命の答えを得た最強のペルソナ使いは異世界でも最強   作:Hetzer愛好家

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それを記念して……る訳ではありませんが、今回もまたペルソナが出てきます。


ホルアドで一悶着

翌朝になると、早速俺たちは【オルクス大迷宮】という場所の近場にある宿泊施設を目指して出発した。どうやら一日は宿泊施設【ホルアド】という場所でノンビリして良いらしく、クラスメイトは好きな人たちと過ごしている。

 

俺はレイシェンと一緒である。勿論部屋もだ。メルドに頼み込んで宿泊施設までの同行を許されたレイシェンは、道中物珍しげに周囲を見渡していた。

 

レイシェンは顔面偏差値の高いクラスメイトと比べても全く見劣りしない。キョロキョロと周囲を見渡しているレイシェンを、道行く男や女が釘付けになっているのが面白かった。

 

……さて、そろそろ何で俺が命のやり取りまでした女を此処まで見守ってるのかを話そう。と言っても、そこまで大した話ではないが。

 

俺の前世には沢山の“絆”を紡いだ大切な仲間が居る。その中でも格別俺と心の距離が近かった者が居た。

 

身体は人工的に作られたアンドロイド。しかし、人と同じように自我と感情を持っていた。最初の頃はレイシェン以上に感情が希薄であり、周囲への気配りはお世辞にも上手とは言えなかった。不用意な発言が周囲の空気を凍り付かせる、なんてこともあったのを俺は覚えている。

 

しかし、時を重ねて絆を紡いでいく毎に“彼女”は感情を細分化していった。気がつけば、其処らに居る人間と同じぐらい表情豊かになっていたのだ。

 

実は、彼女の存在理由は“シャドウの殲滅”であり本来なら俺と関わる必要も無かったのだが、長い時間を共に過ごすうちに彼女は己の存在理由を書き換えていた。

 

今際の時に、彼女は俺に新たな己の存在理由を明かしてくれた。

 

『これからもずっと、貴方を守りたい。貴方の力になりたい』

 

この言葉が指し示す意味を、俺は十全に理解しているわけではない。だが、「与えられた使命」から「己の望み」へと昇華させた彼女は間違いなくあの瞬間は“人間”だった。

 

ロボットでも、人のように笑ったり泣いたり出来るようになった。なら、人形にだって同じ事は可能なはず。

 

あの時とは違って一人ではあるが、それでも俺はレイシェンの名前通り彼女が笑ってくれることを何処までも手伝うつもりだ。

 

「結城理さん。この人は誰ですか」

「……ん? え、おい。何で君が出てるんだよ」

『わたし、お姉さんとトモダチになりたいの!』

「ええ……」

 

なんか気がついたら、特に何もしてないのにペルソナが召喚されていた。しかも寄りによって「可愛いけど見た目に騙されてはいけないペルソナナンバーワン」の〝アリス〟である。

 

あ、不思議に思ってるかもしれないが俺は別に召喚器がなくても普通に召喚自体は出来る。不安定さはあるが、最悪の場合召喚器を紛失しても何とかなるのである。

 

余談だが、俺のペルソナ召喚は魔力依存と生命力依存の二つによって可能になる。魔力が枯渇しても生命力さえ残っていれば召喚可能だ。

 

『ねえねえお姉さん! アタシとトモダチになってくれる?』

「トモダチ、ですか。トモダチって何ですか?」

『トモダチはね! 一緒にいっぱい遊んで沢山幸せになれる関係だよ!』

「幸せ……」

 

ヒヤヒヤしながら会話を見守る。アリスの性格は“表面だけ見れば”純真無垢で無邪気だ。容姿も可愛らしいので、油断したり下心丸出しで接する人間のなんと多いことか……。

 

そして、本質に気がつけないまま死んでいった人間はきっと数知れないだろう。

 

『ねえねえ、トモダチになってくれる?』

「……分かりました。トモダチになりましょう」

『やったー!』

 

ぴょんぴょん跳びはねて喜びを表現するアリス。うん、かわいい。

 

