命の答えを得た最強のペルソナ使いは異世界でも最強   作:Hetzer愛好家

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大会に加えてモチベが死んだとかいう二重苦です…。
更新が滞る可能性が高いです。本当に申し訳ない。


ちょっとした報告と旅立ち

「……なんだって? 人工ペルソナが完成した?」

「うん、完成したよ」

 

オスカー・オルクスの住処で居候すること二ヶ月。自身の能力向上だったり、装備の充実化をしたりするとあっという間であった。

 

もう良いんじゃないかなと思い、俺たちは遂に出発することを決めたのだが……ハジメの一言で少し出発を遅らせることにした。

 

「思いっきり禁忌に触れてないか? オスカーは〝絶対に作るな〟って釘を刺していた気がするぞ。と言うか実用可能なのか?」

 

人工ペルソナに良い思い出がない俺の心配を他所に、ハジメは「何の問題もない」といった様子で説明を始める。

 

「解放者が人工ペルソナの開発に失敗した原因は、ペルソナの力を体内に押し込めようとしたからだったんだ。でも、使い捨てという形で作ってみたら上手くいったんだよね」

 

そう言いながらハジメが懐から取り出したのは、一枚のカードであった。カードの表面には見慣れたアルカナが刻まれている。そして裏面を見ると、召喚するであろうペルソナの姿が簡単に印されている。

 

「八重樫さん。これ、使ってみてよ」

「えっと……これはどうしたら良いのかしら。カードよね?」

「握り潰せばペルソナを召喚できるよ。それと、握り潰して召喚したら次はこのカードも握り潰してみてね。ごめん、結城くんは八重樫さんの相手をお願いして良いかな」

 

矢継ぎ早に指示を飛ばすハジメに戸惑いつつ、俺は片手剣を抜いた。

 

雫も困惑気味ではあるが、カードを二枚受け取るとアルカナが描かれた物を思いっきり握り潰す。

 

「えっと、ペルソナ?」

 

パリンッ!

 

思いのほか簡単に砕け散るカード。砕けると同時に、暴風が吹き荒れて辺りの備品をめちゃくちゃに吹き飛ばした。

 

雫の背後には何やら番長のような物が姿を現す。黒い学ランに白い鉢巻きを締めており、手には長得物を携えている。

 

『我は汝、汝は我。汝、己が双眸を見開き、今こそ我が名を発せよ! 我が名は……』

「イザ、ナギ?」

 

聞き慣れたフレーズと共に、人工ペルソナの姿が露わとなる。格好いい。そんな感想を抱いた後に、俺は現れた人工ペルソナの持つ力の強さと儚さに驚いた。

 

単品の力としては並のペルソナの倍近くを保持しているだろう。だが、その力を使ってしまえばあっという間に消えてしまいそうな儚さも備え持っている。

 

「これは……凄いな。不安定さは拭えないが、ちゃんとペルソナじゃないか」

「でしょ? さあ八重樫さん。もう一枚のカードも割ってみてよ!」

「えっと……これよね?」

 

パリンッ! と雫は残っていたカードを握り潰す。すると、これまで静観しているだけだった人工ペルソナが動き出した。元から据わっていた鋭い瞳が更に細く鋭くなり、明確な殺意を持って此方に向かってくる。

 

このままでは明らかにヤバいと感じて咄嗟に片手剣を目の前に翳したのと、人工ペルソナが手に持つ大剣を振るったのはほぼ同時であった。

 

ガキンガキン!!!

 

剣閃が十文字型に浮かび上がる。衝撃は二回分。受け止めこそしたが、凄まじい反動によって俺は後ろへ弾き飛ばされる。咄嗟に腕を鞭のように動かしたことで難を逃れているが、初見で受けて無事でいられる者はかなり少ないだろう。

 

大技を放った人工ペルソナは、技の終了と共にガラスのように砕け散った。使い捨てとはそういう事であったか。

 

「……とんでもないな」

 

オスカーがわざわざ伝えるほどの禁忌である人工ペルソナは、確かに禁忌と言う名に違いない凄まじさを持っている。

 

問題はその燃費や安全性であるが……。

 

「ハジメ。これ、一度召喚するごとにどれぐらい体力を持ってかれるんだ?」

「大体だけど十分の一かな。燃費だけはどうしても解決できなかった。それに召喚されるペルソナは召喚者の保有魔力量に比例して強くなるから人によっては弱くなる可能性もあるよ」

「後者に関しては俺たちが使う分には問題ないけどな。燃費だけは気を付けないとすぐに体力切れになりそうだが……それも何とかなるか」

 

最悪の場合、俺が何かしらの回復魔法を行使すればいいだけだ。あとはカードが使い捨てなので補充が面倒くさいところもネックになりそうである。

 

が、それらの弱点を挙げて行っても利点の方が圧倒的に多いので気にならない。

 

