命の答えを得た最強のペルソナ使いは異世界でも最強 作:Hetzer愛好家
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「皆! 諦めるな! 道は俺が切り開く!」
「お前たち! 今まで何をやってきた! 訓練を思い出せ! さっさと連携をとらんか! 馬鹿者共が!」
光輝のカリスマ性と、メルドの年長者として安心出来る空気がクラスメイトを変えたのだろう。さっきまでは死ぬ一歩手前だった陣形も整い始め、堅実なポジションに身を移して漸くそれらしい攻撃をしている。
俺とハジメも一気にダッシュする事で戦線に合流し、防御力は大したことない骸骨戦士をぶちのめしていく。
蹴り飛ばしてまず一体。片手剣を振り回して一気に数体、俺は片付けてから漸くメルドの元へ辿り着いた。
「ベヒモスは取り敢えず倒した。後は……」
「本当か!? ……あ、いや、すまない。うむ、後はトラウムソルジャーの召喚速度を上回るだけだ。何体ペースで出てくるのかは分からないけどな」
依然変わることなく数を増やす骸骨戦士……基トラウムソルジャーの召喚速度を上回って徹底する。クラスメイトが平静を取り戻したことで多少はマシになっているが、未だ召喚速度の方が早い状態だ。
なら、俺はトラウムソルジャーの殲滅を請け負う。それだけである。
様々な色の魔法弾が飛び交う戦場に舞い戻り、念の為の流れ弾対策で〝マカラカーン〟を展開する。何処かのバカがこの混乱に乗じてフレンドリーファイアを狙う可能性が低くない今は展開必須と言えよう。
「ハジメ、大丈夫か? 無理はするなよ」
青色を通り越して土気色のハジメ。魔力が枯渇しているらしいが、それでもクロスボウをトラウムソルジャーに突き立てて何体も撃破している。
だが、見ていてフラフラしている上に目の焦点も合ってないので流石に心配になった。
香織に回復してもらうのも後回しになるだろう。戦闘中にハジメ一人のために回復魔法を彼女が使うわけにもいかない。
「はは、結城くんこそ無理しないでよ。そんな顔色して言われても説得力がないよ」
的を射た発言に俺は苦笑する。
そう、俺も今はギリギリの戦いを強いられている。マカラカーンを展開した所で魔力が完全に切れてしまい、今はレイシェンの元に居るアリスやマカラカーンの維持には生命力を使っているのだ。
しかし、デタラメな戦いをした事で残存魔力が少ないクラスメイトはまだ完全には退却していない。せめて過半数が退却完了するまでは俺も下がれない。
「俺なら何とかなる。だが、ハジメは別だ。早く下がってくれ」
飛来した光弾を反射してトラウムソルジャーにぶつけ、随分と重たく感じる片手剣を振り回しながらハジメに頼み込む。
だが、ハジメはクロスボウを鈍器のように振り回すと首を横に振った。
「僕は結城くんと一緒に下がる。万が一の事があったら助ける人が居ないと一巻の終わりだよ」
「だが……」
「結城くんには助けられてばかりだ。だから、此処は恩返しとして残らせてもらうよ」
……意外にも、ハジメは頑固なのかもしれない。俺と同じように。
己が頑固なのを知っていれば、同じように頑固な人がどう動くのかは分かっている。一度意志を固めたらテコでも動かないのは把握済みだ。
これ以上の問答は無意味。そう察した。
「なら、後退気味で迎撃を頼む。残っているのは俺とハジメ。そして勇者パーティーだ。一歩ずつでも良いから後退をするぞ」
「分かったよ。それじゃあ、ご武運を」
「ああ、ご武運を」
最後の召喚をするために、俺は召喚器を取り出してこめかみに当てる。
ハジメは直接殴る事は諦め、やや離れた位置からクロスボウを使用した〝錬成〟で僅かな時間ではあるが確かな隙を作り出してくれる。
この隙を逃す手はない。俺は、己の生命力を対価として引き金を引いた。
「ラストだ。行くぞ、〝ヘルメス〟!」
ガキイン!!!