……じゃなくて。これはアリスを止めるための準備をしておくべきだろう。

 

「それで、私は何をすれば良いですか? 好きなように言ってください」

『うーんと、それじゃあねえ……死んでくれる?』

「……はい?」

『アタシのトモダチはね、みーんな死んでるの。だから、お姉さんも死んで欲しいな!』

「死ぬ、ですか」

 

ほら始まった。これがあるからアリスは怖いのである。しかも言われた相手は感情が希薄かつ死生観も存在するか危ういレイシェン。この組み合わせは非常にマズい。もっと早く止めるべきだった。

 

そう後悔しながらも、俺はアリスの頭をポカリと叩く。

 

「こら、あまり滅多なことは言うな」

『あ、酷いよ! お兄さんがぶったー! お姉さん助けてー!』

「私はどうしたら……」

 

レイシェンを盾にして隠れるアリス。アリスを捕まえようとする俺。困惑全開のレイシェン。

 

傍から見たら「家族じゃないの?」と思われるような光景になっていることは察しつつも、俺は尚もアリスを追いかける。

 

アリスも追いかけっことして感じているのか、とても、それはもう楽しそうにキャッキャ言って逃げている。かわいい。

 

……ゴホン。兎に角、誰それ構わず「死んでくれる?」とおねだりするのは大変宜しくない。ええ、大変宜しくないとも。アリスはとても可愛らしいだけに、言うことをアッサリ聞いてしまう大きなおトモダチ(主にお兄さん)が沢山居るのが本当に困る。

 

てか、実際にアリスに魅了されて本当に死のうとした八重樫道場の門下生が居た。霧乃さんが般若の形相を浮かべて門下生を締め上げてたのを思い出した。

 

「こら待て。 ……よし捕まえた。もう逃がさないからな」

『キャー! 捕まったー!』

「全く、君って奴は。トモダチは全員死んでないと気が済まないのか?」

『だってお兄さんも死んでるでしょ?』

「それは……うん、そうだな」

 

何とも言えない。だって本当に死んでいるんだもの。アリスにおねだりされて死んだ訳ではないが、それでも命を落としたことには変わりない。ぐうの音も出ません。

 

アリスを膝の上に乗せて、何と返そうか悩んでいると、不意に扉がガチャリと開いたので心臓が止まるかと思った。

 

「理? あの、今大丈夫……かし、ら……?」

「あ、え、雫か。これはだな……」

「……お取り込み中だったわね。失礼したわ」

「待て! 絶対に何か勘違いしてる!」

 

アリスをポイッとベッドの上に(優しく)投げて俺は部屋を飛び出した。アリスを消すことなく……というか消し忘れて、俺は一目散に雫を追いかけた。滅多なことでレイシェンは死なないので大丈夫だろう。多分。

 

それよりも、部屋を覗いて数秒固まり、そして涙をうっすら浮かべながら脱兎の如く駆けていった雫を何とかするのが先だ。絶対に変な勘違いをされてる。

 

雫が部屋に駆け込む寸前に何とか追いついた俺は、今にも部屋に閉じ籠もろうとする彼女の腕を掴むことで動きを止めた。

 

「はあ、はあ……し、ずく。絶対に変な勘違いしてる。頼むから説明させてくれ」

「……何を説明するのよ」

「色々だ、色々。取り敢えず先に言っておくと、あの小さな女の子は俺のペルソナだ」

「ペルソナ……? 貴方の持ってる力よね、それって。それで如何してあの娘を膝に乗せてたのよ」

 

取り敢えず話を聞く気にはなったらしい。俺は雫に頼んで部屋に入れてもらい、中に備え付けてある椅子に座って一息をついてから事情を説明した。

 

「まず、もう一度言うが膝の上に乗せてたのは俺のペルソナだ。名前をアリスと言う」

「貴方の召喚……だっけ。それで出てくるペルソナってあんな女の子は居なかったわよね? もっとこう、格好いいを重視してるというか」

「大方そんな感じだがアリスは別だ。あれだけは何故かあんな姿形をしてる」

「へえ……そうなの。それにしても、随分と距離が近かったけど?」

 