「ほら、結城くんにもカードを渡しておくよ。結城くんなら既存の技をカードに吹き込めば使えるようになると思うんだ」

「ああ、補充は俺がすれば良いのか。なるほどな」

「カードその物の生成は簡単だし、強化魔法のカードと攻撃魔法のカードを同時に割ればしっかり強化された魔法も撃てるから案外何でもできるんだよね。あとは結城くんの発想次第かな」

 

カード自体の生成方法はとても単純である。新しく手に入れた〝生成魔法〟を使って特殊な鉱石を生み出し、それを自分でカード状にしていけば良いらしい。ハジメは錬成があるので何枚ものカードを一気に作り出せるが、別に錬成がなくても作れるらしい。

 

人工ペルソナ使いとの悲しい恋愛を通して成長した親友の事を思い出してしまうので、そこまで乗り気ではないが俺はカードを受け取ることにした。

 

さて、新しく生まれた道具についても少し触れておこう。

 

まず俺は、ハジメから〝魔力駆動二輪〟を受け取った。これは文字通り、魔力を動力とする二輪である。モデルは大切な先輩が使っていた特注バイクと似通った物にした。エンジンのような複雑な構造のものは一切なく、自身の魔力か神結晶の欠片に蓄えられた魔力を直接操作して駆動する。速度は魔力量に比例する。理論上は幾らでも速度を上げられる、と言うことだ。

 

神結晶と言うのは、ハジメの命を助けた魔法の水を生成していた鉱石の事である。オスカーの書物を見ていると、神結晶は、大地に流れる魔力が、千年という長い時をかけて偶然できた魔力溜りにより、その魔力そのものが結晶化したものだ。直径三十センチから四十センチ位の大きさで、結晶化した後、更に数百年もの時間をかけて内包する魔力が飽和状態になると、液体となって溢れ出す。

 

その液体を〝神水〟と呼び、これを飲んだ者はどんな怪我も病も治るという。欠損部位を再生するような力はないが、飲み続ける限り寿命が尽きないと言われており、そのため不死の霊薬とも言われているそうだ。

 

神結晶の魔力を貯える事が可能という特性を活かして作られたのがこの魔力駆動二輪である。

 

他にもハジメは自分用に様々な超兵器を開発していたが、俺が受け取った兵器はかなり少ない。片手で数えられるぐらいだ。

 

アザンチウムというこの世界でも最高峰の硬度を持つ鉱石をコーティングした片手剣や潜入作戦を決行する際に使えそうな手甲鉤。あとは制服を改造した防護服にフックショットと言ったところか。

 

ちなみに個人的に気に入ったのは手甲鉤だ。

 

普段は甲を守るための防具にしか見えないのだが、ボタン一つ入れるとあら不思議。ガシャン! と逆さまになっていた鉤爪が反転して現れる。この鉤爪もアザンチウムでコーティングされているため、普通の徒手空拳の動きでも絶大な戦闘能力を発揮できるという使い勝手の良い武器である。

 

ハジメはパイルバンカーやガトリングガンを手にしているのでどこか地味に見えるかもしれないが、大切なのは保有している力が扱えるかどうかだ。

 

「さて、ちょっとした出来事もあったが……此処を出るぞ」

「だね。引き留めてごめん」

「気にするな。それよりも……」

 

既にこれから何があるのかを知っている者も含め、俺は改めて確認を取る。

 

「俺たちが持つ力は強大だ。仮に素性を隠しても、力に釣られて戦争への参加を強要する輩が居るかもしれない。それに、俺は追われる身だ。命がいくつあっても足りない旅になる」

「結城理さん……」

「君が吸血鬼だと知れば、迫害する人間が居るかもしれない」

「ん……」

「ハジメ。香織。君たちも追われる身の可能性がある。行く先が別だとしても危険しかない旅になるのは間違いない」

「結城くん……」

「分かってるよ。覚悟の上だ」

「雫。俺に付いてくるなら……」

「分かってるわよ。分かってる。それでも私は、私たちは貴方に同行するって決めたから」

 

それぞれの覚悟は固い。俺が如何にかできるほど柔くない。特に雫。彼女は例え死んだとしても同行するだろう。レイシェンも同様だ。相変わらず感情が分かりにくいが、それでも確固たる意志を持っている。もう人形とは言えない。

 

恐らく行く先が違うハジメたちの覚悟も相当なものだ。香織は言わずもがな、ユエも救世主であろうハジメから離れるつもりはないらしい。

 

念のための確認は必要なかったというわけか。

 

「なら、大丈夫だな」

 

出口へ続くであろう魔法陣を起動させる。光に包まれて視界が効かなくなるほんの一瞬前に、俺は全員に己の覚悟を口にした。

 

「必ず帰ろう。故郷へ」

 

ハジメにワイルドの能力は必要?

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