命の答えを得た最強のペルソナ使いは異世界でも最強   作:Hetzer愛好家

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アリスさんやっぱし人気ですねえ……え、勿論私も大好きですよ?(ロリコォォオン!)
先に言っておきますと、メサイアさんは理の保持する“通常”ペルソナの中では最強です。これは間違いありません。
てか気がついたらUA20000突破してました。本当にありがとうございます!


オルクス大迷宮へ

夜遅くになって漸く自室に戻れた俺は、ジト目をしたレイシェンと相変わらず無邪気な笑みを浮かべているアリスに迎えられた。

 

レイシェンは何か言いたかったらしいが、すぐにでも寝たかった俺は一言謝ってからアリスを消し、そのまま寝た。

 

翌朝になってもレイシェンのジト目は健在だったが、そこまで時間もないので「帰ってきたら話す」という条件で俺は何とか外に出ることに成功した。

 

ちなみに部屋にはアリスを残している。魔力がゴリゴリガリガリ削られていくが……まあ良いだろう。レイシェンの感情を刺激してくれることを祈ってる。

 

さて、朝から色々とあったが何とか出発したので、現在俺は【オルクス大迷宮】の正面入口がある広場に集まっていた。まるで博物館の入場ゲートのようなしっかりした入口があり、受付窓口まであったので、俺は少々面食らっている。

 

入口付近の広場には露店なども所狭しと並び建っており、それぞれの店の店主がしのぎを削っている。まるでお祭り騒ぎだ。

 

浅い階層の迷宮は良い稼ぎ場所として人気があるようで人も自然と集まるようだ。

 

とは言え馬鹿騒ぎした者が勢いで迷宮に挑み命を散らしたり、裏路地宜しく迷宮を犯罪の拠点とする人間も多くいたようで、戦争を控えながら国内に問題を抱えたくないと冒険者ギルドと協力して王国が設立したのだとか。

 

入場ゲート脇の窓口でも素材の売買はしてくれるので、迷宮に潜る者は重宝しているらしい。

 

だが、そんな外の雰囲気とは真逆に迷宮内は不気味なぐらい静かだった。

 

「……ハジメ、武器は完成したか?」

 

気を紛らわすためにもハジメに話しかける。ここ数日はハジメの姿を見てなかったので、武器が完成したかは知らなかったのである。

 

するとハジメは、背中に背負っていた何かを取り出して得意げに見せてくれた。

 

「うん、ちゃんと完成したよ。それに〝錬成〟をずっと使ってたから派生技能も付いたんだ」

「そうなのか? それは良かったな。派生技能を持ってる人間はこの世界だとかなり少ないらしいから凄いな」

「ありがとう。取り敢えずクロスボウは以前話した構造で完成させたよ。一応接近戦にも対応できるし、クロスボウの欠点を補うためにも発射する矢に工夫を凝らしたからかなり使いやすいね」

 

ハジメが取り出した矢を見てみると、矢尻に爆薬を塗ってるのか硫黄のような臭いがした。どうやら発射の際に起こる空気摩擦を使って発火させ、時間差で起爆させるそうだ。

 

爆発範囲はそこそこ広いらしく、確かにクロスボウ最大の弱点を上手くカバーしている。矢の設置時間はネックになるが、そこだけ目を瞑れば非常に優秀な武器だ。

 

俺たちが雑談を始めたのを皮切りに、他のクラスメイトも近くに居た者と話を始めた。それである程度は緊張が解けたのか、酷い顔色をしていた者も多少は冷静さを取り戻したようだ。

 

俺たちは隊列を組みながらゾロゾロと進む。しばらく何事もなく進んでいると広間に出た。ドーム状の大きな場所で天井の高さは七、八メートル位ありそうだ。

 

と、その時、物珍しげに辺りを見渡している一行の前に、壁の隙間という隙間から灰色の毛玉が湧き出てきた。

 

良く見ると、それは二足歩行のネズミだ。なんか上半身がムキムキで、見せつけるように威嚇しているのが気になる。あ、雫の顔色が悪くなった。

 

