命の答えを得た最強のペルソナ使いは異世界でも最強   作:Hetzer愛好家

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ベヒモス戦です。
実は本日、私は修学旅行代わりの校外研修でして、富士急に行ってたので更新が遅れました()


ベヒモスと絆が繋いだ奇跡の召喚

「グルァァァァァアアアアア!!」

 

大地を揺るがす咆哮がビリビリと腹の底から響き渡る。巻き起こった突風に吹き飛ばされないように足を踏ん張ると、俺は前線に立ってオルフェウスを金剛力士像のように仁王立ちさせる。

 

ベヒモスの咆哮で再び我に返ったのか、メルドは矢継ぎ早に指示を飛ばしている。唯一、俺に対してだけは「逃げてくれ」とは言わなかった。

 

「申し訳ないが手伝ってくれ」というアイコンタクトを受け、俺は一度だけ首を縦に振る。

 

そしてそれを合図にしたかのようなタイミングで、ベヒモスが全体重を乗せた突進を繰り出してきた。

 

「っ、オルフェウス!」

 

ガキン! と鋼鉄がぶつかり合う音が鳴り、オルフェウスとベヒモスが正面衝突した。

 

主力ペルソナではあるが、初期に召喚したのでオルフェウスはそこまで力が強くない。実のところ、オルフェウスがあの突進を受け止められるか心配だったが……何とかなった。

 

が、突進の勢いが思ってた数倍は強い。このままでは押し切られる可能性もある。

 

「〝アギ〟!」

 

小規模な爆発でベヒモスを怯ませると、俺はすぐにオルフェウスを消して次のペルソナを召喚する。

 

弱点属性をかつての同級生のように調べる時間もないため、此処は手当たり次第殴りつけて探し出すしかない。

 

取り敢えず火属性が効き目薄いのは分かった。次は氷だ。

 

「〝ジャックフロスト〟!」

 

ガキイン!!!

 

「〝マハブフダイン〟!」

『任せるホ!』

 

あっという間に下半身からバキバキと凍り付くベヒモスだが、数秒凍った後にまた元の姿に戻ってしまう。その後も何回か凍結を試みるが、やはり結果は変わらない。

 

しかし、火属性の時よりも嫌がっているように見えたので案外効果的だったのかもしれない。火属性よりはダメージが通る可能性があるとだけ記憶し、すぐさま次の攻撃に移った。

 

「〝ノルン〟!」

 

ガキイン!!!

 

お次はノルンだ。前世ではそこまで活躍せずに俺が死んでしまったが、この世界では何とかして活躍させたいところである。

 

「〝マハガルダイン〟!」

 

旋風がベヒモスを包み込み、肌を何度も何度も切り裂いていく。強烈な風と言うのは時には皮膚すらも傷つけてしまうのである。

 

風が晴れると、そこには手傷を負ったベヒモスが現れた。全身満遍なく切り傷を入れられており、橋が鮮血色に染まっている。ちょっとずつ傷は癒されているらしいが、それでも風属性攻撃は有効らしい。いや、実際は風と言うより「斬撃が効いている」の方が正しいだろう。

 

だが、斬撃を食らわせるなら大抵の場合は接近しないといけない。タナトスやジークフリードなら行けるかもしれないが、今戦っている場所は橋だ。強い破壊力を持つこの二体が全力で動き回ったら橋の崩壊は間違いない。

 

現在、橋に居るクラスメイトの事を考えると崩壊させるのはもっとマズいだろう。橋の下に川が流れている様子は見受けられないので、落ちたら待っているのは「死」だ。

 

「ええい、くそ! 光輝、早く撤退しろ! お前たちも早く行け!」

「嫌です! メルドさんたちを置いていくわけには行きません! 皆で戦えば生き残る可能性だって!」

「くっ、こんな時にわがままを……!」

 

て、まだ撤退していなかったのか!? ベヒモスを抑えるだけなら俺一人で何とかなるが、問題は骸骨戦士の群れと戦闘しているクラスメイトだ。

 

