命の答えを得た最強のペルソナ使いは異世界でも最強   作:Hetzer愛好家

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ゆっくりとですが此方も描いていこうと思います。更新は亀ですがよろしくです。


死んだと思ったら実は生きてた

「疲れたでしょう? 今はゆっくり休んで……私はずっと、ここに居るから……」

 

沢山の足音と、耳慣れた声が、近付いて来る。

 

「みんなとも、すぐに会えるから……」

 

だんだん、眠くなってきた。春の日差しと、膝枕をしてくれている“彼女”の体温がとても心地良い。小鳥のさえずりさえ、子守歌のように眠りへと誘う。

 

これまでずっと、一緒に過ごしてきた仲間の声が更に近くなってきた。俺の名前を呼ぶ声が、幾つも、幾つも聞こえてくる。

 

「理ぉ! それにアイギスも! やっぱりここに居たんだな!」

「本当にごめんなさい! ついさっきまで忘れてしまっていて……あ、でも桜の花びらを見たらすぐに思い出せたよ!」

「ゆ、ゆかりちゃんもなの? 実は私も同じだったんだけど……」

「私もだ。答辞の最中に桜の花びらを見てな」

「お前、壇上から飛び降りて真っ先に駆け抜けたもんな。今ごろ先生たちは大慌てだぞ?」

「て、結城さん眠たそうですね。ダメですよ、こんなとこで寝たら風邪引きますって!」

「ワンッ!」

 

二ヶ月前までは毎日がこんな感じだった。ずっと、この輪の中で俺は一緒に過ごしていたかった。ずっと、だ。

 

でも……ここまでらしい。

 

粘り続けてきたが、ここで限界みたいだ。

 

「理? 大丈夫か?」

「「結城くん……?」」

「おい、しっかりしろ結城」

「そうだぞ。というか、眠いなら動いていれば良いだろ?」

「結城さん……? あの、本当に大丈夫ですか?」

 

俺は目元を緩め、口角を優しく上げる。意識が混濁していき、視界も徐々に黒く染まっていく。

 

しかし、それでも俺はたった一言だけ、別れの言葉を告げるのだった。

 

「さよ……なら」

 

と……。

 

──────────────────

 

――あら、呼吸が安定してきたのね。

 

――そうみたいだな。一時はどうなるかと思ったが……良かった。だが、念の為傍に居て声をかけ続けてやってくれ。自分は一端席を外す。

 

――分かったわ。ほら、頑張って! 貴方はまだこんな所で死んではいけないわ!

 

知らない声が聞こえる。女の人、それも若い人の声とその父親と思われる声。父親らしき人の声は兎も角、これまで恋愛をしてこなかった俺からしたら女の子が介抱してくれているということは、きっとこの場は天国なのだろう。

 

そう。俺はあの時、死んだ。

 

いや、実際には二ヶ月前の一月三十一日の時点で死亡していた。だが、仲間との約束を果たすために俺は気力だけで何とか現世に留まっていたのである。約束を果たしたことで俺の魂はようやく成仏した、とも言えるかもしれない。

 

背中に当たっている綿のような柔らかい物に全身を預け、俺は軽く天国ってどんな物なのだろうと思って目を薄く開けた。

 

「……え」

 

そして、驚愕した。

 

目の前に見えるのは知らない普通の天井だ。多分、病院の天井である。想像していたような天国とは全く違っている。突き抜けるほど蒼い空や綿菓子のような雲を想像していたのだが……。

 

しかし、俺の腕を叩いて声を掛けている女の子は少々趣は違うとは言え天使のようであった。

 

「あら、目が覚めたのね」

 

ボケっとしていると、女の子に声をかけられた。黒髪が眩しく、整った顔をしている。ショートカットな髪形が美しい造形と相まって実に綺麗だと感じた。

 

「……俺は死んだはずではなかったのか」

「一時は心肺停止かつ脳死状態にまでなってたわよ。何とか持ち直したけど、最低でも一週間は絶対安静ね」

 

死にかけていた事に対しては特に驚きはない。仲間と最後に会った時点で死の覚悟が出来ており、大切な人の膝の上で眠るように息を引き取る事にも抵抗はなかった。

 

……何故か俺はこうして景色を見ており、ごく普通に生きているのが解せないぐらいだ。

 

だが、すぐに俺は「どうでもいい」と感じて思考を放棄した。異世界に召喚されたとかいうファンタジックでロマンチックな思考も浮かび上がったが、それも捨てた。どうでもいい。

 

折角覚悟したところを肩透かし食らった感覚だが、素直に生きていることに感謝するとしよう。

 

「救急車を呼んでくれたのは君?」

「ええ。何せ私の家の前で倒れてたんだもの」

「そう、か。ありがとう」

 

病室を見渡すと、俺のイヤホンと常日頃から手放さなかった拳銃型召喚器が机の上に置いてあった。きっと警察もやって来ただろうが、弾丸なんて言う物騒なものは持っていないので取り越し苦労になったに違いない。

 

呼吸器や点滴を取り付けられているので動きにくい事この上ないのだが、まあそれは我慢するしかないだろう。でも呼吸器は取ることにする。

 

「え、ちょ!? 何やってるのよ!」

「邪魔でしかないんだ。だから取ることにした」

「だからってそれはマズいわよ! ほら、早く付けて!」

「息苦しくないし大丈夫だって」

「大丈夫な訳ないでしょうがあああ!!」

 

……この後、駆け付けた医者に怒られた。一時間ぐらい。

 

でも息苦しかったのは変わりようのない事実なので、医者が長々と話していた呼吸器の必要性の話は全部右から左へと聞き流した。その態度が気に入らなかったのか、小話が更に長くなったけどどうでもいい。

 

病室に居た女の子にも冷たい目で見られたがこの際気にしないことにした。

 

「……貴方、中々の大物ね」

「褒められてるのかな。まあ、ありがとう。それよりも君の名前は?」

「……雫。八重樫雫。貴方の名前は?」

 

すぐに自分の名前を答えようとして、ふと悪戯心が湧いた。

 

多分、俺の名前を知っている人物はこの世界には居ない。偽名を名乗っても何とかなる可能性がある。

 

咄嗟に思い浮かんだのは有里湊だ。後は苗字はそのままに名前をキタローにするのも良いかもしれない。何なら望月綾時でも良い。

 

……が、面倒くさいし後に墓穴を掘りそうなので止めた。

 

「結城理」

「結城くん、ね」

「うん。それよりも、一つ聞きたいことがあるんだけど……」

 

家、ないんだけど如何したら良いと思う?

 

そう質問したら雫が氷のように固まった。

 




ヒロインは雫さん。今のところはハーレムするつもりはないです。
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