……が、最上階ということもあり大した強さではなさそうだ。それをメルドも分かってあるのか、光輝たちを呼んで戦わせている。

 

気がつけばムキムキのネズミ人間は殆どが全滅していた。やはり弱いのだろう。

 

と、まあある意味でだらけた気分で俺は立っていたのだが、そこへメルドが弱らせたであろうネズミ人間をハジメの元へ送った。

 

ハジメはネズミ人間のなけなしの攻撃を躱すと、クロスボウの先端をグサッと突き立てる。

 

「〝錬成〟」

「キイッ!?」

「ほいっと……」

 

錬成によって地面を動かし、ネズミ人間がピッタリ入るぐらいの浅い穴を作ったハジメは引き金をカチリと引いた。

 

パスッと軽い音を立ててネズミ人間に矢が刺さる。爆発こそしてないが、ネズミ人間は燃えている。どうやら説明してくれた矢以外にも様々な種類の矢があるらしい。

 

さっきの矢は、恐らく矢尻に発火剤を塗り込んで発射の際の摩擦で燃やしたのだろう。あの調子だとかなり引き出しが多そうだ。

 

そして今気がついたが、どうやらハジメの持つクロスボウは連射式らしい。リボルバー拳銃のように予め矢を装填し、その数だけコッキングする事でリロード。からの即発射が可能みたいだ。

 

仕組みはよく分からないが、兎に角素晴らしい武器だということはよく分かった。

 

「な、なあ。南雲のあれって……」

「クロスボウ、だよな? あんな物持ってたのか……」

 

クラスメイトも面食らっているようだ。何処か恐れた様子でハジメのクロスボウを見ている。

 

まだハジメは一発しか撃ってないが、それだけでも彼の持つクロスボウが如何に凄まじい物なのかを理解した人は多いだろう。

 

ある人は複雑そうな表情を浮かべ、またある人は明らかに気に食わないといった表情を浮かべている。まあ、此処で止まっていてもどうにもならないので俺はメルドに先へ進むように促した。

 

その後はローテーションを組んで魔物を討伐しながら階層を下げていく。基本的に俺はパーティーを組んでないため、同じく一人のハジメと共に前線へ出ることにした。

 

階層は……忘れた。二十まで下がると聞いたが、今はどの辺りだろう。

 

まあ、どうでもいいか。

 

「ハジメ、行くぞ。俺が前に出る」

「分かった。気をつけてね」

 

目の前に現れたのは多数の魔物犬。獰猛な牙をチラチラ見せながら威嚇してくる。

 

俺は新しく受け取った片手剣を抜き、ゆっくりと前に出た。この片手剣はメルドが使っていた物をハジメが錬成して加工を施した奴だ。試し斬りしてみたが中々に軽く切れ味も良い。

 

「……行くぞ」

 

ダンッと踏み込んで前へ進む。一流剣士のように一歩で距離を詰めることは出来ないが、それでも数歩で片手剣のリーチ内に近寄ると、その勢いを使って片手剣を振り回す。

 

数匹が鈍器のように振られたら片手剣に命中して頭蓋骨を粉砕され、あっという間に地面に倒れ伏せる。辛うじて俺の初撃を躱した魔物犬は同胞を殺されたことに怒って俺目がけて突進してくるが……。

 

ヒュンッ! ヒュンッ! ドカアン!

 

「ふう……」

 

爆薬を仕込んだ矢が飛来しては足止めを食らうか直撃して死んでいく。ハジメの命中精度はまだまだ成長の余地があるが、爆風でも十分殺傷出来るという事を逆手に使っているのが彼らしい。

 

魔物犬が明らかに動転したのを察した俺は、近くに居た一匹を叩き伏せてから遠心力で転がり、そのまま接近して横薙ぎ一閃。もう一匹片付けてから片手剣を鞘に納める。

 

その間にもハジメはクロスボウに装填された矢を撃ち、一度弾切れしたので再度弾込めをしている。

 

漸く訪れた、隙と言えば隙らしい場面に魔物犬は食いつくようにハジメに飛びかかる。

 

だが、彼の命を取らせる程、俺は甘くない。

 

ガキイン!!!

