命の答えを得た最強のペルソナ使いは異世界でも最強   作:Hetzer愛好家

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デスの初戦闘回です。かなりやりたい放題やってますがご了承お願いします。


冷酷なる死

ゆっくりと俺は立ち上がる。抜けきったはずの身体に活力が戻ったのを良いことに、俺はデスの隣に浮かび上がった。

 

そしてトラウムソルジャーの方を見ると、デスに対してたった一つの簡単な命令をする。

 

――殺れ

 

簡単で、しかし非情な命令。

 

それをデスは、疑うことも反抗することもせずに淡々と従った。

 

薄暗い紫色のオーラがデスに集まっていく。暴風という言葉でも足りないぐらいの凄まじい風が吹き荒れ、それだけで何十体ものトラウムソルジャーが奈落の底へ落ちていく。

 

だが、これはまだエネルギーをチャージしているに過ぎない。本命はこの次である。

 

ノータイムで〝タルカジャ〟を発動させて自身の力を底上げしたデスは、己に集まった膨大なエネルギーを一気に解放した。

 

ドグアアアアアアアアアアアン!!!

 

耳を劈く爆裂音。かの〝メギドラオン〟と肩を並べる程の激烈な風が巻き起こり、石橋が中央からバキリと粉砕されていく。

 

だが、意外にも橋の崩壊によって奈落の底へ消えていくトラウムソルジャーは少なかった。

 

何故なら、爆風によって身体を粉砕されたトラウムソルジャーが殆どなのだから。

 

一瞬の内に様々な情報が戦場を行き交った事で混乱に陥るクラスメイトを俺は横目に映すと、身体を向けてゆっくりと高度を下げる。

 

肉眼でもハッキリと表情が分かる程度にまで高度を下げた俺は、目にも留まらない速度で透明な腕のような物を発射。動くことすら忘れた檜山を掴んで目の前に持ち上げた。

 

「な、何だよ! 離せよ!」

「……お前か。ハジメに向けて適正でもない属性の火球を撃ったのは」

「な、何変なこと言ってんだ! 俺が火球を曲げた? ちげぇよ! 俺の適正属性は風だ! 火球なんて使う意味もねえよ!でたらめなこと言うな!」

「じゃあ、何でお前は火球が曲がったことを知ってるんだ? 俺は単に、何故に火球を放ったのかと聞いただけだが?」

「あ……っ、これは」

 

この期に及んでまだ何か言い訳をするつもりか。いい加減見苦しい。

 

俺はもう、この人間のクズの顔を見たくない。声すら聴きたくない。呼吸音すら耳に入れたくない。

 

俺の友人を殺そうとしたことが許せない

 

友人に恋する人物を悲しませたことが許せない

 

この人間の形をしたナニカが生きていることが許せない

 

その薄汚れた眼も、奴の心に渦巻くヘドロのような黒く粘着質な悪意も、吐き気を催すような弁明も、全部が許せない

 

全てを奪ってやる

 

何もかも、全てを

 

「殺す。お前だけは、殺してやる」

 

デスが剣を振り上げる。

 

だが、そこへ待ったが入った。我らが勇者の光輝である。

 

「ま、待つんだ結城! 檜山が彼を攻撃したなんてありえない。だって俺たちは仲間だ。仲間を殺すなんてあり得ないじゃないか。南雲が死んだのがショックなのはわかるがあれは不幸な事故だ。仕方がなかったんだ。それなのにこんな仕打ちは良くないだろうが!」

「……俺を殺すために光球を撃ち込んだのは何処の誰だ? まさか、俺が気が付いてないとでも思っているのか? この腐れ外道勇者が。自分のやった事を棚に上げてよくそんな言葉が口にできるな」

 

檜山と同じように腕を出して光輝を捕まえる。苦しさに呻く光輝を握る腕には更に力を込めさせてから、俺は檜山に向き直る。

 

「証拠が何処にあるのかとでも言いたい目をしているが、お前は既に自分で地雷を踏み抜いている。今さら弁明したところで、もう遅い」

 

