命の答えを得た最強のペルソナ使いは異世界でも最強   作:Hetzer愛好家

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技名があっているか怪しいです。間違っていたらお知らせください。


ペルソナの力が他人に知られてしまった

その後一悶着はあったが、俺は雫の家に居候することになった。

 

その際に俺の戸籍が出てこなかったので雫の両親は頭を抱えたらしいのだが……これは仕方のないことなので気にしないでおく。

 

ちなみに居候が決まった日に、雫のお父さんである虎一さんには「高校は雫と同じ所へ行くように」と言われた。

 

つまり、これはもう一回受験をしろという事である。俺、こう見えても最終学歴は高校二年生だ。成績も結構上の方を取っていたので正直なところ勉強する必要が感じられない。

 

そんなわけで、俺は今日もボーッとしながら雫の家の縁側に腰を掛けていた。

 

「……暇だなあ」

 

雫の家は格闘術の道場なため、威勢の良い声が耳に入る。

 

雫のお母さんである霧乃さんが淹れてくれたお茶を啜っていると、ふと俺は今でもペルソナを召喚できるのかが気になった。

 

よっこらせと立ち上がった俺は、太腿に固定されているホルスターから召喚器をクルクルと回しながら取り出し、銃口をこめかみに押し当てた。

 

ドンッ、ドンッと心臓が脈打ち、嫌な汗が額を流れ落ちる。

 

この感覚だけはどうしても慣れない。まあ、戦っている間はそんな事を気にする余裕はないが……。

 

「ペ……ル……ソ……ナ……!」

 

ガキイン!!!

 

全身を駆け抜ける悪寒。突き抜けた空虚感。巻き上がる突風。

 

そして、脳内に語り掛けてくる男の声。

 

『我は汝……汝は我……我は汝の心の海より出でし者……幽玄の奏者「オルフェウス」なり!』

「ぐ、う、おお……!」

 

随分と懐かしいセリフだ。あの時は、生きるためにも必死にトリガーを引いた。そうして投げかけられた言葉は、今でもしっかりと覚えている。

 

ペルソナ召喚は二カ月ぶりだからなのか、少々息苦しい。しかし、それでも構わずに俺は背中側に発現した俺の相棒に笑いかけた。

 

「オルフェウス……」

 

だが、俺の笑みは一瞬で凍り付いた。

 

俺としたことが気が付かなかったのだ。真後ろで、霧乃さんと虎一さんが俺の事を見ていたのを。

 

やってしまった。単なる好奇心でペルソナを召喚してしまったが、それがまさか致命傷になるとまでは考えられなかった。

 

影時間ではないのに。そして異世界でもないのに平然と召喚できたという事と、ペルソナが普通に認知されているという割かしとんでもない事実よりも、俺はこの事象を二人になんて説明するかで頭がいっぱいである。

 

空気を呼んだのか、一度姿を消したオルフェウスの御蔭で不気味なほど静かな空気が流れる。

 

「……理くん。これは、どういう事が起きているんだ?」

「え、と……降霊術、ですかね」

 

咄嗟に変な嘘を付いた。いや、でもペルソナの姿はギリシャ神話に出てくるキャラクターをモチーフとしている。降霊術と言っても無理はない……はず。

 

いや、無理か?

 

「降霊術にしては特殊すぎないか? 少なくとも、拳銃を使って降霊するなんて方法は初めて見たぞ」

「只者ではないと思っていましたけどね。流石にこれは予想外というか……」

「あー……何ていうか、その、黙っていてごめんなさい。人に誇れる力ではないですし、明かすつもりも毛頭なかったんですよ」

 

ペルソナの力は確かに強力だ。影時間に出現するシャドウに対する唯一の対抗手段であるし、天変地異を簡単に引き起こし巨大な建物をいとも簡単に切断してしまう刀を使う者も居る。

 

しかし、人間が持つにはあまりも強大な力だ。以前は影時間内でしか使えなかったが、今ではこの強大な力が何時でも使えてしまう。手に余るであろう、この力が。

 

バレてしまった以上は仕方がないが、これで危険人物だと判断されて居候を許してくれなくなったら流石に堪える。

 

だが、雫の両親から返ってきた答えは想像の遥か斜め上を行くものであった。

 

「素晴らしいな! 是非、私にも伝授してほしい!」

「……え?」

「ごめんなさいね。お父さんは霊的な何かは大好きなの。かく言う私も、だけどね」

「え、あの……ええ?」

 

一気に混乱する。俺はてっきり、怯えた表情で自分のことを見てくるとばかり思っていたのだ。それが、実際は綺麗に真逆で訳が分からなくなっている。

 

幽霊みたいに若干透き通っている人型の何かを見ても怖がるどころか喜んでいるって一体どういう事なのだろうか。

 

「理くん」

「は、はい?」

「君には真の八重樫流を教えようと思う。ちょっと付いてきてくれ」

 

真の八重樫流が何なのか。そもそも真の八重樫流って何だろうか。そんな事をグルグルと考えていると、俺はいつの間にか虎一さんに腕を引っ張られて屋敷の地下へ連れ込まれていた。

 

……いや待て。地下があるなんて俺は知らなかったぞ。そもそも地下室作れるなんて、八重樫家の財産はどうなってるんだ。

 

あと、俺のことをさっきから見ている黒装束は何者なんですかね!