雫からの追求は止まらない。休みすらない。かなり気にしているようだ。

 

と言っても、やましい事は何一つないのだ。身の潔白を証明しないと色んな意味で終わるので、俺は真実を余さず伝える。

 

「近いと言っても、アリスは年齢で見たらまだ十歳ぐらいだぞ。やましい事は何もない」

私も年下なら遠慮なく引っ付けるのに……

「何か言ったか?」

「いえ、何も。取り敢えずアリスって娘の事は分かったわ。納得し難いけどね」

「厳しすぎないか?」

「気のせいよ。それより次の質問。何で、昨日引き取った女の人が部屋に居るのよ。別部屋って選択はなかったの?」

 

……怖い。技能欄には〝恐慌耐性〟があるはずなのに、何故か雫の背中側に番長のような物が見えて内心では冷や汗ダラダラである。頼むからその剣は納めといてくれ。いや、鉢巻きを締め直すな。怖すぎる。

 

雫ってサムライなイメージがあったのだが、もしかして彼女の本当の顔って番長なのか?

 

「……あの人は記憶喪失らしいんだ。生きる術こそ覚えているが、感情の記憶までもが消えてしまっている。どうしても放っておけなかった」

「記憶喪失なの? そしたら、名前も覚えてないのかしら……」

「ああ。名前を教えて欲しいとも言われてな。ビックリしたよ。取り敢えず“レイシェン”と名付けたけどな」

「あら、良い名前じゃない。咄嗟にその名前が出て来たなら流石としか言い様がないわ」

 

落ち着いたのだろうか。雫の語気が少し緩くなった。

 

「……でも、やっぱり優しすぎるわよ。もしも襲われたらどうするの?」

 

緩くなったと思った時期が俺にもあった。うん、これっぽっちも緩くなってない。

 

……でも、ただ怒っているのとは違う気がする。咎めるような言い方なのは間違いないのだが、それでも何だか引っかかる。

 

まさか、嫉妬してるのか?

 

そんなわけないか……。

 

「一応、不死身だから……」

「そうじゃないわよ! 私が言いたいのはそっちじゃないわ!」

「え、それじゃあ何だよ」

「それは……」

 

口籠った雫。もうなんか察した気がする。が、口に出すのは宜しくない。俺は黙って雫の目を見つめ、続きを話すように促した。

 

「ッ、そ、その……私は誰かに貴方が取られちゃうのが怖いのよ」

「誰かに取られる? 俺は誰の物でもないが……」

「もう、此処まで言っても分からないの!? 私は貴方と離れるのが嫌なの!」

「離れるのが……か。そうなのか、離れるのが嫌なんだな」

「もっと貴方の傍に居たいのよ。もっと、独占したいの。壊れるぐらいに、その……あ、愛して欲しいの」

 

……これには驚いた。顔を真っ赤にして俯く雫から目が離せない。

 

愛して欲しい、か。まさか、告白されるとは思ってもみなかった。

 

正直言うと、雫に本音をぶち撒けられて抱き着かれた日から彼女の気持ちは何となくだが察していた。だからこうして告白されても、気が動転するまで驚愕するということはない。

 

それでも、雫の女の子らしさ全開の告白にはキュンと来たので俺も黙ってしまった。

 

訪れる静寂の中で、俺は思考を巡らせる。どんな言葉を返すのが最良かを模索する。

 

だが、言葉は思いつかなかった。

 

 

仕方がないので、俺はベッドに腰掛けて俯く雫の真横に腰を下ろす。

 

そして、優しく雫の顎をクイッと持ち上げると、そのまま……。

 

──────────────────

おまけ

 

『む、何だかお兄さんに大切な人が出来た気がする!』

「大切な人、ですか。誰でしょうね」

 




時折今回のようにアリスさんを出します。基本的にアリスさんは癒やしキャラ用員ですが、ちゃんと戦闘もしますのでご安心ください。

レイシェンさんの扱いについて

  • 彼女候補入りして!
  • 妹分が良いかなあ
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