冷たく言い放つと、俺はデスに命じてズブリと手に持っていた剣を檜山の右足に突き立てた。

 

「ぎゃあああああああぁぁぁぁぁああぁぁあ!!!!」

 

汚い声。正に汚声か。それを上げて腕の中で暴れ狂う檜山だが、デスの腕から逃れられる者は誰一人として存在しない。檜山より遥かに強いペルソナですらいとも簡単に捕まっては消されてしまう。

 

剣を引き抜くと、今度は生皮を剥ぐように切っ先を檜山の左腕に当てる。ピーラーを使ったように皮が剥がれ落ちる様子は、正に生き地獄と言っても差し支えない。

 

「ぎいやああああ!?」

「楽に死ねると思うな。ゆっくりと。そしてじっくりと痛めてお前が『死なせろ』と懇願するまで続けてやる。無論、懇願されても楽に死なせるつもりはないけどな」

「ゆ、うき。やめろっ。俺の、俺の大切な仲間を……!」

 

光輝の身体が白い光に包まれる。どうやら何かしらの技能を使用したようだ。何だか暴れる光輝の力が多少強くなったような気がする。

 

もはや握りつぶす勢いで締め付けると、俺は光輝にも剣を突き立てる。

 

「ぐはあっ!?」

「その程度か? 世界を救うはずだった腐れ外道勇者の力は」

 

剣に光輝の腹から噴き出た血が付着する。俺は剣を一振りさせて光輝を地面に投げ飛ばすと、今度は檜山を見る事すらせずに剣を左足に刺す。

 

悲鳴を上げる檜山には目も暮れず、眼下のクラスメイトを睨む。

 

光輝に駈け寄る者。影に逃げて嘔吐している者。俺を畏怖と憎悪の表情で見る者。詠唱を始めて俺に攻撃しようとする者。

 

……邪魔するなら容赦はしない。

 

「よくも……よくも光輝くんをっ!!」

「み、みんな中村を援護しろ! 結城を止めるんだ!」

「うわ、血がこんなに沢山出て……! 急いで止血しないと!」

 

俺目掛けて色とりどりの魔法弾が飛来する。だが、その全てが俺に命中する目前で静止した。

 

そして向きを変えると、元来た道を逆戻りしていく。メルドたち騎士団が多少は撃ち落としたようだが、それでも少なくない数のクラスメイトが魔法弾の着弾による爆風を受けて吹き飛ばされている。

 

大なり小なり怪我を負ったクラスメイトは、大多数が戦闘不能状態に陥る。あまりにも脆すぎて話にならない。

 

勿論、その間も檜山に対する暴行の手は緩めない。何度も剣を抜いたり刺しては傷を治し、また別の個所に剣を突き立てた。檜山が気絶すればその度に無理やり意識を取り戻させ、また生々しい傷跡を増やしていく。俺の怒りは留まることを知らない。

 

「――〝ニブルヘイム〟――〝ラグナロク〟――〝刹那五月雨撃〟」

「きゃあっ!? う、腕が凍ってる!」

「う、動けねえ……これじゃあ、マズいのにっ」

「うわっ! 服に火が燃え移ってる!?」

「バカ、走り回るな! 地面に転がって火を消すんだよ!」

「し、白崎。俺の腕を知らないか? さっきから見当たらなくてっ」

 

ノータイムノーリスクでクラスメイトには魔法をぶち込む。なるべく香織と雫が立っている場所以外に落としていることもあって二人以外は全員が傷だらけになっている。

 

「――〝真理の雷〟――〝万物流転〟――〝マハンマオン〟――〝回転説法〟――〝明けの明星〟」

 

生命力から生まれた魔法は何もかもを破壊していく。もう何人のクラスメイトが命を落としたのだろうか。それとも辛うじて生きているのだろうか。それは分からない。

 

だが、俺に対する魔法攻撃はすっかり止まり、戦闘できる力を残している者は香織と雫を残して全滅した。

 

