命の答えを得た最強のペルソナ使いは異世界でも最強   作:Hetzer愛好家

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テ ス ト
日々デスマーチを耳にしながら勉強していました。その間の休憩にチラホラと小説を覗きましたが、高評価がちょくちょく増えていて嬉しい限りです。龍牙さん、村井ハンドさん星9ありがとうございます! 気が付けば総合評価が1000を超えてたり、お気に入り登録者も800を超えてたりと驚いております。

それはそうとして、アルセーヌはジョーカー以外が使うのは許せないとかいう原作厨さんから低評価を頂いたのでヤケクソ気味のクラスメイトsideです。


クラスメイトside1 

──結城理を、正式に異端者として取り扱う。列びに、結城理に味方した者も異端者として取り扱う。

 

そんな決定が下されたのは、彼が仲間を連れてオルクス大迷宮に潜入した日の正午であった。

 

異端者として取り扱う以上、彼の事を神の使徒として扱う必要はない。ただ、神に反逆する敵として大多数の人間に認識される。過去に異端者と認定された者は、例外なく暴徒と化した人々の手によって殺される。

 

発表からおよそ三十分。親衛隊を引き連れた老人“イシュタル”は、自分にかつて刃を向けた不届き者をこの世から消してしまおうと、彼の宿泊していたとされる部屋に突入した。

 

しかし、彼の部屋には一枚の手紙を除いて何も残されていなかった。

 

そしてその手紙には、

 

「死に場所を捜しに行く」

 

とだけ書かれていた。

 

イシュタルは嘲笑した。そして安堵した。もはや殺すべき価値もないと。無駄に命を散らす兵士が減ってありがたいと。

 

まるで異端者認定される事を予見していたかのように姿を眩まし、自分の手で正義の鉄槌を下せない事に対しては多少の憤りはあったが、それでも異端者はもう間もなく死に至ると考えたイシュタルの心境は晴々としている。

 

だが、そんな嘲笑を零したのはイシュタルと言ったエヒト神を妄信している者たちだけである。口悪く言うなら、結城の本性を見透せない、脳内お花畑な老害共だ。その証拠として、クラスメイトの多くは結城の生存を信じている。その理由は優花の部屋の扉に刺さっていた手紙にあった。

 

その手紙には「ハジメを捜しに行く。しばらくはお別れだが、何も言わないでくれ」という内容であった。簡潔ではあるが、確かに彼が今後どうするのかを知ったクラスメイトは敢えて口を閉じたのである。

 

既に様々な地へ行ったり来たりしている愛子を含め、結城を信じる者はイシュタルが見つけた手紙は単にカモフラージュのためだけの物だと気が付いた。唯一、光輝だけは自分をボコボコにした仇敵が逃げ勝ちのような形で場を去った事に怒り狂ったのだがこれはまた別の話である。

 

さて、何人もの“大馬鹿者”が死亡したクラスメイトであるが、結局意識を取り戻さなかった中野も含めて死者は四人となった。しかし光輝は恵里の看護の御蔭で何とか一命を取り留めた。

 

だが……。

 

「結城は敵。殺さなければいけない。結城は敵。殺さなければいけない。結城は敵。殺さなければいけない。結城は敵。殺さなければいけない。結城は敵。殺さなければいけない。結城は敵。殺さなければいけない。結城は敵。殺さなければいけない。結城は敵。殺さなければいけない。結城は敵。殺さなければいけない……」

「うふふふふふ……大丈夫だよ、光輝くん。ボクが傍に付いてるからねぇ」

 

中村恵里の天職は〝降霊術師〟である。属性としては闇であり、死亡対象の残留思念に作用する魔法だ。恵里は更に降霊術を発展させ、生きている人間にも作用する事が出来る魔法も覚えている。

 

恵里は、己の願い成就のために自身の能力を使った。光輝が死ぬ直前まで叩きのめされ、意識不明の重体にされたのはある意味で不幸中の幸いであった。

 

恵里の願いとは、簡単に言えば「光輝を自分だけの物にすること」である。そこまで彼女が光輝に執着するのには、しっかりとした理由がある。まず、彼女の両親の話をしなければならない。