 

「〝ジャックフロスト〟」

『凍るんだホ!』

 

ヒュウオオオオ…… バキバキ!

 

「グギイィィっ!?」

「ガギギッ!?」

「ギイヤ!?」

 

捕まえた。気がつけば残りも三匹。早いところ、装填が完了したハジメに片付けてもらおう。

 

「ハジメ、やれ!」

「これで終わりだっ」

 

放たれた三本の矢。燃え盛りながら真っ直ぐに魔物犬へ向かっていく。

 

何かを喚きながら氷から逃れようとする魔物犬たちであったが、誠に残念なことにその氷は大型シャドウでもない限りは壊れない。

 

故に、魔物犬たちは燃え盛る矢を食らう以外の道は残されていない。

 

「……はあ。ちゃんと命中したね」

 

肩の力を抜くハジメに俺は苦笑した。

 

しっかりと頭部に突き刺さった矢を見るに、彼は戦闘をしながらも己の力を高めているのだと分かって、俺はハジメが今後化ける可能性が高いことに嬉しい気持ちになる。

 

そしてそれはメルドたち騎士団も同じだったらしい。口々にハジメの事を褒め称えている。

 

「さて、熱りが冷めたところで出発できるように準備しておくかな……」

 

片手剣の扱いにまだ慣れない事を反省しながら俺は魔力回復薬を飲み干す。現在進行形で削られる魔力の量はバカにならない。少しでも回復するのが得策だろう。

 

それにしても、此処まで見てきた魔物は何というか……弱い。

 

これならその辺のシャドウの方が強いし、何ならレイシェンたち〝神の使徒〟の方が強かった。まあ、比較対象が何だかおかしいのはこの際置いておこう。気にしたら負けだ。

 

ハジメを褒め称える事を終えた騎士団たちは、我に返って俺たちを先導し始めた。どうやら出発のようだ。何でも、次が二十階層らしい。

 

「次の階層で今日は訓練終了だ!」というメルドの頼もしい声を耳に、俺は足を進めた。

 

余談だが、現在の迷宮最高到達階層は六十五階層らしいのだが、それは百年以上前の冒険者がなした偉業であり、今では超一流で四十階層越え、二十階層を越えれば十分に一流扱いだという。

 

この話を聞いた俺は、多分頑張ったら百階層ぐらいまでは行けるんじゃないかなと思っている。

 

案外どうでもいい事を考えていると、あっという間に俺たちは二十階層の一番奥の部屋に辿り着いていた。

 

二十階層の一番奥の部屋はまるで鍾乳洞のようにツララ状の壁が飛び出していたり、溶けたりしたような複雑な地形をしていた。この先を進むと二十一階層への階段があるらしい。

 

「……何か、居るな」

「お、よく気がついたな。坊主の言う通りだ! 擬態してるぞ! よく探せ!」

 

何やら気配を感じたので、俺は壁を伝って攻撃できる手段を探し出す。

 

狭い通路なため、派手にオルフェウスで焼き払うのは好ましくない。それならば、電撃を扱えるペルソナが最適だろう。

 

「……〝ペルソナ〟!」

 

ガキイン!!!

 

「やれ、〝マハジオ〟!」

 

小アジアのフリュギアで信奉された生命と死と復活を象徴する神を召喚する。

 

全身を包帯で巻かれてゾンビのような見た目であり、手には短刀だ。こんな見た目だが一人称は“僕”だったりする変わり者である。

 

……またの名を〝アティス〟。力の一端がまた、公開されるのだった。




劇場版では出番が皆無だったアティスさん登場です。次回はアティスと共に二十階層を攻略するところから始まります。

レイシェンさんの扱いについて

  • 彼女候補入りして!
  • 妹分が良いかなあ

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