地面は深く抉られており、少しでも衝撃を与えたら全壊してしまいそうだ。むしろ、これだけの魔法を受けても形状を維持している地面に称賛を贈るべきだろうか。

 

檜山はこの数分で随分と老けた。過度なストレスが年齢を加速させたのか、檜山の髪の毛には白髪が混じっている。顔には皺も目立っている。

 

……もう、続けても反応は返ってこないだろう。何度も剣で刺しても無反応だ。痛みすら感じていないのかもしれない。

 

いや、よく顔を見れば瞳孔が小さく縮み身体を小汚く震わしている。どうやら恐怖状態にあるため反応が返ってこなかったらしい。デスが黙って見つめれば、それだけで心臓の鼓動音が加速しているので間違いないだろう。

 

「〝亡者の嘆き〟」

 

だから、俺は戸惑うことなく〝殺すための魔法〟を行使した。

 

指先から埃のように崩れていく檜山。己の隣に立っている死に抗おうとしていいるのか、檜山は抵抗するように動いて声の限り叫ぶ。

 

が、すぐにその動きを止めて首をガクリと垂らす。その首はリンゴのように地面目掛けて落ちていった。

 

地面に落ちた檜山の首はグシャッと生々しい音を立てながら形状を崩すのだった。

 

この世の地獄のような様相になっている地面に降り立つと、俺はハジメが奈落に落ちる直接的な原因を作った光輝の胸倉をデスで掴んで持ち上げた。

 

そして、容赦なく剣を光輝の心臓に突き立てた。

 

「ガアッ!」

「如何なる物の行きつく先は、絶対の死。それが来るのを早めたのはお前自身だ。己の愚かな行動を、あの世でも恨め」

 

死神のアルカナカードが宙で砕け散る。それと同時に、光輝が剣から抜け落ちるように地面に倒れ伏せた。

 

そして、俺も地面にうつ伏せで倒れる。

 

無理に無理を重ねて行使した滅びの力の代償は大きい。大きすぎる。今度こそ、俺は指一本すら動かせない。

 

俺は意識を闇の底へ落とす。抵抗することは許されなかった。

 

雫と香織が駆け寄ってくる足音が聞こえたような気がしたが、確認する余裕はない。そのまま俺は目を閉じた。

 

──────────────────

神域

 

『な、なんて力だ。一体、どれだけの力を隠し持ってるのだ……!?』

 

エヒトルジュエは焦った。イレギュラーにも程がある、結城の内なる力はあまりにも強大であった。

 

自慢の神の使徒を手もなく始末され、それどころか一体はアッサリと寝返った事自体がエヒトルジュエの心中をグチャグチャにしてたと言うのに、追い打ちをかけるように死を司る〝デス〟が現れた。

 

もうエヒトルジュエは結城に勝つという事は考えられなかった。兎に角どうやってこの状況を切り抜けるかをひたすら考えている。

 

ここ数日の間、エヒトルジュエは様々な世界を覗いては対抗できそうな何かを探していた。しかし、悉く「敵わないだろう」という結論に至ったので、結局彼は何一つ収穫を得ていない。

 

『マズいぞ……このままでは間違いなくやられてしまうっ!』

 

神が簡単にやられてしまうと言う異常事態だが、エヒトルジュエにそのバカげた事実に対してツッコミを入れるユーモアも余裕もない。

 

エヒトルジュエは、一人神域で頭を抱える。己に近づく死の足音に、彼は日々怯えながらも対抗策を練るのだった。




どのぐらいのクラスメイトが死んだのかは次回明らかにしますが、とりあえず檜山は確定死です。必殺級の魔法をガンガン連発しましたが、これは結城さんがマジギレしたからなのだ今後暫くはない……はず。

※この作品が面白いと思ったら感想&高評価を是非よろしくお願いします。一つでも増えるとモチベーションアップに繋がります。

レイシェンさんの扱いについて

  • 彼女候補入りして!
  • 妹分が良いかなあ
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