 

恵里の両親のうち、父親は彼女が幼い頃に交通事故で亡くなってしまった。不注意で車道に飛び出した恵里を庇って死ぬという、何ともありふれた結果であった。そしてそんな父を、もはや依存と言ってもおかしくないレベルで愛していた母親は父を奪った全ての元凶とも言える恵里の事を虐待した。

 

恵里の母親は彼女が小学三年生になった頃に新しい男を連れてきたが、この男が典型的なクズその物だった。まだ幼い恵里に己の欲望を向ける。そんな人間だった。

 

そんなクズ野郎に、遂に襲われかけたとある晩。幸いな事に窓を常日頃から開け放した御蔭で行為には及ばれなかった。だが、警察の保護から解放されて家に帰ってきた恵里に待っていたのは、まだ愛してくれているはずと思っていた母親からの張り手であった。

 

恵里は壊れた。信じていたものは全て幻想だった。耐えてきたことに意味はなかった。そして、この先の未来にも希望はない。幼い恵里が壊れるには十分過ぎる要因だった。

 

張り手を貰った翌日の早朝。恵里は母親が目覚めぬ内に家を抜け出した。理由など決まっている。全てを終わらせるためだ。

 

自殺場所に選んだ川の上にある鉄橋から身を乗り出し、糞の掃き溜めのような世界からサヨナラしようとした恵里。そこで彼女は、光輝に出会った。出会ってしまった。

 

無理やり鉄橋から引きずり下ろし、かなり簡略化された説明を聞いた光輝は当時から女の子たちを虜にした笑顔と力強さを以て、恵里の頬を両手で挟みながら至近距離で宣言した。

 

──もう一人じゃない。俺が恵里を守ってやる

 

恵里は落ちた。そして、何処までも堕ちる道を選んだ。

 

光輝の周りに群がる()を排除する方法。自分がどうやったら光輝に目を向けて貰えるか。様々な事を考えていた矢先、彼女を含めクラスメイトは異世界に召喚された。

 

異世界召喚は、彼女にとって願ってもないチャンスだった。日本とは違って気を付ければ殺人だって許されるのである。邪魔者を消すにはもってこいの環境である。

 

光輝が死の寸前まで追いやられるというイレギュラーな事態はあったが、それすらも味方に付けた恵里は、遂に光輝の殆どを手に入れることが出来た。

 

〝縛魂〟と名付けた、生者にも干渉出来る魔法を使うことで恵里は光輝の意思を完全に思うがままに操れるようになったのである。その結果として、光輝は結城抹殺と恵里への溺れるぐらいの愛と言った感情だけを宿す傀儡人形と化した。

 

勿論、勇者が堕ちに堕ちた事をクラスメイトは知らない。自分だけが、変わってしまった光輝を知っている。そんな愉悦感に恵里は心を震わせていた。自分にだけ愛情を向けてくれる愛しい勇者が嬉しくて、彼女は毎晩のように彼と密会を重ねていった。

 

「ねえ、ボクの光輝くん。今夜もボクの事を愛してくれるかなぁ?」

「ああ……勿論だ。俺が信用できる人は君だけだからな。君の隣に居ると、とても安心する」

「くっふふふふふ……そうなんだぁ。なら、今夜も壊れるぐらい愛してねぇ?」

 

光輝の肩にしなだれかかる恵里。己の一番の願いである「光輝を自分だけの物にすること」の大部分が叶ったからなのか、彼女の瞳の奥には小さくハートマークが浮かんでいた。

 

その姿は、彼女がかつて忌み嫌った母親とそっくりであった。

 

──────────────────

 

一方、王国から離れては日々忙しく地方を巡る愛子はあくせく働きながらも常に行方不明となっている結城とハジメの事を思っていた。

 

小悪党組がクラスメイトの手によって次々と命を奪われ、皆のまとめ役であった光輝するも死にかける重傷を負ったと聞いた時には流石に卒倒した愛子だが、今では立ち直っている。

 

「物静かな結城くんがそれだけの怒りを宿す程の何かが起きた」

 