トリスメギストスに似たようで、しかし配色が単純であり翼の数も少ない〝ヘルメス〟を召喚した。何を隠そう、このヘルメスが進化したのがトリスメギストスなので似ているのは当然である。
ヘルメスを召喚したのは、トリスメギストスからアルカナを変える体力が残っていなかったからである。それに、ヘルメスなら橋にダメージを与えずにトラウムソルジャーを倒すことも可能だろう。
「頼んだぞ……!」
その言葉に呼応するかのように、ヘルメスは辺りを縦横無尽に駆け回っては翼でトラウムソルジャーを切り裂いていく。
視界が狭まってきたが、構うことはない。光輝や雫も漸く階段手前まで撤退が完了し、遠距離からの魔法攻撃に徹している。一部は俺に向かってくるが、相変わらずマカラカーンが弾いてくれるのでそれすら利用してトラウムソルジャーを押し返していった。
ハジメの撤退完了も間もなくだ。必死に魔法攻撃を掻い潜りながらも、確実にハジメは橋の外へ近づいている。もつれる足を必死に動かしてるのを見るに、やはり限界が近かったらしい。
本当に無理をしてまで俺のことをサポートしてくれた彼には感謝の言葉しか出てこない。
さて、俺もそろそろ撤退するとしよう。流石に体力が限界だ。マカラカーンの維持も不安定になってきているので間違いない。唯一、ペルソナの存在維持だけは完璧なので、逆算して戦える時間はあと数分と言った所か。
多少は鈍くなったヘルメスを何とか動かして殲滅作業を一端完了させ、ほんの一瞬だがトラウムソルジャーの召喚速度が殲滅速度を下回った時を見計らって俺も撤退を開始した。
敵に背を向けて走るのは随分と久しぶりだが、この際なりふり構っては居られない。
そう思って今出せる全速力で駆け抜けようとした。その時であった。
俺の顔から血の気が引いた。
「ハジメっ!」
流星のように空を駆ける魔法弾の一つが、突然軌道を曲げてハジメ目がけて飛来したのである。
それは、〝火球〟だった。俺はありったけの力を振り絞って過去一とも言える速度で橋を駆け抜けると、ハジメの前に何とか割り込んだ。
そこへ〝火球〟が着弾する。不安定な展開になっていたマカラカーンは、ガラスのように砕け散ると〝火球〟の爆発を殺しきれずに外へ伝えてしまった。
「ぐあっ!?」
消耗していた所へやって来た熱線。普段ならなんてことない物であったが、消耗している俺にとってそれは〝死〟を招きかねない危険な代物に変貌していた。
爆発の余波で吹き飛ばされ、俺は橋を逆再生するように転がる。トラウムソルジャーの移動速度はそこまでなため、まだ俺の居る場所に到達はしないだろう。だが、このままでは四肢を切り取られるのは確実だ。
しかし、体力の限界を迎えた俺の身体はピクリとも動かない。足止めをしていたヘルメスも消えてしまった。無理が此処で祟ったか……。
「ゆ、結城くん! しっかりしてっ」
肩を貸して、俺を引きずるようにハジメが前へ進む。バカ野郎。俺のことは放って安全地帯に逃げれば良かった物を、彼はわざわざ俺を助けるためだけにやって来たのか。
嬉しい反面、早く行ってくれと思う気持ちもあって複雑だ。
一歩ずつ。しかし確かに進む感覚。だが、それも何故かすぐに感じなくなった。
「ガッ……!?」
ハジメという壁が吹き飛ばされたからである。何があったのか、正確には分からない。
だが……ハジメが吹き飛ばされる直前に、何やら白色の魔法弾が俺の真横を掠めていった。と、言うことはだ。これは、間違いなく……。
って、そんなことを言ってる暇はない。
「はじ、めっ」
気絶しているのか、ハジメは空に投げ出されても自然の体勢のままで受身を取ろうとしていない。それが、魔法が直撃した影響だと見るなら全て辻褄が合う。
手を伸ばし、俺はハジメの手を掴もうとする。
だが、俺の手はハジメの指先を掠っただけで掴むことは叶わなかった。
「ハジメっ!」
深い闇へ落ちていくハジメ。もう俺の手は届かない。ただ、彼が無情にも落ちていく様を見ることしか俺には出来なかった。
何度も橋の下に手を伸ばし、その度に空を切って手には何も残らない事実に俺は絶望する。
「南雲ハジメ」という素晴らしい友人が目の前に居たのに、俺は助けられなかった。
助けられなかった
目の前にある命を、俺は助けられなかった。助けられなかったのだ。
空気を読まず、トラウムソルジャーは魔法の嵐を掻い潜って俺の元へやって来る。
俺は、ただうつ伏せに寝て橋の下を見つめ、黙っていた。近くにトラウムソルジャーがやって来たというのに、それは変わらなかった。
トラウムソルジャーが手に持つ剣を振り上げる。俺はその気配を感じると、虚ろな心境のまま魔物を見つめた。
そして、チラリとクラスメイト側を見る。
膝を折って茫然自失としている香織。今にも泣きそうな顔で飛び出そうとする雫。それを止め、瞳の奥には憎悪の炎を燃やす光輝。
様々な表情を浮かべるクラスメイトを見ても、俺の心は揺れ動かない。もう、生きる意味すらも見いだせなかった。そのはずであった。
神のイタズラなのだろうか。ほんの一瞬。本当に一瞬で見えたか怪しい。それぐらい短い時間の切れ目。そこで俺は、確かに見た。
クラスメイトの影に隠れ、狂気と残虐に染まった檜山大介の姿を、俺は見た。
「ペ……ル……ソ……」
ガキイン!!!
橋がガタガタと揺れる。石造りの橋であるため強度はそれ程ではないはず。
だが、もうそんな事はどうでもいい。
橋に立っているのは俺と魔物だけ。ならば、この橋を粉砕しても関係はない。問題もない。
召喚器を使用せず、己の精神力のみでペルソナを俺は発現させる。
ガラスのように飛び散った何かがやがて集束すると、一つの形を作り出した。
そのペルソナは、タナトスの仮面を更におどろおどろしく裂けさせ、まるで顎のような形をした仮面を被っている。
そのペルソナは、首から垂らした二本の鎖をジャラジャラと鳴らしている。
そのペルソナは、暗黒星雲にも似た漆黒のマントを全身に羽織り、その姿は完全に隠されている。
そのペルソナは、無骨な剣を手にしている。
……いや、正確にはペルソナではないか。これは、俺の持つ真の力の一つと言えよう。
「〝
絶対なる死を宣告する者が、此処に降臨した。
まあ、ステータスのアルカナ見たときから察してた人は多いんじゃないかなあ…()
レイシェンさんの扱いについて
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彼女候補入りして!
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妹分が良いかなあ