突然転移した事と、更に目の前に立っている魔物に対する恐怖が足された状態で戦っている。もっと詳しく言うならば、それぞれが陣形や連携などを完全に無視して滅茶苦茶に戦っているのだ。

 

この世界の人間よりも高いステータスがある御蔭でまだ一人の死者も出していないが、この状態が続けば誰かが死ぬのは明白。人が死んで良い事など無いので、何とかして死者が出るのを俺は避けたい。その気持ちはメルドも同じなのだろう。必死に下がらない光輝を退却させ、クラスメイトのために活路を開くように頼んでいる。

 

……だと言うのに、あのバカ。状況に酔ってるんじゃねえぞ!

 

「早く後退しろ! 君たちは戦闘の邪魔だ!」

 

再度ジャックフロストを召喚してベヒモスの足元を凍らせて身動きを封じながら光輝に怒鳴る。

 

俺の言葉に光輝が反応しないわけがないので、怒鳴った勢いのままに言葉を紡いで光輝の事を黙らせることにする。

 

「前ばかり見てないで後ろも見ろ! 君が守ろうとしているクラスメイトが死にそうになってるんだぞ! それとも、あの時発した言葉は嘘だったのか!」

「ち、違う! 俺はっ」

「なら行け! そもそも君たちは足手纏いなんだ! 早く下がれ!」

 

それでも光輝は下がらない。心の何処かで「自分もやれる」という過信があるのだろう。

 

……いい加減にしてくれ。現実を見ろ!

 

流石に苛立って、俺は無理やりにでも後退させようと思った。その次の瞬間である。

 

「天之川くん!」

「なっ、南雲!?」

 

ハジメがこの場に飛び込んできたのである。見れば体の様々な場所に括り付けていた矢の束はかなり数を減らしている。相当数の骸骨戦士を倒したのだろう。

 

「一撃で切り抜ける力が必要なんだ! 皆の恐怖を吹き飛ばす力が! それが出来るのはリーダーの天之河くんだけでしょ! 前ばかり見てないで後ろもちゃんと見て!」

 

口すら開かせないハジメの剣幕に光輝が押し黙る。それを見た雫は一足先にクラスメイトの元へ走って行った。もう光輝に構っている暇はないと悟ったらしい。

 

更に香織もその場を離れる。ハジメに「結城くんをお願い!」と頼んでいた。香織はどちらかと言うと雫に便乗した形なのだが、それでもこの場を離れる決意をしてくれただけでもありがたい。

 

「団長、光輝を連れて下がってくれ! この魔物は俺が片付ける!」

「すまない、坊主。任せたぞ。ほら、下がるぞ!」

 

引きずるように後退したメルドを見て、俺は漸く息を付く。ジャックフロストがかなり頑張ってベヒモスを抑えてくれたが、同時に俺の魔力も削られている。長期戦は危ないだろう。

 

ノルンの攻撃で判明したベヒモスの弱点を突くには、それなりに面倒な手順を踏まないといけない可能性がある。ベヒモスを確実に身動きが取れない状態に陥らせ、その隙に一撃必殺で斬撃をぶつけないといけない。

 

だが、これまでのジャックフロストを見れば分かる通り、ベヒモスには拘束に最も適している氷属性攻撃の効き目が薄い。電撃を放っても良いのだが、破壊力故に橋が壊れる可能性がある。迂闊な技選択が出来ないのが今の状態だ。

 

「……さて、どうするかな」

 

頑張れば闇属性攻撃で即死させることも可能だ。しかし、タナトスは持っている力が大きすぎるし、アリスは呼び出すのがそもそも躊躇われる。というか、即死を見せたら光輝にどんな文句を付けられるか分からないぞ。

 

だが、悠長にしている時間もない。残存魔力はほぼ無い今、使えるのは俺の生命力。しかし生命力を使用するなら何時倒れるか分からないというリスクを常に背負うことになる。そんな博打を進んで打てる余裕は残念ながらない……。