そう思い込むことで、彼女は大切な生徒が死んだという衝撃的な事実を何とか受け止めることが出来たのである。無論、それでも今だ信じられない気持もあるのだが。

 

ハジメが奈落の底に落ちて死んだと伝えられても、結城がハジメを捜しに行くと知った愛子は彼の生存も心から信じている。常に無表情ではあるが、的を射た発言をする結城が必ず見つけると宣言したことに、無意識に一種の安心感すら覚えているのだがそこに彼女は気が付いていない。

 

「愛ちゃん。今日もこんなに依頼が来てるわよ」

「ありがとう園部さん。皆さんが手伝ってくれる御蔭で毎日何とか乗り切れてますよ」

 

あの日、結城に謝罪しに来た園部。そして彼女の友人や、ハジメの死によって心が折られてしまった約十人は愛子の元へ集った。もっとも、異端者認定の発表に併せて愛子が声高に叫んだ事が一番の原因だ。

 

「百歩譲って結城くんの異端者認定は誠に遺憾ながら受け入れましょう。ですが、これ以上戦闘を拒否する生徒に近寄らないでください! それでもしつこく近寄るのでしたら、私たちは全員戦争の不参加を決めますからね!」

 

そう啖呵を切ったのは随分と記憶に新しい。

 

だが、そんな愛子の頑張りに心震わせ、唯でさえ高かった人気が更に高まり、戦争なんてものは出来そうにないが、せめて任務であちこち走り回る愛子の護衛をしたいと奮い立つ生徒たちが少なからず現れた事は皮肉な結果だ。

 

「……愛ちゃん、ちゃんと眠れてる? 目の隈が化粧で誤魔化せてないわよ」

「心配しないでください。このぐらい大丈夫ですから」

「そうは言っても、最近の愛ちゃんはフラフラしてるじゃない。少しは休んでも罰は当たらないと思うけど?」

 

優花の心配は最もである。激務に次ぐ激務で愛子が疲弊しているのは確かだ。

 

しかし、その程度で崩れる愛子ではない。自ら大罪人の汚名を着てまで死んだと思われるクラスメイトを捜しに行った生徒の事を思えば、これしきのこと何ともない! と思っているのである。何ともないと言えば嘘にもなるが、そこは大人の意地で乗り越えている。

 

「結城くんだって苦労しているんです。だと言うのに、私がこのぐらいでギブアップなんて出来ませんよ」

「そうは言ってもねえ……」

「ほら、手を止めてはいられませんよ。結城くんと南雲くんが帰ってきたときぐらいは私もゆっくり二人と話したいんです。仕事は前倒しに終わらせて、気が付いたら仕事が無くなるぐらいにはしておかないと」

 

優花。そして他のクラスメイトの心配を他所に、愛子は今日も激務に励むのだった。

 

──────────────────

???

 

「久しぶりだな。三年ぶりか?」

「ああ、そのぐらいだな」

 

二人は再び出会った。荒廃した魔人族領のど真ん中にて。

 

「また異世界召喚か? 早く帰らないと面倒なことになるんだが……」

「そうだな……だが、そう簡単には帰れなさそうだ」

「仕方ない。ここは応戦しよう」

 

二人。いや、救世の英雄は慣れた手つきで戦闘態勢を整えた。据わった目は百戦錬磨の戦士が発する異様なまでの威圧感を放出しており、何処までも自然体な戦闘態勢はまるで付け入る隙を見せない。

 

自国領に足を踏み入れた侵入者を排除しようと、隊列を組んで突撃しようとした魔人族は足を竦ませた。

 

片や虚飾と嘘の霧を晴らし、己の手で真実を掴み取った英雄。

 

片や大衆の願いを力に変え、己の正義を貫き邪神を打ち破った英雄。

 

魔人族に勝てる確率を敢えて数値に表すまでもない。待っているのは絶望のみ。

 

「手加減はなしだ。来い!

伊邪那岐大神!

「SHOW TIME! 行くぞ、

ラウール!

 

運命の歯車は加速を始めた。




理由は後ほど。今明かしても面白くないので。

ハジメにワイルドの能力は必要?

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