わしていると……

 

 

「っ! こ、これは……一体何があったのだ!?」

 

 

やって来た依頼人が貨物車の惨状を見て慌てて尋ねてきた……。

 

 

「すみません、少しトラブルがあって……。ですが、金塊は全て無事です」

 

 

「! そうか、金塊は無事か……。なら良い。御苦労だった」

 

 

金塊に一切問題がない事を確認した依頼人は納得し、予定通りの報酬をレイル達に渡す。

 

 

「それにしても、あのガスケツ許すまじ!」

 

 

「まったくだ!!」

 

 

「? 一体何の話でしょうか……?」

 

 

ケツプリ団の男達を思い出してそう声を上げるルーシィとナツ。だが実物を見ていないブランはそんな2人に首を傾げるしかなかった……。一方、

 

 

「ふぅ……」

 

 

「レ、レイルさん……」

 

 

「? どうしたの? ウェンディ」

 

 

「あ、あの………」

 

 

一息吐いているレイルにウェンディが話し掛けてくると……

 

 

「ごめんなさい……」

 

 

「え……?」

 

 

「今日、レイルさんに一杯迷惑を掛けてしまったような気がして……。だから……」

 

 

そう謝ってくるウェンディはまるで、“これから親に怒られることを怖がっている幼い子供”のようなものだった。そんな彼女の様子を見たレイルは……

 

 

ポスッ

 

 

「ふぇ……?」

 

 

「大丈夫。少しも迷惑だなんて思ってないし、ウェンディが一生懸命依頼を果たそうとしてたのもちゃんと分かってるから……」

 

 

「あ………////」

 

 

レイルに優しく頭を撫でられたウェンディは、その心地良さに思わず目を細める……。

 

 

「だから大丈夫……。ね?」

 

 

「! ありがとうございます、レイルさん……//////!」

 

 

こうしてトラブルはありつつも、レイルとウェンディ、そしてナツ達はしっかりと依頼をこなしたのだった………。

 

 

ちなみにこの日の夜、何処かの荒野で再び遥か彼方へと飛んでいく“不審者3人”の叫び声が聞こえたらしいが………どうでもいいでしょう、うん……。

 

 

 

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