 

「あの、結城くん。ちょっと良いかな?」

 

すると、ハジメから提案を持ち掛けられた。

 

「僕が、アイツの身動きを止めてみるよ」

「……なんだって? 止められるのか? 幾ら何でも危険だろ?」

「大丈夫だよ。僕には……」

 

〝錬成〟がある。そう言うと、ハジメは飛び出してしまった。

 

装填していたであろう矢を全て発射して命中させ、ハジメはクロスボウの先端をベヒモスに押し付けた。すると、〝錬成〟が自動発動してベヒモスの周囲にある地面が形を変えて簡易な拘束具になる。

 

当然、ベヒモスは抜け出そうと足掻く。しかしすぐさまハジメが錬成を重ねたことで逆にベヒモスは地面に埋まっていく。遂には頭部をめり込ませ、随分と間抜けな格好になった。

 

錬成を繰り返しながらもハジメは再装填をしては連続発射をしてなるべくベヒモスの体力を減らそうとしてくれる。此処までされて決めないのは男じゃない。

 

だが、俺は誰を使えば良いのだろうか。

 

タナトス。何度も言うが力が強すぎる。ジークフリード。橋すらも切り裂いてしまいそうで使いたくない。オルフェウス。打撃は確かに重たいが一発で仕留められるかは運次第。

 

他にも斬撃を扱えるペルソナは何体も居るのだが、やはり力が強すぎて使おうとは思えない。

 

ペルソナの力が強力という事実が、まさかここに来て弱点になるとは思わなかった。

 

……いや、ちょっと待てよ?

 

もしかしたら、このペルソナなら行けるかもしれない。橋になるべくダメージを与えず、かつ一撃必殺の斬撃技を持つペルソナが。

 

ガンスピンをしてこめかみに銃口を当てる。

 

脳裏には記憶の数々が移る。

 

くだらない事を言い合ったあの日。遊びに誘われた時。喧嘩もしたけど仲直りした事。誰よりも仲間思いで熱いハートを持ったアイツの姿。

 

「……行くぞ、順平! 〝トリスメギストス〟!!」

 

ガキイン!!!

 

紅と金を基調とした身体。鳥の頭のような仮面。その仮面が口に咥えているのは賢者の石。そして、黄金に輝く鋭利な四枚の翼。

 

前世で俺の親友だった者が使っていた〝ヘルメス〟というペルソナが進化した、俺と親友との絆を強く繋ぐ者。

 

その名を〝トリスメギストス〟と言う。

 

「ハジメ。最後の錬成を頼むぞ!」

「わかったっ。〝錬成〟ぇ!」

 

一際大きく、そして強力な拘束を生み出したハジメが足をもつれさせながらも全速力でその場を立ち去った。

 

ハジメとすれ違うように飛翔したトリスメギストスはクイッと両足を曲げる。そして、片足だけを伸ばしたと同時にトリスメギストスは一筋の流星のようにベヒモスへ急降下した。

 

綺麗なUの字を描くような軌跡でトリスメギストスは動き、ベヒモスの後ろに静かに降り立つ。

 

ベヒモスは、己を攻撃したであろう対象に反撃を加えるため、後ろを振り向こうとした。

 

ブシャッ! ドウッ……!

 

振り向こうとして、ベヒモスは血飛沫を上げ、そして上半身と下半身をそれぞれ二分しながら橋に倒れ込んだ。

 

上半身は橋から転がり落ちて行く。それを俺は、静かに見送った。

 

暗闇に包まれた奈落の底に、ベヒモスの上半身がクルクルと落ちて行くのを見えなくなるまで見守ると、俺はハジメと頷き合って未だに骸骨戦士の群れと戦闘しているクラスメイトの救援に入るのだった。

 




題名のとおり、トリスメギストスが召喚できたのはユニバースの力が引き起こした「奇跡」です。今後召喚するかはまだ未定です。

レイシェンさんの扱いについて

  • 彼女候補入りして!
  • 妹分が良いかなあ
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