 

「あの、これはどういう事ですか?」

「……八重樫流は、表向きは剣術のみの流派だ。雫も八重樫流を継承しているが、それでも剣術のみ。しかし八重樫流の実態は、遙か昔から伝わる暗殺術なんだよ」

「へ、は? 暗殺術?」

「更に細かく言えば、暗殺術と古武術の融合系だ。私は勿論、この霧乃も私の父も、その前の先代も八重樫流を継承している」

 

いやもう話に付いていけない。情報量が多すぎて俺の脳内は爆発寸前だ。暗殺術? 古武術? なにそれおいしいの状態である。

 

「え、と。その真の八重樫流? が存在していたのは分かりましたよ。でも、それを僕に教える意味はないと思うんですけど……」

「うん、私はね理くん。門下生相手に、君の実力を見せてほしいんだ」

「……は? 僕の実力、ですか?」

「君の降霊術、だっけ? ただ降霊するだけの力ではない事ぐらい私は分かっている。それを是非、見せてほしいんだ」

 

断れる雰囲気ではない。どうでもいいと片付けられる状況でもない。黒装束に包囲されているような状態なので逃げることも叶わない。

 

……天井の高さはそれなりにある、か。

 

「……本気で、大丈夫ですね」

「勿論だ」

「分かりました……」

 

再び拳銃を取り出す。手慣れたようにガンスピンをしてカチリとこめかみに銃口を合わせた。

 

双眸を見開き、呼び出す相棒の名を叫んだ。

 

「オルフェウス……!」

 

ガキイン!!!

 

室内であろうと構わず、凄まじい突風が吹き荒れる。轟々と吹く風に押されて幾人もの黒装束が後ろに吹き飛ばされ、警戒心をマックスにしたのか、鋭利な刃物を次々と取り出している。

 

構うものか。俺は初めてペルソナを召喚した時と同じ、不気味で恐怖を煽り立てる笑みを浮かべながらオルフェウスに命令する。

 

「やれ、〝アギダイン〟」

『ゥウオオオオオオオ!!』

 

ズドオン! ズドオン!

 

ズドオオオオオオオオオオオオン!!!

 

文字通りの超火力である〝アギダイン〟が連続で周囲を焼き尽くした。別に下位互換の〝アギ〟でも良かったのだが、この際全力で叩き潰しに行くことにした。

 

火傷とか殺傷は考えない。考えないようにする。彼らは暗殺術や古武術を使えるので、きっと何とかしてくれる。そう信じている。ダメなら最後にペルソナを使って元に戻すつもりだ。

 

「オルフェウス、〝アギ〟!」

 

ダアン! ダアン! 

 

今度は小規模の爆発だ。先ほどの〝アギダイン〟で取り逃がした敵を主に狙うが、邪魔するならそっちを最優先で爆発を放っていく。

 

流石に身のこなしが素早いので全員は仕留められないが、それでも初動の二回だけで随分な数の黒装束が戦闘不能になった。

 

「ペルソ『待て、そこまでにしてくれ!』……終わりで良いですか?」

「ああ、もう十分だ。十分すぎるぐらいだよ」

「そうですか」

 

オルフェウスの姿がスウッと空気に溶け込むように消えていく。俺は一つ、大きく息をついてから召喚器をホルスターに納めた。

 

やはり対人にペルソナの力は強大すぎる。この地下室が異常に頑丈なのが何よりの救いだったが、下手したらオルフェウスですらとんでもないテロを起こす事だって可能だ。

 

そもそも俺はオルフェウス以外のペルソナも使えるので、爆発攻撃以外にも暴風だったり雷だったりが自由に使える。余程の有事でない限りペルソナの力は封印安定だろう。

 

霧乃さんは既に火傷を負った黒装束の治療をしている。出来る限り致命的な傷にはならないように調節したつもりだが、それでも十数名は火傷が出来てしまったらしい。

 

ガキイン!

 

「ジャックフロスト。怪我人の疾患部を冷やしてくれ」

『ヒーホー!』

 

自分がやってしまった事なので、俺は氷魔法が使えるジャックフロストを召喚して疾患部の冷却に当たらせた。

 

可愛らしい見た目をしているが、ジャックフロストの操る氷魔法は中々に強烈だ。舐めて戦闘を仕掛ければ速攻で氷のオブジェクトにされる。

 

……現に「何だこの小さいの?」と零した黒装束は頭部を残して氷漬けにされている。いや、確かに見た目はマスコットみたいだから油断するのも分かるけど……。

 

ちなみに見た目に惑わされて逆に殺られてしまうペルソナはジャックフロストとアリス辺りである。

 

「……君は、どれだけの数の霊を従えているんだい?」

「さあ。数えるのはもう止めたんで」

「あらあら。アナタ、やっぱりこの子はとんでもない物を持ってるみたいですよ」

「うむ。これは父にも知らせないとだな……」

 

どうやら、俺は死んで世界線を移動したとしても面倒ごとに巻き込まれるらしい。

 

平々凡々な生活、というのは少し憧れていたのだが……もう暫くはその夢を叶えることは出来ないようだ。

 

一体、何時になったら休めるのだろうか……。

 




大まかな設定としては映画版ペルソナ3を基にしています。が、ゲームの設定も活かしているので矛盾が生まれている……かもです。
ちなみにまだ予定の域を出ませんが、雫はペルソナ4の、ハジメはペルソナ5のペルソナを使います。ですが結城以外にワイルドに目覚める人物を作るつもりはありません。

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